北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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199X年世界は核の炎に包まれた!

海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。

だが、転生者は死滅していなかった!

* * * * *

ある町でナノルたちが出会った娘。彼女はジャギのかつての恋人、アンナにそっくりであった!
その娘、カホと触れ合っていき、その中で芽生えた力をもって、カホを襲う悪漢を倒したジャギだったが、ナノルはその悪漢が口にした言葉に、新たな暗雲がジャギとカホの二人に忍び寄ってくる予感を感じるのであった!


(アミバ編)第拾参話『因果は忍び寄る! トキ、お前は何者!?』

 かつてそこには、ある村があった。

 

 かつては重病人の掃き捨て場とされていたその村だったが、一人の男が立ち寄ったことで、そこは天国となり、地獄となった。

 

 その男は不思議な技で人々の病気を治していき、周辺の町や村からも病人が訪れるようになり、そこは『奇跡の村』と呼ばれるようになった。

 しかし、少しの時の後、そこは『奇跡の村』から『地獄の村』へと変わった。

 

 男は豹変し、人々を相手に無残な人体実験をするようになったのだ。豹変してわずか一日で、その村は死に絶えた。

 

 今はその村には、男とその一派がその村に一つだけ立っているビルに住んでいるだけである……。

 

* * * * *

 

 そのビルの一室にて。

 

 手術台に縛り付けた男を前に、邪悪な笑みを浮かべた男が施術を行う準備をしていた。そこに、一人の男がやってくる。下卑た笑いを顔に浮かべて。

 

「旦那。今日の木偶狩りが済みましたぜ。牢獄に放り込んでおいたんで」

「うむ、ご苦労だったな。またよろしく頼む」

「ぐへへへ、了解だぜ」

 

 そしてその下卑た笑いを浮かべた男が去っていく。

 そして改めて邪悪な笑みの男は、手術台の男に目を向ける。そして口を開いた。

 

「くくく、心配するな。成功すればお前は……」

 

 ビルに、苦しさに満ちた悲鳴と、狂気じみた笑いが響き渡る―――。

 

* * * * *

 

 オレたちが泊っている宿屋にて。その部屋で、オレはアキから相談を受けていた。

 

「この世紀末って娯楽が少ないよね。そうだ、テーブルトークRPGなんてどうだろう? ルールは自分で考えればいいし」

「いや、オレたちだけでするならともかく、モヒカンたちが机を囲んで向かい合うって違和感ありありじゃないか?」

「うーん、そうしたらラノベを書いて広めるとかかなぁ」

「いや、印刷をどうするかって問題があるんじゃないか? でも、手書きで三冊ほど書いて、店に置いてもらう、という手もあるか……」

 

 どうやら、アキはこの世紀末の時代にコンピュータゲームとかアニメとかの娯楽が少ないことを嘆いていて、何かそうした娯楽を広めたいんだそうだ。まぁ、これもこの世紀末に転生した転生者ならではの悩みだろうな。その証拠に、話を聞いてるフラニーはきょとんとしている。

 

「あの……ココ様。ナノル様とアキ様は何を話しておられるのでしょう?」

「ははは……」

 

 そうして会話しているところに、ジャギとカレンが戻ってきた。

 

「あ、お帰り、ジャギ兄ちゃん。カホ姉ちゃんと楽しく話してきた?」

「だから違うって言ってるんだろ! ぶちのめすぞこのガキ!」

 

 やっぱりこの二人、いいコンビじゃなかろうか。ジャギは根の寸前まで悪に染まっちゃってるけど、その根の部分ではアキと似たものどうしなのかもしれない。

 

 と、そこで、ジャギがオレのほうを向いて頼み事をしてきた。

 

「なぁ、なんか働き口ないか?」

「は?」

 

 なんですと!? あのジャギが勤労意欲に目覚めた!? 信じられん!!

