北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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世界の枠を超え、この世紀末に降り注いだ存在があった!
その名を転生者!

天に連なる七つの星のもと、地に散らばった転生者たちを巡って、悲劇は繰り返される……!

* * * * *

ココの旧友、サキと出会ったナノルたち。彼女にユダがした仕打ちに怒りを燃やしつつ、彼らはギマラタウンへと向かう!

だが、ユダは既にギマラタウンからブルータウンに向かった後だった。

レイと彼が抱く愛を嘲笑したダガールを倒した彼らはブルータウンへと向かうのだった!


(UD編)第弐拾八話『ブルータウンにこだますレイの叫び! ユダはいずこに……』

 オレとケン、レイはユダを追って、かつては白山市と呼ばれた町、ブルータウンへと向かっていた。

 

 さすがに標識も何もない中、フラニーナビがないので難儀する……かと思われたが。

 

「レイ、こちらのほうであっているか?」

「あぁ、そのはずだ」

 

 さすがフラニー……アイリの兄だからか、それともユダを倒す一念が奇跡を起こしたのか、レイが見事にナビをしてくれた。

 そのナビゲーションは、フラニーナビに匹敵するほどで、一人で旅してた頃に比べると、安心感が段違いだ。

 

「それにしても、レイのナビがとても正確で助かるな」

「これでも、アイリとジャギを追って、長い間旅してきたからな。旅慣れているほうだと思う」

「どこかの伝承者が行き倒れていたのとは偉い違いだな」

「……なぜ知っている」

「……噂で聞いたんだよ」

 

 そんな会話を交わしながら、バギーを走らせていく。そして、もう一日ぐらいでブルータウンに着くかと思われたその時!

 

 バギーの前方にふらつく少年が現れたのだ!

 

「うわっと!?」

 

 ブレーキを踏むと同時にハンドルを切る。そのおかげあって、なんとか少年をひき殺すことも跳ね飛ばすこともなく止まることができた。すぐさま、車を降り、倒れこんだ少年のほうに向かう。

 

「どうした、しっかりしろ、ガキ?」

「助けて……お願い……ブルータウンを……」

 

 声をかけてみるが、少年はうわごとのようにそうつぶやくだけ。

 どうやら、この暑さで重度の熱中症になってしまったようだ。助けてあげたいところだが、医療に詳しいココはここにいないしな……。

 

 どうしようかと困っていると、ケンがその少年を抱き起し、胸の一点に指をあて、そして押した。途端に少年の表情から苦しさが消えていった。

 

「ケン?」

「とりあえず、熱を下げて楽にする秘孔を押した。しばらくすれば目を覚ますだろう」

「そうか……」

 

 少年を治療したオレたちは、彼を後部座席に乗せ、再びバギーをブルータウンに走らせることにした。

 

* * * * *

 

 そして到着したブルータウン。そこでは、全ての町人が渇きに苦しんでいた。

 

 少年の話では、ブルータウンはユダの手先、ブーガルに支配されているという。そのブーガルは水を独占し、自分が入浴するために使っているという。

 そのために、街の人たちは水を飲むことができずに苦しんでいるというのだ。

 

 あの少年は、街の人を助けるために、ブーガルを倒してくれる人を探すか、新しい水場を探しに町を出たのだという。

 

 そして今も……。

 

「よし、誰も見て……ぶぎゃっ!」

 

 井戸で隠れて水を飲もうとしていた男性が、背中から投げやりに貫かれて命を奪われてしまった、

 その向こうからモヒカンどもがやってくる。

 

「へっへっへっ。ブーガル様の水に手を出すからこうなるんだ」

「その通りよ。ここの水はブーガル様と俺たちのものだぜぇ。さて、それじゃ水を飲むとするか」

「あぁ、仕事をして、のどがかわりゅ!?」

 

 突然、モヒカンの一人が頭を地面にめり込まされた。ケンが奴の頭を地面に叩きつけたのだ。

 

「だ、誰だお前たちは!?」

「そんなに水を独占したければ、地獄の血の池の血でも独占するんだな……」

 

 そう言って構えをとるケン。地面に叩きつけられたモヒカンも、起き上がり、戦闘態勢をとる。

 

「ふ、ふざけやがって! ぶっ殺してやる!」

「ザコほど同じことをしゃべる」

「まったくだな。どうするケン? オレたちも戦うか?」

「いや、その必要はない。俺だけで十分だ」

 

 そのケンの言葉に、モヒカンの一人がいきりたつ。

 

「ば、馬鹿にしやがって~! 地獄で後悔しやがれ~!」

 

 そう言って襲い掛かるモヒカンたち。その一人が振るう斧をかわし、ケンがカウンターで突きを放つ! それは見事にモヒカンに炸裂!

