北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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199X年世界は核の炎に包まれた!

海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。

だが、転生者は死滅していなかった!


(アミバ編)第拾弐話『地獄に咲くか愛の種火! お前の両腕はもう死んでいる!!』

「というわけで、ジャギも一緒に連れていくことになったんだが、いいよな?」

 

 オオサカの町。ココたちをかくまってもらっているじーさんの家の前で、オレはココたちにジャギを紹介していた。

 それを見ていて、みんな……特に彼のせいで死にかけたアキはめっちゃ渋い顔をしている。まぁ、気持ちはわかる。彼の性格からすると軽い仕打ちで済まされたからか、その視線に憎悪は感じられなかったが。

 

「だ、大丈夫なの? 気を抜いたら襲ってきたりしない? また砂漠に捨てられそうな気がするんだけど……」

 

 そのアキの言葉に、ジャギがさっそくかみついた。

 

「うるせぇガキ! 俺だって同行したくないんだ! グダグダ言ってると、ぶっこ……いててててて!!」

 

 そこまで言って、秘孔・亞順中の効果による激痛で苦しみだした。まぁ、これがあるから多分大丈夫だろうな、とは思う。悪いことしようとしたらあべし!してしまうし。

 

「まぁ……。ナノル兄の説明やその様子見る限り、大丈夫だと思うから、私はいいけど……でも少し怖いな」

「俺はこの激痛とずっと付き合わなくちゃいけないと思うと怖いぜ……」

 

 そう会話をかわすココとジャギを見ながら、フラニーは少し震えている。そうか、フラニーはジャギに両親を殺されてるんだもんな。その記憶がかすかに残っているのだろうか。

 

「大丈夫だ、フラニー。こんな様子だから変なことはされないと思うぜ。もししたらボンッだしな」

「は、はい……」

 

 あ、そうだ。

 

「そういえばアキは本当にオレたちについてくるのか? ジャギもいないし、この町にこのまま住んでいたっていいと思うぞ」

「ううん。やっぱり、この町には嫌な思いしかないし、それにボクと同じ立場の人といたほうが安心だと思うんだよ。色々なところを見て回るのも面白いと思うし」

「へっ、偏屈なガキだぜ」

「そんな仮面してる人に言われたくないなぁ」

「なんだと、このガキ! 黙って言わせておけば! ぶっとば……いでぇ!!」

 

 犬猿の仲なのか、それとも喧嘩するほど仲が良いって奴なのか。判断に困るな。

 

「本当、あんたらいいコンビだね」

「違うよ(わ)!!」

 

 カレンのツッコミに、アキとジャギが声を揃えて叫び返す。うん、やっぱりいいコンビだ。

 

「まぁ、世界線の中には改心したりきれいなジャギが出てくることもあるし、問題ないだろ。それじゃ行くとしようぜ」

「そんな俺がうらやましいよ……」

 

 そんなジャギのぼやきを聞きながら、オレはバギーに乗り込んだ。でも、オレにココに、カレン、フラニー、アキ、そしてジャギか……。さすがに六人になるとこのバギーじゃ狭くなってくるな。そろそろ新しい車がほしいところなんだが……。

 

* * * * *

 

 そしてその日の夜は野宿をすることになった。

 

「さて、それじゃさっそく狩りに行ってくるとするか」

「……おい待て。どうして俺の腰に鎖をつけてるんだ?」

「お前が狩りに紛れて逃げ出したりしないようにだ」

 

 オレはケンから、こいつのお目付け役を頼まれてる。なのに逃げられて、あまつさえ悪事をされたりしたら申し訳ないからな。まぁ……。

 

「逃げたりしやしねぇよ。逃げたところで、亞順中とこの頭の痛みからは逃げられないからな」

「そうか、ならいいんだが」

「で、何を狩るんだ? ……いてっ!」

「……言っておくが、旅人を狩るわけじゃないからな? 獣だよ」

 

 とはいっても、ほとんど鼠などの小動物だろうけどな。でももしかしたら、核の被害を免れた動物園から逃げ出した犬や動物とかもいるかもしれない。そういうのに遭遇できたらラッキーだ。オレやジャギならいくら襲われても切り抜けられるだろうしな。