 

 そこでカレンが……。

 

「驚かせてしまって済まないね。実は……」

 

* * * * *

 

「お花はいりませんか? あの、お花はいかがですか? 食料一食分でかまいませんからっ」

 

 その日も、カホは道端で花を売っていた。その様子は必死で、どうにかして食料を確保しなければいけない必要があるように感じられる。

 そこにジャギがやってきた。その後ろにはお目付け役のカレンの姿もある。

 

「今日はちゃんと道の端で売っているな。しかし、今日も花売りか。相変わらずご苦労なこった」

「あ、ジャギさん!」

 

 カホはジャギを見ると、うれしそうな顔をした。そして花を差し出そうとするも……。

 

「あ、悪い。今は食料の持ち合わせがねぇんだ。それは受け取れねぇ」

「そうですか……いえ、それでもどうぞ。ジャギさん、この花が好きそうでしたから」

「俺は別に花は好きじゃねぇんだが……そこまでいいならもらってってやるぜ。どうせ後で捨てるかもしれんがな」

「はい、どうぞ」

 

 そしてジャギは、そっぽを向いたまま、花を奪うように受け取り、ジャケットの胸ポケットに入れた。そしてそのままカホに尋ねた。

 

「なぁ、なんでお前、そんな必死に花を売ってるんだ?」

「はい。それは……」

 

* * * * *

 

「どうやら、カホは弟のナツと二人暮らしらしくてね。生活もかなり苦しいらしいんだよ。特に弟のほうが食べるものがあまりなくて、かなり弱ってきているらしい」

「なるほどな。それで、二人のために食料を稼いでやりたいってことか」

「そ、そんなんじゃねぇ! 生活が楽になって花売りをする必要がなくなり、俺の目の前から消えてくれたらいいってだけだ!」

 

 ジャギはそう否定するが、亞順中の痛みが発動していないところを見ると、真意はバレバレだ。

 まぁ、そういうことなら……。

 

「そういえば、隣の酒場の親父が、用心棒がほしいって言ってたぜ。やってみたらどうだ?」

「用心棒か。まぁ、腕っぷしの強い俺にはぴったりの仕事だな。やってみるぜ。ありがとよ」

 

 そこにアキがちょっかいを出す。

 

「暴れすぎて、酒場をめちゃめちゃにしないようにね」

「するか!!」

「まぁ、それはおいとくとしても、あまり酒場では北斗神拳を使うなよ。爆死させたらお客さん来なくなっちゃうかもしれないからな」

「あいよ、努力するとするぜ」

 

* * * * *

 

「ぐへへへ、姉ちゃん。こんなところで働いてないで、俺と遊ぼうぜ~?」

「や、やめてくださいっ」

 

 酒場の中。酔っぱらったモヒカンが、働いている娘に絡み、あまつさえ連れて行こうとしている。

 それをジャギが止める。

 

「おい、ここがなんだか言ってみろ!」

「あぁ、なんだお前は? そんなこと知るか!」

「知らないのか? そうか。ここは酒場だ。俺の働いてるところで変なことをするんじゃねぇ」

「なにぃ!? この黒ヘル野郎が!」

 

 モヒカンはジャギに殴り掛かるも、ジャギはそれを軽くかわし、脇腹に指を一本突き刺す。するとモヒカンはびくっと痙攣して動かなくなった。そしてばたりと倒れる。

 ジャギはその男を一瞥すると、マスターに言い捨てる。

 

「気絶させてやった。とっととこいつを外に捨ててきてくれや」

「お、おう、わかった。あんた、なかなかやるな」

「……まぁな」

 

 そして店員が二人出てきて、モヒカンを担いで外へ運んでいった。

 そこに今度は、数人のモヒカンたちがやってきた。

 

「オラオラァ! 警備代を取りに来てやったぜ! とっとと払いやがれ! さもないとぶっ潰すぞ!」

 

 そして入口を荒らしまわる。それを見たジャギが、肩をすくめて指をならしはじめた。

 

「やれやれ。本当に千客万来だな……羅漢撃~!!」

 

* * * * *

 

 その日も、カホは花売りをしていた。それを終えての帰宅の道、彼女は愚痴をこぼす。

 

「はぁ……今日も売れなかった……」

 

 これでは今日もご飯は抜きだ。自分はいいとしても、ナツには何か食べさせないといけないのだが……。

 そこでカホは何かに気が付いた。それは地面に無造作に置かれた包み。

 

「あら? これは……」

 

 包みを開くと、そこには保存食が二人分。辺りを見るが、そこには誰もいない。

 カホは改めて周囲を見渡すと、援助してくれた何者かに対してぺこりと頭を下げると、バラック小屋に入っていった。

 

* * * * *

 

 その日も、ジャギは用心棒の仕事で手に入れた食料をカホの家に運びに行っていた。

 そこに。

 

「ナツ! しっかりして、ナツ!」

「!?」

 

