北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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世界の枠を超え、この世紀末に降り注いだ存在があった!
その名を転生者!

天に連なる七つの星のもと、地に散らばった転生者たちを巡って、悲劇は繰り返される……!


(拳王侵攻隊編)第弐拾壱話『地獄からの呼び声! 愚か者たちよ、お前は悪魔の迷宮を見たか!?』

 Sin-GOLANとの決戦の後。荒野の中、オレたちはバギーを東のほうに走らせていた。

 

 決戦の中で助け出した、あの名もなき脱走兵の妹さん……名前はマキというらしい……。彼女の身の安全のため、いったんマミヤさんの村に戻り、かの村に預けようと思ったのだ。

 

 かつて通っただけあり、順調な旅路である。だが、なぜだろうか。そんな中、オレは変な胸騒ぎを感じずにはいられなかった。ある大変なことを忘れているような……。

 

 それを気にしながらバギーを運転していると……。

 

「ナノル様、見てください。あれを!」

 

 同行者の一人で、我がチームを陰から支えるメイドさん、フラニーが前方を指示した。その先には炎と煙が立ち上る廃墟の町。

 

「どうやら野盗に襲われてるみたい……どうしよう、ナノル兄?」

 

 そうココが聞いてくる。マキさんの身の安全が心配だが、それでも襲われているのを放っておくわけにもいかないな……。

 

「マキさん、ちょっと危険だけど、立ち寄ってもかまわないか?」

「はい。きっと兄もそうしたでしょうから」

 

 彼女の了承を得て、オレはバギーをその町のほうへと向けた。

 

* * * * *

 

「殺せ! 焼け! 逆らう者は殺し、破壊しつくすのだ!」

 

 リーダーらしき男が叫ぶ中、その男の手下と思われるモヒカンたちが、火を放ち、街の人たちを殺しまくっていた。

 そこに。

 

「ぶげらぶえ!!」

 

 その手下の一人がリーダーのほうに吹き飛ばされてきた! そして次の瞬間には細切れの肉片になり果てたのだった。

 

「誰だ!?」

「さぁ、誰だろうな?」

 

 そこにやってきたのは、ナノル、ココ、ジャギ、カレン、フラニー、アキ、そしてマキの7人だった。

 

「お前たち! 俺たちが何者かわかってやってるのか!?」

「さてな。誰だろうと、暴虐をする奴らは許せねぇし、そいつらにすることは一つだけで変わらないがな」

「そう、そいつらをぶっ潰すだけさね」

「馬鹿にしおって……やっちまえ!」

 

 不敵に言い放つナノルたちに対し、リーダーはその不埒者を排除すべく、部下たちに攻撃の命令を発した!

 

* * * * *

 

 そして、男の部下たちが一斉にオレたちに襲い掛かってきた!

 そいつらと応戦してわかったのだが、こいつらはそこら辺の野盗とは違う。Sin-GOLANの連中と同等かそれ以上の、手練れの兵士たちだ。

 

 それに、再び嫌な予感を感じるが、今はそれよりこいつらを潰すのが先だ。

 

 オレはダガーを振り回し、投げつけ、手下たちを倒していく。

 ココはオレをフォローしながら、フラニーとともにマイを守りながら戦っている。

 

「そらそらそら~!」

「あろえ!」

「べらへな!」

 

 ジャギは、アミバから教わったという南斗聖拳を振るい、敵を切り裂いていき。

 

「せやっ!」

「あわびゃ!」

「どるべっ!」

 

 カレンは南斗翡翠拳の蹴りで、鮮やかにそして鋭く敵を切り裂いていった。

 

「な、なんて奴らだ……!」

「さて、残るはあんただけだよ」

「選ばせてやるぜ。ここから立ち去るか、それとも俺たちにやられるか、どちらか選びな」

 

 オレたちの奮闘で、残るはリーダーらしき男だけとなった。

 そこで、カレンとジャギがそう迫るも……。

 

「おのれ~! だがこのズロク、仮にも拳王様の部下。ただではやられん!」

 

 そう言って襲い掛かってくる。って、拳王だって? また原作ワードが出てきたぞ。嫌な予感がさらに……。

 

 一方、ズロクとかいう男は背丈の二倍もありそうな太刀をもってカレンに襲い掛かったが……。

 

「せいっ!」

「びげろはっ!」

 

 カレンの蹴りで真っ二つになって果てたのだった。

 

* * * * *

 