 

「お、いきなり野犬が来たぞ!」

「よっしゃ、任せろ! 北斗羅漢撃!!」

「ぎゃわんっ!?」

 

 そして襲い掛かってきた野犬に、ジャギが北斗羅漢撃で一撃を与え、秘孔を突いたのだが……。

 

「あーあー、スプラッタな有様になっちまってるなぁ。こりゃもう食べられないよ。次からは南斗聖拳にしてくれ」

「ちっ、めんどくせぇなぁ……。お、あそこにジープが……いてぇ!!」

 

* * * * *

 

 そんなこんなで旅をして数日後。

 

「ああああ!! ぐああ!!」

 

 オレたちはジャギの苦しそうな叫び声で目を覚ました。

 見ると、ヘルメットを外したジャギの頭が不気味に蠢いている。ケンに突かれた八悶苦断の秘孔の効果だろうか。

 

「だ、大丈夫なの?」

「いでえええ! ぐあああ!!」

 

 アキの問いかけも聞こえないほどなのか、それともそれどころではないのか、ジャギは頭を抱えながら叫び声をあげるばかりだ。

 そこへココが。

 

「大丈夫だよ、ジャギさん……」

 

 そう言うと、ジャギの手を優しく握り、声をかけた。

 ジャギの顔はとても怖くなってるのに、しかも、頭が不気味に膨らんだりへこんだりしてるのに、それでも優しく声をかけるなんて、ココの優しさにはびっくりだ。やはり、前世で看護学生だったからだろうか?

 

「ぐううう……」

「大丈夫、大丈夫……」

「……」

 

 ココが優しくジャギの手を握り、なすっていると、そのうち、ジャギの表情から苦痛の色が消えていった。ココのやさしさによるプラシーボ効果かもしれない。お前が慈母か。

 

 そうしているうちに、ジャギが目を覚ましたようだ。

 

「うぅ……あんた、ずっと俺の手を握っていてくれたのか……?」

「うん。苦しそうにしてる人、放っておけないもん……」

「そうか……」

 

 そのジャギの言葉に、ココは微笑んだ。

 

「さぁ、ずっと握っててあげるから、安心して眠って」

「ちっ、俺はもうガキじゃねぇ……」

 

 そう言って、ジャギは目を閉じた。だが、その寝顔には、わずかながら安らぎが感じられた。

 

* * * * *

 

 そしてそれからさらに数日が経った。

 ジャギの態度は最初のころと変わらないが、なんかココに対しては、わずかに甘くなったような気がする。もしかして、ココに慈母星の輝きを見て、光堕ちしかかっているのだろうか。

 

 さて、そうしているうちに、新しい村にやってきた。ビルなどがほとんどなく標識などもないところからすると、元からあった村ではなく、流れてきた人々が集まってできたもののようだ。

 そんな村は、どこか恐怖におびえているような気配がした。ここも何者かに狙われていたりするのか?

 もしや……オレはジャギに視線を向けた。

 

「……」

「な、なんだよ? ここは俺の勢力圏内に入ってないぞ。そもそもこんな村があることすら知らなかったんだからな」

「そうか。そしたら一体……」

 

 ドンッ。

 

 そこで誰かがジャギにぶつかったようだ。

 

「おい、どこに目をつけてやが……!?」

 

 だが、ジャギの怒声はそこで途切れた。頭の痛みや、亞順中によるものではない。ヘルメットに覆われた彼の顔には、信じられないものを見たような、衝撃の表情が浮かんでいたのだ。

 

 ジャギにぶつかったのは、フラニーと同じか少し年下ぐらいの娘。金髪のセミロングをしている。

 

「アンナ……!」

 

 ジャギがそうつぶやく。彼女がアンナに似ているということだろうか? 彼にとっては、死んだ人と再会したか、生き写しと出会ったような気分なのかもしれない。

 

「え?」

 

 娘がそう聞き返したところで、ジャギは我に返ったようだ。とっさに目をそらして口を開く。

 

