北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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世界の枠を超え、この世紀末に降り注いだ存在があった!
その名を転生者!

天に連なる七つの星のもと、地に散らばった転生者たちを巡って、悲劇は繰り返される……!

* * * * *

拳王軍が進撃を開始したと知らされたナノルたち一行は急いで、マミヤの村へと向かう!

そこで、拳王軍の刺客、ドラゴンとパトラの罠を打ち砕いた彼らだが、その彼らに、不吉な兆しが表れたのだった!!


(拳王侵攻隊編)第弐拾弐話『拳王軍どもに墓標はいらぬ! ここは地獄のマミヤの村!!』

 拳王軍の特殊部隊、ドラゴンとパトラとの戦いを制した直後、靴紐の一本が切れた。

 

 それに不吉な予感を感じたオレ……ナノルは、オレと仲間たちが乗るバギーの速度をさらに早めた。進むごとに不安が高まっていく。

 

 そして。

 

「遅かったか……!」

「みんな……」

 

 オレとココはそうつぶやく。そう、マミヤさんの村は、既に拳王軍に襲われ、炎に包まれていたのだ!

 マミヤさんや長老、レイは無事だろうか……?

 

 村の入り口でバギーを止めたところに、侵入者に気づいた拳王軍の奴らがこちらを振り向いた!

 

「この村は既に拳王軍の支配下になった!」

「よそ者をこの村に入れるわけにはいかねぇ!」

 

 そう言って、戦闘態勢をとる拳王軍の兵士たち。

 だが、そう言われたからって、大人しく帰るわけがないし、帰るわけにもいかない!

 

「悪いな、オレたちもこの村に縁のある人間だからな!」

 

 そう言って、ダガーを抜き、奴らに突っ込んでいく。そして通り過ぎざまに二人を切り捨てる。

 

「こ、こいつら~! うぎゃっ!」

 

 もう一人の兵士が刀を振り上げてこちらに攻撃してこようとしたが、その奴の両目に、ココのダーツが命中! 哀れな兵士は、目を抑えて悶えた。そこに、オレのダガーが炸裂! 倒れたのだった。

 

 しかし、その見張りを倒してからも、兵士たちが次から次へとやってくる。これは厄介だな……。

 そこへジャギが言った。

 

「ここは俺に任せて、先に行きな。早く村の奴らを助けなきゃいけないんだろ?」

「あぁ……すまないな」

 

 そこに、カレンも進み出た。

 

「私も手伝うよ、ジャギ。あれだけの数を相手するのは、さすがに一人では無理だろ?」

「馬鹿にするな、こんな奴ら、俺だけで……と言いたいところだが、ありがとうよ。その力貸してもらうぜ」

 

 そして改めて、ジャギがこちらを見た。そして口を開く。

 

「……というわけだ。そら、先に行きな。心配するな。後で俺たちも行くからよ」

「わかった、頼んだ!」

 

 そして、前方の兵士たちを倒しながら、ココと先に進んだ。

 それを追いかけようとするやつらを、ジャギとカレンが阻止しているのが、音と気配から感じられた。

 

* * * * *

 

「そーらっ!!」

「びぎゃっ!」

「ぶげらっ!!」

 

 俺……ジャギが手刀を振るい、蹴りを放って、拳王軍の奴らを切り裂き、貫いていく。

 一方のカレンのほうも。

 

「はあっ!!」

「あべれっ!」

「どごはっ!」

 

 鮮やかかつ鋭い回し蹴りで多くの敵を切り裂いていっていた。

 

 なるべく、後ろのフラニーたちが襲われないように倒していっているが、それでも逃した奴らはフラニーの奴が気丈にもボウガンで仕留めてくれている。

 俺に捕まえられていた時とは偉い違いだ。やはり、ここまでの旅によって彼女も変わっていったのか?

 

 そして戦っているうちに、周囲の拳王軍はいなくなっていた。ふぅ、一息つけそうだな。

 

 そこに。

 

「おぉ、フラニーちゃん……」

「お帰り、無事だったんだね……」

 

 じいさんとばあさんの声がした。見ると、二人のじじいとばばあがこちらに駆けよってくる。彼らを見たフラニーの顔もわずかに明るくなる。彼女の関係者だろうか?

 

「あぁ、おじいさん、おばあさん! 無事だったんですね!」

 

 そう言って駆け寄ろうとするフラニー。

 だが!

