北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました 作:ひいちゃ
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!
見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!
* * * * *
ジャギと再会し、彼とともに子供たちをさらったダンテの城に向かったナノルたち。
彼らはそこで、シュウの息子、シバの助けも借りて子供たちを救出し、ダンテを倒すことに成功したのだった!
南斗白鷺拳の伝承者・シュウの率いるレジスタンスに協力することになったオレ……ナノルたちは、彼らの拠点の一つに厄介になることになった。
「うりゃうりゃ!」
「うぎゃぱー!」
「ぴょぴゃー!」
「おりゃー!」
「ぐわば!」
ある時は聖帝軍に襲われている村を救ったり、支配されている街を解放したり。聖帝軍の支配しているエリアを駆け回って暴れまわった。
ジュウザのやつも、普段はやる気もなく自由気ままに過ごしているが、戦いのときはちゃんと戦ってくれている。彼曰く、「本当はめんどくさいんだが、一宿一飯の恩義があるからな」とのこと。なんだかなぁ……。戦闘のないときでも、雑用や負傷者の手当をしてくれているココの爪の垢でも飲め、と言いたい。
そして今もオレたちは、聖帝軍の補給部隊を襲撃し、その護衛と戦っていた。オレ……なによりジュウザも参戦しているだけあって、きわめて有利に戦いが進んでいる。レジスタンスの一人も、「今までにもこんなに有利になったことはなかった」とのこと。
そうしているうち、護衛部隊はほとんど壊滅。残ったのはそのボスであろう巨漢だけとなった。
「おのれ~、このギース様の部隊が壊滅させられるとは~! だがこのまま戻っても、聖帝様に粛清されるのみ。ならばせめてお前たちだけでも道連れにしてやる~!!」
そう言ってギースとやらは鍵手を装着した両腕を構えた。そこでジュウザが一歩前に出る。
「ちょうど張り合いがなくて退屈だと思っていたところだったんだ。俺のお前の最後の相手になってやるぜ。ただし!」
目の前のギースをピシッと指さした。
「美しい女拳士だったらまだしも、お前のようなむさ苦しい野郎の道連れにされるなんてまっぴらごめんだ。地獄へはお前ひとりだけでいくんだな」
……カレンの道連れだったら、もしかしてOKするのか? それはともかく、そう挑発されたギースは顔を赤くしていきり立った。
「バカにしおって~! そんな身体で、このギース様に勝てると思っているのか~!!」
そして襲い掛かってくる。ギースが放つ無数の突きをジュウザは涼しい顔でかわしていく。
「ほう、なかなかやるようだな」
「おうよ! このギース様の北斗神拳に勝てるものはいねぇ!」
本人はそう言っているが、おそらくはそう名乗っているだけだろう。それともアミバからアミバ流を習ったか?
その証拠に、確かに連打はすごいものの、迅さも鋭さも、ケンには遠く及ばないし、何よりジュウザの涼しい顔は崩れないうえ、その身体に一筋の傷を作ることもできちゃいない。
「おのれ、ちょこまか逃げおって~!!」
「そうかい。ならば今度はこちらから攻めさせてもらおうか!」
そこでジュウザが攻めに転じた! ギースの無数の突きをかいくぐりつつ、その懐に迫る。そして!!
「撃壁背水掌!!」
ジュウザの左の掌底がギースの顔面に炸裂! 次の瞬間、なんとギースの頭部はその驚きの表情のまま、胴体を離れ、後方に飛んで行ってしまった。それはころころと、生き残りたちのところまで転がっていく。
「ひ、ひぃ~~!」
「ば、化け物だ~!」
「逃げろぉ~!!」
それで生き残りたちの戦意も折れ、彼らは恐怖にかられて逃げだしていった。それを見やってジュウザが肩をすくめて一言。
「やれやれ、とんだ期待外れだったぜ」
お前が規格外すぎるんだよ、という一言はオレの胸の中にしまっておいた。というか、ジュウザが規格外だったら、それを倒したラオウはどうなるんだ?