 

「うわびゃ!!」

 

 そのモヒカンが頭部を膨らませ、そしてはじけた。

 

「お、おのれ~!」

「ぬあ~!!」

 

 強がりながらもおじけつきかかっている残りのモヒカンにケンが飛び掛かった。そして、スペードとの戦いでやったように、敵の腕を抱えてへし折り、そして、両こめかみに指を突き刺した。

 

「な、何をしやがった……?」

「少しばかり生きる時間を与えてやった。行くがいい。お前の主の元へ。お前の姿がメッセージとなる」

「ふ、ふざけやがって。覚えてやがれ~!!」

 

 そう捨て台詞を吐いて、残されたモヒカンが逃げていく。それを見送ったレイが言った。

 

「このまま逃がしておいてかまわんのか?」

「うむ。あいつには、ブーガルとやらのメッセージになってもらう」

 

 そうケンが言ったころには、あのモヒカンは姿を消していた。

 そういえば、ケンが突いたあの秘孔、確かあれは……。

 

* * * * *

 

 そのころ、ブーガルの城。その巨大なバスルームでは、街の主、ブーガルがこれまた大きな風呂に浸かっていた。そのバスタブの脇には老人の死体が倒れている。

 

「う~ん、やはりお風呂は最高だ~。ん?」

 

 その至福の時間を邪魔するかのように、足音が近づいてくる。そしてドアが開かれた。

 

「ぷ、プーガル様、た、たいへ……びぎゃっ!」

 

 入ってきたのは、ケンに秘孔を突かれたあのモヒカンだ。だが、入ってきたモヒカンは主の姿を見ると、突然胸を膨らませ、破裂させた。その血が、プーガルの体にかかる。そのことに、プーガルが激昂する。だがそれは、自分の部下を殺された怒りからではない。

 

「お、おのれ~! 俺様の身体を汚すとは許せん~!! 必ずぶち殺してくれるわ~!」

 

 そして怒りを表し、出陣の決意を固めるプーガル。だがそこですぐに湯舟に身体を沈めた。

 

「おっと、その前に、身を清めないとな」

 

* * * * *

 

 そしてオレたちは、街の中心にある、湖の真ん中の島に建つ城の前にやってきた。

 おそらくここに、ここの主プーガルと、ユダがいるに違いない。

 

「ここにユダが……」

 

 そう言って、レイが手刀を鋭く振るう。

 

「あぁ。きっとここにいるはずだぜ」

 

 そう言って、オレもダガーを抜き放つ。そしてケンも指を鳴らし、そのまま警告を発する。

 

「気をつけろ、二人とも。敵だ」

「む!?」

 

 そして飛びのく。その地点に、巨漢がダイビングしてきた!

 

「お前たちか~! 俺様の身体を汚してくれたのは~! お前たちの身体を、この湖の魚の餌にしてくれるわ~!」

「お前がプーガルか。そんなに水が好きなら、そこら辺の汚水でも飲んでいるんだな」

「そんなことを言っていられるのも今のうちだ。やれい!」

 

 その巨漢……プーガルの号令とともに、湖の中から鎖が発射され、その先に取り付けられた輪がケンの脚を捕らえる!

 

「む!?」

「まんまと引っかかったな。さぁ、水中戦部隊よ、こいつを湖の中に引きずり込み、八つ裂きにしてしまえ~!」

 

 鎖が巻き取られ、ケンがずるずると湖の中に引きずり込まれていく。それを見て、プーガルは勝ち誇った顔をしている。

 だがプーガルは気づいていない、ケンが抵抗せず、そのまま引きずられて行っていることを。

 

 そして、ケンの姿は湖の中に消えた。

 

「ふふふ、これであの男はおしまいよ。さて、後はお前たちのみだ」

 

 だがレイは戦闘態勢をとらない。それはオレも同じだが。

 

「ふ……おめでたい奴だな」

「まったくだぜ。あんなことで、ケンシロウを倒せると思っていたのか?」

「なにぃ~!?」

 

