北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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199X年世界は核の炎に包まれた!

海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。

だが、転生者は死滅していなかった!

* * * * *

転生者・ナノルがマミヤの村で再会した相手。それは、彼の前世の妹、ココであった!
妹と再会を果たしたのもつかの間、マミヤの弟コウが、牙一族に襲われてしまう!

助けに向かうナノルとケンシロウだが、非情にも、牙一族の暴虐の前に、コウは命を奪われてしまう。
その怒りと、マミヤの哀しみを晴らさんという想いをのせて、ナノルのダガーが牙一族に振り下ろされるのであった!!


(牙一族編)第四話『緒戦開幕! 野獣の涙に人の心を見た!』

#4

 

 牙一族の集落。そこでは牙大王が、マミヤの村に放った密偵からの報告を聞いていた。

 

「そうか、ついに見つけたか! よくやったぞ息子よ!」

「おう!」

 

 そして牙大王の顔が邪悪な笑顔に変わる。

 

「ぐふふ、その娘を人質にとりさえできれば、用心棒どもなど恐れるに足らんわ! ぐわはははは!!」

 

 そう高笑いをあげる牙大王。だがそこに、その高笑いを打ち砕く報告が訪れた!

 

「た、大変だ親父ぃ! ケマダが、ケマダがやられたぁ!!」

「な、なんだと!?」

 

高笑いが一変。その報告に、牙大王の顔が怒りと悲しみが入り混じったものに変わる。

 

「おおお、息子よおぉぉぉ!! 許さん、許さんぞ、用心棒どもおおぉぉぉ!! 息子たちよ! 迎え撃つ準備だ!! 総力をもって、奴らを皆殺しにするのだああぁぁ!!」

「おおおぉぉぉぉ!!」

 

 決意の叫びをあげる牙大王と一族たち。

 そこに、一人の牙一族が名乗りを上げた。

 

「親父ぃ! 奴らを迎え撃つ先陣は、俺にやらせてくれえ!!」

「おぉ、ギバラ! お前はずっと、ケマダを慕ってたな!」

「あぁ! 兄貴を殺した奴らを、この手でぶっ殺してやりたいんだ!」

「よし、先陣はお前に任せたぞ! 見事その役目を果たしてこい! お前が奴らの首を持ち帰ってくるのを楽しみにしているぞおおぉぉぉ!!」

 

 そして再び雄たけびがあたりに響き渡る。

 

* * * * *

 

 牙大王と兄弟たちは知ることもなかったが、ギバラは他の兄弟たちより強い復仇の念を抱いていた。

 それは、ケマダを心の底から慕っていたのもあるが、彼自身が本人も自覚していないが、牙一族の者らしくなく、人間らしい情を一部に持っていたからでもある。

 

 それは、以前の襲撃の時のこと。

 

 クマのぬいぐるみを牙一族の一人が、振り回して遊んでいた。それをギバラがうらやましそうに見ている。

 譲ってくれるように頼むものの、その牙一族は譲ることはおろか、貸すことすら拒否して、足蹴にする始末。

 そこに声をかけたのがケマダだった。

 

「なんだ、ギバラの弟よ。あのぬいぐるみがほしいのか?」

「あ、あぁ」

 

 するとケマダは、その牙一族を殴りつけた!

 

「兄弟に意地悪してるんじゃねぇ! 乱暴におもちゃにしてるくらいだったらギバラにあげやがれ!」

 

 そう言うと、ケマダはぬいぐるみを取り上げ、ギバラに手渡したのだ。

 

 その優しき振る舞い、手渡された時の手のぬくもり。それはギバラに何かを目覚めさせた。

 

 そう。わずかながらも人としての情と、ケマダへの、仮初のものではない、本物の親愛の感情を……。

 

* * * * *

 

「コウの死を無駄にしてはいけない! なんとしても牙一族からこの村を守り抜くのよ!」

「おーーーー!!」

 

 オレたちがコウを殺した牙一族の部隊を壊滅させた翌日。村人の士気を上げるため、マミヤさんは彼らに対して演説を行っていた。

 

 さすが、マミヤさんのリーダー力はすごい。彼女の演説で、村人たちは沸き立ち、闘志にあふれかえっていた。

 オレとケン、レイはその様子を、村人たちの中に混じって眺めていた。村人が闘志をあふれさせ、声をあげているのを見て、オレは思わず、言葉をこぼしてしまう。

 

