北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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世界の枠を超え、この世紀末に降り注いだ存在があった!
その名を転生者!

天に連なる七つの星のもと、地に散らばった転生者たちを巡って、悲劇は繰り返される……!

* * * * *

トキに救われ、目を覚ましたナノル。だがそこにココとマミヤの姿はなかった。
彼女たちはナノルのための薬を手に入れるため、別の町に向かったという。
だがそこは、犬が全ての狂気の町、メディスンシティーだった!

ナノル、ケン、レイはココたちを救うため、途中で悪党を成敗しながら、メディスンシティーへと向かうのだった!

※許さんが許るさんになっているのは誤字ではありませんww
ガルフはバカなのであんな言い方になってしまうのですww


(メディスンシティー編)弐拾五話『暴かれたマミヤの秘密! 天はいたずらに惨劇を好む!!』

 狂気の町、メディスンシティー。

 その入り組んだ路地を、ココは必死に走り続けていた。

 

「マミヤさん、待っていてください……!」

 

 自分を逃がしてくれたマミヤのためにも、この町を脱出し、兄のナノルたちと合流して、マミヤを助ける。ただその一心で。

 

 何度襲い来るモヒカンや野犬をかわし、あるいは倒して切り抜けたかわからない。どのくらい長い間走っていたかもわからない。

 

 だがその逃避行が裏切られる時が訪れてしまった!

 

「へっへっへっ、見つけたぜぇ~」

 

 走る彼女の前方に、ガルフの手下が現れたのだ。急いで戻ろうとするが、後方からも手下から現れた!

 

「……」

 

 覚悟を固めた彼女はダーツを構える。手下たちは哀れな獲物をその手に収めようとじりじりと距離を詰めていく。

 そして。

 

「えいっ!」

 

 意を決してダーツを放つ! しかし。

 

「へっへっへっ、甘いなぁ~」

 

 それは前方の手下にかわされ、頬に一筋の傷をつけるだけに終わった。

 さらに、迫りくる前方の手下にひるんで、後ずさったところを、後方の手下につかまってしまう。

 

「は、放して!」

「ぐへへへ……」

 

 ココは必死に暴れるが、女の子一人の力では振りほどくことはできず。

 そうしているうちに、ダーツで傷を受けた手下が、腰から刀を取り出して、迫った。

 

「へっへっへっ、まずは傷をつけてくれた礼をしないとなぁ……」

「ひっ……」

 

 そして、ココの服の上から刀の切っ先を突き刺し、なぞるように動かしていく。ココの服の胸の生地が切り裂かれ、のぞいた肌から血がにじんだ。 

 その痛みと血、そして手下たちの下卑た笑みがココに恐怖をもたらし、思わず彼女は助けを求めて叫んだ。

 

「い、いやーーー! ナノル兄ぃーーーーー!!」

「ぐへへ、叫んでも無駄だぜ。こんなところに誰も……」

 

 その時だ。

 

「呼んだか?」

「!? ぐはっ!!」

 

 その声とともに、ココを捕まえていた手下が倒れこんだ。

 

* * * * *

 

「ナノル兄!」

 

 ココが、手下を倒した者の名前を呼ぶ。

 そう、その手下の向こうに、ココの兄ナノルと、ケンシロウ、そしてレイの姿があったのだ。

 

「シャウ!!」

 

 さらに、もう一人の手下が動く前に、レイが突進! 水鳥拳を振るった!!

 そして。

 

「あ……あ……あわびぃ~!!」

 

 哀れ、その手下は肉片へと成り果てた。当然の末路であったが。

 

「大丈夫か、ココ?」

「な、ナノル兄……怖かった……! ありがとう……!!」

 

 そして、ココはナノルの胸に飛び込んで泣き出した。よほど怖かったのだろう。

 その頭をナノルが無言で優しくなでる。その様子を、ケンシロウとレイが温かい目で見ていた。

 

 そして少しして、ココがナノルから身体を離した。

 

「無事でよかった。それでマミヤは?」

「あ、そうだった! マミヤさんは私を逃がすために、一人残って……」

 

 それを聞き、ケンシロウとレイが顔を見合わせる。

 