 彼女たちの家である掘立小屋から聞こえる、ただならぬ声を聞き、ジャギは急いで、その小屋の中へ駈け込んだ。

 

「どうしたんだ!?」

「あ、ジャギさん……。ナツが、ナツが高熱を出す発作に……」

 

 見ると、無造作に寝かされている少年が熱にうなされていた。

 

「ちょっと見せてもらっていいか?」

「は、はい……」

 

 カホの許しを得て、ジャギはナツの服を開いた。秘孔で彼の病を治そうとしたのである。だが、彼の手はそこで止まった。

 

(くそ、どの秘孔を押せばいいんだ……? わからねぇ……)

 

 そう、ジャギは今まで、戦いのための秘孔を重点的に学んできたので、治癒のための秘孔については、あまり学んできてなかったのだ。

 もし彼が治癒の秘孔もちゃんと学んでいれば、こんなことにはならなかったであろう。それは、ジャギが北斗神拳を復讐の力としてしか扱わなかったことの罰だったのかもしれない。

 

 必死に考えるジャギ。その時、彼の頭に一つ思い出されたことがあった。

 それは、ジャギが熱を出した時に、リュウケンが押してくれた秘孔。

 

(そうだ、これなら……!)

 

 ジャギは、記憶を探りながら右胸に当たる秘孔を探し当て、そこを軽く押した。途端にナツの表情から熱っぽさと苦しさが薄らいだ。秘孔はなんとか効果を表したようだ。

 

「ふぅ……これでなんとかなるだろう……。一時しのぎにしかならないだろうがな……」

「ジャギさん……ありがとうございます」

「謝ることなんかねぇよ……。俺のできることはこのぐらいしかねぇ……。くそ、ガキ一人も救えないで、何が力だ……!」

 

 そのジャギに、カホが後ろから抱き着く。

 

「そんなにご自分を責めないでください……。それは神様が、あなたにはこれができると与えてくださったものだと思います……。それを良い方向に役立たせることを考えてください……」

「……」

 

 夜の闇の中、一件だけついていた家の灯りが消えた。

 

* * * * *

 

 ジャギの奴が用心棒の仕事をはじめてから二週間ほどが経った。

 

 カホとの触れあいで変化があったのか、ジャギの態度が少し柔らかくなってきたような気がする。

 あと、ココから看護についていくつかアドバイスを受けてたな。何か思うところがあったのだろうか。

 

 そんなある日、村を歩いていたオレたちは、スラムになっている区画から飛び出してきたジャギと出くわした。

 彼はオレたちを見るなり、こう聞いてきた。

 

「おい、カホの奴知らねぇか!?」

「そういえば、今日は花売りに来てないな。オレたちは見てないぞ」

「うん。どうしたの?」

「今日、あいつの家に行ったら、あいつも弟もいないんだよ!」

 

 それを聞き、オレたちも深刻な顔になる。

 

「それは心配だな……。弟が残っていたんなら、出かけた可能性もあるだろうが……」

「そうですね……。私たちも、カホさんの家に行ってみましょう」

 

 フラニーの発言にうなずき、オレたちはカホの家があるというスラムに走っていった。

 

 そしてそこで老人に呼び止められる。

 

「おや、お前さん方、カホを探しておるのかい? 彼女はもうこの村にはいないよ」

 

 それを聞いたジャギが、激昂して老人の胸倉をつかみあげる。

 

「そ、それはどういうことだジジイ!」

「ちょっとジャギの兄ちゃんっ……」

 

 アキに止められ、ジャギが老人から手を放す。だがその表情には焦りと不安がはりついていた。

 

「いないってどういうことなんだ? じいさん」

「なんでも、弟さんの病状が悪化したそうでのう。どんな病気でも治るという奇跡の村に、弟さんを連れていくという話じゃった」

「なんだって……!」

 

 それを聞いて、オレは愕然とする。ココとジャギも。

 奇跡の村。確かあそこにいたのは……。

 

「くそっ、カホ……!」

「ジャギ!」

 

 スラムの出口に向けて走り出すジャギ。オレたちもその後を追う。

 

* * * * *

 

 村を出て、奇跡の村に向かおうとするオレたちとジャギ。その途中、村の出口でオレたちはある一団を目にした。

 

 モヒカンたちが、気絶した人々を車の中に無造作に突っ込んでいたのだ。そしてその中、自ら車に乗り込んでいく少女。彼女には確かに見覚えがあった。

 それにジャギも気づいたらしい。

 

「お前らあああああ!!」

 

 ジャギが闘気を発して、男たちに襲い掛かっていく。

 それに気づいた彼らのリーダーであるらしい小男は、トラックの上に飛び乗ると部下たちに命じた。

 

「お、おい、早く車を出せ! そしてお前たち、こいつらの足止めをしろ!」

「へい!」

「「わかりました、お任せを!」」

 

 そしてトラックが走り出した。それと同時に、足止めを命じられた二人の屈強そうな男が襲い掛かってくる!