「本当にマミヤさんはすごいな……」

「うむ……」

 

 オレのポロリと発した言葉に、ケンも同意する。だがその一方で、レイは何か思うところがあるのか、何か憂いを秘めた表情でマミヤさんを見つめていた。

 

* * * * *

 

 演説が終わった後、マミヤは長老の家で、戦闘服を改めて身に着けていた。それをココが手伝い、リンが憧れたような目で見ている。

 

「ふふ、リンちゃん、珍しい? 戦闘服が。でもね、戦うって不幸せなことなのよ」

 

 でも、そう憂うように言うマミヤに、リンは首を振って返す。

 

「でもマミヤさんには、幸せにしてくれる男の人がいるんでしょ?」

「ケンシロウとかケンシロウとかケンシロウとかね」

 

 そのリンに、ココがそう続ける。

 その言葉に、マミヤは苦笑を浮かべる。

 わかっているのだ。

 自分には幸せなどありえない。それにケンには……。

 

 そこに。

 

「そうだ。そして、お前まで不幸せなことに足を突っ込む必要はない。それは俺たちに任せておけばいい」

 

 部屋の入口に、ケン、ナノル、そしてレイが立っていた。

 そしてレイは厳しいながらも、瞳に悲しみを込めて口を開いた。

 

「女のお前が戦うことはない」

 

 レイが、そう苦言を発する。ナノルは前世での知識から、なぜマミヤが女を捨て戦士になったのかを知っていたが、彼自身も彼女が戦うことを憂いていたので、あえて黙っていた。

 だがその彼の苦言に、マミヤは怒りの表情でかみついた。

 

「女はとうに捨てたわ。ここにいるのは女ではない! この村を守る戦士の一人、マミヤよ!」

「そうか……」

 

 マミヤの反論にレイはそうつぶやくと、戦う構えをとる。それを見て、辺りにいるケン以外の一同が息をのんだ。

 そして。

 

「ヒューーーーシャオッ!!」

 

 レイがマミヤに斬撃を放った! だが、マミヤが傷つくことはなかった。彼の手刀は、彼女の戦闘服だけを引き裂いたのだ。

 

* * * * *

 

 このシーンはオレも前世で見たことがあるが、やはりその場にいると衝撃を隠せない。

 いや、彼女の裸がどうのこうのではない。レイからはまるで戦闘の時のような気が感じられたのだ。原作を知ってるオレはともかく、他のみんなはレイがマミヤさんを殺すつもりだと誤解しただろう。

 だが、彼がそれだけ気配を発していたのは、それだけマミヤさんのことを想っていることの裏返しでもあるのだ。

 そのレイがマミヤさんを諭すように口を開く。

 

「なぜ胸を隠す? お前が女でなければ、胸を隠す必要はないはずだ」

「……っ」

「ちょっとレイ! マミヤさんを裸に剥いておいて、そんな言い方……」

 

 レイにかみつくココに、オレはそっと肩に手を置いた。そしてうなずき、目で訴えかける。彼の言うことを聞いてやれ、と。

 

「いいか。女は幸せになることだけを考えていればいいんだ。この時代ならなおさらな」

「あ……」

 

 ココが何かに気が付いたように声を漏らした。

 そう、弱肉強食のこの時代、男と同じく、女も幸せを最後まで掴み続けていられる者は少ない。幸せを掴めず、奪われ、散っていった女たちもいるのだ。彼女たちに比べれば、幸せをつかむことができる女はなんと幸せなことか。

 

 妹のアイリ……フラニーを失うところだった彼の言葉はとても重い。

 

 そしてレイは、窓のカーテンを引きちぎると、マミヤにかけてやった。

 

「あのケープはフラニーに渡したが、俺たちが戻ってきた時には、純白のケープをお前に贈ることを約束しよう」

 

 そう言うと、レイはくるりときびすを返し、部屋を出て行った。

 ……本当に、不器用な男だぜ。

 

* * * * *

 

 そしてその夜、オレとケン、レイは村を出た。

 言うまでもない。牙一族の奴らを撃滅するためだ。奴らの集落の場所は、既に村の長老から聞いてある。

 

 だが、村を出てオレは驚いた。入口のところにはマミヤさんがいたのだ。

 

