北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました 作:ひいちゃ
その名を転生者!
天に連なる七つの星のもと、地に散らばった転生者たちを巡って、悲劇は繰り返される……!
* * * * *
ナノルたちの前に、ついに拳王ことラオウがあらわれた!
ナノルが転生者ではないかと危惧したラオウの拳が、彼に襲い掛かる!
奮闘かなわず、その拳の前に倒れたナノル!
果たして彼の運命は!?
「ん……」
「あっ、ナノル兄ちゃん、よかった!」
目が覚めると、そこはマミヤさんの村の長老の家だった。
オレは……ラオウの攻撃を受け、そのまま意識を失ったのか……。
「気が付いたか、よかった」
「あなたは……トキ。ありがとうございます」
そう、オレが寝かされているベッドの横には、アキ、ジャギ、そしてトキがいたのだ。なお、フラニーとカレンは、レイのところにいる。カレンが少女のような表情を浮かべているのは見なかったことにしよう。
そうだ、聞いておかなければならないことがある。
「トキ……オレの身体は……?」
もしかしたら新血愁を突かれているかもしれない。なんとか突かれるのを阻止しようと色々してはみたのだが……。もし突かれたのならば、心霊台を突いてもらうことも考慮にいれて、今後の短すぎる余命の使い方を考えなければならないだろう。
だが幸いにも、トキは表情を緩めて教えてくれた。
「心配ない。ラオウの指は、なんとか新血愁の秘孔からずれていた。紙一重ではあったがな。身体への影響はほとんどないだろう」
そのトキに続いて、ジャギが言う。
「本当によかったぜ。色々していたこともあったが、運がよかったんだな。ラオウの兄者も言ってたぜ。『悪運の強い奴よ』ってな」
「そうか……」
トキはオレが気絶した後のことも教えてくれた。というか、ほとんど原作と同じ展開だったが。違うのはケンがレイにではなくオレに、「なぜ俺を待たなかった……?」とつぶやいたこと、そしてラオウが新血愁のことを語るところで、ジャギが言った通り、『悪運の強い奴よ』と言ったところぐらいだったとか。
そして最後はやはり、半ば相打ちのような形で決着し、拳王軍は崩壊し、ラオウは一人で黒王に乗り、去っていった、と。
と、そこでオレはあることに気が付いた。
「そういえば、ココとマミヤさんは?」
そう、オレの妹のココと、この村のリーダーであるマミヤさんの姿が近くにないのだ。オレと一緒に村に戻ってきたココはもちろん、マミヤさんも、ケンやトキと一緒に駆け付けてきたからいるはずなのだが……。
なぜだろう……。何か、嫌な予感がする……。
「そういえば、昨日から姿見ないんだよな。どうしたんだ?」
ジャギがそんなことを言う。と、そこでオレは気が付いた。バットが何か言いにくそうなしぐさをしているのを。
「バット、お前、何か知ってるんじゃないのか?」
「ぎくぅっ!!」
……図星か。
「お、俺は何も知らないぜ! マミヤさんとココが、お前がなかなか目覚めないからって、薬を他の町に取りに行ったことなんて……あ」
語るに落ちたな。しかし、そのバットの告白を聞いて、オレをさらに強い不安が襲う。薬を他の町に取りに行った、ってまさか……!
「他の町って、もしかして、メディスン・シティーというんじゃ……!」
「あ、あぁ、そうだけど……なんで知ってるんだ?」
やはりか……くそ、なんてこった……!
* * * * *
ココとマミヤさんの二人が、恐るべき町、メディスン・シティーに行ったと聞いて、オレはいてもたってもいられなくなった。早くココの元へ……!
「ココ……!! ぐっ……!」
起き上がって、上着を着て立ち上がろうとするが、突然胸を襲う痛みにうずくまってしまう。
そのオレを、トキが落ち着かれるように抑える。が、その表情はやはり重い。彼もオレと同じ危惧を抱いているのだろう。
「新血愁をそれたとはいえ、あの刺突で肋骨が二本ほど折られている。あまり無理をしないほうがいい」
「しかし……!」
「なんだ、そんなに焦ってどうしたんだよ?」
そう聞いてくるジャギに、トキとオレが答える。重い口調で。
「メディスン・シティーは、ラオウに不老不死の霊薬を作るために、拳王軍に支配された町」
「だがラオウが倒れたことで、そのラオウのタガが外れ、今あそこは暴徒が支配する狂気の町になっているはずなんだ……!」
「なんだって!?」
それを聞いて、驚愕して立ち上がったのはレイだ。想いを寄せるマミヤさんがそんな街に行ったと聞いて、気が気ではいられないのだろう。それはもちろん、オレも同じだ。
「トキ、なんとか胸の負傷をどうにかしてくれないか? なんとしても、メディスン・シティーに行って、ココとマミヤさんを助けなきゃいけないんだ」
「わかった。骨折の治癒を加速させる秘孔がある。だが、それを突かれるとかなりの激痛が襲うが、かまわんか?」
「あぁ。二人を助け出すだったら、そんな痛みぐらいどうってことないぜ」
「わかった。いくぞ……秘孔『迅癒骨』!!」
そしてトキは、オレの背中の左脇腹を突いた。その瞬間!
