北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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世界の枠を超え、この世紀末に降り注いだ存在があった!
その名を転生者!

天に連なる七つの星のもと、地に散らばった転生者たちを巡って、悲劇は繰り返される……!


(S・G編)第拾七話『流麗惨絶流! 死すべき奴らが多すぎる!』

 オレたち……ナノルとその仲間たち……は、シキニキさんたち、彼の町の人々を皆殺しにしたS・Gという奴らに復讐するため、再び旅路についていた。

 とはいえ、あれから奴ららしき人影は見つかっていない。色々走り回っているのだが、やはり手がかりがないとな……。

 

 そんなある日……。

 

「あ、ナノル兄、あそこにオアシスと村が見えるよ!」

「ほんとだ。あそこに寄っていくか」

 

 それを聞き、ジャギが嬉しそうに言う。

 

「よかったぜ! 食料や水も心元なくなってきたところだからな。それに酒も……」

「……」

「……ナンデモアリマセン」

 

 カレンに手刀を突き付けられて、ジャギはそれ以上言えなくなった(苦笑。

 だけど彼が言う通り、食料や水が残り少なくなってきただけに、村が見つかって本当によかった。オレやココ、アキは転生者だから、ある程度食べなくても問題ないが、カレン、ジャギ、フラニーはそうはいかないからな。やはり、六人もあるから食料や水の減りも半端ないわけで。

 

 とりあえずオレたちは、その村にある酒場の前に車を止めて、中に入る。やっぱり酒を飲みたいし、情報収集もしとかないとだしな。

 

 そこにいたのは、中年のバーテンだった。あれ? どこかで見たことあるな。現世ではなく前世で。

 

「おや、お客さんとは珍しいな。ようこそ、『ROB's BAR』へ」

『ろぶず・ばー!?』

「?」

 

 前世で聞き覚えのある単語を聞き、思わず声をあげてしまったオレ、ココ、アキの三人を、他の三人とマスターがきょとんとして見ている。

 本当にびっくりだ。まさかこんなところで、GOLAN編に出てきたジョニーさんと出会うとは。

 ……でも、これはまた原作と関わってしまうのだろうか。

 

「そんなに驚くような名前かね。ロブなんて名前、どこにでもあるだろう」

「そ、そうだよな、ごめん。それで、酒を一杯飲ませてくれ。子供と女性陣には水かソフトドリンク。あとそれと、水と食料がほしい。必要なら、用心棒をしてもいい」

「いや、その必要はないよ。あれから最近まで穏やかになって、いくらか貯めることができたからな」

「それは助かる……って、最近までって?」

 

 何か気になるな。オレがそう聞くと、マスターのジョニー氏は渋い顔をして話し始めた。

 

「かつてこの町はGOLANというイカれた奴らに支配されてたんだ。そこをケンシロウとかいう男がやってきて、GOLANをぶっ潰して、このオアシスはとりあえず平和になった」

「うん、それは……噂で聞いてるよ」

 

 アキの言葉にうなずき、ジョニーはさらに続ける。

 

「それから数カ月は本当に穏やかだったよ。ところが最近になって、S・Gとかいう奴らがこの周辺に進出してきて、またここを支配しやがったんだ」

「S・Gだって!?」

 

 オレは思わず声をあげた。まさかここでS・Gの手がかりが聞けるとは!?

 

「おや、あんたらもS・Gを知ってるのかい?」

「あぁ、色々あって、因縁があってな。それでS・Gを追っているのさ」

 

 フユのことを思いだしたのだろうか? その名前を聞いて涙を目に浮かべてしゅんとしたアキの頭を軽くなでてやりながら答える。

 

「そうなのか。実はな、俺たちも奴らには苦しめられてきてるのさ、見てくれこの腕を」

「うわ、なんだよこれは!? 腕が俺たちと同じくらいの太さあるじゃねぇか!」

 

 ジャギがそう聞く。ジョニーが見せてくれた腕。それは、とても一般人のバーテンのものとは思えない、手首から二の腕まで、まるで格闘家のような太いものだった。

 

「奴らは俺たちに、鍛錬を強制してるのさ。『我々が支配している者は、常に鍛錬していなければならん』とか言ってな。俺も、シェイカー振りの鍛錬を強制されてこのザマさ」

「それはまぁ……大変だな」

「大変だなんてもんじゃないよ。鍛錬しない者、鍛錬したくてもできない者は、容赦なく殺されちまうんだぜ」

 

