北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました 作:ひいちゃ
その名を転生者!
天に連なる七つの星のもと、地に散らばった転生者たちを巡って、悲劇は繰り返される……!
* * * * *
ピンチに陥ったココとマミヤを救い、メディスンシティーを支配するガルフを倒したナノルたち。
だが、安堵したのもつかの間、ナノルたちは、マミヤを縛る呪縛の一端を目撃するのだった。
その一端に記されていたのは……ユダ!!
「教えてくれ、長老。一体マミヤの身に何があったのだ?」
元舞鶴市であるマミヤさんの村。
そこにある、崩れ落ちずに残ったビルの屋上で、レイは長老に問い詰めていた。
思いを寄せているマミヤさんのことだ。レイもその過去がとても気になるのだろう。オレも気持ちはわかる。
一方の長老は、やはり内容が内容だけにためらっていたが、やがて口を開いた。
「やはりお話しなくてはなりますまい……あの忌まわしき三年前の出来事を……」
そして長老から語られたマミヤさんの過去は、やはり原作と同じ内容の、まさに忌まわしいものだった。
三年前、マミヤさんの結婚式の場に現れたユダ。ユダはその場に居合わせ、邪魔をしてきた村人たちを斬殺すると、マミヤさんの両親を抹殺し、そのまま彼女を連れ去ったのだ。
それから一年後、ユダにあきられたか、それとも何かの怪我を負ったのを見とがめられたのか、マミヤさんは野に放り出された。それから村にたどり着くまでの苦難というには生ぬるいほどの苦難は語るべくもないだろう。
そしてその事件以降、彼女は女を捨て、戦士として生きる道を選んだのだった。
その話を聞き、レイは衝撃を受けていた。原作を知っているココやアキも涙を浮かべているし、フラニー……いや、アイリに至っては嗚咽をもらしている。
その中、レイは衝撃から立ち直り、決意を固めたような表情を浮かべた。
* * * * *
砂漠の中にある町、ギマラタウン……旧金沢の町。その一角に大きい、ピラミッドのような城がある。
この一帯……北陸地方北部を収める南斗六聖拳・ユダの居城である。
その玉座の間にて、大鏡に自らの半裸を映し出して悦に浸っているユダの背後に、一人の男……副官のダガールが現れた。
「ユダ様、偵察が戻ってまいりました」
「そうか。それで、どうだ? 拳王はまだ戻らぬのか?」
ユダの質問に、ダガールがうなずく。
「はい。ケンシロウとの戦いの傷が深いのでしょう。いまだに戻っておりません。ユダ様、今こそ動く好機かと」
ダガールがそう告げると、ユダは一瞬、苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべると、すぐにそれを消し、服を着替えて、玉座へと歩き出した。そして告げる。
「拳王を侮るな。サウザーが十字陵建設で動かない今、うかつに動けば墓穴を掘ることになる。引き続き、拳王軍に目を光らせろ。そして、重ねてサウザーに出陣を促す使者を出すのだ」
「ははっ」
ダガールはそう返事を返したが、ユダにはまた使者を出してもサウザーは動かないのはわかっていた。ダガールに言われるまでもなく、まさに今が勢力拡大の好機であるとわかっている。なのにサウザーが動かないせいで、自分も動けない今の状況にいら立ちを隠せずにいた。
(おのれ、サウザーめ……!)
そんな彼だったのかもしれない。ユダはあることに気が付いた。茶色のセミショートの髪をした娘の前で足を止めたのだ。
その娘の名はサキ。かつてKING軍で、ユリアの侍女として働き、その崩壊にあたり、近くの町に放逐された娘である。その後は町で穏やかに暮らしていたのだが、ユダの女狩り隊に連れ去られていた。
その娘の髪を、ユダは無造作につかみ上げる。あらわになった額にはかすかな傷が刻まれていた。
「なんだ、この傷は?」
「え、い、いえ、これは……」
サキの返事も聞かず、ユダはそのまま彼女の髪をつかみ、引きずっていった。
「この場にいられるのは完璧に美しい者のみだ」
「ゆ、許してください……!」
「それを崩した今、ここにお前の居場所はない。去るがいい」
「そ、そんな……あの荒野の中、私だけで生きては……」
しかし、聞く耳持たず、ユダは玉座への扉は片手で開き、その先に待つモヒカンどもの群れに、サキを放り投げた。
「お前たちに任せる。好きにするがいい」
それを聞き、部下たちが騒ぎ出す。
『ひゃっはーー!』
『やったーーー!!』
そしてその中、サキの悲鳴が響き渡る。
「い、いやああああああああ!!」
そしてユダは扉を閉じた。そして高笑いをあげる。
