北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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運命を切り開く者がいる! 天の道を外れ、欲望に生きる外道がいる!
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!

見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!



(リュウガ編)第参拾七話『哀しき天狼!!』

 ケンことケンシロウと聖帝サウザーの戦いに決着がついたあと、オレたちは引き続き旅を続けていた。

 

 その途中……。

 

「ふぅ……少し休憩したいところだな……」

「ナノル兄……大丈夫? ちょっと疲れてるように見えるよ?」

「もしかしたら、サウザー戦での傷がこたえているのかもな……。どこかに休める場所があればいいんだが……」

 

 そう思って見回してみると、そう遠くないところに街が見える……そこからたなびく煙も。

 どうやら、天はオレに休む暇も与えてくれないらしい。

 

「どうやら、野盗か拳王軍に襲われてるみたいだな。どうする、ナノル?」

 

 そうジュウザが茶化すように聞いてきた。むろん、答えは決まっている。

 

「見つけてしまった以上、助けないわけにはいかないだろ。もしかしたら休ませてくれるかもしれないし」

 

 そう言ってオレは、少し重く感じる身体に鞭を打ち、その煙たなびく街へとハンドルを切った。

 

* * * * *

 

 そしてその町にやってきたのだが、思っていたのとは違ったようだ。

 

 オレたちは、罪もない村が悪い奴らの襲撃にあっているのかと思ったが、倒れているのは拳王軍の兵士たちばかりだったのだ。つまり、ここは拳王軍が支配する街で、それを何者かが襲っている、ということ。

 

 そしてもう一つ気に留まったのは、その死体の傷口。まるで、えぐられたような。これはもしかして……。

 

「なぁ、ジュウザ、これは……」

「あぁ、間違いない。あいつだろうぜ」

 

 そう返すジュウザも、表情を沈ませている。彼も気づいているのだ。相手をえぐり凍てつかせる拳を振るい、孤高の星を背負い、そして拳王軍に身を置いてその拳を振るい続けている男のことに。

 

* * * * *

 

 オレたちが町の中心部にたどり着くと、そこではやはり、銀髪の若い男……リュウガと、この町の主らしい男が対峙している。その周囲には、リュウガの拳の犠牲者と思われる死体がごろごろと。

 

 町の主がうろたえたように、それでも虚勢を張って言う。

 

「い、いいのか、ここは拳王様の治めている村だ! お前のやっていることは……」

 

 だけど、それにリュウガは揺るがずに言い返す。

 

「謀反だというのか? 拳王様の村を好き勝手に支配していた奴の言うことではないと思うがな……」

「ぐぐぐ……おのれええええ!!」

 

 リュウガに論破された男は、激昂し、刃のついたパペットを振りかざして襲い掛かった!

 

「腐った枝は大木をも揺るがす!!」

 

 その男にリュウガの拳がさく裂! 男の喉が、鮮やかにえぐり取られた!!

 さらに。

 

「シャウッ! シャウッッ!!」

 

 さらにその拳が振るわれ。それと当時に、男の身体は次々とえぐり取られていく!!

 

「さ、寒い……」

 

 無残な姿になり果てた男は、そのままうつぶせに倒れこんだ。原作でも見たが、本当に鮮やかかつすさまじい拳だぜ……。

 

 と、そこでオレは気が付いた。男の手下らしい男が、リュウガの背後に忍び寄っていたのを。

 

* * * * *

 

 背後の気配に気づいたリュウガが、そちらを見ると、この町の主の手下と思われる男が斧を振り上げたまま硬直していた。その首はあり得ない方向に折れ曲がっている。やがてそのまま倒れこんだ。その後ろにいたのは……。

 

「余計な手出しだったかな? リュウガ兄」

「いや、気を抜いていたので気づかなかった。助けてくれて感謝する」

 

 そう、ジュウザとナノル、そしてココとフラニーの四人だった。ジュウザが男を倒してくれていたのだ。

 そこに、一人のひげ面の男がやってきた。リュウガの副官、ガロウだった。

 

「リュウガ様、町から逃亡を図る奴らのせん滅を終わらせました……こいつらは!?」

 

 ガロウが顔を険しくして、刀を構えるが、リュウガがそれを抑えた。

 

「刀を収めろ、ガロウ。彼らは私を助けてくれたのだ」

「は……」

 

 リュウガに言われて、ガロウは警戒心を解かないながらも刀を収めた。

 そこでリュウガは何かに気づいたようだ。ナノルに対して聞く。

 

「大丈夫か、そこの男? 何かとても疲れているようだが」

「あぁ……。先に大変な戦いをしてきたんでな……。ちょっと消耗してるっぽいんだ」

 

