北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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世界の枠を超え、この世紀末に降り注いだ存在があった!
その名を転生者!

天に連なる七つの星のもと、地に散らばった転生者たちを巡って、悲劇は繰り返される……!


(S・G編)第弐拾話『従うべき悪しき理想はない! ただ悪を憎み、准将を討つ!!』

 列車砲を攻略したオレ……ナノル、ジャギ、カレン、ココの四人は、立ちはだかる敵を倒しながら、奴らの司令部のあるビルに突入した!

 

 だが、エントランスホールの中には、誰ひとりとしていなかったのだ。

 

「ここにいた奴らまで逃げだしたのか……?」

 

 オレがそうつぶやくが、ジャギとカレンが警告を発する。

 

「気を付けな。そういうわけじゃなさそうだよ」

「あぁ。匂いがプンプンするぜ。いけすかない奴らの匂いがな」

 

 そう言うと、ジャギはガンブレードに弾を込め、そして両脇に並んでいる甲冑の一つに撃ち放った!

 少しの静寂。そして、兵士の一人が胸を血に染めて倒れこんだ。どうやら、甲冑の後ろに隠れていたのが、ジャギの銃弾にやられたらしい。何しろ、ジャギの撃った弾はスラッグ弾。その威力はすさまじいものがある。

 

 そして響く、男の声。

 

「くくく、よくぞ見破った。ここにいる者全て、気配を断っていたはずだったが」

「へへ、ビンビンだったぜ。あんなもの、俺が習った拳に比べたら全然なってねぇよ」

「その減らず口もそこまでだ。かかれい!」

 

 その男の号令と共に、周囲から兵士たちが一斉に襲ってきた!

 それを面白くなさげに見やって、ジャギが言う。

 

「おい、お前たち。ここは俺が引き受ける。先に行きな」

「ジャギ、大丈夫かい? 私も付き合ったほうがよくないかい?」

 

 カレンがそう言うが、ジャギは不敵に返す。

 

「へっ、冗談言うな。こんな奴らを倒すのに人の助けを借りてたら、カホががっかりしてしまうぜ。いいから先に行きな。奴らのボスを倒すのに、数が多いほうがいいだろ?」

「……そうかい。無理するんじゃないよ」

「おう」

 

 そして、オレたちは、この場をジャギに任せ、襲い掛かってくる兵士たちを倒しながら、上階への階段に駆け込み、そこを登っていった。

 

* * * * *

 

 そしてエントランスホールで対峙する、ジャギと男……特佐。にらみ合う中、特佐が口を開いた。

 

「お前ひとりで、この人数を相手にしようとは、馬鹿にされたものだ。その思い上がり、後悔させてくれるわ」

「それはこっちの台詞だ。堕ちたとはいえ、北斗の技を学んだ男を甘くみるんじゃねぇぞ?」

 

 その言葉と同時に、特佐が襲い掛かり、周囲からまだ隠れていた兵士たちも飛び掛かってきた!

 

* * * * *

 

 一方のオレたちはひたすらSin-GOLANのボスがいるであろう部屋を目指してビルの中を走っている。

 もちろん、そのオレたちに兵士たちが襲い掛かってくる。

 

「うりゃ!」

「えいっ!」

「ぎゃっ!!」

 

 オレとココの連携攻撃を受けた兵士が倒れる。

 

「はあっ!」

「びぎゃりあっ!!」

 

 カレンの回し蹴りで兵士が両断される。

 

 次々と兵士たちの抵抗を排除し、確実にボスへと迫っていく。

 

 そしてオレたちはついに、ある扉の前にたどり着いた。その扉の奥からはただならぬ気配が漂っている。

 

「どうやら、ここが奴らのボスの部屋らしいね。心の準備はいいかい?」

「あぁ」

「いいよ!」

「いくよ。せあっ!」

 

 そしてカレンの蹴りで扉が粉砕された! そして部屋の中に踏み込む。

 そこにいたのは、軍服を完璧に着こなした男。原作に出てきた大佐(カーネル)と似た雰囲気をかもしているが、厳格さは段違いだ。

 

「お前たちか。大佐(カーネル)を倒し、我がSin-GOLANに歯向かう者たちは。私は准将、歓迎するよ。血の宴にな」

「いや、大佐はオレたちが倒したわけじゃないがな。というか、あんたはその大佐と同じ組織に?」

 