「確かに強かったけど、焦るほどでもなかったね」

「そうだな。でもこいつ、とんでもないことを言ってたな……」

「あぁ。『拳王』ってな。これはやはり……」

 

 戦いの後、オレたちはそう会話を交わしていた。原作のことを知るココとアキも、不安そうな顔をしている。そこに。

 

「おぉ、皆さん。ありがとうございます。おかげで助かりました」

 

 町の長老らしきじいさんがやってきて、そう声をかけてきた。ちょうどいい。彼に聞いてみるとするか。

 

「なぁ、爺さん。こいつら、拳王の手下らしいんだが、もしかして……」

 

 そう聞くと、じいさんは表情を曇らせてうなずき、そして答えた。

 

「はい。彼らは拳王侵攻隊の遊撃隊とかいう奴らですじゃ。進路にある拳王軍に逆らう町や村をせん滅するのが目的だそうで……」

「やはりそうか……!」

 

 悪い予感が当たってしまった……。オレたちは、拳王軍が進軍してるところに遭遇してしまったらしい。

 そしてそれは同時に、ある深刻な事態が起こっていることも意味していた。それは……。

 

「休憩したいところだが、そうもいってられない。急ごう、マミヤさんの村に」

「どうしたんだい、ナノル? あんたらしく焦ってるみたいだけど」

「あぁ。もしかしたら、奴らは進路上にあるマミヤさんの村をも襲うかもしれないんだ」

「それは……!」

 

 オレの言葉を聞き、フラニーも愕然とする。あの村には、彼女の兄であるレイもいる。フラニーも心穏やかでいられないのだろう。

 「かもしれない」と言ったが、オレは確信を持っていた。原作通りなら、間違いなく彼らはマミヤさんの村を襲うはずだからな。

 

 ジャギも、拳王ことラオウのことを知っているからか、顔を曇らせている。

 義理とはいえ兄だから、その強さを誰よりも知っているのだろう。もしかしたら、原作を知るオレよりも。

 

「どうするジャギ? 拳王と戦いたくないなら、ここに残るか、あのオアシスの村に戻っていてもいいんだぜ?」

 

 それを察したオレが、そう言ってやるが、ジャギは苦笑して首を振って拒否する。

 

「馬鹿言うな。ラオウの兄者が強いからって逃げてたら、オレの犠牲になった奴らに申し訳が立たねぇよ」

 

 そう軽口をたたくように言うが、その表情からは硬い決意が感じられた。それを確認したオレはうなずいて言った。

 

「よし、それじゃ急ぐとしようぜ」

 

* * * * *

 

 今まで以上に急いで、マミヤさんの村へとバギーを走らせるオレたち。その途中、オレたちはあり得ざる光景を目にした。

 

「森……?」

 

 ココがそうつぶやく。そう、オレたちの目の前には大きな森が広がっていたのだ。

 

「おかしいな、こんな最終戦争後の世界に森が……?」

「いかにも罠って感じがするねぇ、でも……」

 

 カレンの言う通りだ。核の炎に包まれた、こんな砂漠と荒れ地ばかりの世界に森があるなんて、あまりに怪しすぎる。彼女が言う通り、罠の可能性は高いだろう。

 迂回して行くのが得策だろうが、森はあまりに大きく、迂回するとかなりの時間を食われそうだ。

 

「どうする? 怖いなら迂回して言ってもいいんだぜ?」

 

 ジャギが、さっきのお返しとばかりにそう聞いてくるが、答えは決まっていた。

 

「いや、例え罠であっても突っ切っていくまでだ」

「へへ、そう来なくっちゃな。行くとしようぜ!」

 

 そしてオレはアクセルを踏み込み、森の中に突撃していった!

 

* * * * *

 

 森の中に突撃していったオレたちだが、そこでは想像を絶したモノが待ち受けていた!

 

「ちっ、なんなんだこいつらは!?」

「本当に気色悪いね、まったく!」

 

 変なにおいをかぎ、一瞬めまいを感じたと思ったら、その次の瞬間には、顔が人間の狼が襲い掛かってきたのだ!

 

「きゃっ!」

「フラニーの姉ちゃん!」

 

 人狼の爪の一撃が、フラニーの腕を切り裂いた! 物理的殺傷力を持っているってことは、これは……幻覚の類ではない!

 ココが急いで、フラニーの腕の傷を手当している間にも、二匹の人狼はオレたちに襲い掛かってくる!

 

 そのうちの一匹がカレンに襲い掛かってくるも……!

