北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

29 / 54
世界の枠を超え、この世紀末に降り注いだ存在があった!
その名を転生者!

天に連なる七つの星のもと、地に散らばった転生者たちを巡って、悲劇は繰り返される……!

* * * * *

ブルータウンに乗り込んだレイとケン、ナノル。だがそこにもユダはいなかった。彼らは決意を新たに、ユダの捜索を続ける。
だがその一方、ユダはレイを陥れるため、策謀を張り巡らせ始めたのだった!



(UD編)第弐拾九話『二つの南斗・レイvsユダ! 美しき男たちの決着に涙はいらぬ!!』

 オレたち……ナノル、レイ、ケンの三人は、バギーをマミヤさんの村に走らせていた。

 ユダはマミヤさんを狙って村に襲来してくるだろう、との読みからだ。一刻も早く、ユダより先に村に戻らなければならない。

 

 一路村へと急ぐバギーに乗っているレイの表情は硬い。彼も、マミヤさんの身が心配なのだろう。

 

 だがオレたちの努力は、最悪の形で裏切られることになってしまった。

 もう少しで村が見えてくるってところで、バットの乗ったバギーがやってきたのだ。バギーを止めたところで、自分のバギーを降りたバットが駆け寄ってくる。

 

「た、大変だぜ、ケン、レイ、ナノル!」

「どうしたんだ、バット。まさか!?」

「あぁ。マミヤさんが怪しい男にさらわれちまったんだ!」

「なんだって!?」

 

 レイの表情が衝撃に固まる。

 バットが話してくれたマミヤさんをさらった男の特徴からすると、どうやらさらった相手はユダの手下の、ルブラとか言っていた奴らしい。奴は、誰にも……ジャギやカレンに気づかれることなく、村に潜入し、墓参りをしていたマミヤさんをさらったのだという。バットは、たまたま用を足しに近くを通っていたので見つけたのだとか。

 しかし、ルブラとかいう奴……。ここまですぐ逃げ出すからただのザコかと思ったが、あのジャギやカレンにも気づかれず潜入し、マミヤさんを誘拐するとは……もしかしたら、相当な実力者だったりするのだろうか。

 

 と、そんなことを考えている場合ではないな。

 

「となれば、すぐにそのルブラを追わないとな。多分、ユダのもとに向かったんだろうが……」

「そのユダがどこにいるかわからないからな……」

 

 そう言って顔をしかめるレイ。原作通りなら、最初にいたギマラタウンの城にいると思うんだが、違う可能性もあるからな……。ギマラタウンから違う拠点にうつった可能性もある。

 

 手がかりが断たれた今、どこに行けばいいのか、悩むオレたち。しかしそこに。

 

「!! あたっ!」

 

 突然ケンが、後方に向けて拳を放った。今まで気がつかなかったが、ケンの背後に人影があったのだ。その人影は、ケンの一撃をまるで猿のように軽々と跳躍してかわした。こいつも、ルブラのような隠れた実力者か!?

 

「おっと危ない危ない。もうちょっとで用件を言う前にやられるところでしたよ。ウヒヒヒヒ……」

 

 そして着地したのは、子ザルのような眼鏡の男。確かコマクと言ったか。

 

「……ユダの手下か」

「さようでございますとも。ユダ様から貴方様方を城にご案内するよう、言い使ってまいりました。ウヒヒヒ……」

「断ればマミヤの命はない、というわけか」

「そこは想像にお任せしますよ。ヒッヒッヒッ……」

 

 そこから少しの沈黙。そこでバットが口を出す。

 

「だめだぜ、ケン! きっとこれは罠だよ!」

「だからと言って、行かないわけにはいかんだろう」

「そうだな。それに、もう手がかりは断たれているんだ。こいつの案内にのるしかない」

「そうだけどよぉ……」

「ウヒヒヒ……わかっていただけて何よりです。それではこちらへ……」

 

 コマクの奴は、憎らしく一礼すると、ぴょんぴょーんっと、まるで自動車のようなスピードで飛び跳ねながら走り出した。オレたちも、バギーでその後を追う。

 

* * * * *

 

 そして到着した先は……なんということだろう! ギマラタウンの城じゃないか。

 

 その城の中を、さらにコマクに先導されて進む。あ、通路の傍らにはダガールの真っ二つになった死体も。ユダに反逆してやられたのね。ご愁傷様です。

 