 

「ぎゃっ!」

「ぶひっ!?」

 

 二人はどこかから飛んできた槍に貫かれた! それを見たフラニーは……。

 

「おじいさん、おばあさん!! いやあああああ!!」

「お、お姉ちゃん、しっかりして!」

 

 錯乱したように叫ぶ。それをアキの奴が落ち着かせようとしているが、フラニーの錯乱は止まる気配を見せない。そして。

 

「いや……お父さん……お母さん……兄さん……!」

「……」

 

 それは、俺への死刑執行の命令のように聞こえた。

 ……ついに、年貢の納め時がきたようだな……。

 

 その槍を放った奴には、カレンの奴が飛び掛かっていったが、それはもう俺には関係のないことだ。

 なぜなら……。

 

「あ……」

「思い出したか?」

 

 フラニーの背後から声をかける。それに振り向いたフラニーの表情からはある感情がにじみ出ていた。そう、敵意の感情が。

 俺は、傍らに落ちていたボウガンを、彼女のそばに投げ落として言葉を紡いだ。

 

「そうだ、俺がお前の親父とお袋を抹殺し、お前を誘拐した犯人だ。……今更言い訳はしねぇよ」

「……」

「撃ちたかったら撃ちな。俺は抵抗しねぇ。俺にはそれを受け入れる義務がある」

 

 それは、俺がフラニーに討たれるのを良しとする意味以外の何物でもない。それに気づいたアキが声をかける。

 

「じ、ジャギ兄ちゃん!」

「アキ、後でナノルの奴に、代わりに謝っておいてくれ。後を追えなくて済まねぇ、ってな」

 

 そして目を閉じ、胸を貫き、俺の腐れた命を奪う痛みが来るのを待ち受ける。フラニーの奴が、ボウガンを構える音と気配がする。

 こんな早くカホの奴のところに行くことになって、あいつはがっかりするかな……。いや、そもそもあいつと同じところには行けねぇか……。

 

 そして矢が放たれる音がした。

 ……だが、いつまで待っても、その痛みは訪れなかった。

 

「……?」

 

 不思議に思った俺が目を開くと、フラニーのボウガンからは矢が放たれていた。

 そして背後から聞こえるうめき声。

 

「ぐ……が……」

 

 俺の背後には屈強そう兵士が刀を振り上げて立っていた。その兵士の額を矢が貫いたのだ。

 そして兵士は倒れこんだ。

 

「確かに私は、父母を殺した貴方を許せません。ですが、私は見てきました。あなたが大切な人を奪われ、罪に気づき、それを償う様を」

「……」

「それを見て確信できました。あの悪党、ジャギは、もう死にました。ここにいるのは、私たちの仲間、ジャギさんです」

「……すまねぇ」

 

 俺にはそれしか言えなかった。だがこれだけは言える。一応とはいえ、赦しを与えられた俺がするべきことはただ一つ。これまでと同じく、この命と力をもって、罪を償っていくことだけだ。俺が無様にくたばるときまで。

 

 そこにカレンが駆け付けていった。

 

「どうやら一件落着したみたいだね。それじゃ行こうか。ナノルたちのところへ」

「あぁ」

 

* * * * *

 

 オレとココが広場に駆け付けると、そこではレイが拳王軍の奴らと大立ち回りをしているところだった。

 そのさなかのレイが、こちらに気づく。

 

「ナノル、ココ!」

「レイ、無事だったか!」

「あぁ。……アイリ、いやフラニーは!?」

 

 レイが兵士の一人を水鳥拳で切り裂きながら尋ねてくる。兵士を倒しながら、こちらに尋ねる余裕があり、さらにそれでも動きが鮮やかとはさすが南斗水鳥拳伝承者。

 

 オレも、兵士の一人をダガーで切り捨てながら答える。

 

「大丈夫だ。ジ……連れが守ってくれている。あいつらならちゃんと守ってくれるだろう」

「そうか……よかった」

 

 さすがにジャギもいると知れたら、レイの怒りがMAXになっちまうからな。ここはかくしておいたほうがいいだろう。

 そしてオレたちが戦い続けていると、それに業を煮やしたのが二人の大男が前に進み出た!

 

「おのれ~! こうなれば拳王軍侵攻隊隊長、ガロンと!」

「副隊長のザルカ様が相手だ~!」

 

 その二人と対峙したレイがこちらに言う。

 

「こいつらは一筋縄ではいかなさそうだな。ナノル、刀を持つ奴を任せていいか?」

「あぁ。気をつけろよ。フラニーも帰ってきてるんだからな」

「わかってる」

 

 そしてオレたちは戦闘に突入した!