「ふふふふ……ふははは……ふははははは!!」
* * * * *
一方のマミヤの村。そこの入浴場で、マミヤはリン、ココと一緒にお風呂に入っていた。
その中、マミヤは自分の腕を見て自虐的な笑みを浮かべた。
「見て、リンちゃん。私の腕、こんなに硬くなっちゃった……まるで男の人みたいに……ふふ……。……っ」
だがその笑みは、すぐに嘆きの顔に変わる。嗚咽がもれる。
「消せない……いくら身体を洗っても、この傷だけは……」
そこに一人の男が現れる。南斗水鳥拳のレイである。その顔には堅い決意が感じられる。
「女だ……やはりお前は女だ!」
「レイ!」
入浴場に入ってきたレイは、そのマミヤの涙を拭きとると言った。その声にも強い決意が込められていた。
「ユダは俺が倒してやる」
だが。
「や、やめてレイ! 私は愛を捨てた女! あなたの愛に応える資格はないの!」
「マミヤ……」
「やめて……これ以上私を苦しめないで!」
そう言い捨てると、マミヤはたまらずその場から走り出していった。
ユダとの一件以来、愛を拒み、女であることを捨てて戦ってきた彼女にとって、レイの愛は受け止め切れない重いものだったのだ……。
* * * * *
マミヤさんが走り出てきた入浴場に、オレとケンも入ってきた。彼女が全裸で走り去っていったことは見ないことにしておこう。
そしてそこでケンが言った。
「やはりユダを倒す気か」
「ケン……あぁ」
「ユダが南斗六聖拳の一人……そして、南斗六聖拳を崩壊させた元凶だからか」
「知っていたのか」
「まぁな」
「南斗六聖拳?」
そう聞いてきたケンに、レイが答えた。
「そうだ。俺とお前の強敵、シンの他に、後四人、南斗の拳を極めた男たちがいる。それが南斗六聖拳だ」
「南斗六聖拳……」
「しかし、お前がユダによる裏切りのことまで知っていたとは驚いたな」
「噂でちょっと聞いただけだよ」
そこまで言ったところで、レイは苦笑を浮かべて言った。
「ふ……俺はいずれは戦いの中で果てる身。マミヤの愛など求めん」
「……」
オレとケンが沈黙して聞き入る中、レイは続ける。
「ただ俺は、死ぬとしたらあの女のために死に、彼女の心の中で生きていきたいだけだ」
「心の中で……」
ケンがそうつぶやく。
「そうだ。こんな世の中、男たちの命は短い。だからこそ、好きな女たちの心の中に残り、ずっと生きていられたら素敵だと思わないか?」
「……そうだな」
オレがそう言うと、レイは微笑んでうなずき、そして真剣な顔をして入浴場の出口を見据えていった。
「それでは行くとしよう。南斗六聖拳、紅鶴拳のユダ。俺の全てを賭けて戦うにふさわしい男だ」
* * * * *
そして旅立ったオレ、レイ、ココ、ケンの四人が立ち寄った村。そこではさっそく、モヒカンたちの暴虐が行われていた!
「お願いです、どうか妻だけは、妻だけは……!」
女性を連れ去ろうとしているモヒカンたちのリーダーに、夫らしい男がすがりついてそう訴えている。あれは……。
「女狩り隊か。さっそく出くわすとはな」
「知っているのか、ナノル?」
「あぁ」
そしてココがオレのあとを引き継ぐ。
「アミバのところの木人形狩り隊みたいに、あちらこちらの町や村から女性をさらってユダのところに連れていく人たちだよ」
「なるほどな……よく知っている……って、聞くだけ野暮か」
「あぁ、そうしてくれるとありがたいぜ。とにかく、あの男性と女性を助けないとな」
そして駆け出していくオレたち。しかし。
「そうかぁ……ならば土下座したら考えてやるぜ。ぐへへ……。ほら、早くしろや」
「は、はい……どうかお願いしま……ずぅ!?」
なんと、リーダーは、土下座した男を持っていた刀で真っ二つにしたのだ! 言われた通りに土下座した男をである。
その男の死骸を見下ろしして、リーダーが下卑た笑いを浮かべて言い放つ。
「ぐへへへ……馬鹿め~。『考える』とは言ったが、『必ず返してやる』とは言ってないぜぇ~。おい、この女たちを早くトラックに乗せろ!」
「へ……いぃぃぃ!?」
その時、リーダーにそう答えようとした手下の一人が真っ二つにされる。レイが水鳥拳で真っ二つにしたのだ。
「な、何者だお前たちは!?」
そのリーダーの質問に、まずオレがダガーナイフを抜いて構えながら答えてやる。
「さてな。教えても、お前のような腐った頭の奴はすぐ忘れてしまうだろ?」
続いてケンが指を鳴らしながら。
「外道どもに、教える名前などない」
最後にレイが。
「ましてやお前たちがユダの手下ならば、容赦はせん」
「ふざけやがって……やってしまえ!!」
リーダーの号令一下、手下たちがオレたちに襲い掛かってきた!