 そしてオレたちは、いつか開けた大扉の前にいた。オレたちの前に立っているコマクが言う。

 

「ユダ様、お客様をお連れしました」

「そうか、通すがいい」

「かしこまりました。ウケケケ……ケ!?」

 

 コマクが開ける前に、ケンが拳の一撃で扉を吹き飛ばした。そして先に進む。

 

 果たして。

 

 ユダはその玉座の間の奥の玉座に座っていた。傍らには小さめの玉座に縛られているマミヤさんの姿も。

 

「待っていたぞ、レイ」

「レイ……!」

 

 ユダが余裕の笑みを浮かべて言う。対するレイは無言のままユダを見据え、一歩を踏み出す。

 

「ユダ、マミヤを解放しろ、そして俺と戦え! マミヤを傷つけ、南斗を崩壊に導いた罪、償ってもらう!」

「よかろう。俺もお前とは戦わなければならん理由がある。俺の美から大きく外れたイレギュラー! それを摘まねば俺の美の安泰はない!」

 

 そう言い放ち、ユダは立ち上がって前に歩き出した。それに応じて、レイも前に進み出る。

 そして二人同時に構えをとった。

 

「行くぞ、レイ! お前の血で血化粧をさせてもらう!」

「ユダ、血化粧は己の血でするがいい!」

 

 そして両者とも跳躍し、交錯! 両者の手刀が一閃した!そして同時に着地。

 

 一瞬の沈黙の後、ユダの頬に傷が刻まれた。

 

「おのれ、この俺の身体に傷を刻むとは……! 何かがお前の拳の切れを増したらしいな!」

「ふ……愛を知らぬお前にはわかるまい」

「なるほど、愛の力とやらか。下らぬと思っていたが、その力、少しはみとめざるを得ないようだな。だが……」

 

 だがそこでユダが高笑いを上げた。

 

「ふははは……だが! 俺はまだ全力を出してはいない。それで勝ったと思ってもらっては困る!」

「なんだと?」

「コマク!」

「ははっ!」

 

 ユダに命じられたコマクが床のスイッチを踏み抜いた。その直後!

 

「……!」

「うわっと!」

 

 オレとケンは間一髪、そこから飛びのき、難を逃れることができた。突然、玉座の間の床が崩れだしたのだ!

 オレとケンはなんとかそれから逃れることができたが、ユダとレイはそのまま落下し、なぜか玉座の間の真下に作られた激しい流れの地下水道に堕ちてしまったのだ!

 

「馬鹿め、この俺が何も考えずに、この城にお前たちを呼び寄せると思っていたのか?」

「くっ……」

「動けまい。この地下水道の流れは流砂をも含み、落ちたものの下半身を封じる。お前の動きの要となる下半身の動きをな! 今やお前は、翼をもがれた水鳥と同じ!」

「うぬ、ユダ……!」

「卑怯などと言うまいな? 俺の星は妖星! 知略の星! 俺にとっては知略も実力のうち。知略も使ってこそ全力なのだ!」

 

 なんてこった。原作ではマミヤさんの村の地形を使って流砂を生み出したのに対し、こちらの世界では自ら、城にあらかじめ手を加えて似た状況を作り出していたとは……。このままではレイが危ない! なんとか水の流れを止めなければ……!

 

「ケン……!」

「うむ」

「レイ、なんとか水の流れを止めてみる。それまで耐えてくれ!」

「頼む……!」

 

 そしてオレとケンは走り出した。背後から、ユダの伝衝裂波が走る音が聞こえた。

 

* * * * *

 

 オレたちは城の中を走りに走った。どこかに、地下水道の流れを制御する制御室があるはず!

 

 果たしてそれはあった。だがそこには、やはり門番が待ち構えていたのだ。

 

「ここに来ると思っていましたよ。ウケケケ……」

「だがこの先には通さねぇぜ。ぐへへへへ……!」

 

 そう、コマクとルブラの二人だった。これは……。

 

「二対二か。ケン、小男のほうを任せていいか?」

「うむ」

 

そして、奴らに向けて走り出す。オレは走りながらダガーを抜く。そしてルブラに切りかかるも……。

 

「ひゃはぁ!」

「くっ!」

 

 奴はオレの斬撃を飛びのいて交わすと、何かを放ってきた。それがオレの肩をかすめる。血がわずかに飛び散った。

 それは、鎖につながれた刃だ。ルブラはその鎖を自由自在に操り、鎖と刃を縦横無尽に動かして攻撃してくるのだ。こいつ、やはり強い!