 オレがそう聞くと、准将と名乗った男はくくくっと笑いをもらした。

 

「私はあんな奴らと一緒にされてはたまらないな。奴らGOLANは、我がSin-GOLANの理想を歪めて解釈し、袂をわかったはぐれ者たちにすぎん」

「理想だって?」

「そうだ。我らは生まれながらに選ばれたのではない。選ばれた者であり続けようと自らを鍛錬し、高みに上り続けているからこそ選ばれたのだ。ゆえにあの戦争を生き残った者たちは、選ばれ続けるために自らを高め続けなければならん。それができぬ者は死あるのみ」

 

 そう淡々と語る准将。その様子からは、彼がこの理想を固く信じているのが感じられた。狂信と言ってもいい。

 その理想とやらはたいそうなことを言っているが……。

 

「理想とやらはごたいそうだが、だからと言って、しない者、できない者を抹殺するのを許すわけにはいかないな」

「そうだよ。そんなの許せないよ!」

「ふ……残念だよ。しょせんはお前たちも、我が理想を解せぬ愚か者ということか」

 

 そして准将はゆるりと構えを取る。

 

「ならば仕方あるまい。お前たちの血と肉も、我らの理想の礎と……するのみ!」

 

 彼がそう言うと同時に、扉のガレキがオレたちに襲い掛かってきた! オレはそれを、ココをとっさに抱きかかえて飛びのいてかわし、カレンは翡翠拳の蹴りで粉砕した。しかしこれは……。

 

「サイコキネシス!?」

「その通り。これが私が天から与えられ、そして鍛え上げてきた力だ。それっ!」

 

 今度は壁にかかっていた刀が飛んできた! カレンはそれをかわし、あるいは手で切り払いながら准将へと踏み込む。そして必殺の蹴りを……!

 

「!?」

 

 オレたちは驚愕を顔を浮かべざるを得なかった。准将は蹴りを放とうとしたその瞬間を見切り、自らの蹴りでそれを止めたのだ。

 ……いや、見切ったのではない。その様子は見切ったというより、まるで彼女が何をしようとしているかをあらかじめわかっていたかのようだった。

 

「なんてこった……あんた、読心術も使えるのかよ。そんなの反則だろ……」

「くくく、その通り。念動力という刃、そして読心術という盾。この二つを兼ね備えた私に勝てる者はいない。それっ!!」

 

 准将の掛け声とともに、今度は壁にかかっていたボウガンが勝手に動き出し、オレたちに矢を放ってきた!

 

* * * * *

 

「おのれ……まさか、我が精鋭たちを言葉通りに破るとは」

「へっ……だから言っただろうが。北斗の技を学んだ男を甘くみるなってな」

 

 一方、ジャギは、襲い掛かってきた兵士たちを全て倒し、残った特佐と対峙していた。

 だが、ここまでの戦いの消耗はかなりのものがあった。彼自身には戦いに差し障る傷や疲れはあまりないが、ガンブレードの弾は全て使い切り、振るってきた刃も、もう欠け、折れそうになっていた。

 

「だがその状態で何ができる? 矢尽き、刃も折れそうな貴様に?」

「ぬかせ。お前を倒すなんてな、この状態で十分なんだよ」

「減らず口をぬかしおって! それを後悔させてくれるわ!」

 

 そう言うと、特佐は両手に鞭を構え、そして振るってきた!

 ジャギはそれをガンブレードで切り払い続ける。

 

(くっ、さすがにこれじゃ、うかつには踏み込めねぇな……!)

 

 なんとか勝機を見出そうとしながら、鞭の攻撃を払い続けるジャギ。だがついに、鞭がガンブレードの刃を砕き折ってしまった!

 そこに、特佐の再びの鞭がヒット! ジャギは吹き飛ばされてしまった!

 

「くくく……どうだ、我が鞭の味は。これでお前も終わりだな」

「抜かせ……。これでやっとハンディができたぐらいだ」

 

 しかし状況は最悪である。武器のガンブレードは失われてしまった。北斗神拳は封じている。ジャギに攻め手はもうないと思われた。

 だがその中、ジャギはある覚悟を固めていた。

 

(攻め手はほとんどない。だが、俺はなんとしてもこいつを倒し、ナノルたちの助けをしなきゃならねぇ。仕方ない。アレを使うか……。カホの奴も大目に見てくれるだろうよ。そうでないなら、全てが終わった後、あいつにあの世で謝るか)

 

「その減らず口も、これでおしまいだ……。死ねい!」

 

 とどめにと鞭を一撃を放つ特佐。それをジャギがジャンプしてかわす!

