北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました 作:ひいちゃ
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!
見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!
* * * * *
レジスタンスに協力することになったナノルたち。
輸送隊が襲撃されたとの報告を聞いた彼らは、掲示板の助けも借り、隊を守り切ることに成功したのだった。
だがしかし、この後に衝撃的な知らせを受けることを、彼らは知る由もなかったのである!
輸送部隊とともに支部のアジトに向かっているオレたち。
部隊の救出を成功させ、意気揚々とアジトに帰還したオレたちに、その話は飛び込んできた!
「困ったことになった……。まさか、ケンシロウが聖帝に敗れるとは……!」
「!!」
アジトの門番が口走ったその言葉に、オレは衝撃を受け、迎えに出てきていたココと顔を見合わせた。
なんてことだ、ケンシロウが敗れるなんて……。おそらく彼はサウザーにつかまっただろう。
ぬかった……。別れる直前に、ケンシロウにサウザーの身体の謎を教えていれば……。
「ナノル兄……」
そうオレの名を呼ぶココの瞳には焦りと不安の色が浮かんで見える。きっと彼女が見るオレの表情にも同じものが見えているだろう。
原作では、この後、シバが命を捨ててまでケンを助けたんだが、この世界ではその通りになるかわからんし、その通りになったとしても、シバの命が散ってしまうことになる……。シバには世話になったからな。なんとしても彼も助けたいんだが……。
一応、詳しいことを門番に聞いてみると、やはり原作と同じ展開だった。
子供が毒殺されたことに義憤を抱いたケンがサウザーに挑むも、その身体に北斗神拳は通じず、逆にサウザーの反撃を受けて倒され、そのまま捕らえられたとのことだ。きっとこの後、十字陵完成の暁に、生贄にするつもりなのだろう。そうなる前……できればシバが自爆する前に二人とも助けたいが……。
このまま十字陵が建造されているサウザーの都に向かってもいいのだが、今回は一刻を争うかもしれない。正確な情報がほしい……。
「ねぇ、ナノル兄。掲示板の人たちに力を借りたらどうかな?」
そうか! この世界にも少なくはない転生者たちが散らばっている。その中の、レジスタンススレの人たちから情報を募ればなんとかなるかもしれない!
オレはさっそく、掲示板のスレに、「ケンシロウが捕まったらしい。彼を助け出したシバが自爆する前に彼らを助けたいのだが、彼らを目撃した情報があれば求む」と書き込みをした。
……これでよし。あとは、情報が来るのを信じて、サウザーの都に向かうのみだ!
オレは門番からサウザーの都の場所……かつての松江市だった……を教えてもらうと、バギーに飛び乗った。そこにココも飛び乗り、さらにしれっとジュウザも乗ってきた。
それを確認すると、アクセルを踏み込み、バギーをサウザーの都へと走らせた。
* * * * *
オレは、かつての松江市だったサウザーの都にバギーを全速力で走らせていた。
「ココ、書き込みは?」
「うぅん、まだないよ……」
「なぁ、カキコミってなんだ?」
「いや、こっちのことだ。気にしないでくれ」
そうジュウザに返すオレの額に、焦りの汗が浮かぶ。ここに来るまでの間にも周囲に気を配ってはいたが、人影ひとつ見当たらないし、掲示板への情報も全くなかった。
やはり、こんな広大な砂漠の中、人を見かける可能性は低いのだろうか。いやもしかしたら、下手してシバも一緒につかまってしまったのかも……。
冗談じゃない! そんな最悪の展開なんて御免だぜ!
その時だ!
「あっ、ナノル兄! 情報が届いたよ! 島根県との県境、かつての米子市の東で、大人と子供の二人を見かけたそうだよ! 特徴も、ケンとシバくんの二人と似ているって!」
「よし! それじゃ、このまままっすぐだな。いくぜ!」
オレは力強く、アクセルを踏み込む。バギーはまるで弾丸のように、前方に飛んで行った。
* * * * *
果たして。オレはその場に間に合った。
シバらしい少年を取り囲むように、モヒカン……おそらくサウザー軍の兵士だろう……が彼に近づいていく。周囲にケンの姿はない。おそらく、見つからないようにどこかに隠しているのだろう。
「よし、このまま奴らに突っ込むぞ。準備はいいか?」
「うん、いいよ!」
「あぁ、任せておけ」
「よし!」
そうしているうち、兵士たちはシバをすっかり取り囲んでいた。そこで、シバがダイナマイトを取り出した。やばい!