 

「どうだ! 俺はなぜかこいつを手足のように操ることができるんだ。きっと、前世でも散々使ってきた武器だからだろうなぁ!!」

「というか、なんでそんな物理法則を無視した動きをさせられるんだよ。ガンダムに出てきた有線ビーム砲じゃねぇんだぞ!」

「知るかぁ! ヒャハァ!!」

 

 オレは奴の繰り出す疑似オールレンジ攻撃(?)に苦戦していた。なんとか弾いていくものの、時には弾ききれずに、攻撃を受け、負傷してしまう。なんとか、戦闘不能に陥るような深手は避けているが。

 しかし、このままではいずれやられる。それに、レイだって危ない。

 

 なんとか奴の鎖の動きを止めることができれば……。いちかばちかやってみるか。

 

 オレは立ち止まり、集中した。そこにルブラが。

 

「諦めたかぁ? そぉら、とどめだぁ!!」

 

 再び鎖つき刃を放った! それがオレに迫る。

 

「そこだ!」

「なっ!?」

 

 オレはダガーを振るって鎖にその刃を当て、その鎖をダガーの刃に巻き取った。そして引き寄せて……。

 

「うおっ!?」

 

 態勢を崩した奴の懐へと、予備のダガーを抜きながら迫る。

 

「もらった!」

「ひぃ!!」

 

 ダガーを一閃! 奴が鎖から手を離して飛びずさったこともあり、仕留めることはできなかったが、その右目を切り裂き、潰すことができた!

 

「目、目が、目がぁ~! ち、ちくしょう~!!」

 

 さらにそこに。

 

「ほあたぁ!!」

「ぶげらっ!!」

 

 ケンの一撃に吹き飛ばされたケマクが飛ばされてきた! その身体が醜く歪んで蠢き、そして爆ぜた。

 それで完全にルブラの戦意が折れたらしい。

 

「ち、ちくしょう、覚えてやがれ! 俺は終わらねぇぞ。次こそはお前たちを地獄で落としてやらぁ! ひぃ~!!」

 

 そしてルブラは無様に逃げ出した。本当は奴を追撃して、確実に仕留めたいところだが、今は他にするべきことがある。

 

* * * * *

 

 コマクとルブラの二人を退け、水の流れを止めたオレたちが玉座の間に戻ってくると、そこではレイとユダの戦いに決着がつこうとしていた!

 

 再び宙に身を踊らせたレイが、美しい動きで空を舞う。その美しい動き、ユダだけでなく、オレとケンを見とれさせるほどだ。

 そして。

 

「シャウッ!!」

 

 動きに見とれたユダにレイの手刀が炸裂した!

 

「ば、馬鹿な……!」

「南斗水鳥拳奥義・飛翔白麗……衰えたな、ユダ」

 

 そのまま全く動かない二人。やがて、ユダが口を開いた。

 

「衰えた、か……確かにその通り、お前の言う通りだ。俺は自分の美に固執し、歩みを止めたままだった……」

「……」

 

 ユダの告白は続く。

 

「あの日見たお前の飛燕流舞は俺に衝撃を与えた。その美しさの前に、俺の美は色あせていくのを感じたのだ……」

「ユダ……」

「俺はお前の水鳥拳に憧れ、お前の水鳥拳の美しさを、俺の美しさに取り込みたかった。そして俺の美をさらに高みに進ませようと。だができなかった。俺の紅鶴拳の動きでは、お前の水鳥拳の動きにはかなわないからだ」

 

 そう言ったところで、ユダの胴体に縦に斬撃の傷が走り、おびただしい血が噴き出した。ユダ自身も血を吐き出した。そして膝をつく。

 

「がはっ……! そこで俺が別の方法で美を求めれば、俺の美はさらに前に進めたのかもしれん。だが、俺ではお前に追いつくことはできないとわかってしまった時、その道は閉ざされた。俺はお前の美をイレギュラーとして排除し、俺の美は既に完成したものとして歩みを止め、殻の中に入ることを選んだのだ。俺は自ら、井戸の中の蛙になることを選んだのだ……」