 もちろん、それを見逃す特佐ではない。

 

「馬鹿め!」

 

 特佐は今の一撃を左手の鞭だけで振るっていたのだ。彼は残った右手の鞭を空中のジャギめがけてはなった。だが!

 

「馬鹿はてめぇだ!」

「なっ!?」

 

 ジャギは手刀で、その鞭を払った……いや、斬り落としたのだ! そしてそのまま、特佐に向かって舞い降り……。

 

「終わりだ!」

「ぐべぁ!!」

 

 特佐に手刀の一撃を食らわせた! そして後ろに大きく飛びずさる。特佐はその威力の前にひざまづき、そしてうつ伏せに倒れこんだ。

 

「な、なんだ今のは……? お前の攻め手はあのガンブレードだけだったはず……?」

「へっ、悪いな。今のはアミバから教わった南斗聖拳さ。本当ならこれも北斗の技とともに封じたままでいるつもりだったんだがな。お前のような外道を倒すためだ。カホの奴も大目に見てくれるだろうよ……。それじゃ、ナノルたちのところに行くか」

 

 そう言うとジャギは、上階への階段へと向かっていった。だが、そこで特佐が立ち上がって、ジャギに背後から鞭で襲おうとした!

 

「馬鹿め、とどめを刺さずに立ち去ろうとするとは、甘すぎてへどが出るわぁ!」

「馬鹿はてめぇだと言ったはずだぜ。もうとどめは刺してるんだよ」

「ぬか……! ぬか、ぬか、ぬかあああああ!!」

 

 特佐は身体を無数の肉片に解体されて果てた。飛びずさるとき、ジャギはさらに無数の手刀を浴びせていたのだ。

 

「だからてめぇは馬鹿なんだよ。俺はナノルほど甘くないんでな」

 

* * * * *

 

 オレたち三人は苦戦していた。

 

「えーいっ!」

 

 ココがダーツを放つ! だが!

 ピタッ。シュッ!!

 

「!? きゃっ!」

 

 そのダーツが、准将の念動力で操られ、逆にココに襲い掛かった! ココはかわそうとするが、かわしきれずに肩にダーツを受けてしまう! その肩の傷から血が飛び散る!

 

「ココ! くそっ!!」

 

 オレがダガーナイフを交わすが、それは既に読んでいた准将の念動力で操られた剣ではじかれてしまう。

 さらに奴の真上からカレンが飛び掛かるが……。

 

「もらっ……なに!?」

 

 床板が浮き上がり、カレンめがけて飛んできた! 空中ではそれをかわすこともままならず床板の直撃を受けて吹き飛ばされてしまう。

 

 念動力による攻撃と、読心術による先読みという防御の前に、オレたちはかなりの苦戦を強いられていた。こいつ、かなり強い……! さすがボスということか……。

 

「だから言っただろう。最強の矛と盾を持つ私に勝てる者はいないと。もう大人しく、我が軍門に下ったらどうかね?」

「ま、まだわからないぜ……!」

「うん、それにあなたの理想に屈するなら死んだほうがマシ!」

「そういうことさ」

 

 オレたちの返事に、准将は余裕の笑みを浮かべながら言う。

 

「ならば仕方あるまい。私の力をとくと味わってから死にたまえ」

 

 そして一歩を踏み出す。

 それを見ながら、カレンが言う。

 

「それにしてもまいったね……。こんなに隙がないんじゃ、搦め手も使えないよ」

「なら仕方ない。なら全力で攻撃して、あいつの先読みを上回るまでだ!」

 

 そしてオレたちは、再び准将に攻撃を仕掛けた!

 准将に踏み込んだカレンが手刀や蹴りを立て続けに放つ! それを涼しい顔でかわし続ける奴に、今度は入れ替わるようにオレがダガーで斬撃! 当然、それもかわされてしまうが。

 

 だが、それでわかったことがある。奴は制限なく読心術と念動力を同時に使えるわけじゃない。猛攻を仕掛け続ければ、読心術で読むのに精いっぱいで、念動力は使えなくなる!

 さらに言うと、心を読んで先読みするのと、それに対処できるのとは全く別のものだ。こいつは大したものだが、それでも本人の武術や体術はジャギに毛が生えたレベルのものでしかない。それを読心術による先読みで補っている状態なのだ。そこに付け入る隙がある!

