北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました 作:ひいちゃ
海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。
だが、転生者は死滅していなかった!
* * * * *
カホを救うため、奇跡の村へ急ぐジャギとナノル一行!
しかしそれもむなしく、カホはアミバの毒牙にかかり、命を落としてしまう!
その哀しみを胸に、ジャギはそれまでの自分との決別を誓い、アミバ打倒を決意するのだった!
いよいよ第一部完結!!
#15
そして、オレ、ジャギ、カレンの三人はついに、奇跡の村に到着した!
なお、ココ、フラニー、アキの三人は、あらかじめあの村に一度戻って宿酒場に預かってもらっている。フラニーやアキはそもそも戦えないし、ココにはもしもの時、二人を守ってもらう必要があるからな。
幸いにも、マスターは、ジャギがそこで用心棒としてよく働いてくれたこともあり、快く三人を預かるのを了承してくれた。
さて。
「ここだ。ここが、アミバが根城にしているビルだ」
「へぇ……病院の廃ビルを再利用しているわけかい。人体実験をするにはぴったりだね」
「それに強烈なにおいがするぜ。死の匂いがな」
そのオレたちの言葉を聞きながら、ジャギはアミバの根城に向けて力強く一歩を踏み出した。
「行こうぜ。その死の匂いに、あいつの匂いを加えるためによ」
* * * * *
やはりというべきか。そのビルに入ると、中にはアミバの手下たちが大勢詰めていた。
奴らは侵入者を見ると、一瞬驚き、そして戦闘態勢をとった。
「何者だ!」
「何しに来やがった!?」
ジャギは、その手下たちの怒声を聞き流しながら口を開く。
「トキに伝えろ。愚弟が会いに来たとな。悪友でもいいぜ」
「ふざけやがって……やっちまえ!!」
そして襲い掛かってくるアミバの手下たち。それに対して、オレたちはそれぞれ身構える。
「先に行きな。ここは私たちが引き受けておいてやるよ」
そう言いながら、カレンが蹴りでモヒカンの一人を両断する。
彼女の言葉に、ジャギはそれに甘えて先に進もう……としたが、すぐにその歩みを止めた。
「いや。これは俺が、このジャギが新しく生まれ変わるため戦いだ。それなのに、お前さんたちを置いていくわけにはいかねぇ。一緒に戦い、そして立とうぜ。みんなで、アミバの野郎の前にな」
「……そうかい。あんた、良い顔してるよ。少なくとも、悪事をしていた頃よりはね」
そう言って、カレンが蹴りを一閃! 襲い掛かってきた四人のモヒカンを一刀両断した!
「……ありがとよ。北斗羅漢撃~!!」
ジャギの北斗羅漢撃が炸裂! 押し寄せてきた手下たちの秘孔を片端から突いてひでぶさせた。
「あぁ。あんた、悪役してた時よりずっとかっこいいぜ!……っと!」
オレも襲ってきたモヒカンの斧を避け、その首筋にダガーを振り下ろした!
そして戦うこと数分。周囲からモヒカンはいなくなっていた。少なくとも、『生きている』モヒカンは。
「さて、それじゃ行くとしようかい。アミバの野郎は、たぶん最上階にいるはずだぜ」
「わかった」
「あいよ」
そして上の階への階段に向かった。
* * * * *
そして階段をのぼりながら、アミバの手下たちを片端から倒していく。
そうしていき、後数階で最上階というところで。
ケンとアミバの声が聞こえた。
「これでお前は俺のデクだぁ!」
「ぐ……そこまで堕ちたか……」
それを聞いて、ジャギが首を振って、肩をすくめた。
「やれやれ、あいつ、非情さを少しは身に着けたみたいだが、まだまだ甘さを捨てきれてねぇなぁ……」
そして、三人で階段をのぼっていく。
* * * * *
最上階にたどり着いたオレたちが見たのは、やはり原作にあった光景だった。
アミバが、秘孔縛で動きを封じたケンを足蹴にして、暴行を振るっている。
そのありさまを見て、ジャギが肩をすくめて言った。
「やれやれ、そんな奴の秘孔縛にやられちまうなんて、情けねぇなぁ。やはり、兄より優れた弟なんて存在しないってかぁ?」
「ジャギ!!」
ケンが声をかける中、ジャギはケンの横を通り過ぎ、アミバの前に立つと構えて口を開いた。
「ケンシロウ、こいつはトキの兄者じゃねぇ。偽物だよ」
「なに!?」
「こいつの名はアミバ。かつて俺とつるみ、俺に南斗聖拳を教え、そして俺から北斗神拳を教わった男さ」
暴露されても、アミバの態度は変わらなかった。ケンシロウの動きを封じて、勝ったと考えているからだろうか。
「そうとも、俺は偽物さぁ! だがそんなのは関係ない。見ろぉ! ケンシロウはこの通りただのデクノボウ……にぃ!?」
そこまで言ったアミバの表情が驚きに固まった。
彼の視線の先にいたのはケンの姿。トキを貶められた怒りで、秘孔縛を破って立ち上がってきたのだ。
それを見て、ジャギが頭をかいて言う。
「あー、悪い。肝心なことを教えていなかったな。北斗神拳の奥義には、気の力で秘孔の効果を封じる『秘孔封じ』って奥義があるんだよ」
「なぁにぃ!?」
「仮に本物のトキが封じたとしたら、例え俺でも破ることはできなかっただろう。そのトキを貶めた罪、その命で償うがいい!」
そう怒りの声を発し、アミバに対し一方を踏み出すケン。だがそこで、ジャギがケンを抑えた。
「悪い、ケンシロウ。この決着は俺に譲ってくれや」
「なに? ……!」
そして、なんと、ジャギがケンの胸の秘孔を突いた!