 ジュウザに言われて、リュウガは得心したように表情を変えた。彼もそのことは耳に入っていたのだ。

 

「そうか、聖帝と戦って、一矢を報いた戦士とは……大したものだ」

「へへ……ありがとうよ」

「ならば少し養生させたほうがいいだろうな。ガロウ、私は彼らを居城へと招待する。あとは任せたぞ」

「はっ、お任せください」

 

 そして、リュウガは馬に飛び乗ると、先導するかのようにゆっくりと歩き出した。そのあとを、ジュウザが運転するバギーがついていく。

 

* * * * *

 

 そしてオレたちが、リュウガに客人として迎えられて数日が経った。

 

 ココや、城のメイドたちの看病のおかげもあり、オレはかなり回復してきた。もう、いつも通り戦えるほどだ。

 ただ、起き上がろうとしても、ココが必死に止めてくるのが困りものだ。また、ジュウザが城のメイドにも手を出そうとするのも困りものだ。

 

 そんな中、リュウガが城を空けた。おそらくは……。

 

 それから数日後、戻ってきたのは疲れ果てた姿のリュウガだった。オレたちは彼に駆け寄った。そして聞く。

 

「大丈夫か? 少し疲れてるみたいだが」

「どうってことはない……。思い人にそっけなく振られただけだ」

「思い人……ケンのことか」

 

 そう聞くと、リュウガは驚いた表情を浮かべたが、すぐに苦笑へとそれを変えた。

 

「なぜそれを……そうか、お前はテンセイシャだったな。なら知っていて当然か」

 

 その彼に、ジュウザが言った。その表情には呆れのような複雑な表情が見て取れる。

 

「相変わらず、自らの定めとやらか。ご苦労なことだな。そんな定めなんぞ捨てたっていいだろうに」

「ふ……私はお前と違って、律儀さを捨てきれないのでな」

 

 そう言ってリュウガが苦笑する。

 

 リュウガの定め……それは孤高という天狼星の宿命に背いてまでして、時代を平和へと導く大木を見定め、導くこと。

 原作でのリュウガは、その定めのため、はじめはラオウにつき、そのあとはケンとラオウのどちらかが大木なのかを見定めるため、トキや多くの人たちを手にかけたうえで、怒り狂ったケンとの戦いに挑み、散っていった。

 おそらく、この世界でのリュウガも同じことを考えているのだろう。だが……。

 

 そのオレと同じ考えを持っていたのか、ココが口を開いた。

 

「でも、その定めを果たしても、あなたは……」

 

 そう、例えその定めを果たしても、リュウガがケンとともに平和のために歩むことはあり得ない。先述の通り、彼は怒りに燃えるケンの拳に敗れる定めにあるのだ。いやそれ以前に、彼は自らの行う虐殺を許せず、自ら腹を割っている。それまでに自らがラオウのために繰り広げた戦いのケジメをつける意味も含めて。

 

 それだけ考えると、彼のしてきたことは徒労と見えるかもしれない。オレにもそう思えた。だが。

 

「そうなっても悔いはない。このリュウガの行ってきたことが、時代が救われる一助、そのカケラにでもなれば本望だ」

「だけど……」

 

 そう言い募るココに、リュウガは固い決意を秘めた表情で告げた。

 

「心配はいらん。このリュウガが散った後のことも考えてある」

 

* * * * *

 

 その翌日、再びリュウガは城を出た。もしかしたらケンシロウと戦うために……。

 

 さらにそれから一週間。オレの身体も回復してきたことだし、旅立つことにしたオレたちは、出迎えに来たガロウとあいさつを交わしていた。

 

「そうか……旅立つのか。できればお前たちには、このままここにいて、私やリュウガ様の力になってほしかったのだが……」

「すまないな。やはりオレには流れ流れての旅の人生があっているんでな。なんなら、ジュウザを置いていってもいいぜ?」

 

 オレがそう言うと、ジュウザは肩をすくめて、あたかも「勘弁してくれ」って感じの表情で言った。

 

「冗談じゃないぜ。俺も、だれかの下で働くなんてまっぴらだよ」

「くすくす」

「ふふふっ」

 

 そのジュウザを見て、ココとフラニーが笑う。それに対して、ガロウも笑みをもらす。

 

「そうか、残念だが仕方あるまい。いい旅をしてくれ」

「ありがとうよ、それじゃ……」

 

 と、そこに!