* * * * *
さて、戦いは終わった。レジスタンスのみんなも、戦利品が手に入ったということで狂喜乱舞している。
そして聖帝軍が運ぼうとしていた食料などの物資を、車に積み込んでアジトへ凱旋していく。
そういえば一つ気になったことがある。原作ではレジスタンスは、食事も満足に取れないほど追い詰められていたはず。なのに、こちらではそんなに余裕がないようには見えないのだ。普通の食事と比べればかなり落ちるが、ほとんどが一日三食で、時折二食になるぐらいだし。
それについてレジスタンスに聞いてみたのだが、関東のほうから援助の手が差し伸べられているらしい。食料から武器弾薬にいたるまで。聖帝軍の襲撃があるから、そんなに潤沢に届くわけではないが、それでもなんとか抵抗活動をできる分は受け取れているという。
むむ、レジスタンスに援助をする勢力? とんと思いつかない。KINGは壊滅しているし、拳王軍ならレジスタンスに手を貸すよりも自ら出て行って決戦するか、それかケンに任せるだろう。まさか海のリハクが? いやいやそんなまさか。
そんなことを考えているうちに、レジスタンスの車列はアジトについた。そして荷物を降ろそうというところで。
「あ、ちょっと待って」
ココが降ろそうとするのを止めた。懸念を抱いているような顔だ。
「どうしたんだ?」
「もしかしたら毒が仕込まれているかも。ほら……」
あぁ、そうか。原作でも聖帝軍はレジスタンスを根絶やしにするため、輸送隊に毒入りの食料を輸送させ、それをレジスタンスに奪わせていたんだったな。飢えていたレジスタンスのメンバーはそれにひっかかり、結果、一人の少年が命を落とすことになった。この世界でも同じようなことがあっても不思議ではないな。
「私が調べてみる。看護師の資格と経験があるから、少しはわかるかも」
「そうか、なら頼んだ」
そしてココは、取り出した食料の一部をなめたり、においをかいだりしてチェックしていった。そして。
「やっぱり……これ、ほとんどが毒入りみたい。気づいてよかった……」
「そうか……」
本当に食べたりする前にチェックしてよかった。うかつに食べたりしていたらどうなることか……。だが……。
同じことを考えていたらしいココも、表情を曇らせる。
「ここの拠点は私が気づけたからよかったものの、他の拠点の人たちは……」
防ぐことができずに、犠牲者を出してしまっているかもしれない、か……。
せっかくの戦利品が罠だったことと、他のアジトが聖帝軍の罠で犠牲者を出しているであろうことに気づいたメンバーたちも、先ほどまで喜びはどこへやら。すっかり表情を曇らせている。
「なぁ、食料や物資とかは大丈夫なのか?」
「あぁ。次の到着は三日後だ。それまでの分はなんとかある」
だが……。
* * * * *
その三日を過ぎても、物資が届くことはなかった。
このアジトのリーダーも苦渋を浮かべている。
「遅い……一体どうしてしまったのだろう……」
「もしかして、聖帝軍の襲撃や妨害にあったんじゃないだろうな……?」
「それか野盗の襲撃にあったのかもね……」
リーダーだけでなく、オレもココも、頭を悩ませている。今やここの人たちとオレたちとは一蓮托生だからな……。
「助けに行きたいんだが、どこにいるのかもわからんし……」
「助けに行ってくれるのか、それはありがたい!」
「え?」
そこでリーダーが、オレに耳を寄せて小声で言ってきた。
「それなら、転生者掲示板のスレッドNo6768を開いてくれ。パスワードは6J4I6N5だ」
「はい?」
まさかここで転生者掲示板の名前を聞くとは思わなかった。どういうことだ?
「もし何かあれば、そこに書き込みがされているはずだ」
「お、おう……」
頭に?をいくつも浮かべながらも、オレは目を閉じ、掲示板にアクセスした。
* * * * *
スレッドNo.6768 【くたばれ】シュウ様のレジスタンスを助けるスレ【聖帝!】
ここはシュウ様を愛し、レジスタンスを愛し、彼らを助けたいと思ってくださる方々のための情報共有、連絡のためのスレです。
入りたい方は、事前にスレッドNo.XXXXで審査を受け、パスワードを受け取ってください。
……
328:名もなきモヒカン
応援求む! 俺は今、レジスタンスへの輸送部隊の護衛をしているんだが、聖帝軍に見つかって襲われてる!
なんとか持ちこたえてるが、ちょっときつい……。
329:名もなきモヒカン
世界IDと場所はわかるか? 行ければいいんだが
330:名もなきモヒカン
世界IDは5542、座標は423,551。具体的に言うと、かつての若桜町の北あたりだ。
331:>>329
悪い、その世界じゃ世界が違うから助けに行けん……。
332:名もなきモヒカン
ワイもや。どこかに同じ世界のやついないかな……。
* * * * *
……マジだ。本当に転生者掲示板に、レジスタンス支援用のスレができてて、そこに救援要請が出されてる。お兄さんびっくりだよ。
「ナノル兄?」
「本当に、掲示板に襲われてる場所が書いてあった。さっそく助けに行ってくる。ココとフラニーは引き続きこのアジトで、人々の手伝いや手当をしていてくれ。
「うん、わかったよ。気を付けてね!」
「お気をつけて……」
「俺は一緒に行かせてもらうぜ。退屈で仕方なかったからな」
「よく言うよ。今まで雑用もせずにゴロゴロしてたくせに……でも助かるぜ。ありがとな」
そしてオレはジュウザとともに、バギーに乗り込み、アジトを出発した。確か襲われてる場所は、若桜町の北あたりだったな……。
* * * * *
果たしてバギーを走らせるとやはりいた。バギーの進む先に、何者かに襲われている一団が! 掲示板って素晴らしい!
