北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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運命を切り開く者がいる! 天の道を外れ、欲望に生きる外道がいる!
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!

見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!

* * * * *

ジュウザと再会を果たしたかつての友、ヒルデ!
だが彼女は、ジョーカーの凶刃の前に倒れてしまう!
この彼女の無念を拳に秘め、ジュウザはジョーカーと相対する!

そしてその怒りの撃壁背水掌によって、ついにヒルデの仇を討ったのだった!!



(南斗最後の将編) 第四拾伍話『雲、ついに覇王の前に起つ!!』

 そして、各地で暴れまわる野盗を倒したり、立ちはだかる拳王軍の先遣部隊を蹴散らしたりしながら、ついにオレたちは南斗の都に到達した!

 

 なんということだろう! 南斗の都とは横浜市だった! そのかつての横浜市である南斗の都はすごい復興ぶりを見せていた! さすがに昭和後期からの大都会だったころには及ぶべくもないが、それでも1950年代後半ぐらいのレベルまでには復興しているように見える。

 

 さすがにビルが立ち並んではいないが、バラックとかではない木製の家がちゃんと立ち並んで、数は少ないながら街灯もある。そんな街で、人々は笑顔に満ち満ちた生活を送っているようだ。きっと、文明が復興しかけているおかげもあるのだろうが、やはりこの都を治める南斗慈母星の将……いわゆる南斗最後の将、ユリアの慈愛によるものが大きいのだろう。その証拠に、人々の表情からは、母に抱かれているかのような安らぎや安堵の色が感じられる。

 

 そして、そんな慈母星の将が座すといわれる宮殿を模したビルに、オレとココ、フラニー、そしてジュウザにショウザは立っていた。はえー……。

 

 なんというか、すごい。宮殿というには質素だが、その質素さがまた、白い外見と相まって清らかさを表現してる、というか……。

 

 そしてその宮殿の前には、ヒューイが立っていた。

 

「やっと来たか。待ちかねたぞ」

「おう、済まなかったな。ケンシロウは?」

「あぁ。三日前に既に到着し、将と再会を果たしておられる」

「そうか」

 

 そしてオレたちは、ヒューイに案内され、ビルの最上階にある玉座の間へとやってきた。そして開く両開きの扉。

 

 そこには数人の人物の姿……。奥の中央に玉座に座っているのが将……ユリアだろう。その右にはケンの姿もある。左横にはひげ面の初老の男性……海のリハク。その横に、リハクの娘、トウ。さらにシュレンや、見たことのない隻腕の男の姿も。

 

 彼らの前にやってきたオレたちはひざまずく。礼儀もあるが、やはりユリアのオーラの前には、ひざまずかずを得ないんだよなぁ。

 

 そのオレたちに、将が口を開いた。いや、仮面をしてるから開いたかどうかなんてわからないんだが。

 

「そなたたちが、ケンシロウやヒューイが話していた転生者たちか。私が南斗慈母星の将だ。私はそなたたちを歓迎する」

「ははっ、ありがとうございます……」

「ヒューイから話は聞いていると思うが、改めてお願いする。世に平安をもたらすため、そなたたちの力を貸してほしい」

 

 その願いに、ジュウザは言うまでもないと言いたげな笑顔で答える。

 

「あぁ、俺はそのためにここまで来た。言われるまでもない。俺の命、あんたにくれてやる」

 

 そして、オレの答えも決まっている。

 

「オレもだ。オレの力がどこまで役に立つはわからないが、できる限りのことをさせてもらうぜ」

 

 それを聞き、将は静かにうなずく。仮面の奥の表情まではわからないが、嬉しそうだというのが、その振る舞いからよくわかる。

 と、そこでオレはある気配に気が付いた!

 

「ジュウザ!」

「おうよ!」

 

 ジュウザがオレの声にこたえ、将の頭上に飛び掛かる! そして、彼女の背後のガラス枠をパンチでぶち割った!