 

「出ていくのか……ならば少し待ってくれ。お前たちに頼みたいことがある……」

 

 扉の外からリュウガの声がした。フラニーがただならぬものを感じて扉を開けると、よろめきながらリュウガが入ってきた。その腕には……。

 

「トキさん……!」

 

 悲鳴をあげるココ。そう、深手を負わされたトキが抱き上げられていたのだ。意識はないが、まだ命はあるように思える。

 そのトキを見たジュウザが言う。

 

「もしかして……やっちまったのか? リュウガ兄」

「いや……とどめまでは刺していない。もっとも、トキの衰弱具合にこの深手では、長くは持たないだろうが……」

 

 そう言ってリュウガは膝をついた! その彼にガロウが駆け寄る!

 

「リュウガ様!」

「まさかあんた、陰腹を……!」

「大変、手当を……」

 

 そう言って、応急処置用具を取りに行こうとするココをリュウガが止めた。

 

「私のことはいい……。それよりトキの手当を頼む……。長くはないとはいえ、時代のために、この狂える魔狼に命を投げ出してくれた彼へのせめてもの礼だ。残りの時間はなるべく苦しませずに過ごさせてやりたい……」

 

 勝手な願いかもしれないが……というリュウガに、オレは首を振ってこたえた。

 

「そんなことないぜ。あんたに少しの間世話になったお礼としては安いもんさ。それにあんたは時代のためにその身を投げ出していろいろやってたり、汚名を着てくれたんだからな。それぐらいじゃまだおつりがくるぐらいさ」

「感謝する……。もうすぐこの城にケンシロウがやってくる。お前たちはその前に、トキを連れて城を出るがいい。今、彼と顔を合わせたら心苦しいものがあるだろう」

「あぁ……ありがとよ」

 

 そしてリュウガはかすかに荒い息をつきながら、ガロウに視線を向けた。

 

「ガロウ、ここまで私についてきてくれて、礼を言う……」

「リュウガ様……」

「先に話した通り、私が倒れたら、ケンシロウに気づかれず城を脱出し、『彼ら』のもとへ向かってくれ。そして、ケンが大木であったことを伝えるのだ。そしてできれば、ケンシロウが時代を救えるよう、陰から助けてやってくれると嬉しい」

「……」

「頼む……お前にしか頼めない」

 

 リュウガにそう言われ、ガロウはじばしの重い沈黙の後、うなずいた。

 

「わかりました。ですが、これは時代のため、ケンシロウのためではありません。リュウガ様の願いのため、ケンシロウ、そして時代のために働きましょう」

「頼む……ナノルたちも、よければ時代のために、ケンシロウの力になってやってくれ」

「あぁ、言われるまでもないけどな。旅の途中でケンシロウがピンチに陥っていたら、助けてやるさ」

「ありがとう……」

 

 そしてリュウガはふらふらと立ち上がると、凛とした足取りで城のほう、自らの死地へと歩いていった。

 

* * * * *

 

「む……」

「目覚めたか、トキ」

 

 城の地下にある部屋で、ココがトキの応急処置をはじめてしばらくして、やっとトキが目を覚ましてくれた。

 

「私が、お前たちに助けられるとはな……。ありがとう」

「礼を言うことはないよ。言うならリュウガに言ってくれ」

「リュウガが……」

「あぁ。今頃は地上階で、ケンとドンパチしているころだ。今はケンに見つかりたくないからな。気づかれないうちに、この城を出るぜ」

「さぁ、トキさん。肩につかまって」

 

 だが、そのココの言葉を、トキを断った。

 

「いや、私はここに残る。お前たちだけ逃げてくれ……」

「何を言ってるんだよ、おっさん。あんたを置いていけるわけないだろう」

 

 そういうジュウザに、トキは首を振って答えた。

 

「リュウガは時代のために、血に染まり、汚名を着、その身を投げ出そうとしている。その彼の汚名を残したくはないのだ。私はケンシロウのもとに駆け付け、その汚名をそそいでやりたい。例え、彼がケンシロウに敗れ、果ててしまうとしてもだ。それが私の最後の仕事だと思っている」

「トキ……わかった。だが、それならオレたちも一緒に行くぜ。気まずくなるだろうが、それぐらい我慢できるさ」

「ふ……」

 

 そしてオレたちは、階段をのぼり、ケンとリュウガの戦いの場へと向かっていった。

 

 そしてその夜……

 

 ついに二つの星が落ちた。ケンに哀しみを刻み付けて……。

 

 




感想、ファンアート、そして『テテテUC』を書いてくださる方、募集中です! テテテUCを書いてみたい方は、ひいちゃまでメッセをくださいませ(平伏

それでは、次回予告をどうぞ!

*次回予告*<チャーチャーチャチャー

旅を続けるナノルたち。彼らの前にある男があらわれる。
それは、ついに動きだした南斗最後の拳士の使い!
果たして、その目的は何か!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第参拾八話『風の男!!』

いよいよ、次回から最終章開始!

※次の更新は、6/29 13:00の予定です。お楽しみに!

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