北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました 作:ひいちゃ
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!
見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!
関東地方にあるとある町。そこにあるビルに、一人の男が訪れていた。
ひざまずくその男の前には、一人の初老の男性と娘。彼らは男からの報告を淡々と聞いていた。
「……相分かった。やはり大木はケンシロウで間違いないか。ご苦労だった。これからのそなたの武運をお祈りする」
「ありがとうございます。これでリュウガ様の遺命の一つは果たせました。それでは」
そう言って、男……ガロウはビルを去っていった。
それを見送ると初老の男……リハクは正面を見据えたまま口を開いた。
「いよいよ、我らが動く時が来た、ということですな、副軍師殿」
すると、その背後の闇から一人の男があらわれた。20代半ばの、独特なモヒカンの男だ。
副軍師と呼ばれたその男は、リハクの言葉にうなずくと、注意を促すように口を開いた。
「えぇ。ですが、今の段階でラオウと直接ぶつかり合うのは無謀です。いかに五車星といえども、ラオウにはかないません。ここは、我らの存在を隠しつつ、拳王軍の後方かく乱を行い、ケンシロウが早く到着するように進めるのが肝要かと」
「そして、ケンシロウ様があのお方と再会した時に、いよいよラオウとの決戦に挑む、と……。じゅくじたる思いはありますが、見事な策です」
「いえ、大したことではありません。あくまで俺がテンセイシャであるからだけですよ」
そう言って苦笑を浮かべる副軍師に、リハクは一瞬微笑むも、すぐに顔を引き締めて、前に向いて号した!
「よし、炎に動くよう伝えよ! そして風に『彼』との接触と、同じく後方かく乱に動くよう伝令を出せ! それと山にも!」
「ははっ!」
「副軍師どの、例の件もお願いします」
「わかりました、お任せください」
リハクに命じられた伝令たちは、まさに風のように城を出発していった!
* * * * *
火山のふもとに立つ、ビルを改造した質素な城。その最上階に飛び込んできた鳩を、赤い髪の男が迎えた。
「ついに、我らが本格的に動く時が来たか! よし、出陣だ! 拳王軍の支配が十分に行き届いていない町や村の敵を撃破していくのだ!」
「おぉ!!」
そして伝令は風のもとにも。
「よし、俺は『彼ら』と接触しに出発する。シオン、風の軍は任せたぞ。一撃離脱で、拳王軍の補給部隊を撃破するのだ」
「お任せください! 兄上、どうかご武運を!!」
山にも。
「ついにこの時が来たか。みんな、父さんは行ってくる。ちゃんと、『彼』の言うことを聞いて、良い子で待ってるんだぞ。……子供たちのことをお願いします」
「あぁ、任せてくれよ。誰が来ようと、ガキどもには指一本触れさせてはしないさ」
* * * * *
旧聖帝領と拳王軍領の境界付近にある村。拳王軍の支配下にあるこの村は今、その身を深紅に染めた軍団の攻撃を受けていた。
「て、敵襲だ~! ぐあっ!」
「うぎゃあ!!」
拳王軍の兵士たちはみな、軍団から放たれる炎の矢の前に倒れていく。
そしてその戦いの中、この村を収める総督は、軍団のリーダーと対峙していた。
「お、お前はいったい何者だ!? 何が目的だ!」
「故有って、それは語れんし、貴様に語る理由もない。おとなしく我が炎に焼かれるがいい」
「ち、ちくしょう~!!」
総督が持っていた刀を振り上げて突進してきた。だが、軍団のリーダー、シュレンは揺るがず前方を見据えたまま構えを取る。その拳に炎がともった。
「我が炎、地獄の土産に持っていけ!!」
「ぐわあ~!!」
そして手刀を一閃! 総督は切り裂かれ、そして炎に包まれて果てた。あとに残ったのは、かつて総督だったまる焼けの肉片のみである。
「よし、総督は倒した! 我が軍団よ、この村に残っている拳王軍を一人残らずせん滅するのだ! 我らの存在を知られぬためにも、一人も逃がしてはならん!」
「おう!!」
そしてシュレンに総督が倒されたことで浮足立った拳王軍の残存兵たちに襲い掛かっていた。彼らの軍団のうち半数は村の周囲に展開し、村から脱出した兵士たちを漏らさず撃破していった。
そして戦いが終わった。感謝する村人たちに、シュレンは申し訳ない表情を浮かべていった。
「申し訳ないが、我らはすぐにこの村を発たねばならん。この村に残っていたら、そなたたちは新しい拳王軍の奴らにやられてしまうだろう。すぐにこの村を捨ててどこか人目のないところに隠れ里を作ってそこに避難してほしい。もしわれらの主の治める都に移住したい者がいたら、喜んで迎え入れよう」
反対する者は誰もいなかった。村人のうち半数は山のふもとに隠れ里を作って隠れ住み、もう半数はシュレンの軍団とともに、南斗の都に移住していった。
そしてそれからも、シュレン率いる軍団は、拳王領辺境の町や村を襲い、村人たちを解放していった。
* * * * *
一方、ある荒れ果てた道。その崖の上に青いバンダナを巻いた青年……シオン率いる風の軍団が身を潜めていた。
シオンが傍らの青年に小声で問いかける。
「もうそろそろ奴らが通り過ぎるはずだが……。ここで間違いないですよね?」
「はい。転生者ネットワークによる情報です。ほぼ間違いないと思います……きた!」
青年が目を向けた崖の下、そこには崖を通過する拳王軍の輸送部隊の姿があった。同じくそれを確認したシオンが部下たちに号令をくだす!
