北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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運命を切り開く者がいる! 天の道を外れ、欲望に生きる外道がいる!
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!

見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!

* * * * *

ナノル一行の前に立ちはだかる者あり! その名を風雷十極拳の使い手・ソウジン!
その狙いは、ジュウザの拳を見極めることであった!

ジュウザの未来のため、彼の代わりにソウジンに立ち向かうナノル!

ソウジンの振るう風雷十極拳に苦戦するナノルだったが、その意思によって、ソウジンを退かせることに成功したのであった!!


(南斗最後の将編) 第四拾弐話『復興の兆しを奪われた町!!』

 一路、南斗最後の将こと、南斗慈母星の将・ユリアの治める南斗の都への旅を続けるオレたち。

 ヒューイの話では、もうそろそろ慈母星の将の領土に入るとのことで、そのせいなのか、順調な旅路だ。おそらくケンたちもフドウの案内で都に向かっていると思うが、あちらのほうは大丈夫だろうか……?

 

 オレがそう思っていると、後部座席で昼寝としゃれこんでいたジュウザが何かに反応して、わずかに体を動かした。

 

「? どうした、ジュウザ?」

「せっかくここまで順調だったんだが、それも終わりみたいだぜ。敵が接近してきてる」

「むむ?」

 

 ヒューイがジュウザの指摘に後ろを向く。オレも後ろを向くと、確かに後ろから拳王軍の奴らが迫ってくる。奴らはどうやらオレたちに用があるらしく、オレたちに向けて一直線に接近してきていた。

 

「待ちやがれ~! オレたちはこの先のミロシの町に用があるんだ。その邪魔をする奴らはぶっ殺すぜぇ~!!」

 

 どうやら、奴らはこの先にある町を襲おうとしているようだ。これはこちらこそ見逃すわけにはいかないな。

 オレは、ジュウザやヒューイ、ココ、フラニーと目配せすると、バギーを止めて降り、武器を構える。そんなオレたちに臆するなく、拳王軍の奴らは武器を構えて突っ込んでくる。

 

 さて、やるとするか。

 

* * * * *

 

 ナノルたちが戦った拳王軍の本隊。その本隊を統率する将、バルダはバイクから、伝令の報告を聞いていた。

 

「やはり、力攻めでは倒せそうにないか。それで、あいつらのほうはどうだ?」

「はっ、既に潜入に成功したとのことです」

 

 それを聞き、バルダの顔に笑みが浮かぶ。

 

「よし。本当なら正々堂々と力押しでつぶしてやりたかったが、仕方あるまい。表がダメなら裏からだ。あいつらに行動を起こせと伝えろ」

「ははっ」

 

 バルダの命を受けた伝令も、にやりと笑い、その場を迅速に立ち去った。

 

* * * * *

 

「すごいな……」

「うん……」

 

 南斗慈母星の将の領土に入ったオレたちは、その領内の最初の町を訪れて驚いた。

 家々からラジオの音声が聞こえる。数は少ないが、町のところどころに電灯もある。

 

 そこはまさに、令和にはまだほど遠いが、昭和20年台レベルまでには、文明が蘇っていたのだ。

 

 まさか世紀末に転生して、再びこれらを見ることができるとは思わなかったぞ。

 

 これについて教えてくれるヒューイの表情は、どこか誇り高そうだ。

 

「我が将のもとには、戦前の電気関係の技術者やアナウンサー、電気関係の技術を持ったテンセイシャが、その人徳を慕って集まってきてな。彼らの助けを借りて、ここまで電力を復旧させたのだ。この町にも、送電線や中継施設などを使って電力が送られてきている」

「へぇ……」

 

 そりゃ、慈母星の将であるユリアの人柄なら、それを慕って多くの人々が集まってきてもおかしくはないが。原作でも、彼女の人柄と、南斗の都の自由さから、多くの人が集まってきたしな。新劇場版では、彼らが義勇軍を作ったぐらいだし。でも、それでもここまで文明を復興させられるとは驚きだ。やはり、技術者が多く集まってきたのも大きいんだろうか。

 

「もうすぐ夜だ。今日はここに一泊して、明日になったらここを出発することにしよう」

「わかった」

「はい」

「かしこまりました」

 

 ヒューイの提案に、オレたちはそろってそう答える。ジュウザも、つまらなさそうにあくびをしながら。

 

「早く行って、再会したいんだがな。まぁ、楽しみは後にとっとけというし、我慢するか」

「お前は全然ブレないよな」

 

 そう、オレがジュウザに声をかけたとき、オレは気づいた。近くを通り過ぎる、作業服を着た男たちに。

 おそらくは、ヒューイが言っていた電力中継施設の職員(?)なんだろうが、それにしては、目つきが凶悪な感じがしたのだ。外見で人を怪しむのはどうかと思うが、それでもオレは、彼らの様子に、不穏なものを感じずにはいられなかった。

 

* * * * *

 

 そして、その夜。

 

「!?」

 

 突然、オレたちの泊っている宿、その食堂の灯りが消えた。急いで窓を開けると、他の家からも次々と灯りが消えていく。これは……!