途端にケンは座り込んだまま動けなくなる。
「せっかく秘孔縛を解いたのにすまねぇな。秘孔『新壇中』……お前の身体は俺の声がかからない限り、動くことはないぜ」
「ジャギ、どういうつもりだ……?」
ケンの抗議の声を聞き流し、ジャギはさらにアミバに踏み出して、そして構えた。
* * * * *
「ジャギ、どういうつもりだ……?」
ジャギの秘孔縛で動きを封じられたケンがジャギに問う。それにジャギが、つまらなさそうに吐き捨てる。
「決まってるだろうが。こいつは俺がやる。俺はこいつに、女を木人形にされて殺されたんでな。その借りを返さなきゃ気が済まねぇのよ」
そのジャギの告白を聞いたアミバが高笑いを上げる。
「ぎゃははは! 女を殺された借りを返すだと!? 笑わせるわ! お前も俺と同じ、薄汚い悪党だろうに!」
ジャギを侮辱するようなその物言いに、思わず頭に血が上りそうになるが、ジャギはそれに心を動かされることなく、苦笑して言い返した。
「あぁ、そうさ。俺もお前と同じ小悪党さ。カホが死んだのも、俺の中の邪心が、これまでしてきた悪事が巡り巡ってきた結果だ。因果は巡るってな。彼女はお前と俺が殺したようなものさ。……だがな。いや、だからだ」
そう言うと、ジャギはそのヘルメットを自ら脱ぎ捨て、力強く後ろの床に放り投げた。
ヘルメットが床に当たり、乾いた音が鳴る。それは、生まれ変わったジャギを祝福するラッパの音。
そして、その醜い頭部を俺たちこの場にいる全員にさらしながら力強く言う。
「だからこそ、そんな過去の俺はこれでおしまいだ。かつての悪に満ちた俺をあのヘルメットと、俺の中の北斗神拳の技とともに葬り去る。お前にはその道連れになってもらうぜ!」
そう言い放って構えるジャギの姿は、今までで一番かっこよかった。
自らの象徴であるあのヘルメットと、自分にとっての、復讐し、奪われないための力、そして奪うための力である北斗神拳を捨てる覚悟で闘いを挑むジャギ。その彼の覚悟が、かっこよく見せているのだろう。
「ほざけ~! 鷹爪三角脚!!」
アミバが床を蹴り、空中からジャギめがけて飛び蹴りを放つ。しかし!
「そんなスローじゃ、俺も倒せないぜ!」
ジャギも、同じく飛び上がり、アミバに手刀での一撃を放つ! レイやカレンの南斗聖拳には及ばないが、それでも美しく鋭い一撃! それでアミバの頬が切り裂かれた。
「お、俺の、天才の顔に傷がぁ!!」
「今はただのあいさつ代わりだ。次はこんなものじゃないぜ」
「お、おのれ~! いいだろう。ならばこの天才の切り札を見せてやるわ~!!」
そう言うと、アミバは自らの両脇に指を突き入れた。その秘孔の効果で、その身体が大きく膨れ上がる。
「……」
「ぐへへへ、どうだ? これが俺様が研究した秘孔の成果だ。これがあれば、お前もケンシロウも木人形同然! さぁ、どの秘孔を試してやろうか~?」
そう言って迫るアミバ。しかし、その彼にジャギは肩をすくめて言った。
「自分の器をわかってないのは相変わらずみたいだなぁ……。自分の手を良く見てみな」
「なにぃ……? なっ!?」
次の瞬間、アミバの両手が大きく膨れ上がり、そしてはじけ飛んだ! そして噴き出る血とともに、その身体が縮んでいく。
そのアミバの眼前までジャギが歩み寄り、そして言い放つ!
「北斗神拳の歴史は二千年もあるんだ。俺のような悪党や、お前のような小物が極められる代物じゃねぇんだよ」
「あわわ……」
「ウラァ!!」
そして、ジャギの拳が炸裂! その胸に炸裂した。その衝撃で、アミバは床に叩きつけられる。
「ち、ちきしょう……! ならば……」
そう言って、アミバは近くに立てかけてあった剣をとろうとした。だが!
ビキィ!!
