北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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世界の枠を超え、この世紀末に降り注いだ存在があった!
その名を転生者!

天に連なる七つの星のもと、地に散らばった転生者たちを巡って、悲劇は繰り返される……!

* * * * *

マミヤを縛る男、ユダ! 愛する女をその呪縛から解き放つため、レイ、ナノル、ケンたちは旅立った。
その途中、ユダの手下を倒した彼らの前に、一人の娘が近寄ってきたのだった。
そしてその一方、ユダはレイをあざ笑うために策略をめぐらせていたのだった!



(UD編)第弐拾七話『外道ども! 苦痛地獄への片道切符を用意しろ!!』

「ユリア様……ココちゃん……どこ……?」

 

 そうつぶやき、ふらつきながら歩いてきた娘。その彼女のあまりのありさまに、オレたちは絶句した。

 

 年頃はココと同じくらいだろうか。栗色のセミロングの髪はところどころちぢれ、目はうつろ。着ている服もボロボロ、服というより布切れに近い状態になり果てていた。

 そんな彼女はただ、ユリアとココの名前を呼びながらふらふらと歩いているだけ。どう見ても正気を失っている状態だった。

 

 精も根も尽き果てたのか、娘が倒れこむ。その身体をケンがしっかりと抱き留めた。

 

「サキちゃん……どうして……?」

 

 彼女の元に駆け寄ったココが、ショックを受けながらそうつぶやく。そんな彼女にレイが問うた。

 

「知っているのか?」

「はい……。私がナノル兄と再会する前、KING軍に身を寄せて働いていた時、仲良くしてくれた子なんです。ユリアさんの侍女をしていたんですけど、どうしてこんなことに……」

「ユリアの……」

 

 さらに聞くところによると、その後、ケンが迫ってくるにあたり、シンはケンとの戦いの決着とその後の混乱から二人を逃がすために、二人を追放の形で脱出させたという。それから二人は一時別れたという話だが……。

 

「よほど辛い目にあったんだろうな……。しかもこの様子からすると、性的にひどいことまで……」

「サキちゃん……なんてひどい……」

 

 みんなでサキという娘を見守る。その彼女は、ただココとユリアの名前をつぶやくだけだ。

 

「……」

 

 そこでケンがサキの身体の何か所を押す。何かの秘孔だろうか?

 

「ケン?」

「正気を取り戻す秘孔と、辛い記憶を封印する秘孔、あと……一時的に卵子の排出を抑え、妊娠しにくくする秘孔を押した。既に受精か妊娠してしまったのならどうにもならんが、そうでなければ、これで望まぬ妊娠をする可能性は低くなるだろう」

「そうか……。あとはとりあえず、手当をしてやらないとな」

「うん、私、準備をしてくる!」

 

 そしてココは、バギーに応急処置キットを取りに走っていった。

 

* * * * *

 

「あ……」

「あ、サキちゃん! 大丈夫?」

 

 目を覚ましたサキに、ココがそう声をかける。サキの瞳には確かな意思の光が宿っていた。どうやら正気を取り戻したようだ、よかった。

 

「うん……でも、どうして私……? ココちゃんと別れてから、ユダ軍につかまって、ユダ様の侍女になって、そして捨てられて……それで……ぐす……」

 

 サキの目から涙がこぼれ落ちる。ユダの手下に色々されて、ここに来るまでの間にもひどいことをされたりしたという具体的な記憶は、ケンの秘孔で封印されているが、やはりひどいことをされた、という記憶自体は朧気ながらも刻み込まれているのだろうか……。

 

 そのサキの身体をココが優しく抱きしめた。

 

「いいんだよ。もう大丈夫だから……。もう辛いことは何もないんだよ……」

「ココちゃん……ココちゃん……! うわああぁぁぁ……!!」

 

 そしてサキもココを抱き返して、激しく号泣した。これまで塗りこめられた汚れを洗い流すかのように……。

 

* * * * *

 

「それじゃ長老、彼女のことをよろしくお願いします」

「はい、わかりました。改めて、くれぐれも気を付けて行ってきてくだされ」

「ナノル兄、くれぐれも気を付けてね!」

 