 さすがに拳王に仕えているだけあって、かなりの手練れ。幅広の刀を自在に操って攻撃してくる。

 

 その太刀筋はまさに鮮やかの一言! その鋭さと迅さに、なかなか反撃の機会を見いだせない。

 それでも、なんとか隙を見つけたオレが、ダガーを振るうが……。

 

「ふははは、馬鹿め!」

「!?」

 

 ザルカはなんと、そのダガーナイフを白刃取りしたのだ! そしてそのダガーを持ち替えて……。

 

「これぞ、我が奥義、首長盗刃術よ~!」

「ぐっ!」

「ナノル兄!」

 

 そしてオレに対し、奪い取ったダガーを振るった! とっさに紐を放して身をかわしたおかげで深手は追わずに済んだが、それでも肩を斬りつけられて負傷してしまう。

 くそ、こいつ、なかなかやる! 原作ではその技を振るう前に、ケンに「ライガとフウガが地獄で待っているぞ……」されたから甘く見ていた!

 

 振り下ろした刀を交わして、ダガーを拾う。そして後ろに飛びのく。そうだ。接近戦で振り下ろされる刃を取るなら、これなら!

 

「無駄だ! このわしに敵はないわ~!」

「ちぃっ!」

 

 なんと、ザルカはマントを使ってダガーを払いのけた! こいつ、盗刃術が使えない攻撃に対する策も心得てやがる!

 

「どうしよう、ナノル兄……?」

「まいったな。正攻法は通じそうにないぞ。だが、奴は自らの首長盗刃術に慢心を持っているようだ。そこを突くことができれば……」

「そっちが来ないなら、こちらから行くぞ!」

 

 そしてザルカが再び突っ込み、刀を振り下ろしてきた! オレはココを抱え、すかさず飛びのく。そして、その飛びのく一瞬にココとアイコンタクトをかわし、再び反撃に転じる!

 

「えぇいっ!」

 

 まずはココが無数のダーツを放つ! 当然それも……。

 

「無駄無駄無駄~!」

 

 ザルカはそのダーツに対し、先ほどのようにマントで払いのけている。

 さらに、ココがダーツを放つが、それも払いのけられた。だがそのおかげで、奴の意識は完全にココに向いている。今だ!

 

「ふっ!」

「がっ!!」

 

 オレが背後から放ったダガーが見事、奴の後頭部に命中! その頭から血が吹き出る。

 それを見逃さず、オレはザルカに突進!

 

「くらえ!」

「馬鹿め、無駄だというのがわからんか~!」

 

 ダガーを振るうが、それは奴に白羽取りされた。だがそれはあくまでダミーだ。その隙にオレは、奴の後頭部からダガーを抜き取る。そして。

 

「終わりだ!」

「ぶぎゃっ!」

 

 奴の胴体にダガーを一閃! さらに奴が落としたダガーを拾い、斜めにさらに一閃!

 

 そして硬直。次の瞬間には、ザルカは刻まれた傷の形に血を噴き出して倒れたのだった。

 

「なんとか勝てたね、ナノル兄」

「あぁ。こいつに技への慢心がなければ、負けていたのはオレたちのほうだったかもな」

 

 そう言って、オレが目を向けると、そこではレイがガロンを倒していた。全身を炎に包まれたガロンがあおむけに倒れこむ。

 

* * * * *

 

「な、なんて野郎だ……!」

「隊長を倒すなんて……!」

「だが、退けば、我らは拳王様に……!」

 

 オレたちがガロンとザルカを倒したことで、兵士たちは浮足だっているようだ。

 もし、拳王の恐怖がなければ、逃げ出してしまいそうなほどに。

 

 これなら、村を解放するのも難しくはないかもしれない。

 

 ……と思っていたことが、オレにもありました。

 

 ズシン……ズシン……!

 

 と地響きが近づいてきたのだ。まさか!?

 

「うぬらの技、南斗水鳥拳と、無名のナイフ術、楽しませてもらったぞ」

 

 そのまさかだった! 馬にのった巨漢! 圧倒的な威圧感!

 

 拳王ことラオウが、ついに現れたのだ!!

 

 




感想、ファンアート、募集中です!

* 次回予告 *<テレッテー!!

ついに、拳王ラオウが姿を現した!
その巨大すぎる力を前に、ナノルの命運はついに尽きてしまうのか!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第弐拾参話『絶大なる拳王! 動き出したら、もう止まらない!!』

「気が変わった。そのナイフの戦士よ。うぬだけはなんとしても、今この場で打ち砕いてくれよう!!」

※次の更新は、3/16 13:00の予定です。お楽しみに!

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