 

「ヒューイ……!」

「あぁ、いやな予感がするな」

「ちょっと外を見てくる。ココはここで、フラニーやリェマのことを守ってやってくれ」

「うん、わかったよ。気を付けて!」

「あぁ」

 

 そして急いで身支度を済ませる。ヒューイとジュウザの二人も、オレが身支度を済ませたころには既に準備を整えていた。

 そして三人で宿屋を出ると、ちょうどすぐに叫び声が。

 

「拳王軍だー! 拳王軍が攻めてきたぞー!!」

 

 それは敵襲を告げる声。どうやら電気が止まったのは、拳王軍の仕業だったようだ。

 そして、町の入り口に目を向ける。そこには、土煙を巻き上げながら突っ込んでくる拳王軍の姿が。やれやれ。

 

「千客万来だな」

「あぁ、ちっとも嬉しくない客だがな」

「いいじゃねぇか。暴れるのは歓迎だぜ」

 

 そう言うと、ジュウザは指をボキボキと鳴らし、拳王軍に突進していった。オレたちもそのあとに続く。

 

「おらおらぁ!」

 

 ジュウザが地を蹴り、バイクに乗った兵士に対し飛び蹴りを放つ! その強烈な蹴りを受けた兵士は哀れ、首がありえない方向に曲がっていた。そしてバイクごと倒れこむ。他のよけようとしたバイクを巻き込み、そのバイクは爆発を起こした。

 

「せやっ!!」

 

 ヒューイの五車風裂拳がさく裂! 突っ込んできたバイク兵を、その乗り物ごと粉みじんにした。

 

 もちろんオレも、二刀流のダガーを振るい、やつらを迎え撃っていく。

 

 すれ違いざまに敵を切り捨てる。

 跳躍し、敵を飛び越しざまに切り裂く。

 

 そうして戦ううちに、敵はいなくなっていた。どうやら、攻めてきた奴らは多くなかったようだ。小手調べ、ということだろうか。

 だがそこに、町長が駆けつけてきた!

 

「た、大変だ! 電力の中継施設が、拳王軍の奴らに乗っ取られた!」

「なんだと!?」

 

 驚きに目を見開いたヒューイに、町長が荒く息を継ぎながら続ける。

 

「先ほど、拳王軍の奴らから使いがきたんだ。施設を解放し、電力を返してほしければ、拳王軍の支配下に入る交渉に応じろと」

「拳王軍の奴らめ、汚ねぇ真似しやがって……!」

「この町は、灯りだけではなく、井戸から水をくみ上げるのも電力が行っている。電気がなければ、この町は終わりだ」

「むぅ……」

 

 どうしたものか……このままでは、この町は拳王軍に屈するしかなくなってしまう。なんとかしなければ……。

 そこで、ジュウザが指をパチンと鳴らしていった。

 

「よし、それならオレたちで送電施設に忍び込むとしようぜ! どこかに忍び込むのは、仲間たちとつるんで無頼してた時にさんざんやって慣れてるからな!」

「お前という男は……。それはおいといて、確かに、それしか手はあるまい。私は町長とともに、やつらとの交渉に行く。お前とナノル殿は、俺と町長が交渉を引き延ばしている間に、送電施設を解放してくれ」

「わかった。任せといてくれよ」

 

 ……っと、そこで、ヒューイはオレに何かを手渡してくれた。これは……ポケベル!?