「な、なんでもねーよっ。次からは気を付けてやがれ」

「は、はい。あの……お花を買っていきませんか? 食料一食分で構いません」

 

 そう言って娘は、花を差し出す。それはかつてジャギの胸に刺さっていた花と同じものだった。

 差し出されたジャギは、オレを横目でちらっと見た。言いたいことを察したオレは肩をすくめて、保存食を一食渡してやった。まぁ、オレもココも、そしてアキも、長い間食べなくても平気だからな。オレが一食我慢すればいいことだ。

 

 そして、それを受け取ったジャギは、娘に保存食を渡した。そしてぶっきらぼうに。

 

「ほら、これで買ってやるから、とっとと目の前から去りやがれ」

「ありがとうございます。……お優しいんですね」

「ぶっ!! 変なこと言ってるんじゃねぇ。とっとと行け!」

「は、はい。あの、私、カホといいます。本当にありがとうございましたっ」

 

 そう言って、カホと名乗った娘は、そそくさとその場を離れていったのだった。

 

* * * * *

 

 そして、三日が過ぎた。

 

 当初は、食料と水と燃料を補給したらそのまま通り過ぎようと思ったのだが、ジャギが「この町、少し気に入った」とか言って、数日間滞在することになったのだ。

 

 その理由ははっきりしている。

 

「お花はどうですか? あの、お花はどうですか?」

 

 その日も、カホは大通りでお花を売り続けていて、ジャギはそれを陰から見守っている。

 それだけではない。

 

「ほら、そんなところにいたら、ガラの悪い奴らに殺してくれ、と言っているようなものだ。とっととわきによけやがれ」

「す、すいません……」

 

 彼女に注意を促したり。

 

「ぐへへ、娘さん。花全部買ってやるから、俺と……いて、いてててて!!」

「……」

 

 陰から、カホに悪いことしようとする奴らを追い払ったり、色々彼女に、陰から助けてやっていたのだ。

 

 そんなジャギにフラニーが言う。

 

「ジャギ様、カホさんのことが気に入られたのですね」

「そ、そんなんじゃねぇ! 俺が組織を再建した時に使い物にならなきゃ困るから、使えるように手を貸してるだけだ! 変なこと言うんじゃねぇ!!」

 

 そんなことを言ってはいるが、亞順中の痛みがないことから、悪意のある発言でないのは明らかだ。

 これが元で、少しでもジャギが真人間になってくれるといいんだがな……。

 

 そんなある日!

 

 その日もオレたちが物陰からカホを見守っていると……。

 

「ぐへへへ、おらおらぁ!」

「きゃあ!」

「ぐべら!」

 

 どう見ても、身体の大きさも筋肉量も、その辺のモヒカンの2倍ありそうな大男が暴れながらやってきた。その男の一撃で、周囲の人々が吹き飛ばされる。

 そして、その先にはカホの姿が!

 

「い、いけない。あいつの前にカホちゃんがいるじゃん!」

 

 とアキ。

 

「……ちっ!」

「じ、ジャギさん!」

 

 ココが制止する間もなく、ジャギが物陰から飛び出していった。

 

「おら、邪魔だ。吹き飛びやがれや!!」

「きゃあーーー!!」

 

 目の前にしゃがみこんだカホに、男が拳を振り上げた! そして振り下ろしたところで!

 

「ボケッとしてるんじゃねぇ!! ミンチにされてぇのか!」

「きゃっ!!」

 

 間一髪! ジャギが横から飛び出してきて、カホを抱きかかえ、男の目前から救い出した! そこにオレたちも駆け付ける。

 

「なんだぁ? トキ様に強化してもらったオレ様に逆らおうってのかぁ……?」

「うるせぇ! 強化だろうがなんだろうが、俺がほれ……俺の手下候補に手を出す奴はぶっ飛ばすだけだ!!」

 

 そう言って、ジャギは構えをとる。

 ……ん、待てよ? あの男、今、トキ様って言わなかったか? それってもしかして……。

 

* * * * *

 

 ナノルの懸念をよそに、ジャギと大男とのバトルが始まった!