 

「うけけ、ば、バレてしまった~!!」

「バレてないと思ったのか? 感動の謁見を台無しにしようとする奴は、見逃すわけにはいかねぇぜ」

「ケケッ、だ、だが俺様はこんなところでやられるわけにはいかんのだ~!」

 

 そう言って、窓の外にいたコウモリのような小男は、その場から飛び去ろうとする。そこにオレがダガーを投げつける、が――。

 

「ぐがっ! あ、あばよ~、うけけ……」

「くっ……」

 

 ダガーは小男の右胸に突き刺さったものの、それでも奴はそのままふらふらと飛び去ってしまった。くそ、ぬかった!

 

「ぬかっちまったな……。これじゃ、ケンがここにたどり着いたことが拳王軍に知られてしまう……」

 

 そのジュウザの言葉に、リハクも表情を少し曇らせて言った。

 

「うむ。将の正体が知られずに済んだのが不幸中の幸いか。しかし、しくじった。もう少し警備をしっかりしていれば……」

 

 やっぱりリハクはリハクということだろうか。原作でもリハクは、その軍師(笑ぶりを発揮していたしな。

 そのリハクをフォローするように、その横の隻腕の男が言う。

 

「ですが、ケンシロウさんがこちらに来るのが間に合ったことで、こちらの準備は大方済んでいます。今回のことは、動くのが予定より早まっただけに過ぎないかと思います」

 

 その隻腕の男の言葉に、リハクもうなずく。というより、リハクより彼のほうが軍師のように見えるぞ。

 

「よし、そうとなればさっそく行こうぜ!」

 

 といきり立つジュウザだったが、それを将が制した。

 

「いえ、まだ最後の準備が残っています」

「準備?」

「はい。あなたに託すものがあるのです。我が慈母星の拳を……」

 

 慈母星の拳だって!? 確か原作では慈母星は拳を持たなかったはず。その代わりに五車星が将の拳の代わりをしていたと思っていたのだが……この世界では違ったのか?

 

「慈母星の拳だって?」

「はい。南斗鳩翼拳。私の体では使えない拳。ですが、あなたなら使うことができるでしょう」

 

* * * * *

 

 そして、ジュウザがユリアから慈母星の拳、南斗鳩翼拳を教わっている間、オレはヒューイやシュレン、隻腕の男、そしてリハクと今後のことについて話し合っていた。ココとフラニーは、裏庭でショウ……いやショウザの相手をしてくれている。

 

「そうか、ラオウの手下に、ジュウザのことを知られてしまったか……」

 

 そう腕を組んでうなるリハクに、オレは素直に頭を下げて謝罪した。

 

「すまない。あんなことがあったからにはな……。せめて、カラスをしとめることができていればよかったんだが……」

 

 それに対して、隻腕の男が、苦笑して返してくれた。そういえば、この男も実は転生者らしい。慈母星の将の勢力が、ここまで原作でのやらかしを回避し、勢力を拡大できたのも、彼の助言をおかげだという。彼らが他の転生者の力を借りるようになったのも彼のアドバイスだとか。すごい奴だな。

 

「いえ。そのようなことがあったのなら仕方ありません。それに、物見の報告によれば、拳王軍の本隊はまだ領内には入っていない様子。ということは、まだ知られていないか、知られていたとしても、まだ致命的ではない、ということです。作戦決行を早める必要はあるでしょうが、まだ挽回は可能です」

「そうか、それならよかった……。それで、これからどうするんだ?」

 

 そのオレの質問に、リハクが答えた。

 

「うむ。ケンシロウ様の準備と、ジュウザの鳩翼拳の伝承、そして我が軍の準備が終わった時点で、いよいよ決戦に挑む予定だ。決戦の主眼はあくまでケンシロウ様とラオウとの決戦。ヒューイたちには拳王軍の雑魚のかく乱や駆逐をやってもらう」

 

 リハクと隻腕の男が教えてくれたところによれば、今の拳王軍の速度のままでいけば、それらは十分間に合うという話だ。

 