 

「お、おい、これポケベルじゃねぇか。なんでこんなもの……」

「これも、我が将のもとに集った技術者たちの奮闘の結晶だ。まだ我々五車星の者にしか配られてないがな。解放することができたら、これで連絡をしてくれ」

「お、おう、わかった。それじゃ行くとするか」

 

 そしてオレたちは、ヒューイたちと別れて行動にうつった。ヒューイは町長とともに偽りの交渉に臨むため、そしてオレとジュウザは、送電施設に潜入し、施設を拳王軍から解放するために。

 

* * * * *

 

 そしてオレとジュウザは、町長からもらった地図を頼りに、中継施設までやってきていた。

 その入り口では、兵士二人が、まるでやる気がなさそうな感じで、見張りをしている。そのうちの一人にいたってはあくびをしている始末だ。

 

「なんだい、あのだらけっぷりは。この調子なら、楽に潜入できそうだな」

「油断は禁物だぜ。それでこちらが付け込まれたら話にならないからな」

「おうよ」

 

 そして二人で、茂みや木陰を使って、入り口に接近し、一気に見張りに急襲!

 

「せいっ!」

「そらよっ!」

 

 オレは背後に忍び寄って、ダガーでサクリと。

 一方のジュウザは、空中からとびかかり、立て続けに変幻自在の蹴りを浴びせ、見張りの体をありえないほどに変形させていた。

 

「よし、それじゃ潜入しようぜ」

「あいよ!」

 

 そして施設の中に潜入した!

 

* * * * *

 

「ぐはっ!」

「がべれぇ!!」

 

 拳王軍の奴らを蹴散らしながら先に進むオレたち。そしてオレたちはついに、制御室にたどり着いた!

 

 そこにいたのは、拳王軍の兵士たちと、けったいな……サソリか?……のような鎧をつけた男だった。

 

「お前たちは! ……そうか、あの町長の差し金だな。だが、そのこざかしい手もこれで終わりだ。お前たちはこのギャモン様にやられるのだからな!」

「ザリガニのくせによくしゃべるな」

「ザリガニではない、サソリだ!」

 

 そう激昂して返すギャモンとやらに、ジュウザが肩をすくめて茶化すように言った。

 

「ザリガニだかサソリだか知らんが、とっととかかってきな。お前みたいな色物を相手するのは疲れるんだよ」

「おのれ~、やってしまえ!!」

「おぉ~!!」

 

 ギャモンの号令に、作業服を着た部下たちが一斉にオレたちに襲い掛かってきた!

 オレはジュウザと背中合わせに立ち、構えをとった。そのオレに、ジュウザが声をかけてくる。

 

「ナノル、この雑魚たちは任せていいか? オレはザリガニ釣りとしゃれこむぜ」

「あぁ。油断して、自分が釣られないように気をつけろよ」

「わかってるって」

 

 そして、戦闘が開始。オレは襲い掛かってくる雑魚たちと大乱闘を繰り広げ、ジュウザはギャモンのもとへ突っ込んでいく。

 

 ダガーをふるい、投げつけ、雑魚たちを蹴散らしていく。さすがに拳王軍の兵士たちだけあって、そこらの野盗よりは腕がたつみたいだが、それでも苦戦するほどではなかった。これまでの戦いで、オレも実力を身に着けてきているのか?

 

 オレがそう思ってる中、背後から何かが飛んでくる気配! オレはとっさに身をかわす。オレがいた空間を何かが通り過ぎ、戦っていた兵士に突き刺さった。どうやら、それはギャモンの奴が発射した針のようだ。流れ弾みたいだ。

 

 そして、なんということか! 針が刺さったその兵士は、身体をびくびくっと変に躍らせると、直接見てはいけないような表情を浮かべてぶっ倒れた。毒針!?

 

「ジュウザ、気をつけろ。そいつは毒針を使うぞ!」

「わかってるって!」

 

 そういうと、ジュウザはギャモンにむかって跳躍した。

 

「バカめ!」

 

 ギャモンがそう吠えて、尾のパーツの毒針をジュウザへと向ける。だがそれがジュウザの狙いだった!

 

「バカはてめぇのほうだ!」

 

 ジュウザは蹴りで、その尾を破壊したのだ! うまい! これで奴の毒針は封じた! そして着地。

 

「これでてめぇはただのザリガニだな。さぁ、最後の仕上げといくぜ!」

 

 そう言って突っ込むジュウザ。だがしかし!

 

「やはりバカはお前だ! この俺はサソリでもあるが、ハリセンボンでもあるのだ!!」

「!!」

 

 なんとギャモンは、その鎧の全身から毒針をはやしていたのだ! その狙いがジュウザへとむけられる!

 

「針だらけになって死ぬがいい!」

「ジュウザ!!」

 

 そして針が発射される!! しかし。

 

「甘いぜ。魚にこの雲を捉えられるかかよおおぉぉぉ!!」

 

 なんとジュウザは、叫びとともに闘気で毒針を弾き飛ばしたのだ! それだけでなく、その針の数本がギャモンへと飛んでいく!