 

 大男の大振りの攻撃を、ジャギはかわしていく。そして、その隙を突いて、一撃を加えようと思ったところで、大男の後ろにいるカホが視界に入った。

 それでジャギはためらう。

 

(いけねぇ。北斗神拳で破裂させるところ、こいつに見せるわけには……。ってなんで俺はあんな小娘にそんなことを考えてるんだ?)

 

「隙ありだぜぇ!」

「ぐあっ!!」

「ああっ! 仮面男さんっ!!」

 

 そのためらいの隙を突かれて、ジャギは大男の腕の一振りを喰らって吹き飛ばされる。それを見て、戦いを見守ってたナノルたちからも声がかかる。

 

「ジャギ!」

「私たちも助けに行くよ!」

「うるせぇ、心配するんじゃねぇ! このくらいどうってことはねぇ! それにこいつは、俺が一人でぶっ飛ばさなくちゃ気が済まねぇ!」

「ぐへへ……俺様にかなうかぁ!!」

 

 そして再び戦闘再開! さすがに今の一撃が効いているのか、大男の攻撃をかわす余裕がなく、ただ受け続けているのみだ。

 

「どうしたどうした、さっきまでの勢いはどうしたぁ!!」

「うるせぇ、言ってろ、ウドの大木野郎……」

「その言葉、地獄で後悔させてやるうぅぅ!!」

 

 そして大きく振りかぶって一撃を放とうとする! それを見て、見守っていたココやフラニー、アキから悲鳴があがる!

 

「ジャギ様!」

「あ、あんなのくらったらやばいよ!」

「ナノル兄、助けなきゃ!」

「いや、待て……」

 

 そこでナノルは何かに気づいたようだ。ジャギの異変に。

 

「ぶっ飛びやがれ!!」

 

 そして強烈なパンチの一撃! それは見事にジャギに炸裂した!!

 

「仮面男さん!!」

「ぐへへ……」

 

 悲鳴をあげるカホ。勝利の笑みを浮かべる大男。しかし。

 

「うるせぇ……俺は仮面男なんて名前じゃねぇ……。ジャギだ。覚えとけ……」

「なっ!?」

 

 倒したはずの相手の声に、大男が驚きの声を上げる。

 なんと、ジャギは大男の強烈なパンチを受け止めていたのだ!

 彼の身体は大きく盛り上がり、その身体からはオーラがあふれている。

 

「よくもやってくれたなぁ……。今度はこっちの番だぜ!!」

 

 そして……!

 

「北斗!」

 

 男の突きだした腕につかまり、裏から男の右腕に蹴りを炸裂! さらに逆上がりの要領で宙に飛び上がり……。

 

「鋼筋分断脚!!」

 

 大男の顔面の左側面に蹴りをぶち当てて、着地!

 

「あがああああ!?」

 

 その瞬間、大男の両腕が突然突っ張り、筋肉が切れたような音が周囲に響く。そして力なく垂れ下がった。

 

「秘孔を突いて、てめぇの腕の筋肉を全て断ち切ってやった。あの娘の前でむごい死に方を見せたくねぇからな……とっとと失せやがれ」

「ひ、ひぃぃぃぃ……」

 

 ジャギがそう言い放つと、大男はみじめに慌てて逃げ去っていった。それと同時に周囲から歓声が上がる。

 見守っているナノルたちも、ほっとしたような温かい視線を向けている。

 

 そんな中、ジャギは座り込んだままのカホに手を差し伸べながら戸惑っていた。

 

(なんだ、今の力は……? どうして俺にあんな力が出せたんだ……?)

 

 ジャギは気づいていない。それは彼がかつて捨て、さげすんでいた愛の力の萌芽だということに……。




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* 次回予告 *<テレッテー!!

カホとの絆を少しずつ深めていくジャギ!
だがジャギは、カホの苦境を知る中で、自分が歩んできた道の愚かさを思い知らされる。
そんな中、あの男の毒牙が、そのカホに迫ろうとしていた!

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第拾参話『因果は忍び寄る! トキ、お前は何者!?』

「狼に負けてるようじゃなぁ……北斗の男は失格なんだよおっ!!」

※次の更新は、1/5 19:00の予定です。お楽しみに!

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