 

「はっ!」

 

 カレンは天高く飛び上がり、その攻撃をかわした! そして、レイの水鳥拳に及ばずともそれに近い動きで舞い降り……。

 

「空中戦であたしに張り合おうなんて、百年早いんだよ!」

 

 翡翠拳の手刀でその人狼を切り裂いて倒した! もう一人もオレのダガーで切り裂き、勝つことができた。だが、不思議なことはまだ続いた。その死体は、まるで溶け込むように消えていったのだ。

 

「ちっ、いったいなんなんだよ、この森は……!」

「もしかしたら、あたしたちはとんでもないところに足を踏み入れたのかもしれないね」

 

 悪態をつくジャギと、緊張した面持ちで言うカレン。だが、例えどうであっても、引き返すわけにはいかない。突き進むのみだ。もっとも、かなり深くまで入り込み、戻り道すらわからないのだが。

 

* * * * *

 

 さらに進むと、再び怪異がオレたちに襲い掛かった!

 

「きゃあ!」

「ココ!」

 

 突然ツタが伸び、ココを縛り上げた! そして獣道の脇に立つ大木に縛り付けられてしまう。

 

「くそ、放しやがれ!」

「は、はなせよー!」

 

 さらには、ジャギとアキまで捕まってしまった! だがそこで思わぬ助けが予想外なところからもたらされたのだ!

 

「ココさん! ジャギさん! アキさ……うっ!」

 

 フラニーが立ち上がろうとするも、腕の傷の痛みで再び座り込んでしまった。だがそこで。

 

「え……?」

 

 フラニーが目をみはった。今の傷の痛みが、フラニーに何かを見せたのだろうか?

 そしてフラニーはなんと、ボウガンを持ち、ココを縛り付けた大木に狙いをつけた。一体なにを!?

 

「えいっ!」

 

 そしてボウガンを発射! 矢はココの頭上に突き刺さった。すると!

 

「うぎゃっ!!」

 

 悲鳴が聞こえた。そして倒れこむ大木。だがそれはぼやけ、鞭と握った大男の姿になった。

 

「これは……幻覚で化けていたのか!?」

「えぇ……きっと、さっきの人犬も……」

 

 フラニーがそう言う。きっとさっきかいだあの匂い。あれに幻覚作用があったんだろう。

 彼女は傷の痛みで、その幻から覚めたってことか。

 

 からくりがわかったジャギに不敵な笑みが浮かぶ。

 

「へへへ、幽霊の正体見破り、枯れ尾花ってか? 相手が人間とわかればどうってことはねぇ!」

「びぎゃっ!」

 

 ジャギは自分が捕まっていた大木の幹に手をまわして手刀を突き入れた! それによってその大木も彼を解放した。

 

「これは今までのお返しだぜ!」

「ぐらびゃ!」

 

 そしてその手刀で、大木に化けていた大男は倒された。そして、アキを捕らえていた大木も。

 

「相手がもののけでなければ怖くないやね! せいっ!」

「あわぎゅ!」

 

 カレンの翡翠拳で倒されたのだった。

 

 その後も怪異がオレたちを襲ったが、相手が幻により化けたものだとわかればどうってことはない。

 冷静に奴らを排除し、さらに先に進んだ。

 

* * * * *

 

「よくぞ、あの地獄を潜り抜けてきたな! だがそれもここで終わりだ! この俺、拳王特務隊のドラゴンと!」

「パトラがお前たちに死をくれてやるわ!」

 

 そして森の奥まったところで、ひげ面の大男と、妖しい女性がオレたちを待ち構えていた。どうやらこいつらが、あの幻の元凶であり、あの刺客たちのボスなんだろう。

 

「へへへ、面白いことしてくれたじゃねぇか。だがな、それもこれで終わりだぜ」

「あの幻の礼だよ。あたしの翡翠拳を味わって逝きな」

 

 そう言って、一歩を踏み出し戦闘態勢をとるジャギとカレンだが、それでもドラゴンとパトラの二人の態度は揺るがなかった。

 

「ふふふ、馬鹿め。宴はまだ終わってはおらぬわ!」

「わらわたちの恐ろしい幻、その極地を味わうがよい!」

 

 パトラがそう言って踊りだす。それと同時に、彼女の腰の革袋から煙のようなものが漏れ出していく。その煙はたちまち周辺に充満していく。いけない、この匂いは!