 

「な、なにぃ!? ぐべばらっ!!」

 

 哀れ、ギャモンはその針を顔面に受けた。そして表現しがたい踊りを舞うと、これまた、表現できない表情を浮かべて倒れ伏したのだった。そしてそのころには、オレも兵士たちをみんな倒し切っていた。

 

「ザリガニにやられるようでは、五車星は務まらないんだよ」

「見事だったぜ。それじゃさっそく、ヒューイに連絡するか」

 

 オレは懐から南斗謹製のポケベルを取り出した。

 

* * * * *

 

 一方、町長の館。そこでは、町長と、拳王軍部隊の長、バルダとの間で交渉が行われていた。とはいえ、実際はバルダの執拗かつ強引な要求を、町長が巧みな交渉術でのらりくらりとかわしているだけだが。

 

 そこで、ヒューイが何かに気づいた。懐のポケベルが振動を発している。それを確認し、彼は口を開く。

 

「建設的な交渉をしているところすまないが、交渉はこれで打ち切らせてもらう。お前たちにはおとなしくお帰り願いたい」

「なにぃ~? 電気がどうなっても……」

「残念ながら、電気は取り戻させてもらった。俺の連れが、施設を解放したと連絡があったのだ」

「な、なんだと!?」

 

 そう驚愕するバルダに、ヒューイは立ち上がると構えをとった。まるで、立ち去らなければ命はない、というかのように。

 

「お前たちの目論見はこれでついえた。おとなしくお引き取りもらおうか」

「ぐぐ……だが、こちらもこれでおとなしく帰るわけにはいかん。お前らを皆殺しにして、無理やりにでもこの町を奪ってくれるわ~!!」

 

 そう言って、槍を構えてヒューイと対峙する。

 

「わが華山三叉槍、受けてみよ~!!」

 

 そしてヒューイに対して無数の突きを放つ! だがしかし。

 

「なかなかやるようだが、余裕をなくし、本来の鋭さをなくしていると見える。そんな槍では、この風を滅することなどできん」

「ほざけ~!!」

 

 さらに突きを放つ。ヒューイはそれを流れるような動きでかわすと……。

 

「シュウッ!!」

 

 風裂拳、一閃!!

 

「なっ!?」

 

 驚きの声を上げるバルダ。槍は、今の一閃で無数の木の棒へと寸断されていたのだ。そこに。

 

「我が疾風、地獄への土産に持っていくがいい!!」

 

 すれ違いざまに手刀を一閃!! その一撃で、バルダも断末魔を発する暇もなく、こま切れ肉となり果てて果てたのだった。

 

* * * * *

 

「しかし拳王軍の手が、将の領土の端のこの町にまで及んでいたとはな……」

「うむ。拳王軍が動き出した兆しなのかもしれん。それに、領内に電気が通っていると知れれば、拳王がこの領土を平らげようと動き出すかもしれん。早く将のもとへ急がねばなるまい」

 

 そう危惧を覚えて相談しあうオレとヒューイに、ジュウザがあくびをしながら言った。

 

「何、心配することはねぇよ。もしもの時は、この俺がラオウを倒してしまえばそれですべて解決なんだからな」

「まったく……気楽なものだ。もう少し緊張感や危機感をだな……」

 

 そう苦言を呈するヒューイに、オレは苦笑交じりに言ってやる。

 

「まぁ、大目に見てやれよ。きっとこれが雲の生き方なんだろうからさ」

「そういうことさ」

「やれやれ……まぁ、いい。それでは先に進むとしよう」

 

 かくして、オレたちはバギーに乗り、町を立ち、再び都……その前にフドウの村への旅路に着いたのだった。

 

 

 




感想、ファンアート、そして『テテテUC』を書いてくださる方、募集中です! テテテUCを書いてみたい方は、ひいちゃまでメッセをくださいませ(平伏

それでは、次回予告をどうぞ!

*次回予告*<チャーチャーチャチャー

あのルブラが再び動き出した!
拳王動く時、フドウに最期の時迫る!!

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第四拾参話『非道なる策略!!』

「あの下卑た野郎の策略がこんな形で覆されるなんて、こいつは笑いが止まらねぇぜ……ぬおおおおおお!!」

※次の更新は、8/3 13:00の予定です。お楽しみに!

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