北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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運命を切り開く者がいる! 天の道を外れ、欲望に生きる外道がいる!
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!

見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!

* * * * *

ついにジュウザとラオウのバトルがはじまる!
ジュウザは我流の拳でラオウと互角に戦うが、ラオウの圧倒的な力の前についに倒されてしまう。
ジュウザ散るか……だがその直前、ケンシロウがあらわれた!!


(南斗最後の将編) 第四拾七話『乱を呼ぶ覚悟!!』

 ラオウの拳が空を切ったと思ったら、次の瞬間には、そのラオウの右胸に突きさされたかのような傷が穿たれていた!

 その様子を見て、南斗の皆さんは驚いて目を見張っている。

 

「今の技は……もしや副参謀殿が仰っていた……」

 

 そのうわずったようなリハクの言葉に、南斗ニキがうなずき、口を開いた。

 

「はい、その通りです。北斗神拳に伝わる究極奥義」

「無想転生……」

 

 悲しみを持つ者のみが使える奥義。ラオウをして「双方ともこの奥義に身に着けたら、他の奥義は武器にはならない」と言わせるほどの技。

 この技を身に着けたのは2000年の歴史の中で三人のみ。一人は、最終決戦時のラオウ。そして残り二人は……。

 

「それにしても、同じ名前の伝承者がともにこれを身に着けたのには、運命を感じますね」

 

 そう、その二人とはケンシロウと、そして先々代の北斗神拳伝承者であり、蒼天の拳の主人公である霞拳四郎のみ。本当に、同じ「ケンシロウ」の名を持つ伝承者がこの奥義を身に着けたのはなんというめぐり合わせか。

 

 さて、ラオウは今のは大したことはないと言いたげな表情で、ケンに向き直った。

 

「ふん、油断したわケンシロウ! だが、偶然は二度も続かぬ!!」

 

 そして今度は拳の連打を放つ! しかし。

 

「なっ!?」

 

 ラオウの表情に驚きが浮かぶ。その拳の弾幕は、ことごとくケンシロウの体をすり抜けていったのだ。そして、そのままケンシロウはラオウを通り過ぎていった。

 

「ヒュー……シャウッ!!」

「ぐぅっ!!」

 

 今度はラオウの脇腹に、えぐられたような傷が刻まれた! 今のは、リュウガの天狼凍牙拳……!

 

「今のはリュウガの拳。水影心でその極意を会得したか。いや、それよりも、なぜ俺の拳が……。……!!」

 

 そこでラオウは気づいたようだ。ケンの眼に浮かぶ哀しい光に。

 

「もしや今のは、リュウケンが語っていた北斗神拳究極奥義・無想転生……! 今までに一人しか会得できなかった、悲しみを背負った者にしか習得できぬ幻の秘奥義……!」

「……」

 

 そこでラオウの表情から余裕の表情が消えた。

 

「うぬは、これまでの長き戦いで悲しみを背負い、無想転生をまとったというのか……!? だが……認めぬ!!」

 

 一歩を踏み出すラオウ。彼の中の、拳王としての意地が、北斗四兄弟の長兄としての誇りが、彼の足を歩ませるのか。

 

「いくらうぬが無想転生をまとおうが、うぬがこのラオウを越えたなど認めぬ!! 俺は世紀末覇王、北斗の兄弟の長兄ラオウぞ!!」

 

 そしてその身体から闘気をあふれさせる。

 

「無想転生など微に砕いてくれるわ! くらえ、天将奔烈!!」

 

 闘気を拳に収束させた、まるで砲弾のような一撃がケンに放たれた! だがその闘気の流れの中をケンは流れるように突き進み……。

 

「シャオッ!!」

 

 スパッ!!

 

「ぬうっ!!」

 

 通り過ぎざまに、レイの南斗水鳥拳で左わき腹を切り裂いた!!