「こうしてはいられない、急ごう。早くマミヤを助け出さなければ!」

「うむ。それでココ。マミヤの居場所はわかるか?」

 

 ケンシロウにそう聞かれるが、ココは申し訳なさそうに首を振った。

 

「ううん、そこまでは……。あ、でも奴らは逆らう者の処刑を広場でしていたよ」

「なら、そこに連れていかれた可能性はあるな。急ごうぜ!」

 

 そして四人で、広場へと走っていく。

 

* * * * *

 

 ナノルの読みは正しかった。

 

 メディスン・シティーの中心にある広場では、今まさに、マミヤの処刑の準備が行われていたのだ。

 その中、ガルフの手下の一人が、恐るべき余興を思いついた。準備を強制されている村人の一人に、トゲ付きの首輪を渡して言う。

 

「おい、この首輪をあの娘に投げてみろ。輪投げの要領でな」

「え、わ、私は……」

 

 村人は拒否しようとするが、悪人である彼にはそれは通用しなかった。

 

「何、いやだとぉ~? なら、お前を首輪で真っ二つにしてもいいんだぜ? ほら、早く投げやがれ」

「ひ、ひぃ~!」

 

 脅しに抗いきれず、村人は目をつぶり、首輪を投げた。

 

「あうっ!」

 

 当然ながら、首輪はマミヤからそれ、かすめた右腕を負傷されただけに終わった。

 それを見て、手下が激昂する。

 

「お前~、わざと外しただろう?」

「そ、そんなこと……ぶぎゃっ!」

 

 怒りのままに村人を一刀両断した手下が、首輪を手に持ち、狂気に満ちた面白そうな声で言い放った。

 

「いいかぁ~? 輪投げというのはこうやるんだ!」

 

 そして首輪を投げた。その首輪は……。

 

「あうっ!!」

 

 見事、マミヤが縛り付けられている棒に落ち、そのトゲでマミヤの身体を痛めつける。

 

「な、なんで私がこんなことをされなくては……」

 

 そうつぶやくマミヤに、玉座に座ったガルフが険しい顔をして言う。

 

「お前は犬を殺した! それだけでも万死に値する! 知っているか? 最終戦争前の日本では、愛護動物を殺したら、5年以上の懲役、または500万円以下の罰金が科せられるのだ! ましてや、全ての犬はわしの友! その罪の重さは、その比ではない!!」

「く、狂ってる……」

「ガルフ様、処刑の準備ができましたぜ!」

 

 部下の一人の声。見ると、マミヤの周囲には、野犬たちが取り囲んでいた。どの犬も猛り狂っていて、その紐を持つモヒカンが手を離せば、一斉にマミヤに飛び掛かり、引き裂き、食いちぎり、彼女をただの骨にしてしまうのは目に見えている。

 

「よし、やれ!」

「へい!!」

 

 ガルフの命令を受け、モヒカンが紐から手を放すと同時に、解き放たれた野犬たちが一斉にマミヤに飛び掛かった!

 そのうちの一匹が、マミヤの首筋にかみつこうとしたところに……!

 

「シャウッ!!」

「やらせねーよ!」

 

 斬撃が走ったかと思うと、その次の瞬間には、その犬は細切れ肉にされていた。さらにその数瞬後には、他の野犬たちも血を吹き出しながら崩れ落ちていく。

 

「レイ、ナノル!」

 

 マミヤが声をあげる。彼女の横に、ナノルとレイが立っていたのだ。犬たちを抹殺したのは誰かか、言うまでもないだろう。そこに、ケンシロウとココも駆け付ける。

 

「シャウッ!!」

「あっ……ありがとう……」

 

 さらにレイの手刀一閃! マミヤを縛っていた縄が断ち切られ、彼女を解放した。

 

* * * * *

 

「お、おのれ~! よくもわしのかわいい友たちを! 許るさ~ん!!」

 

 そう言って、玉座に座っていた大男……ガルフが二つの首輪をもって立ち上がる。もちろん、それに動じるオレたちではない。

 

「友なら人様に迷惑をかけないように、ちゃんとしつけるべきじゃないのか?」

 

 そう軽口を叩くオレに、ケンが答える。

 