 

 二人のうち、片方より微妙に細そうな男がオレのほうに、もう片方がジャギのほうに。

 

 オレの相手の男は、高く跳躍すると上空からオレに飛び掛かってきた! どうやら、こいつは秘孔でジャンプ力を強化されたらしい。さしづめバッタ男ってところか。

 バッタ男が振り下ろしてきた爪を、ダガーで受け止める。さすがに上空から落下してきただけあって、その衝撃はかなりのものだ。衝撃が殺され切ったところで、バッタ男は再び高く飛び上がる。

 

* * * * *

 

 もう一人の男が、尋常ではない速さでジャギに迫る! その速さは並みの人ではとらえられないほど。北斗神拳を学んだジャギでも、かなり集中しなければとらえられないぐらいだ。

 

「ヒョオオオォォーーーー!!」

「くっ……!」

 

 男の突撃をかろうじてかわす。その刹那、ジャギの右腕に三本の細い切り傷ができた。男が、腕にはめた爪で切り裂いたのである。

 

「さしずめ狼男ってわけか……!」

 

 右腕の傷から流れる血をとり、なめ、そして吐き捨てるジャギ。その彼に、狼男は再び縦横無尽な動きで迫る!

 

「とあっ! なに!?」

 

 なんと狼男は、ジャギの渾身の突きを軽やかにかわしてきたのである! そして爪を振るう!

 

「ちっ……!」

 

 その爪の斬撃をかろうじてかわすジャギもさすがだが、それでもかわしきれずに、胸を切り裂かれてしまう!

 

「やるじゃねぇか……だがなぁ……」

「ガルウゥゥゥーーーー!!」

 

 狼男が再び迫りくる! 痛みを耐えながら、ジャギはその動きに集中して見据える。そして!

 

「狼に負けてるようじゃなぁ……北斗の男は失格なんだよおっ!!」

「!?」

 

 驚愕に目を見開く男。彼の指には、ジャギの指突が突き刺さっていた。

 

「北斗神拳・五指烈弾……お前の爪はそこまでだぜ」

「ぎゃああああ!!」

 

 相手の拳にカウンターであわせて秘孔を突き、その手を破壊する奥義、五指烈弾。ケンシロウも使ったことのあるこの奥義だが、今のジャギの技にはカホを助けたいと思う心が闘気となって宿っていた。威力はその比ではなかった。

 狼男の手は激しくはじけ飛び、爪どころかその拳そのものを消し飛ばしていたのだ!

 

「狼にはこの技がお似合いだってなぁ……。南斗邪狼撃!!」

「ぐべらああああ!!」

 

 両手の貫手を放つ南斗の技、南斗邪狼撃! それは見事に狼男の胸に突き刺さった!

 

「吹き飛べぇ!!」

「じゅうううごおおおお!!」

 

 それだけではない。ジャギの貫手は狼男の秘孔をとられていた! そこに気を叩きこまれ、狼男は爆発四散したのであった。

 

 そしてそのころには、ナノルもバッタ男を倒していた。

 

「くそっ、逃げられたか……。ナノル、急いで奇跡の村に向かおうぜ! カホを助けなくちゃならねぇ!!」

「あぁ」

 

 うなずいたナノルにうなずき返し、前方を見据えるジャギの瞳。その瞳には、かつての彼にはなかった、大切な者を守るという意思の光が宿っていた――。

 

 




感想、ファンアート、募集中です!

* 次回予告 *<テレッテー!!

かつての奇跡の村に連れ去られたカホを追い、ジャギたちもかの村に向かう!
果たしてジャギは、カホを助け出すことができるのか!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第拾四話『外道だけが笑っている! そんな時代が気に入らねぇ!!』

「俺がこれまで抱いてきた邪心、してきたこと全てにケジメをつけ、今までの俺と決別する」

※次の更新は、1/12 19:00の予定です。お楽しみに!

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