 その話を聞き、カレンが腕を組み、顔をしかめて言う。

 

「そいつはひどいね……。鍛錬は大切とはいえ、強制するものではないし、何よりしない者、できない者を抹殺するなんてあんまりだよ」

「まったくだね……。ジョニーさん、それで、S・Gのアジトがどこにあるか知ってますか?」

 

 ココがそう聞くが、ジョニーはすまなそうに首を振って答えた。

 

「さすがにそこまではな……。ただ、奴らはここから北のほう……かつての福井県のあたりからやってきたみたいだ」

「福井県か……ありがとう。それだけ聞けば十分だ。あとはオレたちが……」

 

 そこまで言ったところで、外から誰かが倒れる音がした。

 

* * * * *

 

 酒場に出ると、そこには一人の年端もない子供が倒れていた。その身体には虐待でも受けたのか、おびただしい傷が刻まれている。

 

 追われていたのか、それとも別の理由で走っていたのか。

 

「大変! 坊や、どうし……!」

 

 ココが子供を助け起こそうと近づこうとしたとき、どこかから矢が音を立てて飛来し、少年の身体を貫いた!!

 

「がはっ!!」

「坊や……!」

 

目の前で起きた惨劇に愕然とするオレたち。そして向こうのほうから、あの軍服の男たちがやってきた。

 

「やっと仕留めたか。鍛錬もできない身体の癖に手を煩わせおって。その罪、地獄であがなうがよいわ」

 

 隊長らしき男が、そうあざ笑う。そして兵士たちが、いつの間にか子供の死体に駆け寄っていたココのそばまで歩み寄り、剣を振り上げる!

 

「させねーよ!」

 

 しかし、そこでジャギがその兵士を蹴り飛ばし、吹き飛ばした。

 

「な、なにをする!」

「へっ、俺が技を封印しているのをありがたく思いやがれ」

 

 オレたちという新たな乱入者を前に、兵士たちがオレたちの周りに集まってくる!

 

「お前たち! 我らが真に神に選ばれた軍団、Sin-GOLAN(シン・ゴラン)と知ってのことか!」

 

 Sin-GOLANだって? まさかGOLANの名前をまた聞くことになるとは思わなかった。だが奴らはケンに潰されたはずだ。その残党か分派なのか?

 だが奴らの脅しに、ジャギは引き下がる様子はない。それはオレもだがな。

 

「へっ、Sin-GOLANだかなんだか知らんが、知ったことじゃねぇよ。変な理屈をこねて罪もない奴らを殺す胸糞悪い奴らは潰すだけだ!」

「その通りだな。それに、妹のココを殺そうとした奴らを許すわけにはいかない」

「それに、罪もない子供を、そんな理由で殺すなんて許せないよ!」

 

 ココも珍しく、怒りを燃え滾らせている。やる気満々なオレたちに対し、隊長は少し後ずさりながら言い放った。

 

「ふざけおって……やってしまえ!」

 

* * * * *

 

 かくしてオレたちと、S・G改めSin-GOLANとの戦いが始まった!

 

「へへ、そういえばこいつは俺のオリジナル技だから、使っても問題なかったぜ!」

 

 空中に飛び上がったジャギが、ガンブレードを持ったまま無数の突きを放ち、兵士たちを次々と貫いていった。そして着地!

 

「千手殺!!……ってな」

 

 その言葉とともに、兵士たちは傷口から鮮血を噴き出して倒れていった。そういえば千手殺は「北斗千手殺」という名前だけど、外伝によってはジャギが自分で編み出した技ともされていたな。この世界ではそういう設定なんだろう。本来は一人の相手の複数の秘孔を突く技なんだが、多数の敵を突くようにしたのは彼のアレンジか。

 

 さて、オレのほうも負けてはいられない!

 

「おら!」

「あびゅれ!」

 

 まず、兵士の一人にダガーを放ち、その脳天を貫く。そして相手が絶命したのを確認すると、紐をたぐってダガーを回収。

 

「うら~!」

「甘い!」

「どぴゅしっ!!」

 

 その回収したダガーを横になぎ、横から襲い掛かってきた兵を切り裂く!