「無駄だ。犬なみの知能しかないやつに、何を言ってもな」

「その通りだな。そして、こいつらがくたばる直前に、その友情とやらが真なるものかどうかが明らかとなるだろう」

 

 そのレイの言葉に、ガルフが激昂する。

 

「おのれ! わしと友の絆を侮辱する言葉、許るせん! この首輪で八つ裂きにしてくれるわ!」

 

 ガルフがそう言い放つと同時に、わきに座っていたブルドッグのような犬も、立ち上がり唸り声を上げ始める。

 友とやらもやる気十分みたいだ。

 

「おぉ、セキ! お前も怒ったのか! よし、二人でこいつらを血祭にあげてやろうぞ!」

 

 それを見て、ケンがオレたちに言う。

 

「俺がこの肥えた奴をやる。お前たちはあの駄犬を頼む」

「うむ。油断するなよ」

「任された。マミヤさん、ココ、二人は自分の身を護ることに専念していてくれ」

 

 オレの言葉に、二人がうなずく。

 

「えぇ、わかったわ」

「ナノル兄、気を付けてね!」

「あぁ!」

 

 そして戦いは始まった!

 

* * * * *

 

 セキとかいう犬が吠えると、オレたちの周囲にその手下らしい野犬たちが集まってきた。

 そして、もう一声吼えると同時に、野犬たちが飛び掛かってきた!

 

「ちっ! せいっ!!」

「くぅ!」

 

 最初はたかが野犬と侮っていたが、なかなかどうして。オレたちは奴らに苦戦していた。

 奴らは縦横無尽に飛び掛かり、見事な連携をもってオレたちを攻撃してくるのだ。オレだけでなくレイも、こいつらにはちょっとてこずっているようだ。

 

「正直、甘くみていたな……」

「あぁ。たかが犬と思ったが、なかなかやるようじゃないか。あのデブの飼い犬にはもったいないぐらいだな」

 

 そう言いながら、レイがなんとか犬の一匹を手刀で両断した! だが、その背後から別の犬が襲い掛かる!

 

「やらせるかよ!」

「ぎゃわん!」

 

 間一髪、その犬にダガーを投げつけて、なんとか仕留めることができた。

 だが、その隙に別の犬に飛び掛かられ、残ったダガーを落としてしまう!

 

 その時だ!

 

「ぎゃわん!」

 

 ケンが戦っているほうから、あのガルフの声がした。その声とともに犬たちが一瞬硬直する。

 見ると、ケンが、ガルフから奪った首輪で、そのガルフに攻撃しているところだ。その様子に、犬たちは浮足立っている。チャンスはいまだ!

 

「うりゃ!」

 

 ダガーを拾い上げ、紐を引き寄せて、犬の一匹に刺さったもう一本も回収する。そしてすぐさま、その一本を放つ!

 

「ぎゃんっ!!」

 

 そのダガーナイフは見事、セキの脳天に突き刺さった! セキを失ったことで、犬たちの連携が大いに乱れる。

 

「よくやった、ナノル。一気に逆襲するぞ!」

「おう!」

 

 ここからは形勢逆転! 犬たちの連携が乱れたところを突き、一気に犬たちを撃破していく! 全ての犬たちが果てるまで、そう時間はかからなかった。

 

 そしてオレたちが最後の犬を倒した時、ケンの必殺の蹴りが、ガルフに炸裂していた。

 

* * * * *

 

 ケンとガルフの戦いの決着が着いたところで、オレたちはケンのところに駆け寄った。ガルフは、もう息も絶え絶えだ。

 

「な、なんだ、こいつは……?」

 

 その奴に、レイが言う。

 

「知らないのがお前の不幸だったな。彼はケンシロウ。北斗神拳の伝承者だ」

「な、なんだと!? そ、それじゃ拳王と互角の戦いをしたのは……!」

「その通りだ」

 

 ケンの返事を聞き、ガルフの顔が青く染まる。そして、おびえるように、すがるように口を開いた。

 

「そ、それじゃ、わ、わしは……!?」

「あぁ、もう死んでるな」

 

 手で、爆発する様子をまねして言ってやる。それと同時に、ガルフの身体が醜く歪み、蠢き始めた。そこに、セキもふらふらになりながらやってくる。だがその様子は、どう見ても、飼い主を慰めようという様子ではなかった。明らかにその反対のようだった。