「いでぇ! な、なんだぁ!? 俺様の身体を激痛がぁ!?」
「自称天才のお前でも、知らない奥義があったとはな。奥義・醒鋭孔……胸椎の秘孔、龍眼を突く技さ。今のお前の痛覚神経をむき出しに近い状態にしてやった。今のはカホの分だぜ」
さらに近くにあった小さいガレキをアミバにぶつけてやる。小石ほどの大きさしかないガレキだったが……。
「あが、あがががが! い、いてぇ~!」
身体を貫く鋭く激しい激痛に、アミバが身もだえる。
彼が再び痛がっている間に、ジャギがその目の前まで歩み寄った。そして。
「さーて、それじゃ仕上げといくか。これは……お前にカホを奪われた俺の分だっ!!」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「オーラァ!」
「ヘブッ!」
怯えるアミバにジャギの拳が炸裂した! だが、ジャギの拳はまだ止まらない!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
「グアベッ、ヘブシッ!!」
「オラァ!! 北斗神拳奥義・残悔積歩拳だぁ!!」
そう言い捨てて、ジャギが後ろを向くと同時に、アミバが後ろへ歩き出す。
* * * * *
「はうあっ! 脚が、脚が勝手に!」
「経絡秘孔の一つ、膝眼を突いてやった。てめぇの脚は勝手に後ろに進む。地獄まで自分の脚で歩いていきな」
その彼の言葉を証明するように、アミバはどんどん後ろへ歩いていく。そこでアミバがあることに気が付いたようだ。
「こ、この先は確か……うひゃあ!」
そう、奈落の底が大きく口を開けていたのだ。柵のないバルコニーが待ち受けている。
その間に、ジャギは、ケンに声をかけて秘孔縛を解いていた。
そうしている間にも、アミバはゆっくりと、しかし確実に奈落の底に歩き続けている。
「あ、脚を……脚を止めてくれ……」
「お前は確か天才だったよな? だったら自分で秘孔を突いて止めてみやがれ」
ジャギに言われて、アミバはその通りにしようとするが……。
「て、てめぇ! 俺の手がなくて突けないのをわかって言ってるだろう!?」
「あん? 当たり前だろうが。俺は小悪党だからな」
そして会話を続けているうちに、とうとうアミバはバルコニーの端にたどり着いてしまった!
アミバが負け惜しみのように言う。
「お、俺が死んだら、トキの居場所がわからなくなるぞ。いいのか? いいのかよぉ!?」
だがそれにも、ジャギは動じない。
「安心して落ちな。おまえらごときにやられるトキの兄者じゃねぇよ。それに、トキの居場所は俺が知ってる。忘れたのか?」
「そ、そうだったぁ!!」
そしてギリギリのところまで来てしまった。
「うわぁ! な、なぜ俺がこんな目に? 天才の俺様がこんな目にぃ~!?」
「それがわからないから破滅するのさ。最後にそれを勉強してくたばりやがれ。安心しろ。俺もいずれそちらに行くさ」
そしてとうとう、アミバはバルコニーから転落した。そして。
「け、拳王様~! うわらばっ!!」
天才と自分を想いこんだ愚かな男の最期であった。
* * * * *
そして。
「本当にいいのか? ケンシロウ。俺の拳を封じなくて」
ケンに八悶九断の秘孔と、亞順中を解除してもらったジャギが彼に問う。
自ら北斗神拳を捨てると宣言したジャギだったが、ケンは意外にも自らが拳を封じることはしなかったのだ。
「うむ。今のお前なら、めったなことでは北斗神拳を使うことはあるまい。先ほどのお前の戦いを見て、そう確信した。絶対に失うわけにはいかないものが失われそうになった時、またその封印を解くこともあるだろうが、そうなったとしても、俺はとがめはせん」
「へっ、相変わらず甘い奴だぜ……ありがとよ。そうだ、トキの居場所だがな。カサンドラにいるはずだぜ」
「カサンドラ?」
聞き返すケンに、オレが後を続けて答えた。
「拳王が各地の武闘家を捕らえている巨大な監獄だ。どこにあるかは知らないがな」
「相変わらずどこまで知っているか底の知れないやつだな。どこで知ったんだ?」
「……旅の途中で噂を聞いたんだよ」
突っ込んでくるジャギにそう返す。そこでケンがくるっときびすを返した。
「ではさらばだ。ジャギ、お前の旅が実りあるものになることを祈っている」
「ありがとよ。できればもう二度と出会いたくはないがな……行こうぜ、ナノル」
「そうだな」
そしてオレたちは、ケンと別れて旅立った。
ケンは、トキを助け出すためにカサンドラへ。オレとジャギは、カホの村に一度戻って、ココたちと合流し、そこからまた新たな旅へ。
そう、ここからまた新たな旅が始まるのだ。
歩き出したオレたちの前には、清々しい青空が続いていた―――。
第一部を読んでくださり、ありがとうございました!
UAや感想をいただき、感謝感激です!
来週、1/26からはいよいよ第二部をはじめようと思います。どうぞお楽しみに!
それでは改めて、第一部にお付き合いいただき、ありがとうございました!
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