「ぐあああああっっ!!」
その脇腹から全身に激しい痛みが駆け抜けた! さすがにレイが突かれた心霊台に比べればマシだが、それでもかなりの痛みだ。
しばしの間、オレはその痛みに悶え続けた。それでも、気力を振り絞ってその痛みに耐え、抑え続けた。今にもココがどんな危険にあっているかわからないんだ。悶え続けてばかりはいられない!
「はぁ……はぁ……」
「だ、大丈夫かよ?」
「あぁ、なんとかな……。それに、おかげで胸の痛みを軽くなってきたみたいだ。それじゃ、さっそく行ってくる」
そこにレイが立ち上がって、歩み寄ってくる。
「俺も行く。ココはもちろん、マミヤも助け出さなくてはならん」
そしてケンも立ち上がった。腕に巻かれた包帯が痛々しい。
「俺も行こう。ナノルにはジャギの件で世話になった」
「それはいいが……腕の傷は大丈夫なのかよ?」
まぁ、原作でも、問題なくメディスン・シティーの奴らをぶちのめしたり、片手でユダの手下たちやダガールを倒したりしたから大丈夫だとは思うが……。
「うむ、問題ない。お前の胸の痛みや、今の迅癒骨の痛みに比べれば軽いものだ」
「そうか。なら行くか。ジャギ、カレン、村の護りは任せたぜ」
オレがジャギたちにそう言うと、ジャギはサムズアップし、カレンも微笑んで返してくれた。
「任せてくれよ。ザコども一人たりとも、村は入れたりしないさ」
「あぁ。ジャギでも手に負えない奴らは、私が受け持ってやるよ」
「へっ、言ってろ。そんなわけだから、安心して行ってきな」
そんな軽口をたたきあう二人に、オレも微笑み返す。
「それなら安心だ。それじゃ行ってくるぜ」
* * * * *
一方そのころ、マミヤとココは、廃墟の中をさまよっていた。二人は既に、メディスン・シティーに到着していたのだ。
「早くナノル兄のために、薬を手に入れないと……! ごめんなさい、マミヤさん、つき合わせてしまって……」
そう謝ってくるココに、マミヤは微笑んで返す。
「いいのよ、ココちゃん。彼には、村を救うためにたくさん戦ってくれた恩があるから」
そして町の中をさまよっている二人の目に、衝撃的な光景が飛び込んできた!
「こ、これは……」
「ひどい……! こんなのって……」
それは、野犬に自らの肉を貪り食われている、町人の死体であった……。
(メディスン・シティーの話はアニメで見たことあるけど、実際にはこんなひどかったなんて……)
見るのと、実際に遭遇するのでは、大きな違いがあることを、ココは身をもって実感したのであった。
と、その時、その野犬がマミヤたちのほうに鋭く狂暴な視線を向けた! 野犬は彼女たちをも、その獲物にしようとしたのだ! それを察したマミヤがヨーヨーを構えるも……。
「いけない、マミヤさん、逃げましょう!」
「ココちゃん!?」
ココがきびすを返して、脇道に走り出し、マミヤもその後を追って走り出す。
ココはわかっているのだ。このメディスン・シティーでの禁断を。
走りながら、マミヤが聞く。
「どうして戦わずに逃げ出すの、ココちゃん!?」
「アニ……ううん、噂で聞いたことがあるんです。メディスン・シティーでは犬は絶対! 犬を殺したり傷つけた者はひどい目にあうって!」
そして二人並んで、入り組んだ路地の中を走り抜けていく! 野犬や守衛の目を盗み、時によっては見張りを倒しながら、薬のある場所へ向かって。
そして彼女たちが目にしたのは……。
* * * * *
一方、オレとケンとレイはバギーに乗り、メディスンシティーへと向かっていた。
原作ではマミヤさんも捕まっていたから、安心はできないんだよな……。一刻も早く駆け付けなければ……!
それにしても、ココの危機に急いで助けに向かう、というのもこれで二回目だな……。
そんな考えも、妹の危機という大事の前にすぐに吹き飛んだ。そんなとき……。
「あれはなんだ?」
何かがこちらに近づいてくる。あれは……バイクの軍団?