 

「い、いかん、あれを吸うな……!」

「うぐっ……!」

「ちっ、し、しくじった……!」

 

 時既に遅く、オレたちは幻覚作用のある、あの煙を吸ってしまった! とたんにめまいがオレたちを襲い、オレたちは再びあの幻の虜になってしまった!

 

「くそ、今度はなんだ……。な!?」

「これはまた呆れたね……」

「り、竜だとぉ!? そんなのありかよ!?」

 

 そう、巨大な竜がオレたちの前に立ちはだかっていたのだ! おそらくは幻で化けているのだろうが、さすがにその巨大さと恐ろしさの前では、戦慄を感じずにはいられない。

 

 その竜が火を噴いた! かわしそこねたジャギを、その炎がかすめ、彼をその最初の犠牲者とした!

 

「あ、あちちちち! こ、この炎は本物じゃねぇか!」

「それだけじゃないよ、あれを見な!」

「ひ、火の玉……? いったいどうなってるんだよ~!?」

 

 アキが悲鳴を上げる。そう、さらにオレたちの周囲には火の玉が飛び交っていたのだ!

 

「先に竜を倒せば……って、うわぁ!」

「くそ、奴を倒せばいいんだが、火の玉が邪魔をして……!」

 

 竜の吐いてくる炎、そして周囲を飛び交う火の玉に、オレたちは大苦戦していた。

 その中、再びあの二人の声が響いた。

 

「思い知ったか、我らの幻の力を!」

「さぁ、今度こそ、我らの秘術の前に、焼かれ、果てるがよいわ! あはははは!!」

 

 それを聞き、ジャギが歯ぎしりして言う。

 

「ちきしょう、あいつら、人をコケにしやがって……! おい、ナノル、カレン。少しの間、奴らの注意を引き付けてくれ」

 

 そう言うと、ジャギは目を閉じ、精神を集中し始めた。それを見たオレとカレンは互いにうなずきながら、再びドラゴンとの戦闘を再開した。

 ジャギから奴らの目をそらすため、縦横無尽に動き回り、攻撃を仕掛けていく。

 

 火の玉と炎に苦戦しながら、戦うオレたち。その時!

 

「そこだ!」

 

 ジャギが目を開き、周囲を飛んでいた火の玉を蹴り飛ばした! 火の玉は一直線に飛んでいき、空中の一点で、何かにぶつかったように激突し、動きを止めた。

 そしてそれと同時に幻が揺らぎだし、消えていく。森は消え、崩れかけのビルが並ぶ廃墟が現れた。

 

 そして、火の玉がぶつかった先には、あのパトラがいた。その額には周囲が刃になった光る円盤が突き刺さっていた。あの円盤が火の玉の正体なのだろう。

 

「お~の~べへらっ!!」

 

 そう断末魔を発し、パトラは倒れこんだ。それを象徴するかのように、彼女の懐から水晶玉がこぼれ落ち、そして砕けた。

 

「ぱ、パトラ~!」

「どこを見てる!」

「あんたもあの女のところに逝きな!」

 

 相方を失い、動揺するドラゴン。それを見逃すオレたちではなかった! 奴の首筋に、オレのダガーと、カレンの蹴りが炸裂する!

 そして。

 

「ふが、ふが、ふがぁ~!」

 

 喉を切り裂かれた奴は、とたんに呼吸ができずに苦しみだした。息を吐こうとするたびに、首筋にできた傷から炎がこぼれでる。

 そしてついに奴は、全身を炎に包まれた! おそらく奴は、胃にため込んだ油を吐き出し、それと火種とを組み合わせて炎にしていたのだろう。

 息を吐くたびにのどの傷からあふれ出た油に、その炎が引火したのだ。

 

 そしてまる焼けになって倒れこんだドラゴンをオレたちは見やりながらつぶやく。

 

「やれやれ、強敵だったな……」

「あぁ。まさかあんな搦め手を仕掛けてくるとはね……」

「えらい目に遭ったぜ。さぁ、先に進むとしようぜ」

「あぁ……。……!!」

 

 と、その時、履いていた靴の靴紐の一本が切れた! まさか……!?

 

 




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* 次回予告 *<テレッテー!!

マミヤの村が拳王に襲われた!
その惨劇で、ジャギは自らの罪の清算を迫られる。
そしてついに、あいつが姿を現した!

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第弐拾弐話『拳王軍どもに墓標はいらぬ! ここは地獄のマミヤの村!!』

※次回の更新は、3/9 13:00の予定です。お楽しみに!

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