 そこに何かが浮上してきた水音がした。湖の中から潜水服をまとった男たちが顔を出したのだ。

 

「よくやった! ほら見ろ、何がおめでた……いぃ!?」

 

 男たちのほうを向き、余裕の笑みを浮かべたプーガルだったが、それはすぐに驚愕へと変わった。

 男たちが次々と身を爆ぜたのだ。それと同時に、ケンが湖から飛び上がって脱出した。

 

* * * * *

 

 戦いの一回戦、プーガルの手下たちの戦いは、見事にケンの勝利に終わった。まぁ、わかりきっていたことだったが。

 それを見て、レイがプーガルに言い放つ。

 

「言ったはずだ、おめでたい奴だと」

「おのれ~! ならば今度はこちらの番だ! 俺様の奥義を見せてやる~!!」

 

 そしてプーガルは飛び上がった。岸と小島にかかる橋に着地したケンと入れ違うように湖の中に飛び込む。

 おそらく、水中から奇襲をかけようとしているのだろう。だがそんなものでケンを倒せるなら苦労はしない。

 

「……」

 

 ケンは目を閉じ、心を澄ませ集中する。そして。

 

 ザバァ!!

 

 プーガルがケンの背後の水面から姿を現し、そして跳躍した! だがケンはそれを読んでいたかのように、同じく跳躍した。

 そして、プーガルが攻撃を仕掛ける前に、ケンがその顔面に必殺の膝蹴りを放つ!

 

「ぶげら!」

 

 そしてケンは再び橋に着地。しかしプーガルは身体が硬直したかのように、そのままの姿で水面に衝突した! その身体がどんどん沈んでいく。

 

「う、動けない……し、沈む……ぶがぶが……!」

「秘孔を突き、お前の動きを封じ、筋肉をこわばらせた。お前の好きな水の中でおぼれ死ぬことを喜ぶんだな……」

「そ、そんな、がぼ……、た、助け……がば……」

 

 動けないながらも、なんとか浮かび上がろうとするプーガル。だが、その徒労もむなしく、奴はどんどん沈んでいく。

 そして水面から姿を消して、少し経った後に……。

 

 激しい水柱が立つとともに、湖面が血に染まった。

 

「ひ、ひぃぃ……」

「プーガル様がやられた~!」

 

 主の死を前に、手下たちはあわてて逃げ出していった。

 って、ユダがこの城にいるのに逃げ出していいのかよ? もしかしてこれは……。

 

 ともあれ、オレたちは改めて城へと歩を踏み出した。

 

* * * * *

 

 オレの危惧は当たっていた。

 ブルータウンの城の玉座の間に入ったオレたちを待ち受けていたのは、ユダに変装した、だが奴とは似ても似つかぬ男だったのだ。

 

「替え玉か……おのれ……!」

「くくく、その通りよ。残念だったな。ユダ様が今どこにいるのかは俺も知らん。ユダ様を追う手がかりはこれで断たれた。お前たちは永遠にあのお方を捕まえることはできんのだ。ふはははは!!」

「おのれぇ!!」

 

 レイが怒りのまま飛び掛かり、その影武者を真っ二つにした。

 

「はぁ……はぁ……」

「レイ……どうする?」

 

 ケンの問いに、レイは少しは留飲を下げた様子で答えた。

 

「どうするもこうするもない。前に話した通り、奴を追い詰める。それだけだ。手がかりを集め、必ず奴の元へ……」

 

 それを聞きながら、オレは一つあることを考えていた。もしかしたら奴は……。

 

「なぁ、ここは一度、マミヤさんの村に戻らないか?」

「ナノル?」

「ユダはレイを弄ぶために動いているんだろ? それならもしかしたら、マミヤさんの村に行って、マミヤさんを奪おうとするかもしれない」

 

 実際はその前に、居城に隠れていたのを姿を現し、ダガールを抹殺しているのだが、結局はマミヤさんの村に向かっているのだから、結局は同じことだ。

 オレの提案を聞き、ケンがうなずく。

 

「なるほど。レイの愛する者を奪う。レイにとって苦痛を与える一番の手段かもしれん。それをユダが逃すはずがない、か」

「一理あるな。もう手がかりは途絶えたんだ。ナノルに賭けてみよう。何より、マミヤをユダの手に渡しはしない……!」

「よし、それじゃ行くとしようぜ」

 