それがはっきり見えてくるようになると、あちらから叫び声が聞こえてくる。
「ヒャッハー! 俺たちはサンダー団だー!」
「とっとと食料をよこしやがれー! さもなくば皆殺しだぜー!」
このあたりを縄張りにしている野盗どもか? くそっ……早くメディスンシティーに行かなくちゃいけないのに!
と、そこで。
「ナノル、ハンドルは任せる」
「え?」
横を振り向くと、ケンが立ち上がり、構えをとっていた。後ろを向くと、レイも同じく戦闘態勢をとっている。
「あいつらは任せておけ」
「うむ、行くぞレイ」
「あぁ」
そう言ってケンとレイが高く跳躍するのと、サンダー団の奴らが、バイクを跳躍させて襲い掛かってくるのとは同時だった!
「おあたぁ!」
ケンが、バイクに乗って襲い掛かってきたやつの一人に蹴りを見舞って吹き飛ばす!
「シャオッ!!」
レイが、すれ違いざまに、サンダー団の奴に手刀を見舞う。
そして二人同時に、オレのバギーに着地。本当にとんでもない奴らだぜ……。
そして攻撃を受けた奴らは……。
「ほー……ほー……ほんだぁ!!」
「すーすーすーずーきぃぃぃ!!」
一人は破裂し、もう一人も細切れ肉に成り果てて命を奪われたのだった。
だが、サンダー団とかいう奴らは、諦めず、まだやってくる! しかも、今度は何台も飛び掛かってきた!
「行くぞ、ケン」
「うむ……たぁっ!!」
そして二人はまた、バギーから跳躍して、サンダー団に飛び掛かった! そして。
「おーあたたたたたたたっっ!!」
「ぶがひっ!」
「あいわっ!?」
ケンが空中で百裂拳を炸裂させ、バイク乗りたちを次々と破裂させていく!
一方のレイも……!
「シャウッ!!」
「なむこぉ!!」
「タァッ!」
バイク乗りを一人を手刀を切り刻むと、そのバイクを足場にさらに跳躍! 別のバイクに飛び掛かる!
「シャウッ!!」
「あべらぁ!」
そのバイクの奴も切り裂く! その要領で、複数のバイク乗りたちを次々と葬っていった!
* * * * *
「ぐぐぐ……ちくしょう、なんだあいつらは!?」
サンダー団の団長、ゴラスは手下たちが次々と、獲物だった奴に倒されていく有様に、歯ぎしりしていた。
彼らはこの地域では名が知られ、敵なしだったのだ。
バイクの機動力で獲物を翻弄し、仕留め、奪っていた彼らが、今はたった三人の男たちに翻弄され、倒されている。
今や、あちらが狩人、こちらが獲物のようである。
「ちくしょう、こうなったら……アレを出せ!」
* * * * *
ケンとレイの力で、次々と襲い掛かってくるバイク乗りたちを撃破していく中、前方から何かが砂煙を巻き上げながら近づいてくるのが見えた。
それは……。
「せ、戦車だとぉ!?」
思わずそう叫んでしまったが、違った。接近してきたのは、鉄板で装甲された大型トラックだったのだ。トラックの荷台にはモヒカンどもが陣取り、こちらに狙いを定めている。
「レイ、ザコどもを任せていいか」
「あぁ。大丈夫か?」
「うむ」
「気をつけろよ。あんたには不要な心配かもしれんが」
「あぁ」
そしてケンはそのトラックに向けて突っ込んでいった。一方のレイは再び空へと跳躍し、バイク兵たちを次々と細切れ肉にしていった。
* * * * *
ケンシロウは一直線に、ゴラスが乗る装甲トラックに突っ込んでいく。それに対し、ゴラスが不敵な笑みを浮かべる。
「馬鹿め、人間が装甲されたトラックに勝てるかぁ! 撃て! 撃ってしまえ!!」
その号令とともに、荷台の手下たちがボウガンをケンシロウに向けて放つ。しかし。
「北斗神拳、二指真空把! あーたたたたっ!」
ケンシロウは、その矢をことごとく二指真空把で返していく。それで荷台の兵士たちが次々と自らの矢に射抜かれて倒れていく。
「お、おのれぇ……こうなれば……」
ゴラスはさらにアクセルを踏み込む!
「ひき殺してやるぅ!!」
そして激突! いや違う! 激突する寸前に……!
「ほあたぁ!!」
ケンシロウの強力な拳が、トラックの前面の装甲に炸裂!
その衝撃で、なんとトラックがとまってしまった!!