 さっそくレイが咎めて言う。

 

「女は自分の幸せのことだけを考えていろと言ったはずだ」

 

 だがマミヤさんは、その苦言に勝気な笑みを返して、言い返した。

 

「そう、私は女よ。でもね、私はそれと同時に村のリーダーでもあるの。村の安全なしに、私の幸せはあり得ないわ。まずは牙一族を倒す、私の幸せはその後。それに、私にはリーダーとして、あなたたちが裏切らないか見張り、仕事ぶりを見届ける義務があるの」

 

 その言葉に、レイは観念、あるいはお手上げといった感じで言い捨てた。

 

「ふっ、好きにしろ」

「えぇ、好きにさせてもらうわ」

 

 そしてオレたちは、牙一族の集落目指して旅立った。

 

* * * * *

 

 そして、奴らのテリトリーであろう谷に一歩を踏み出したその時。

 

「……っ」

 

 ケンが何かに気づいたらしく、脚を止めた。

 

「どうしたんだケン?」

「気を付けろ。左右から何かが襲ってくる」

 

 さっそく奴らが襲ってきたのか! オレはとっさにマミヤさんを抱え上げた。

 

「ちょ、ちょっと?」

「ごめん。話はあとで聞くから、今は大人しくしていてくれ」

 

 そして飛び上がる! それと同時に崖の左から巨大な岩が、そして右からたくさんの大木が転げ落ちてきた!

 だが、そんなものでケンとレイを止められるわけがない。

 

「あーたたたたっ!!」

 

 ケンの拳が、岩を粉々に砕く!

 

「フーーーーッ、シャオッッ!!」

 

 レイの南斗水鳥拳が、大木を無数の木片へと変える!

 

 そして落下中のオレたちのほうには、二人の牙一族が飛び掛かってきた!

 

「それっ!」

「びぎゃーーーっ!!」

 

 オレはダガーを放ち、一人の額に突き刺してやった! そいつが絶命したと同時に、ダガーナイフに結び付けていた紐を引き寄せ、ダガーを回収する。

 

「はっ!」

「ぎゃぼっ!?」

 

 そしてもう一人は、マミヤさんがオレに抱えられたまま、ヨーヨーで倒してくれた。

 

 ふぅ、でもケンがいてくれて助かったぜ。もしあれに気づかなかったら、ケンやレイはともかく、オレとマミヤさんはやられていたかもしれないからな。

 

 でもそれで安心するのは早かった。崖の上から牙一族たちが飛び掛かってきたのだ!

 

* * * * *

 

 左右から岩と大木が、ケンシロウたちに迫る様子を見て、ギバラは勝ちを確信していた。奴らはこの挟み撃ちでいちころだと。あれだけの岩と大木を受ければ、普通の奴らならおしまいである。

 

 だが彼にとって不幸なことに、彼らは普通の奴らではなかった。

 

 ケンシロウとレイは、その岩や大木を粉砕してしまった。その様子にギバラは驚愕し、そして焦り、顔を怒りに染めた。

 

「お、おのれ……! ならば最後の手段だ、かかれぇ!!」

 

 そしてギバラは仲間たちとともに、崖上から襲い掛かった。

 

 しかし、ケンシロウたちの強さは、彼の想像を超えていた。奴らに襲い掛かった弟たちは、次々と砕け散り、真っ二つにされていった。

 ケンシロウに襲い掛かった彼自身にも、ケンシロウの拳が迫った。だが彼はとっさに身をかわし、その拳が秘孔に直撃するのを避けた。それはまさに、ケマダの仇を討ちたいと思う彼の心が生んだ奇跡だったのかもしれない。

 

 その一方で、他の兄弟たちは、ケンシロウとレイ、ナノルとマミヤに蹴散らされていき、最後には彼だけになっていた。

 

 だが、ここで、ここでは死ねない。せめて一太刀、ケマダの兄貴の仇をとるまでは!