 そしてオレたちは、玉座の間を後にしたのだった。

 

* * * * *

 

 一方そのころ、ギマラタウン。

 その城では、ダガールが暴れ回っていた。苦痛から逃れようと暴れ、手下たちを片端から倒していく。

 そこに。

 

 信じられないものが姿を現した。

 

「ご苦労だったな、ダガール」

「はぁ!? ゆ、ユダ様!?」

 

 そう。それはユダだったのだ。ブルータウンに向かっていたと思っていたダガールは、驚きの表情を浮かべ、そして口を開く。

 

「ぶ、ブルータウンに向かっていたのでは?」

「ふふふ……お前に本当のことを話すと思っていたのか?」

「なああああ!?」

 

 さらに驚きの表情を浮かべるダガールに、ユダは笑みを浮かべて続ける。

 

「一時、城を出た後、すぐにこの城に戻ってきたのだ。今頃レイの奴は、俺を追う手がかりを失って怒り狂っているであろう。くくく……それに、おかげでケンシロウの技を見ることはできなかったが、レイの技を見切ることができた。礼を言わせてもらうぞ」

「お、俺を……! 副官の俺までも利用していたのか!? 俺を裏切ったのかあぁぁ!?」

「裏切りではない、これは知略だ! 我が星は赤く輝く星、妖星! 妖星が司るは裏切りにあらず! 天を動かす力、知略なのだ! ふはははは!!」

 

 自らに酔い、高笑いをあげるユダ。その姿に、ダガールの怒りが爆発した!

 

「お前の……お前のために俺はこの苦痛を……! 殺してやるうぅぅぅぅ!!」

 

 ダガールがユダに襲い掛かる! だが彼が六聖拳の一人であるユダに勝てるわけもなし……。

 

 そして、ダガールだった肉塊を見下ろしてユダが嘲笑する。

 

「くくく……愚かな奴だ。六聖拳の一人であるこのユダに勝てると思っていたとはな。もう少し知略を持っていると思っていたが……」

 

 そこに二人の人影が現れた。ユダの腹心コマクと、その部下のルブラの二人である。

 

「コマクか。どうした?」

「けけけ……はい。ブルータウンからの連絡が途絶えました。どうやら、レイに襲われたものと思われます。また、奴らと思われる一団が、かつて舞鶴市と呼ばれていた町に引き返していくのが目撃された、とのことです」

 

 それを聞き、ユダが笑う。

 

「ふふふ……奴め。見事俺の読み通りに動いてくれる。よし、謀略の最終楽章を幕を上げるとしよう。ルブラ、お前に任務を与える。俺の知略の一端を担うがよい」

「ははっ、かしこまりました。へへへ……」

「ふふふ、このユダが奏でる謀略狂騒曲。レイの奴にはもったいないかもしれぬがな。ふはははは!!」

 

 ギマラタウンに、ユダの妖しき笑い声が響くのだった。

 

* * * * *

 

 ユダがダガールを処刑する少し前。

 

 ユダの影武者とプーガルが倒れ、ブルータウンは喜びに包まれていた。それまで奴らに独占されていた水が戻ってきたのだ。その喜びはひとしおだろう。

 その様子を見て、オレは言う。

 

「解放できてよかったな」

「あぁ。ユダの奴をここで倒すことはできなかったが、この町に人々の希望を取り戻すことができたのは本当によかった」

「うむ……」

 

 嬉しそうに水を飲む人々の笑顔。そのまばゆさは、見失ったユダをも超える報酬にオレたちには思えた。

 

「さて、それではマミヤの村に戻るとしよう。ユダがマミヤを捕らえてしまう前に」

「うむ」

「そうだな、行こうぜ」

 

 そう言葉を交わし、オレたちはバギーに乗り、マミヤさんの村への帰路についた。

 

 人々の希望にあふれた笑顔に見送られながら。

 

 




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* 次回予告 *<テレッテー!!

宿命の二つの星、ユダとレイ!
二つの南斗の宿命の対決の幕から開く。舞い散るのは鶴かそれとも水鳥か!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第弐拾九話『二つの南斗・レイvsユダ! 美しき男たちの決着に涙はいらぬ!!』

「行くぞ、レイ! お前の血で血化粧をさせてもらう!」
「ユダ、血化粧は己の血でするがいい!」

※次の更新は、4/27 13:00の予定です。お楽しみに!

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