 

 オレの読みは当たっているようだ。オレの心を読んだらしい准将の額に汗がにじんでいる。

 

 とにかく、猛攻を与え続けるオレとカレン。そして頃合いを見てオレはココに叫んだ。

 

「いまだココ!」

「うん!」

 

 ココは高く跳躍すると、右手に持った二本のダーツを時間差で投げつけた!

 准将もココの攻撃は読んでいたようだが、オレたちの猛攻を前にして、対処する余裕がなくなっていたらしい。一本目はなんとかかわして、その頬に一筋の傷を刻んだだけに済んだが、もう一本のほうは対処できず、左目に突き刺さってしまう!

 

「うぎゃああああ!!」

「よし、カレン!」

「あいよ! ラストスパート行こうか!」

 

 准将が左目を潰されて動揺している隙を突き、カレンが一気にスパートを上げる! 限界を超えた限界のスピードだ! オレもカレンを援護するため、ダガーによる猛攻を仕掛け続ける。

 准将はそれを必死にさばくが、目をつぶされたことの動揺や、目をつぶされたことにより、満足にさばききれていないようだ。そのさばきに先ほどまでのような鮮やかさはない。数発はその身をかすめ、奴の身体をかすり傷を与えていく。そしてついに、奴のガードが崩され、カレンの手刀や蹴りが奴の身体にヒットしだした!

 

「うおおぉぉぉ……!」

「そーれそれそれそれ、終わりだぁ!」

 

 そして最後にカレンのオーバーヘッドキックが決まった。

 その数瞬後、准将は縦一文字に切り裂かれた!

 

* * * * *

 

「グヴォ!! ま、まさかこの私が敗れるとは……。恐るべき奴らよ……」

「お褒めいただき恐悦至極だね」

「あんたは強かった。でもな、その理想を抱いていた時点で、お前さんもまた進歩を止めていたのさ」

「ふふふ……好き放題にいいおる……。だが、この准将ただでは死なんぞ……!」

 

 そう言うと、准将は机の一つによろよろと歩き寄って行った。何をする気だ……?

 

「地獄までご同行願おうか!」

 

 そう叫び、奴はテーブルに強く手を叩きつけた! それと同時に……。

 

「ぶがは!!」

 

 准将は縦一文字に真っ二つになり、さらに無数の肉片になって果てたのだった。だがそれと同時に、あたりを激しい振動が襲う!

 

「こ、これは!?」

「な、なに!?」

「まさかあの男……このビルの自爆スイッチを入れたのかい!?」

 

 なんという執念……! そしてそこにジャギも駆け付けてきた。その傍らには、あの兵士の妹さんと思われる娘さんの姿もある。

 いつの間にか見つけて、助け出してきたらしい。

 

「おぉ、なんとかボスを倒したかい。でも、なんだこの揺れは?」

「あの男、どうやらこのビルの自爆スイッチを入れたらしいんだよ!」

「早く脱出しよう!」

 

 そして、ココの肩の応急処置をしてから、急いで脱出を図った。妹さんはジャギが抱えているのは言うまでもない。

 大急ぎで走るオレたち。しかし、あと三階というところで、揺れがやばいレベルまで激しくなっていた。

 

「やばいな……こりゃ、いよいよ爆発するぜ。こうなったら仕方ねぇ。そこの窓から飛び降りようぜ!」

「ちっ、仕方ないね」

「え、ナノル兄?」

「行くぞ、しっかり捕まってろよ」

 

 そしてまずは、カレンが窓をぶちわり飛び降りた。続いてジャギが妹さんを抱きかかえたまま。そして、最後にオレがココを抱きかかえて飛び降りた。

 

 そしてなんとか無事に着地。それと同時に悪しきSin-GOLANの牙城は激しい爆炎と砂塵とともに崩れ落ちたのだった!

 

 




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* 次回予告 *<テレッテー!!

Sin-GOLANを壊滅させたナノルたち! だが彼らに安息の時はない!
ついにあいつらの影が、彼らに迫ろうとしていた!

第弐拾壱話『地獄からの呼び声! 愚か者たちよ、お前は悪魔の迷宮を見たか!?』

次回より、いよいよ拳王侵攻隊編開始!!

※次の更新は、3/2 13:00の予定です。お楽しみに!

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