「やめろ!」
オレがそう叫ぶと同時にジュウザが車から跳躍し、シバと兵士たちのところに飛び込んでいく。そして蹴りでシバの手からダイナマイトを弾き飛ばした。やった!
そのダイナマイトは兵士たちのほうへ飛んでいく。ジュウザがそのシバを抱きかかえ、飛びのいたところで、兵士たちもダイナマイトが落ちた地点から逃げていく。
そして爆発! 逃げ損ねた数人の兵士たちが肉片となって砕け散った。ジュウザとシバは幸いにも無事なようだ。
それを確認すると、オレはバギーを兵士たちの群れへと突っ込ませた。ぶつかる直前にココとともにバギーから飛びのく。
ココが空中から放ったダーツが兵士の一人の眼に突き刺さった。オレは空中からその兵士に飛び掛かると二刀流のダガーで切り裂いた。
そのオレ、ジュウザ、ココ、そしてシバの四人を兵士たちが取り囲む。
「なんだなんだ!?」
「何者だ、お前たちは!?」
「俺たちが聖帝軍と知ってるの……ぐぶべらっ!?」
奴らが言い終わらないうちに、ジュウザの蹴りが炸裂した。
「やかましい。俺は今、虫の居所が悪いんだ。死にたくなければ、近づくんじゃねぇ」
危うく、幼い無垢な命が失われかねなかったからか、ジュウザからは怒りの気配が感じられる。それはまさに、殺気と言えるかもしれないほどの鋭さ。
その気配に、兵士たちが気おされるものの……。
「うるせぇ、死ぬのはお前のほうだ。やっちまえ~!」
隊長の号令一下、兵士たちがオレたちに襲い掛かってくる。そして……。
「あぶば!」
「ごろんご!?」
「ぼふらっ!!」
ジュウザの怒りの拳で兵士たちが次々に吹き飛ばされていく。
「うおぉ!!」
「ぼふんば!!」
「あぶれご!?」
「びびんぶぁ!!」
ジュウザの怒りの蹴りが炸裂し、兵士たちがまとめて粉砕される。
もちろんオレたちもシバを守りながら奮戦し、奴らを次々に打倒していく。
そしてその戦いの末、聖帝軍のやつらは一人もいなくなった。
* * * * *
戦いが終わった後、シバはぺこりと頭を下げた。
「ありがとうございます。おかげで、僕もケンシロウさんも……」
しかしシバはそれ以上言えなかった。ジュウザが怒りの形相で彼を殴り飛ばしたからだ。慌ててココがジュウザを抑える。
「ジュウザさん、いきなり何を……」
「ありがとうございますじゃねぇ。ガキのくせに、軽々しく命を投げ出すようなことをするな!」
その言葉に、シバはジュウザを見返す。そのジュウザの表情には、怒りと、幼い命を思いやる気持ちが表れていた。
ジュウザは続ける。
「軽く命を捨てるぐらいなら、ギリギリまで命を捨てずに済む方法を考えろ。考えたことがあるのか、残された者の気持ちを!」
「あ……」
シバが声をあげた。そうだ、ジュウザはユリアを愛していたが、彼女はジュウザの腹違いの妹だったうえに、最後はシンをいさめるために身を投げ出したのだった。そんな過去があるからこそ、誰かが何かのために軽々しく命を犠牲にすることを見過ごせないのだろう。
それを感じ取ったのか、シバは目を伏せて、再びジュウザに頭を下げた。
「ごめんなさい……」
「ふん……」
そこでオレはジュウザの肩に手を置いて、そして言った。
「もう反省しているみたいだし、そこまでにしてやれよ。シバも、あんなことはこれっきりにしておけよ。お前だってシュウの言っていた『未来の光』なんだからな」
「はい……え?」
あ、しまった。これは藪蛇だったかな? それに気づいたジュウザが訝しげな視線を向けて言った。
「なんでお前さん、シュウが言ったことを知ってるんだ?」
「……噂で聞いたんだよ。とにかく、シバとケンシロウをシュウのところに連れて行かないとな」
そう言って、オレはシバが教えてくれたケンの隠れ場所に足を向けたのだった。
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それでは、次回予告をどうぞ!
*次回予告*<チャーチャーチャチャー
ケンシロウとシバを救ったナノルたち。その彼らが聞いたのは、怪しい狼の一団の話だった。
その謎を追う彼らに、狼たち、そして聖帝軍の牙が待ち受ける!
次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』
第参拾四話『予想外の再会!!』
「そうか。なら試してみるんだな。この俺の拳が腑抜けているかどうかを!」
※次の更新は、6/1 13:00の予定です。お楽しみに!
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