「よし、行くぞジュウザ!」
「おうよ!」
そしてオレたちは戦いの中に乱入していった!
そのオレに、戦っていた一人の屈強そうな男が問いかける。
「もしかして、あの掲示板を見た者か?」
「あぁ! 手を貸すぜ!」
「ありがたい! よろしく頼む!」
そして襲い掛かってきた二人のモヒカンを、二刀流のダガーで一刀両断した。それを見て、ジュウザを口笛を一つ。
「なかなかやるねぇ。俺に負けていられないな。このジュウザの我流の拳、冥土の土産にもっていけ!」
そう言うや否や、彼はモヒカンの群れの中に飛び込む、変幻自在な技で次々とモヒカンを倒していく。その様はまさに、「駆逐」という言葉がふさわしいほどだ。
輸送隊の人達も負けてはいない。さっき問いかけてきた男も、秘孔こそつかないものの、北斗の技や、水影心で身に着けたらしいいろんな拳法の技をふるい、敵を次々と打倒していくし、他の人たちもボウガンで必死に応戦していく。
そういえばそのうちの一人、青い髪でバンダナを巻いた若い兄ちゃんが、ジュウザを見て驚き、続いて渋そうな顔をしてたな。どうしたんだろう?
って、青い髪でバンダナ? いや、今はそれより輸送隊を守らなければ。
オレは襲い掛かってきたモヒカンの攻撃を跳躍してかわし、その脳天にダガーによる斬撃をたたきつけた。
* * * * *
そして激闘の末、聖帝軍の襲撃部隊は壊滅した。オレたちが加勢できたことにより、物資の損失もいつもよりかなり少ないとのこと。よかったよかった。
輸送隊の人たちからはかなり感謝され、リーダー……驚くことにあのバンダナの兄ちゃんが輸送隊のリーダーだという。お兄さんびっくりだよ。屈強そうな兄ちゃんのほうは転生者で、護衛として雇われていたという……からは握手を求められた。
「ありがとうございます。あなたたちのおかげで助かりました」
「いや、オレたちもレジスタンスに協力している身だからな。気にしないでくれ」
「そうですか。私たちは物資を輸送した後、主のもとに戻りますが、お二人のことは主にも伝えておきます。もしあなたたちが我々の領域に来られた時は、できる限り助けとなりましょう」
「そうか、それはたすか……」
「ちょっと待った!」
そこでジュウザが会話をとめた。彼らしくもなくとても慌てている。どうしたんだ?
「ナノルのことはいいが、俺のことは主に伝えないでくれ。そのほうがいい気がする!」
「……わかりました。それでは引き続き、護衛をお願いします」
「あいよ」
そしてオレたちは輸送隊とともに、アジトへ帰還していったのだった。
* * * * *
関東の某所にある高い崖の上。その上にそびえたつ城に、一羽の鳩が向かっていった。
見張りについていた兵士が、その鳩の足に結びつけられた小さな筒を見止めると、その筒から手紙を取り出し、城の中に入っていく。そして……。
「……様、……から連絡がありました。聖帝軍に襲われたものの、新たな転生者の加勢のおかげで大きな損害を受けずに任務を達成できた、と。詳しくはこちらにて」
あの輸送隊のリーダーと同じ青いバンダナを頭に巻いた男が、見張りからその手紙を受け取ると、それを広げその内容を読みこむ。それが終わると、男は深くうなずいた。
「なるほどな、了解した。新たな転生者か。彼のことも海に報告しなくてはな。新たな転生者、ナノルか……。これからも我々と協力していてくれればいいのだが」
そう言う漢の右腕には5つの星のアザが浮かんでいた……。
感想、ファンアート、そして『テテテUC』を書いてくださる方、募集中です!
それでは、次回予告をどうぞ!
*次回予告*<チャーチャーチャチャー
ナノルたちのもとに凶報が届けられる! ケンシロウとらわる!!
彼を救い出そうと、その身を犠牲にせんとする幼き命を、ナノルたちは助けることができるのか!?
次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』
第参拾参話『勇気ある幼き命のために……』
「やかましい。俺は今、虫の居所が悪いんだ。死にたくなければ、近づくんじゃねぇ」
※次の更新は、5/25 12:00の予定です。お楽しみに!
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