「馬鹿な、トラックを止めるとは!? だが、鉄板を何枚も重ねた装甲だ! そんなもので……! そのままひき殺してやるぜぇ!!」
「ふぅー……あーたたたたたたっっ!!」
ゴラスの嘲りにも耳を貸さず、ケンシロウはトラックに百裂拳を放ち続ける。そのうち、装甲がへこみ、ひびが入って、そしてついに……!
「ば、馬鹿なぁ!?」
トラックの前面装甲が砕け散った! そしてさらに!
「ほーあたぁっ!!」
装甲が砕け散って無防備となったトラックの前面に拳を炸裂! それと同時に!
「な、なんだぁ!? ぐわぁ!!」
トラックの運転席にスパークが走ったかと思うと、なんと運転席が炎に包まれた!
「あち、あち、あちぃ~!」
ドアを開けて出ようとするも、そこには既にケンシロウが待ち受けていた。
「好きなトラックなのだろう? ならばそのトラックと運命を共にしたらどうだ。あたっ!」
「あがっ!」
ケンシロウが側頭部の秘孔をついた。それでゴラスは身動きができなくなった。そして、そのまま硬直したゴラスを車内へと押し倒して、ドアを閉じた。
そして、ケンシロウがそこを離れた直後。
ドゴアアアァァァァァ!!
装甲トラックは、激しい炎と音を発して爆散したのだった。
* * * * *
「な、なぜ私がこんな目に……」
ココとマミヤが路地の陰から見たもの。それは広場にて、今にも処刑されようとしている男の姿だった。
その男を、玉座から見下ろしている大男が口を開いた。
「お前は、犬を金属棒で殴打した。その罪、万死に値する」
「そ、そんな……私は、子供から犬を助けるために……あんまりだぁ……うぎゃっ!」
そして男は、元拳王軍の兵士に、熱く焼けた鉄の棒を口の中に入れられ、そのまま棒を後頭部まで貫通されて死んだ。
「いいかぁ! この町では犬こそが正義、犬こそ至高なのだ! 拳王など、犬に比べればクソだ!」
そう狂気の表情で言い放つ大男に、周囲の人々は打ちひしがれる。
「こんなことが……」
「これなら、拳王様に支配されていた時のほうが……」
そして、それを見ていたマミヤとココも、言葉を詰まらせていた。
「あまりにひどい……」
「こんなことってひどすぎるよ……」
しかし、あまりに衝撃を受けていた二人は、背後から迫る殺気に気づかなかった!
幸いにして、それが飛び掛かる瞬間、マミヤが先にそれに気づいた!
「危ない、ココちゃん! はっ!」
「え?」
「ぎゃわん!!」
ココに飛び掛かった野犬を、マミヤがヨーヨーで倒したのだ。
だがそれを、犬好きなあの大男が気づかないわけがなかった!
「また不埒者がわしの友を害したぞ! 探せ!」
「どこだ!?」
「そこか?」
「いたぞ、あそこだ!」
兵士の一人が、二人を見つけて指さした!
「逃げましょう、ココちゃん!」
「は、はい!」
そして逃げ出す二人。二人を追いかける兵士たち。
「馬鹿め、ガルフ様直伝のこの輪投げから逃げられるか~!」
兵士の一人がトゲ付きの輪を投げつける! それはまっすぐにマミヤへと飛んでいき……!
「あうっ!」
「マミヤさん!」
マミヤはその輪に左足を切り裂かれ、倒れてしまう!
「このままでは二人とも捕まってしまうわ。ココちゃんは先に逃げて!」
「え、で、でも……?」
「今言ったように、このままでは二人とも逃げられないわ。でも、ここで私が足止めをすればココちゃんだけは逃げられるはず! さぁ、早く!」
ためらっていたココだったが、マミヤの真剣で悲壮なまなざしが、彼女に決意を固めさせた。
「わかりました! 必ず、レイさんかカレンさんを連れて、助けに戻ってきます。それまで耐えてください、約束ですよ!」
「えぇ、約束よ、さぁ!」
「はい!」
そしてココは、目に涙を浮かべながら、路地の奥へと走っていった。その背後で、マミヤがなんとか立ち上がり、ヨーヨーを構えている……。
感想、ファンアート、募集中です!
* 次回予告 *<テレッテー!!
マミヤとココのため、メディスンシティーへと急ぐナノルたち!
だがそこで彼らは、マミヤの背後に恐るべき男の陰を見た!
次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』
第弐拾伍話『暴かれたマミヤの秘密! 天はいたずらに惨劇を好む!!』
「呼んだか?」
※次の更新は、3/30 13:00の予定です。お楽しみに!
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