* * * * *
「それ! はっ!」
「えぇい!」
オレとココが協力、連携して、手下たちをかたっぱしから倒していく。
「おーあたたたたたっ!!」
「ぶらんばっ!!」
「あらびゅっ!!」
ケンが北斗神拳で手下たちを次々と吹き飛ばしていく。
こうしてオレとケンが手下相手に奮闘している中、レイはそのリーダーと対峙していた。
「でやぁ!!」
リーダーが刀を振り下ろした! レイはそれを華麗な動きでかわす。
レイの背後にあった大木が、刀の一撃で真っ二つになった。
「ほう……その刀が、お前のご自慢のようだな」
「その通りよ。お前もあの大木のような真っ二つにしてやるわ~!!」
そして奴は、連続してレイに刀を振るっていく。その刀さばきは鋭く見事だが、それでもまだまだ粗削りで、オレやケン、レイの足元にも及ばない。その攻撃をかわし続けるレイの表情に、まだまだ余裕が見えるのがその証拠だ。
「おのれ、ちょこまかとかわしおって~!」
そう叫び、リーダーが力いっぱい、刀を縦一文字に振るう! その時。
「そうか……ならば、今度はこちらからいかせてもらおうか」
レイが初めて踏み込んだ! その刀の一撃をかわし、リーダーの横を通り過ぎる!
「ぎゃあああああ!!」
リーダーが悲鳴をあげる。レイの手刀の一閃が、通り過ぎるのと同時に、リーダーの両腕を斬り落としていたのだ!
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ!」
「リーダーがやられたあぁぁぁぁ!」
「逃げろおぉぉぉぉ!!」
それを見て、手下たちは一斉に逃げ出す。
その中、オレはある奴に目が留まった。あれは……ルブラとか言っていた、アミバの手下じゃないか? 今度はユダの軍に紛れ込んでいたのか。
* * * * *
一方、ギマラタウンの町。その玉座の間に、ダガールが現れた。そして報告する。
「ユダ様、女狩り第4隊のルブラが一人だけ帰ってきました。彼の報告によれば、ケンシロウとレイの二人、あと二人、知らぬ男女と遭遇、部隊は壊滅したとのことです」
「そうか、レイと遭遇したのか」
「はい。ルブラの話では、ユダ様の居場所を探っているとのことでした。どうなさいます? 迎撃の準備をなされますか?」
「そうだな……」
そう言うが、すぐにユダは考え込み、そして妖艶すぎる笑みを浮かべた。
「いや、気が変わった」
「ユダ様?」
「あの男にはせいぜい、ピエロのようにあがき続けてもらおう。その無様な姿、格好の酒の肴になるとは思わんか? くくくく……ふはははは!!」
玉座の間にユダの高笑いが響く。一体ユダはどのような策を思いついたのであろうか……?
* * * * *
さて、手下が逃げ去った後、レイは怯えるリーダーに歩み寄り、そして手刀を突き付けた。
「へ、へへへ……どうか命だけはお助けを……」
「……質問に答えたら考えてやる。答えろ、ユダはどこにいる?」
「か、かつて金沢市だったところにある町、ギマラタウンです……」
「そうか……それだけ聞けば十分だ。次は閻魔様に裁いてもらうんだな」
そしてレイは手刀をひゅっと横一文字に振るった。
「へ、た、助けてくれるはずじゃあ……?」
「考えてやるとは言ったが、必ず助けてやるとは言った覚えはない」
「そ、そんな、約束が……!」
そこにケンがとどめの一言を放つ。
「その言葉、あの男性にも言うんだったな」
「ひ、ひどひどどばあぁぁぁ!!」
そしてリーダーの頭は、その胴体と永遠の別れを告げた。
「これで奴の居場所が明らかになったな」
「あぁ……だが……」
「なんだ?」
「まさかとは思うが、ユダがオレたちの追跡を煙に巻くために、既に居場所を変えている可能性も否定はできないと思ってな」
原作でも一回、アニメではさらに一回居場所を変えているからな。可能性は十分にある。
まぁ、この世界ではレイは五体満足だからな。逃げられたらさらに追いかければいい。
レイも同じ考えをもっていたらしい。
「あぁ。だが、それなら奴を捕まえるまで追い続ければいいだけだ」
「うむ」
「それでは、そのギマラタウンの町へ行くとするか」
レイがそう言って、歩き出そうとしたとき!
「……様……ココちゃん……どこ……?」
その声とともに、ボロボロの娘がうつろな瞳で、よろめきながら歩いてきたのだ!
ココの名前を知っている彼女は一体!?
感想、ファンアート、募集中です!
* 次回予告 *<テレッテー!!
ユダの暴虐による犠牲を目の当たりにしたナノルたちは、ユダへの怒りを胸に、再び奴を追う旅を続ける!
だが、ユダの策略に囚われた彼らに、その副官ダガールの爪が襲い掛かる!
次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』
第弐拾八話『外道ども! 苦痛地獄への片道切符を用意しろ!!』
「お前も自分の醜さに思いを巡らせるべきだったな」
※次の更新は、4/13 13:00の予定です。お楽しみに!
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