 それを受けて、ヒューイとシュレンがうなずく。その様子から、二人がリハクの戦略に深い信頼を寄せている様子がうかがえる。もともとのリハクとの信頼関係もさることながら、原作を知る隻腕の男も戦略立案に参画しているのが大きいのだろう。やはり、これがあるとないとでは、信頼性が大きく違ってくる。

 

「今回の決戦に向けて、他の転生者にも、拳王軍の後方かく乱やゲリラ攻撃などに協力をお願いしてもらっています。ナノル殿にも決戦に向けて協力をお願いしたい」

「あぁ、もちろんだ。えぇと……」

「あ、言い忘れてましたね。私は掲示板では南斗ニキと呼ばれています。どうぞよろしく」

 

 そう微笑んで手を差し出した隻腕の男、南斗ニキに、オレも笑みを浮かべると、その手を強く握り返した。

 

* * * * *

 

「なんだと!? ケンシロウたちはもう、南斗の都に到着しただと!?」

「へ、へい……」

 

 ルブラは自分の舎弟である小男の報告を聞いて、その表情を驚愕にゆがめていた。事態は、彼の予想を上回っていたのだ。

 

「ち、ちくしょう……」

「だ、旦那……? うぎゃっ!」

 

 ルブラの鎖鎌が閃き、哀れ小男は、怒りと焦りに身を焦がすルブラに細切れにされてしまった!

 その死骸を蹴り飛ばし、ルブラは考える。

 

(このままでは、俺の計画が台無しになっちまう。もっとギリギリまで黙っているつもりだったが仕方ねぇ。バラして進軍を速めさせるか……くそっ)

 

 そしてルブラは八つ当たり気味に、もう一度死骸を蹴り飛ばすと、その場を後にした。

 

* * * * *

 

 そして……。

 

「拳王様、報告したいことがあります。へへへ……」

 

 そう言って、黒王の脇にひざまづくルブラに、黒王の上のラオウは、嫌悪感を隠すことなく顔に浮かべて一蹴した。

 

「うぬから報告を受けることは何もない。消え失せるがいい」

「そうおっしゃらずに。実は、ジョーカー殿からの伝令が先ほど、俺のもとに届いたのでございます」

「なに……?」

 

 そう問い返してきたラオウに、ルブラは一枚のカードを差し出した。

 それは、ジョーカーの遺したジョーカーのカード。

 

「実は先ほど、彼の相棒のカラスが息絶え絶えにこれを持ってきたのでございます。まさに素晴らしい忠誠心で。へへへ……」

「……」

 

 そのカードを手に取るラオウ。その意味を読み取り、顔に笑みが浮かぶ。

 

(やはり、かの男はジュウザであったか。そして奴は、魂を取り戻したという。奴が魂を取り戻してまで戦い、守る相手……それは、『彼』、いや『彼女』しかいない……!)

 

 そして、改めてルブラに振り向いて言う。

 

「よく届けた。今回は礼を言おう。褒美は、改めてザクからもらうがよい」

「へへへ、ありがたき幸せ……」

「よし、全軍、進軍速度をさらに上げよ! 怒涛の如く、我らに歯向かう奴らの領土に攻め込むのだ!!」

「おおーーー!!」

 

 そしてラオウは、黒王に鞭をあてると、まさに怒涛の如く走り去っていった。その後に、彼の軍団も、すさまじい勢いで続く。

 その様子を、ルブラは醜悪な笑みを浮かべて見ていた。心の中に悪しき策謀を秘めて。

 

* * * * *

 

 南斗の都にて。

 

 その宮殿の中庭で、オレはショウザが炎のシュレンから拳法を習っているのを眺めていた。

 

「うわっ!」

「まだまだだな。そんなことでは、ジュウザはおろか、この炎の足元にも及ばんぞ」

「は、はい!」

 