「よし、行くぞ風の旅団よ! 風の如く奴らに攻めかかり、せん滅するのだ!」
「ははっ!」
そしてシオンを先頭に、青い戦闘服に身を固めた兵士たちが、バイクで輸送部隊に襲い掛かった!
「な、なんだ!?」
「き、奇襲だ~! ぐあっ!!」
「た、ただちに反撃態勢を……ぎゃあ!!」
自分たちに敵はないと慢心し、堕落して応戦の備えもなかった輸送部隊は、その奇襲に満足な反撃もできず、ただ蹂躙されていく。
彼らが壊滅するのにそう時間は耐えられなかった。むろん、生き残りはいない。
「よし、奴らが運んでいた物資を根こそぎ奪い、戦闘した形跡も消し去り、しかる後に迅速に撤退するのだ。拳王軍に、我らの存在を気づかせるきっかけを残してはならん!」
「了解しました!」
部下たちが返事を返し、形跡の抹消と撤退の準備をはじめる中、シオンは空へと目を向けてつぶやいた。
「そろそろころあいだが……兄上は彼らに接触できただろうか……?」
* * * * *
一方、こちらは拳王軍の本拠地、拳王府。そこに座する拳王ことラオウに、憂慮すべき事態が報告されていた。
「物資が……?」
ラオウに問われた、副官のザクがひざまずいたまま報告を返す。
「はい。倉庫の物資が残り少なくなっております。今はまだ大丈夫ですが、このままでは進軍が不可能になったり、物資不足から兵たちに動揺が広がる可能性があります」
「むぅ……各領土からの輸送部隊はどうなっている?」
「それが……かなり遅れているようです。襲われたという報告も届いていないので、何者かの襲撃を受けた、という可能性は低そうですが……」
そのザクの報告を聞き、ラオウは腕を組み目をつむり、唸って考え込んだ。そして目を開いて、命令を発した。
「しばらく、物資の消費を抑えるよう工夫せよ。それと、一体輸送部隊に何が起こっているのか、部隊を発して調査させるのだ」
「かしこまりました」
ザクが退出していくのを見送り、ラオウは再び腕を組み、目を閉じた。
シュレンたちやシオンたちが、徹底的に自分たちの痕跡を残さぬように立ち回ったため、ラオウでさえも、何があったのか把握できなかったのである。
* * * * *
さて、トキとリュウガを弔ったオレ……ナノル、ココ、フラニー、そしてジュウザの四人は、ケンと別れて再び旅路についていた。
なお、そのさいにジュウザがケンに殴りかかろうとしていたが、全力で肩を抑えて押しとどめたのは言うまでもない。だってユリアは……。
さて、そして旅を続けていると、例のように例のごとく、町がオレたちの目の前に現れた。
そして例のごとく、その町には何か問題があるようだった。それは……。
「なぁ……ジュウザ」
「あぁ……びしびしと匂うぜ。死のにおいがな」
そう言葉を交わしあい、近くの物陰にバギーをとめると、そこから降りてバギーを偽装する。
そこでちょうど、オレたちに一人の子供が駆けてきた。そしてその向こうには……。
「へっへっへっ、待ちやがれ~! お前はオレの獲物になるんだ~!!」
モヒカンがボウガンを持って、子供を追っていた。そしてボウガンを射る!
「ああああっ!!」
なんと非情なことか! ボウガンの矢は非情にもその子供を射抜き、死に至らしめたのだ。義憤をオレとジュウザの身体を駆け抜けたのは言うまでもない。
「へっへっへっ、やっぱりガキ狩りは最高だぜぇ~」
「そうか?」
「あん?」
そしてオレは、子供の遺体から矢を引き抜き……。
「なら次はお前が狩られる立場になれっ!!」
「ぎゃっ!」
矢を投げ放つ! その矢は見事、男の左目に突き刺さった!