 

「背後ががらあ……ぎぃ!」

「サンキュな、ココ。おりゃっ!」

「ぎびゃなっ!!」

 

 背後から別の兵士が襲おうとしてきたが、それはココが奴の目にダーツを放って阻止。そこにオレがダガーをお見舞いしてやった。

 

「おのれ~!」

「妹に手は出させないぜ!」

「うおびゃっ!」

 

 ココを後ろから襲おうとしていた奴の眉間にダガーを投げつけ、そのままダッシュ! 通り過ぎざまに切り裂いてやった。チートで得た水影心で、レイの水鳥拳の動きをまねてみたのだ。うまくいってよかった。

 

「さすがだね、ナノル兄!」

「ありがとよ。それじゃ続きいくか!」

 

* * * * *

 

 一方、カレンは隊長と対峙していた。殺気をムンムンにはなっている隊長に対し、カレンはそれをものともせずに構える。

 

「この准尉(ワーラント・オフィサー)は、他の兵士たちとは違うぞ。お前のような女など、我が刃盤の餌食にしてやる!」

「はいはい、御託はいいからかかってきな」

「おのれ~!」

 

 カレンの挑発に、隊長が突進! そして刃のついたフリスビーのような武器……刃盤を放つ!

 それをカレンが跳躍してかわし、代わりに刃盤を受けたバーの柱の一本がへし折れた。

 

「へぇ、威力はなかなかのものだね」

「そう余裕でいられるのも今のうちだ! うりゃうりゃ!!」

 

 隊長は両手に持った刃盤を次々と放つ! 隙を見せないように立て続けに放つその攻撃に、カレンは切り込む隙を見いだせない!

 

 しかし、やっと見せたその隙に、一気にカレンは隊長へと踏み込む。しかし、それは隊長の罠だった!

 

「ぐへへ、かかったな! まんまと俺が隙を見せると思ったか!」

「!!」

 

 なんと隊長は腰に二本のボウガンを装備していたのだ! その狙いがカレンに向けられる!

 

「終わりだ!!」

 

 そしてそのボウガンから矢が放たれる。勝ちを確信した隊長。だが……!

 

「勝ちを確信するのは、まだ早いんじゃないのかい?」

「なっ……!」

 

 なんとカレンは、その近距離から放たれた矢を手刀で叩き落したのだ!

 

「味な真似をしてくれたね。これはそのお返しだよ!」

 

 そしてカレンは翡翠拳の技を立て続けに隊長に叩き込む! 二つの刃盤を手放し、切り札のボウガンをも失った彼に、それを防ぐ術はもう残っていなかった。

 カレンの手刀や蹴りの前に、隊長はなすすべなく切り刻まれていく。

 

「これで終わりだよ! 南斗翡翠拳、流麗惨絶流!」

 

 最後にオーバーヘッドキックでの蹴りで下から上に縦一文字に切り裂く! 棒立ちのままの隊長の頭に、二枚の刃盤が突き刺さった。そして。

 

「ぼーべーきゅー!!」

 

 隊長は無数の肉片に切り刻まれて果てたのだった。そしてそれを見た兵士たちは……。

 

「た、隊長がやられた!」

「に、逃げ……違う、戦略的撤退だ~!」

「うわぁ~!!」

 

 ナノルたちとの戦いを放棄し、まさに脱兎のごとく逃げ出したのだった。

 

* * * * *

 

 そして戦いが終わり……。

 

「世話になったな、マスター」

「いいって、このぐらいなら安いもんさ」

 

 かなりの量の食糧と水を積み込みながら礼を言うオレに、ジョニーさんはそう笑って答える。なんとジョニーさんは食料と水だけではなく、それを積み込む台車(車につなげて運ぶタイプだ)もくれたのだ。できれば、新しいバギーがほしいところだったが、それは贅沢というものか。

 

「あんたらもケンシロウほどじゃないけど腕が立つな。だが気をつけろよ。GOLANのボスは、超能力を持っているって噂だったからな。Sin-GOLANのボスも一筋縄ではいかんかもしれんぞ」

 

 確かにな。GOLANのカーネルもあんな強敵だったんだから、Sin-GOLANのボスもあれくらいとんでもない可能性はある。

 

「あぁ、わかってる。気を付けるよ」

 

 そう言ってオレたちはバギーに乗り込み、北へと向かっていった。

 

 マスターはそんなオレたちに、ずっと手を振ってくれていたのだった。オレたちにSin-GOLANを倒してほしいという願いを込めて……。

 

 




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* 次回予告 *<テレッテー!!

Sin-GOLANからの脱走者を襲う追っ手!
その隊長の特殊な肉体に、ナノルのダガーは通用するのか!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第拾八話『中尉の肉体を撃て! 必殺・三位一体攻撃』

※次の更新は、2/9 13:00の予定です。お楽しみに!

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