 シュレンに打ち倒されたショウザは、立ち上がると口元の血をぬぐい、再び構えをとった。

 一応、相手が子供だからとはいえ、それなりに手を抜いているとはいえ、リュウケンの爺さんにも匹敵するスパルタぶりだなおい。

 それに食いついてくるショウザも大した根性だが。それほどまでに、母であるヒルデの死が大きかったのだろう。彼が、「強くなって、大切なものを守りたい」という気持ちを固くするほどに。

 

 なお、ショウザの身についてだが、ジュウザの養子になるのはもちろん、ユリアの養育を受けることになったそうだ。彼女の慈愛を受ければ、彼はまっとうに育ってくれるだろう。

 

 そこに、ココがやってきた。

 

「ナノル兄、シュレンさん。リハクさんが呼んでるよ」

「うむ、わかった。ショウザ、今日の稽古はここまでだ」

「は、はい……」

 

 そしてシュレンが中庭を立ち去った。一方のオレも。

 

「行ってくる。ココ、ショウザの面倒を頼んだぜ」

「うん、わかった」

 

 そしてリハクが待つ会議室で聞かされたのは、大変な報告だった!

 

* * * * *

 

「なんだって!? 拳王軍が!?」

 

 オレがそう聞くと、リハクは深刻な顔のままうなずいた。

 

「うむ。物見からの報告だ。奴らは以前から進軍速度を速めていたが、昨日からさらにその進軍をさらに速めた。その速度からすると、既に奴らは国境を越えていると思われる」

 

 その話のあとを南斗ニキが続けた。やはり深刻さを表情に浮かべて。

 

「どうやら、ついにラオウの耳にも将の正体が伝わったようです。既にこちらにケンシロウさんが到着されているのが不幸中の幸いですが」

 

 続いて、ヒューイが口を開いた。

 

「現在、我が旅団が足止めの工作を行っているが、それでも準備完了まで時間を稼げるかどうかは微妙なところだ」

「確かにな……」

 

 相手はラオウだからな。原作でも、リハクの罠の数々は足止めにもならなかったようだし。

 

 と、そこでオレはあることに気が付いた。

 

「なぁ、そういえばジュウザは?」

 

 そう、この会議室にジュウザの姿がないのだ。それに気づいたシュレンも怪訝な顔をする。

 

「そういえばいないな。魂を取り戻した奴のことだから、また遊び惚けていることはないと思うが……」

 

 確かにその通りだ。無頼時代だったころはまだしも、魂を取り戻した今の彼が、目の前の戦いを放り投げて遊んでいる、ということは考えづらいが……。

 ……待てよ、魂を取り戻した……まさか!?

 

 そこに、一人の少年がやってきた! ケンの同行者の一人、バットだ。

 

「た、大変だぜ! ジュウザが、ジュウザがバイクに乗って、都を出て行ったんだ!」

 

 それを受けて、この場にいた一同が立ち上がった!

 

「なんだと!?」

「まさか彼は……時間を稼ぐために……!」

 

* * * * *

 

 一方そのころ、国境と都の中間地点に位置する地峡地帯に、大軍団と相対する一人男の姿があった。

 

「ついに現れたか、ジュウザよ。うぬという門をこじ開け、その奥にある将という宝を手中におさめてくれよう!」

「そうはさせぬ! 我が命の全てを賭して、ラオウ、お前を葬ろう!」

 

 そして両者とも戦いの構えをとった。

 




感想、ファンアート、そして『テテテUC』を書いてくださる方、募集中です! テテテUCを書いてみたい方は、ひいちゃまでメッセをくださいませ(平伏

それでは、次回予告をどうぞ!

*次回予告*<チャーチャーチャチャー

ラオウと激闘を繰り広げるジュウザ! だがラオウの力は、そのジュウザの天賦の才をも超えていた!
ナノルたちは、ジュウザの危機に間に合うのか!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第四拾陸話『我流拳堕ちる時!』

(この一撃でこの拳どころか両腕が砕けても悔いなし……。頼む俺の拳、あと一撃、あと一撃だけでも持ってくれ……!)

※次の更新は、8/24 13:00の予定です。お楽しみに!

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