 マミヤさんの村。サキを連れてこの村に戻ってきたオレは、長老にココとサキの二人を預けてそう言った。

 これからギマラタウンに殴り込むに行くわけだが、さすがにそこにサキを連れて行くわけにはいかない。危険だし、何より思い出すのもおぞましい記憶のある町だからな。そして、ココにはサキを支えてもらわないといけない。

 なので、こうして二人を預けに戻ってきたというわけだ。

 

「それじゃ行くか、ケン、レイ」

「うむ」

「あぁ。ユダにサキの分の借りも返してやらなくてはならんからな」

「そうだな……。あ、マミヤさんに顔を見せに行かなくていいのか、レイ?」

 

 オレはレイにそう聞いた。

 長老によると、マミヤさんはレイとの一件があってから、ずっとご飯と寝る時以外は両親の墓の前で祈りを捧げる毎日だという。

 やはり自分の過去と、レイとのことで思うところがあるのだろうか。

 

 だがレイはオレの質問に苦笑しながら答えた。

 

「あぁ。今はマミヤも、自分ひとりで気持ちの整理をつけたいのだろう。それを邪魔するのは野暮というものだ。それに、マミヤは強い女だからな。きっと立ち直ってくれるはずだ。オレたちは少しでも早く、ユダを倒すことに専念するべきだと思う」

「そうだな。それじゃ行くとしようぜ」

 

 そしてオレたちは、再びバギーに乗って、村を出て、ギマラタウンに向かった。

 

* * * * *

 

 そしてギマラタウンにやってきた。そこでは、ユダの手下たちが町の人たちを惨殺していた。

 

「へっへっへっ! 醜い奴らは皆殺しだぜ~!!」

 

 手下たちはそう叫びながら武器をふるっている。どうやら……。

 

「彼らが醜いと思ってる奴らを殺して回ってるようだな」

「うむ。ユダの町に美しくない者はいらない、というところか」

「自分たちも醜いという意識はないようだがな」

 

 オレたちがそう会話しているところで、手下たちのリーダーと思われる大男がオレたちのところにやってきた。

 

「お前たち、なかなかいい顔してるじゃねぇか」

「はぁ、そりゃどうも」

「だが、ユダ様に比べれば全然醜いぜ、だからしにぇ!?」

 

 男は勝手な理屈をつけてオレたちをぶち殺そうと武器を振り上げようとしたが、そこでケンによって壁に叩きつけられた。

 

「お前も自分の醜さに思いを巡らせるべきだったな」

 

 そう言い放つケン。大男は壁から身を離すと……。

 

「ふ、ふざけやが、やが……やがあああああ!!」

 

 既に秘孔を突かれていたのか、再び武器を振り上げようとしたところで身を爆ぜさせた。それを見て、他の手下たちか震え上がっている。

 うん、これなら簡単に教えてもらえそうだな。

 

「なぁ、ユダの城はどこか教えてもらえるか?」

『あ、あそこです!!』

 

 その場にいた全員が奥にある建物を指さした。教えてくれてありがとうございます。

 

 そしてオレたちは、ユダの居城へと歩みをはじめた。

 

* * * * *

 

 オレたちは城の廊下を進んでいく。ユダの手下たちが襲ってくるが……。

 

「おあたぁっ!」

「げへらぁ!!」

「シャウッ!!」

「びぎゃら~!」

「それそれそれっ!」

「うおらぐぁ!!」

 

 ケンの北斗神拳、レイの南斗水鳥拳、そしてオレのダガーの前に難なく排除されていく。

 そうしていくうちに、大きな扉の前に到達した。そこに一人のひげ面の男が立っていた。とっても慇懃無礼な印象を受ける男……確かダガールだったか。

 

「お前は?」

「はい、私はユダ様の副官、ダガールと申します。以後よしなに。それでは、中に……」

 

 そして彼に先導されて中に入る。そこには案の定、誰もいなかった。

 

「これは……やはり、行方をくらましていたか」

 

 レイがそうつぶやく。原作ではユダは、ダガールにもこの城を出たと思わせておいて、実は隠れていたのだが、気配からすると本当にこの城にはいないようだ。

 ダガールはレイの言葉に、嘲笑に限りなく近い表情を向けて言った。

 