「……」

「くくく……俺がこんな無様な死にざまを遂げたのも、美の歩みを止め、自分の美に固執し、その固執する心のままに暴虐を振るった報いということだろう……。そう考えれば理解はできる……。だが、俺とて、美の高みを目指した者としての意地がある……。このまま終わりはせん……!」

 

 そう言ってユダは、ふらつきながらレイに接近し、手刀を振るった。レイのほほに一筋の傷が刻まれた。

 

「その傷が俺の最後の意地……そして、俺の美が最後に見せた輝き……。お前たちが何と言おうとも、それこそが俺にとっての真実……」

「ユダ……」

「さらばだ……俺が追い求めて、だが叶わなかった美よ……。お前たちが冥土に来た時は……今度こそ……」

 

 そしてユダは倒れ伏し、二度と起き上がることはなかった。

 静かにユダを見下ろすレイ。それからしばらくして、レイが口を開いた。

 

「ユダ……違う道を歩んでいれば、このような結果にならずに済んだろうに……。だが、お前のことは忘れない。美に憧れ、美を追い求めた男、南斗紅鶴拳のユダよ。さらばだ……」

 

* * * * *

 

「マミヤさん、結婚おめでとう~!」

「レイさん、お幸せに~!」

 

 マミヤさんの村の、朽ち果てた教会に村人たちの声が響く。そう、ここではなんと、レイとマミヤさんの結婚式が行われているのだ。

 

 ユダとの戦いを制したレイがマミヤさんを救出し、オレたちとギマラタウンを脱出したその後、レイの愛に、ついにマミヤさんが応え、ついに二人は結婚することになったのだ。原作ではレイが彼女の愛を胸に散っていったことを想うと、なんとも胸が熱い。

 

 オレと同じ気持ちなのか、同じく原作を知るココとアキも目を潤ませて、その様子を見ている。

 

 そこでオレの後ろで同じく結婚式を見ていたジャギが言った。

 

「さて、ひと段落ついたことだし、そろそろ行くとするか」

「どこに行くんだ?」

 

 オレがそう聞くと、ジャギはアキの頭を軽くぽんぽんと叩くと言った。

 

「俺の償いはまだ終わっていないからな。とりあえず、あのシキニキの町に行って、町の復興に手を貸そうと思ってる。こいつと一緒にな。まぁ、復興が終わっても、そのまま居つくつもりはないが……」

「そうか、寂しくなるな……楽しかったぜ」

「俺も楽しかったぜ、ちっとはな。おっと、今まで世話になったな」

「あぁ、命があったらまた会おうぜ」

「おう。……行くぞ、アキ」

「うん。ナノル兄ちゃん、ココお姉ちゃん、また会おうね!」

 

 そしてジャギとアキの二人は去っていった。その様子を眺めていたカレンが言った。

 

「行っちまったねぇ……。それじゃ私も行くとするかい」

「カレンさんも?」

「あぁ。レイ様とマミヤさんの邪魔をして、馬に蹴られるのはごめんだからね」

 

 カレンはそう言うが、本当のことはレイのことでの傷心を慰めるためではないだろうか。

 

「そうか。なら、オレたちと一緒に行くか?」

「いや。しばらく一人になりたいからね。いつかまた会ったら、その時は一緒に酒でも飲もうじゃないか。さよなら」

「あぁ」

 

 そして去っていくカレンを見送る。そしてカレンの姿が見えなくなったところで、オレはココとフラニーに向き直って言った。

 

「それじゃオレたちも行くとするか」

「うんっ」

「はい」

 

 そしてバギーに乗り込んでいく。まだ争いや暴虐が収まりそうもない世紀末。

 だが今、この瞬間の空だけは、一切の憂いがないかのように晴れ渡っていた―――。

 

(第二部・完)

 

 




ファンアート、感想、大募集中です!
あと、『テテテUC』を書いてくださる方も募集しています!
やってみたい方はメッセージくださいませ!

さてさて、これにて第二部は完結となります。来週からはいよいよ、最終部となります。
第三部では、意外なあの男が、早く仲間に入りますよ! 一体誰なのか、どうぞお楽しみに!

次回の更新は、5/4 12:00の予定です!

北斗転生終了後、どの作品を連載開始してほしいですか?

  • 機動新伝説ガンダム
  • SDガンダム戦国伝
  • 一年戦争もの
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。