「うぎゃ~! 目、目がぁ~! てめぇ、オレたちがこの町を収めるヤモン様の手下と知ってのことか~!!」
「そんなことは知らないな。ただ……」
そう言い放つオレの横に、ジュウザが進み出た。そして。
「いけすかねぇ奴はただぶちのめすだけよっ!!」
そして男に飛び掛かる!! そして空中から男の頭をつかみ、飛んでいく勢いを利用して、男の身体を背中側に折り曲げ……。
「た、たすけ……でべらっ!!」
ものの見事に、その身体を真っ二つにへし折った!! えぇ、見事な一撃だったとも。
「見事だったな、ジュウザ」
「まぁな。ざっとこんなもんよ。さて……」
「そうだな、この町の頭をぶちのめしに行くか」
そしてオレとジュウザは二人、町の中に入っていった。そのあとにココとフラニーも続く。
* * * * *
町の中は予想通りだった。
町を支配する悪党が、罪もない弱い人々を相手に、邪悪なゲームを行っていたのだ。
「ほらほら、俺に指一本でも触れられたら、ガキを解放してもいいと言ってるんだぜ~?」
「はぁはぁ……うぎゃっ!!」
二刀流のモヒカンが男性を相手に、その子供の命を掛け金として、どこかで見たような地獄の追いかけっこをしている。
「さぁ、どれかの箱を潰してみろ。早くしないと、お前の頭をぶち割ってやるぜ!」
「そ、そんな……」
太った悪漢が、か弱い女性にすいか割りをさせている。だがそれも、ただのすいか割りのはずがない。片方はただのすいかだが、もう片方は、地面に埋められた、彼女の子供と思われる男の子の頭なのだ。
当然、オレたちが、そんな邪悪なゲームをしている悪い奴らをぶちのめしながら進んだのは言うまでもない。
そしてたどり着いた広場では、やはりこの町の主が邪悪なゲームを繰り広げていた。
「それそれ、いくぞぉ~」
「ひ、ひぃぃぃぃ……!」
主と思われる、ボサボサの金髪と、歌舞伎かヘビメタかと思わせるような化粧をした男が、目隠しをして槍を構え、壁に貼り付けられた男性に狙いを定めていたのだ。
そしてオレたちが駆け付ける前に、ヘビメタ野郎は槍を放つ!
「ぎ、ぎゃあああああ!!」
ガスッ!!
だが幸いにも、槍は男性の頭ギリギリに突き刺さった。よかった……。
「うーん、外れたみたいだなぁ。だが、やはり町人どもの悲鳴は最高だぜぇ~!」
「それはよかったな。なら次は、お前の悲鳴をリクエストさせてもらうぜ」
「なんだとぉ~? この俺様に逆らう気かぁ~?」
ヘビメタ野郎がそう言うと同時に、その手下たちが一斉にオレたちを取り囲んだ。
「よくこれだけの部下がいたもんだ。人望がなさそうな顔してるのにな」
「なぁに、いくら集まっても……」
そう言うや否や、いきなりジュウザが動いた! そして、手下たちに飛び込んだかと思うと……。
「なあああああ!?」
ヘビメタ野郎が声をあげた。ジュウザは群がる手下どもを、その変幻自在の我流拳法を駆使して、奴らを造作もなく倒していったのだ。
他の手下たちも、その有様を見て浮足立っている。そこを突いて、オレも襲い掛かった! ジュウザには負けてられないからな!!
「そーらそらそらそらっ!!」
「うぎゃっ!!」
「あべれぇ!!」
二刀流のダガーで次々と手下たちを切り裂いていった! 大したことない奴らなうえに浮足立っていたこともあり、苦労することなく倒していくことができた。
そして手下たちは片手で数えられるくらいまで数を減らしていた。
「所詮はザコだ。どうってことはねぇ」
「……だな」
その有様を見て、ヘビメタ野郎は戦慄し、立ち尽くしている。
「ななな、なんだお前らは……。鬼か悪魔か……ちくしょう!!」
「あぁ、親分~!!」
格の違いを察したのか、ヘビメタ野郎はオレたちに背中を向けて逃げ出した。そのあとを手下たちが追う。
だが、彼らは逃げ切ることはできなかった。
突然、一陣の風がよぎると、ヘビメタ野郎たちはたちまち身体を寸断されて、肉塊となって果てたからだ。
……って、これは五車風裂拳……!?
「ナノルだな? 我が主、南斗慈母星の将の命により、あなたを迎えにきた」
感想、ファンアート、そして『テテテUC』を書いてくださる方、募集中です! テテテUCを書いてみたい方は、ひいちゃまでメッセをくださいませ(平伏
それでは、次回予告をどうぞ!
*次回予告*<チャーチャーチャチャー
南斗最後の将こと慈母星の将からの使い、ヒューイの要請に従い、将の元へと赴くナノルたち。
その彼らに、あの悪名高き地と、意外な男との闘いが待つ!
次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』
第参拾九話『眠れ、もう一つの監獄城塞へ!!』
「ふん、言ってくれるわ。だが、いつまでその軽口が叩けるか!!」
※次の更新は、7/6 13:00の予定です。お楽しみに!
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