 

* * * * *

 

 そして激闘の末、牙一族の隊はあと一人となっていた。だが、どうも様子がおかしい。

 

 他の奴らだったら、危なくなったら逃げ出すのに、そいつは腰が引けながらも、逃げる気配をみせないのだ。

 それどころか……。

 

「なぁ……ケン」

「うむ」

 

 オレの呼びかけにケンがうなずく。そう、彼もオレと同じく気づいていたのだ。その男の瞳に哀しい光が宿っていたのを。

 それは、大切なものを奪われた者のみが宿す光……。

 

 おそらく奴も、大切な者をオレたちとの戦いで奪われたのだろう。

 

「ひ、ひかねぇぞ、ケマダ兄貴を奪ったお前たちにせめて一太刀……うおぉーーー!!」

 

 そしてそいつが悲しみを宿した憎しみの表情のまま、オレたち……ケンに襲い掛かってきた! だが、ケンはそいつの爪をあっさりと受け止め、逆に拳で反撃! その牙一族は吹き飛ばされた。

 しかし、ひでぶ!することはなかった。ケンはあえて、奴の秘孔を突かなかったのだ。

 

 戦いとはいえ、そいつの大切な人を奪ってしまったという後ろめたい気持ちもある。何よりも、大切な者を失い、それに哀しみを感じているなら、それは中途半端な仲間意識ではない。オレたちと同じ人間に近いということだ。そんな奴を殺す気にはなれなかったのだ。

 

 倒れ伏したそいつにケンがゆっくりと歩み寄る。上半身を起こした牙一族の男の目から涙が一筋こぼれ落ちた。そしてそれと同時に、彼の胸元からぬいぐるみが一つころりと地面に落ちた。それを大事に持っていたということは、大切な思い入れがあるのだろう。もしかしたら、オレたちが倒した、その大切な男からのプレゼントだったのかもしれない。

 

「……」

「す、すまねぇ、こいつらに一太刀浴びせることもできねぇで……。許してくれ、兄貴……!」

「ふんっ!!」

 

 ドガァ!!

 

 ケンが拳を振り下ろした! だが、その拳はその男ではない。その男のわきの地面だったのだ。

 

「な、なぜ殺さねぇ!?」

「殺したさ……今までの獣の心に満ちたお前をな」

「な、なに?」

 

目を丸くした男に、オレも近づいていってやった。

 

「仲間を、大切な人を奪われる哀しみを知ったお前は、もうオレたちが倒すべき牙一族じゃねえってことさ。でも、だからこそ言いたい」

「な、なんだ?」

「お前たちのこれまでの襲撃で、村の人たちも、大切な人を殺され、奪われた。その哀しみ、今のお前にならわかるんじゃないのか?」

「……」

「考えてみるがいい。村の人たちが逆にお前たちに襲い掛かり、お前たちの同族を、大切な人を奪ったありさまを」

「……」

 

 ケンに言われて、考え込む牙一族。やがて、その目は哀し気に閉じ、目から涙があふれ出した。そしてこぼれだす謝罪の言葉。

 

「す、すまねぇ……すまねぇ……」

 

 どうやら彼も、自分たちがしてきたことの非道さをわかったのだろう。それをわかる心があるだけ、彼は他の牙一族よりはマシだと思う。

 そしてオレは、マミヤさんに問いかけた。

 

「なぁ、マミヤさん」

「えぇ。あなた方には私の仲間を殺した罪があるし、私たちにも、あなたの大切な人を奪った罪がある。それを許してくれとは言わないし、あなたのしたことは許さない。だけど、この戦いはこれで終わりにしましょう。私たちはあなたにはもう手を出さない。あなたも私たちには手を出さない。それでいいでしょう」

「女……」

 

 そうつぶやく牙一族の男。しかしそいつは、素早く立ち上がると後ずさって構えた。

 

「すまねぇ。でもやっぱりあんたたちの情けには甘えられねぇ。何より、俺の、ケマダ兄貴を奪われた憎しみは簡単には晴れねぇし、晴らしちゃいけねぇと思うんだ。俺たちが村の奴らにやったこともな。だから……ケジメをつけるとしようぜ」

「お前……」

 

 オレは思わずつぶやく。その瞳には、野獣としての心はなく、あるのはただ、自分のしたこと、そして大切なものを奪われたことによる憎しみを清算しようという哀しい決意に満ちていた。

 それを感じ取ったのか、ケンが一歩踏み出し、指を慣らして言う。

 

「いいだろう……かかってくるがいい」

「おう!!」

 

 そしてケンに向かって走り、跳躍し、飛び掛かる牙一族。そしてそれを、ケンの拳が迎え撃つ!

 そして交差!