 

* * * * *

 

 最強の男であったはずのラオウは今、窮地にあった。

 

 無敵があった己の拳は、ケンシロウが身に着けたという奥義・無想転生によってことごとくかわされ、自分は、自分より劣るはずの弟・ケンシロウの技に傷つけられている。

 このままでは自分が負けるのは明白だった。彼の心はそれを認めずとも、彼の心の奥底、本能の部分は既にその可能性を認めていたのだ。

 

 だが、ラオウに負けは許されない。それを彼はわかっていた。警告を発する本能を押さえつけ、さらに一歩を踏み出す。

 

「うおりゃああぁぁぁぁ!!」

「……」

 

 再び放たれる拳の弾幕! だが、それもことごとく空を切るばかりだ。蹴りを放つも、やはりケンシロウをとらえることはできなかった。

 ラオウの拳をかわしきったケンシロウは地に手をつき逆立ちになると……。

 

「はあっ!」

「ぐおぉ!!」

 

 シュウの南斗裂脚斬陣で、またもラオウに傷を負わせた!

 

(おのれ……! このラオウの拳が、一発たりとも奴をとらえることができぬとは……。だが負けを認めるわけにはいかぬ!!)

 

 その一念が、彼を戦いにつなぎとめていた。負けを認めることは、「武に情けは無用」という彼の信念が覆されることを認めることであり、また、拳王軍団の結束を揺るがすことにつながるからだ。現に後方の兵士たちからは動揺の声が聞こえてくる。

 

(いくら拳を放とうが、奴をとらえることはできぬ。ならば……!)

 

 そしてラオウは、気を静め、闘気を身のうちに収めた。

 

* * * * *

 

 ラオウが闘気を収めたのは、遠巻きに見ているオレ……ナノルからもよくわかった。だが、ラオウから戦いを諦めた気配はない。

 

「なぁ、南斗ニキ、これは……」

「えぇ。原作と同じく、いくら攻撃を出しても通じないと悟り、全ての闘気を収束させた、命を捨てた一撃を放つつもりなのでしょう」

「やっぱりそうだよな。ここは室内じゃないから、リハクが仕掛けた罠が作動して……ってことはないと思うが……」

 

 そう南斗ニキと言葉を交わし、固唾を飲んで見守る。一分とも一時間とも思われる一瞬が過ぎた時、ついに戦いが動いた!

 

 ラオウが一歩を踏み出した。ケンもそれに応じて、一歩を踏み出す。

 

「ぬおおおおお!! 受けてみよ、この拳王の意地の一撃を!!」

「ラオウ、トキが待っている!!」

 

 だが、互いが最後の一撃を放とうとした瞬間!!

 

 突然、あたりを激しい揺れが襲ったのだ!!

 

「こ、これは!?」

「いえ、リハク殿はここに罠は仕掛けていないはずです。これは……!」

「うおぉぉ!?」

 

 突然、地面が崩れ、オレたちは奈落に突き落とされたのだ。それは互いに決着の一撃を放とうとしていたケンとラオウも同じく。

 

* * * * *

 

「いてて……大丈夫か、南斗ニキ、他のみんなも?」

「えぇ、なんとか……。ジュウザ殿もなんとか守り切りました」

「私もだ」

「俺も無事だ」

 

 オレの問いに、南斗ニキ、リハク、シュレンが答える。見ると、ユリアも無事なようだ。だが周囲はさんさんたる状況。両軍の兵士たちも、この崩落に巻き込まれている。そんな中、ユリアは周囲にケンが見えないことにうろたえていた。

 

「ケン、無事なの……? 無事なら返事して……!」

「ユリア様、一人で動かれては危険でございます!」

 

 そうシュレンが止めるが、ユリアはよほどケンのことが心配なのか、彼の名を呼びながら周囲を歩き回っていた。

 その時、ある箇所の岩がかすかに動いた。

 

「ケン!!」

 

 そう言って、そこへと向かうユリア。しかし!

 

 ガラガラガラ……!!

 何か巨大なものが埋もれていた岩の中から立ち上がった。それは……!