「えぇ、その通りですよ。あの方は賢いお方。無駄な戦いはしないのです。ユダ様は言っておられました。『レイが愛とやらにあがく無様な姿を酒の肴にさせてもらう』とね。私も同感ですよ。愛のために生きる男など愚かで、滑稽すぎるものですとも」

 

 ダガールがそう侮蔑したかに言うと、レイも侮蔑したような笑みを浮かべた。だがその笑みには静かな怒り……愛を侮蔑された怒りが感じられた。

 そして構えをとっていう。

 

「哀れだな。愛こそ大切なもの。それがあるから、人は安らぎ、人を信頼し、人から信頼される。愛のない生き方など、自分を人でなくする所業にすぎん。それがわからないお前たちこそ愚かだ。そしてそんなお前など、右腕一本で勝てる」

 

 それを聞いて、ダガールの表情に怒りが浮かんだ。

 

「おのれ、ユダ様のみならず、私をも愚弄するのですか! いいでしょう、ならばその言葉を後悔させてあげましょう!!」

 

 そしてダガールは床を蹴り、レイに飛び掛かる。しかし!

 

「シャウ!!」

 

 レイも跳躍し、右腕を目にもとまらぬ速さで振るった! そしてお互い、同時に着地。

 

「ぐわあああぁぁ! 馬鹿なあぁぁぁ!!」

 

 ダガールは全身に傷を刻まれて、血を噴き出して倒れた。レイは通り過ぎざまに、右腕の一閃で無数の斬撃を放っていたのだ。それだけではない。かなりの激痛なのか、彼は激しくのたうち回った。

 

「断ち切らない程度、だが最大限の苦痛を生むぐらいにお前の神経を傷つけてやった。愛を愚弄した報いを受けるんだな」

「いてぇ~……あがぁ~……た、助け……」

「助けてほしければ、ユダの居場所を教えろ」

「ゆ、ユダ様はブルータウンだぁ~……。かつて、白山市に呼ばれたところだぁ~」

 

 そこまで聞いて、レイは立ち上がった。

 

「そうか」

「さぁ、教えたぞ~、助けてくれぇ~」

「残念だが、その表情ではまだ愛を愚弄する気持ちが消えていないようだ。もうしばらく苦しむんだな」

「そ、そんな……あんまりだぁ~」

 

 そのダガールの恨み節を聞き流し、オレたちは戦いの場だった玉座の間を出た。

 

「やっぱり無駄足を強いられたな。やはり、妖星、裏切りの星は伊達じゃなかったか」

 

 オレがそうため息をつきながら言うと、レイは少し驚いた顔をして言った。

 

「驚いたな。まさか俺たちの宿星のことまで知ってるとは。本当にお前を敵に回さなくてよかったよ」

「お褒めにあずかり嬉しいぜ。それにしても、別にタイムリミットがあるわけじゃないのに逃げ回ってるってのは、オレたちを弄んで悦に浸ってる他に……」

「うむ。武蔵と小次郎のように、俺たちを焦らせるつもりなのかもしれん」

 

 ケンの言葉に、レイはうなずいた。そして、堅い決意を持った声で言葉を紡ぐ。

 

「そうかもな。だが奴がどういうつもりであろうと、俺たちは奴を追い、そして討つだけだ。例え地獄の果てまでもな」

「そうだな」

「うむ」

 

 そしてうなずきあうオレたち。そしてオレたちは、次なる目的地・ブルータウンへ向けて、城を後にしたのだった。

 

 




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* 次回予告 *<テレッテー!!

ユダを追い、ブルータウンへと向かうレイたち。その彼らを町の支配者、プーガルが水底に引き込もうとする!
果たして、彼らはプーガルを倒し、ユダのもとにたどり着くことができるのか!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第弐拾八話『ブルータウンにこだますレイの叫び! ユダはいずこに……』

「少しばかり生きる時間を与えてやった。行くがいい。お前の主の元へ。お前の姿がメッセージとなる」

※次の更新は、4/20 13:00の予定です。お楽しみに!

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