 

「ありがとよ……お礼というわけではないが、一つ教えるぜ……」

「なんだ……?」

「急いで村に戻りな……。親父は、ココといったか、その娘を人質にするつもりだ……。今頃、兄弟たちが彼女をさらおうとしているはずだぜ……」

「なんだって!?」

 

 牙一族がココを!? オレの妹を!? くそ、なんてこった……。

 そういえば、原作でも奴らはレイの妹であるアイリを人質にとっていた。この世界では、記憶を失ってるせいで、フラニーがレイの妹だとわからなかったから、代わりにココをさらおうとしているのだろう。……って、そんなことはどうでもいい。早く村に戻らないと……!

 

「そうか……教えてくれて感謝する」

「へへ……せいぜい、彼女を泣かせないように、がんばり……な……」

 

 そう言い残し、牙一族の男は倒れた。

 戦いを制したケンに、レイが歩み寄って声をかけた。

 

「殺したのか?」

「いや、秘孔を突いて昏睡させただけだ。目が覚めてからどうするかは彼次第だ」

「そうか。確かに、村を襲い、多くの命を奪ってきた奴らだ。悔い改めることを知らぬ獣の心しかないならともかく、人としての心があるなら、安直な死は許されん。その命尽きるまで罪を償わなくてはならん、ということか。それは俺たちも同じだがな」

「よし、それじゃいったん村に戻ろうぜ!」

 

 早く村に戻って、ココを助けなければ!

 大急ぎで村に戻るオレたち。だがそれはむなしく裏切られた!

 

* * * * *

 

 あの谷と村の中間点までたどり着いたところで、オレたちの前に一台のジープがやってきた。それに乗っているのは……バットとリン、フラニーだった。

 ……嫌な予感がする。

 

「た、大変だぜ、みんな!」

「ど、どうしたんだ!? も、もしかして!?」

「うん! ココさんが、牙一族の奴らにつかまっちゃったの!」

「……っ!」

 

 遅かったか……! バットの話では、ココは水を汲みに、夜一人で外に出たところを襲われたらしい。悲鳴が聞こえてきたので、バットが外に出ると、ちょうど牙一族の奴がココを抱えて飛び去って行くところだった、とのことだ。

 

 くそっ……!

 

 ココを……由紀をさらわれたという事実に、オレの心は激情に支配されていた。

 早く、彼女を助けなければ! 一刻も早く由紀の元へ……!

 

 だが、谷に向かって走り出そうとしたオレを、フラニーが腕をつかんで止めた。

 

「ナノル様、落ち着いてください。気持ちはわかりますが、ただ突っ込んだのでは助けられるものも助けられません……!」

「わかっている、わかっているけど……くっ……!」

 

 フラニーの言う通りだ。のこのこ助けに行ったりすれば、まんまと奴らの思うツボ。助けられずに果ててしまう。

 それはわかっている。わかっているが……!

 

「……すまん、ケン。確か北斗神拳には、気持ちを落ち着ける定神って秘孔があったよな? それを押してくれ」

「わかった」

 

 そして、ケンに頼んで、鼻の下にあるその秘孔を押してもらう。そのおかげで、気絶はしたが、少しは気持ちが落ち着いた。気持ちは揺れ動いているままだが。

 考えろ、考えるんだ。ココを助け出す方法を。

 

「レイ、マミヤさん、二人にお願いがある」

「なに?」

「なんだ?」

「オレたちがみんなで奴らのところに正面から突っ込んだら、まんまと奴らの策にはまってしまう。だから……」

 

 待っててくれよ、ココ。いや、由紀……!

 




感想、お待ちしております!

* 次回予告 *<テーレッテー!!

ついに、ナノルたちと牙一族との決戦の火ぶたが切って落とされた! 変幻自在な動きを見せる牙一族の戦士に、ナノルのダガーは通用するのか!?
そして、非道の策を持ち出した牙大王を前に、ナノルたちはココを助け出すことができるのか!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第5話『死の谷にダガーが燃えた! 対決蝙蝠拳!!』

「どうだぁ! 南斗の流れを汲む、我が蝙蝠拳に敵などいなぁい!!」
「ガタイと使ってくる拳法に、大きな違和感があるじゃねぇかよ……!」

※次の更新は、11/10 19:00の予定です。お楽しみに!

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