 

「ふはははは、お前が自ら俺のところにやってくるとはな! 運は我にあり!!」

「ラオウ!!」

 

 そう、ラオウだったのだ! 奴は、ユリアをとらえようとさらに一歩を踏み出す。

 

「ユリア様を渡すわけにはいかん!!」

 

 ユリアが奪われるのを防ごうと、シュレンがラオウに飛び掛かる。しかし、原作でも敗れ去った彼が、勝てるわけもなく……。

 

「ふんっ!!」

「ぐはあっ!!」

 

 ラオウの剛拳がシュレンの胸に炸裂!! 彼は胸を砕かれて吹き飛ばされてしまった!!

 

「うぬごときがこの拳王に勝てると思ったか!」

「シュレン!」

「この身に……この命に賭けても……ユリア様を守りまいらせる!! うおおぉぉ!!」

 

 シュレンはそう吠えると、なんとその身に炎をまとった! それはまさに原作での最期のように。

 

「我が最期の炎で、ラオウ、貴様を焼き尽くす!」

 

 そしてラオウにとびかかると奴にしがみつき、その身体をも炎に包みこんだ。しかし……。

 

「その覚悟は褒めてやるが……そんな炎ごときでは、このラオウの薄皮一枚焦がすこともできぬ!!」

「ぐあああ!!」

 

 ラオウは、原作でのようにシュレンの頭をつかむと、造作もなくへし折ってしまった!

 

「シュレン! ちくしょう!」

「彼の犠牲を無駄にせぬためにも、ユリア様を渡すわけにはいきません!」

「我が波を受けてみよ、ラオウ!! シュレンの無念を宿した我が波を!!」

 

 続いて、オレ、南斗ニキ、リハクが飛び掛かるが……。

 

「バカめ!!」

 

 ラオウが全身から闘気を放出した! 最後の一撃のためにため込んでいたそれの一斉放出を食らい、オレたちは三人とも吹き飛ばされてしまう。その威力は強烈で、身体が悲鳴をあげ身動き一つとることもできない……!

 

「うぬら雑魚がいくら襲おうが同じことよ!」

 

 そう言い捨て、ラオウがオレたちにとどめを刺そうと、こちらに向かってゆっくりと歩いてくる。今の闘気で大ダメージを受けたオレたちに立ち向かう術はない。万事休すか……!

 

 その時!

 

「や、やめて! あなたについていきます! だがら、彼らを殺さないで!!」

「ゆ、ユリア……」

「いけませぬ、ユリア様……!」

「ふん……」

 

 ユリアの悲痛な叫び。それを聞き、ラオウは短く声を発した後、こちらに背を向けた。

 

「命拾いしたな。せいぜい、ユリアを守れなかった無念にその身を焼かれるがいい。ふはははは!!」

 

 そしてユリアを抱きしめると、降りてきた黒王に飛び乗ってこの場を去っていった。生き残った兵士たちもあわててその後を追う。

 その様を、オレたちは指一本も動かすこともできぬまま、ただ見守っていた。なんとことだ、ユリアを奪われるとは……。

 

 そこで、また別の場所の岩が動いた。そして立ち上がった人影。

 

「ラオウ……!」

 

 それはケンシロウだった。よかった、彼は無事だったのか……。それが唯一の希望だな……。

 

 そのかすかな安堵を胸に、オレは少しの間意識を失ったのだった。

 

 ヒューイ率いる後続の部隊が駆けつけてきたのは、ちょうどその時だった。

 

 




感想、ファンアート、そして『テテテUC』を書いてくださる方、募集中です! テテテUCを書いてみたい方は、ひいちゃまでメッセをくださいませ(平伏

それでは、次回予告をどうぞ!

*次回予告*<チャーチャーチャチャー

恐怖を刻まれたラオウは、その恐怖を払拭するべく、山のフドウとの闘いに向かった!
手負いの暴狂星を追うケンシロウとナノルたちだが、彼らの前に拳王軍団が立ちはだかる!
その時、あの二人がついに再び現れた!!

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第四拾八話『鮮やかなる水鳥!』

「フドウ! 俺の恐怖を払拭するために、お前の血が必要だ!!」

※次の更新は、9/7 13:00の予定です。お楽しみに!

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