 そのセキに、ガルフが手を差し伸べる。

 

「せ、セキ……わしは死にたくない。た、助け……!」

「……」

 

 だがセキは、その飼い主の手に思いっきりかみついた。それはあたかも、「お前のせいでこうなったんだ。責任とれ!」と言っているかのようだ。

 

 その様子を見ながら、レイが言う。

 

「ふ……いい友だな」

「ぶわは!!」

 

 そしてガルフは砕け散り、セキも細切れ肉となって果てたのだった。

 

* * * * *

 

 ガルフを失った手下たちは一目散に逃げ出した。それを見送る人々の表情にはどこかが安心感が戻ったようだ。

 

「あ……」

 

 そこで緊張感が解けたのか、マミヤさんがへたりこんだ。それを慌ててココが抱き留め、レイも彼女の元へ駆け寄る。もちろん、オレやケンも。

 

「大丈夫か、マミヤ?」

「えぇ……。緊張感が解けて、力が抜けただけ……。そういえばナノル、あなた大丈夫なの……?」

 

 マミヤさんがそう聞いてきた。ココも心配そうにオレを見返す。それにオレは苦笑して答えた。

 

「今更かよ。あぁ、大丈夫だ。トキのお墨付きさ。きっと、気を失っている間に、トキに治療されたんだろう」

「そっか……。よかった……」

 

 そう言って涙ぐむココの頭を優しくなでてやる。

 そこでレイが、何かに気が付いたかのように、マミヤさんに対して口を開く。

 

「マミヤ……もう戦いは捨てろ。これ以上、お前が傷つく必要はないんだ」

 

 その声色や口調からは、レイが心の底から、マミヤさんを心配しているのがうかがえた。

 それをマミヤさんも感じ取っていたのだろう。マミヤさんは申し訳なさそうな笑みを浮かべると首を振った。

 

 そう、マミヤさんは戦いを捨てることはできないのだ。あの男が倒されない限り。

 

「ごめんなさい……。でも私には、戦い続けなければならないわけが……」

「マミヤ……。……!?」

 

 そこでレイが気づいた。マミヤの右肩に押された忌まわしい呪いの跡に。

 

「こ、この紋章は……U……D!?」

 

 そう、マミヤさんの右肩の後ろにはUDの文字をあしらった紋章の焼き印が刻まれていたのだ!

 それを見た村人たちも同情するように口を開く。

 

「あ、あれは……U.D……ユダだ!」

「あの女は、ユダの女だったのか!」

「かわいそうに……あの女も、地獄を見てきたのか!」

 

 その声を聴きながら、レイが愕然とした表情で、マミヤさんに問う。

 

「マミヤ……なぜおまえがユダの紋章を!?」

「そう、その男は、私の道を決定づけた男……。心の中にも同じ傷が……」

 

 その様子を見ながら、オレは新たなる暗い影が近づいてくるのを感じ取っていた……。

 

* * * * *

 

 某所にある城の中。

 その広間にある大きな鏡の前に立つ美しい男。自分の身体に酔いしれているようなかの男は、背後に控える女たちに問いかける。

 

「お前たち、俺は美しいか?」

「はい、ユダ様」

 

 ユダと呼ばれた男は、さらに問いかける。

 

「お前たち、俺は強いか?」

「はい。ユダ様に勝る者など存在しようがありません」

 

 それを聞いたユダは、満足気な笑みを浮かべて言い放つ。

 

「そう。俺はこの世で最も強く……そして美しい!」

 

 




感想、ファンアート、募集中です!

* 次回予告 *<テレッテー!!

マミヤの呪縛を解くため、ユダの討伐に向かうレイとケンシロウ、そしてナノル!
だが、そのユダの策略は早くもレイをからめとろうとしていた!

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第弐拾陸話『マミヤを襲った数年前の悲劇! ユダの策略の足音が聞こえる!!』

「あの男にはせいぜい、ピエロのようにあがき続けてもらおう。その無様な姿、格好の酒の肴になるとは思わんか? くくくく……ふはははは!!」

※次の更新は、4/6 12:00の予定です。お楽しみに!

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