北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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運命を切り開く者がいる! 天の道を外れ、欲望に生きる外道がいる!
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!

見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!

* * * * *

ついに、ケンシロウとラオウの戦いが始まった!
ケンシロウは、長き旅の末に身に着けた究極奥義・無想転生で圧倒する!

だがラオウは退かない! 我に後退はない、あるのは前進のみ!
そのラオウの意地が思わぬ事態を呼んだ。

それにより、シュレンは壮絶な死を遂げ、ユリアは連れ去られた。

果たしてユリアの運命は!?


(南斗最後の将編) 第四拾八話『鮮やかなる水鳥!』

 かつての愛知県東部にある、拳王軍の前線基地。そこの廊下を、一人の男が歩いていた。

 下卑の極みにあるかのような男、そうルブラである。

 

 そのルブラの横を、彼と同じように下卑た男が通り過ぎた。その男に、ルブラが声をかける。

 

「よぉ、ウサ。どこへ行くんだ?」

「あ、ルブラの旦那。ちょっと拳王様の様子を見に。へへへ……」

 

 そう愛想笑いを浮かべるウサ。その表情から、目的がそれではないことは一目瞭然である。

 だがルブラはそれに触れることなく、ただこう言うのみだった。

 

「そうかい。まぁ、今まで世話になったな」

「なんだい、ルブラの旦那。らしくないこと言って。それでは、ヒヒヒ……」

 

 そしてそのまますれ違う。それから数分後。

 

「女から情けを受けてよしとすることを、このラオウが喜ぶと思うか!!」

「ぐべらぁ、な、なぜぇ……!」

 

 そして、血が噴き出る音。それを聞きながら、ルブラを下卑た笑いを浮かべる。

 

「だから言っただろうが、今まで世話になったってよぉ。ひゃははぁ!!」

 

 そして歩きながら考えを巡らせる。

 

(色々あったが、流れは俺様の思う通りに進んでいる。もう少し、もう少しでこの世は俺様のものになるぜぇ……。ヒャーハハハハァ!!)

 

* * * * *

 

「ん……」

 

 オレ……ナノルが目を覚ますと、そこにあったのは見慣れた天井……おそらくは、慈母星の将の城にある医務室だろう。

 そしてそれと同時に、誰かがオレに抱き着いてきた。それは……。

 

「こ、ココ……?」

「ナオ兄、よかった……よかったぁ……。ずっと眠り続けて……目を覚まさなかったらどうしようかって……ぐす……」

 

 ココは、そのままオレに抱き着いて泣きじゃくっていた。よほど心配だったのだろう。ちょうどそこに、フラニーもやってきた。

 

「ナノル様、目を覚ましたんですね、よかった。ココさん、人々の治療や看病している間、必死にナノル様の看病もしていたんですよ」

「そうか……心配かけてすまなかったな。そして、ありがとう、ココ……」

 

 そしてココの頭をやさしくなでてやる。

 

「ぐす……うん……」

 

 そこで周囲を見ていると、そこには看護兵たちが大忙しで兵士たちの看病や治療を行っている。

 そんな中で、オレの治療や看病もしてくれていたのか……本当に、こいつには感謝しなくちゃな。

 

 そしてそこに、リハクと南斗ニキがやってきた。リハクの頭に巻かれている包帯や、南斗ニキの遺された腕が義手になっているのが痛々しい。

 

「二人とも生きていたのか、よかった」

「うむ、なんとかな」

「私のほうは、残された腕も失ってしまいましたが、命があるだけ幸いでしたね」

 

 ジュウザについて聞くと、彼は目が覚ました後、「ユリアを助けなければ!」と、まだ十分に回復していない身体でいきり立っていたが、ケンシロウに秘孔(なんでも、眠ることで生命力を回復させる秘孔だとか)を突かれて気を失ったという。

 

 それで、そのケンは……。

 

「ナノル、目を覚ましたか」

 

 よかった、大した怪我はないように見える。原作にあるように、目を負傷したようだが。

 

「あんたもな、よかったよ。目が見えないようだが、大丈夫か?」

「あぁ。俺の中にはシュウが生きている。問題はない。俺のほうこそ、お前まで巻き込んでしまって済まない」

「いいってことさ。好きで関わったことだからな」

 

 そう言葉を交わしたところで、ケンが背を向けた。

 

「ラオウを追うのか?」

「あぁ。ユリアを救うのもそうだが、奴をとめねばならん」

 

 そこでオレも立ち上がった。

 

「なら、オレも行くよ。奴の行きそうなところに心当たりがあるからな」

「そうか」

 

 そこでココが。

 

「待って、ナノル兄! 私も一緒に行く! ナノル兄、まだ完全に回復してないでしょ!? 私がそばにいて、様子を見なくちゃ!」

 

 そう言い募るが、その様子から、「兄のそばを離れたくない」という本音が見え見えだ。まぁ、前のラオウ戦、そしてサウザー戦に続いて、死にかけたのは三回目だからな。気持ちはわかる。

 だからオレは、その頭をぽんぽんと優しく叩いてあげた。

 

「わかった、一緒に行こうぜ」

「うん!」

 

* * * * *

 

 そして医務室を出て、中庭を通ると、そこではショウザとヒューイが、無残な姿に変わり果てたシュレンを見送っていた。

 

「シュレンの馬鹿者め、あれほど生きてユリア様を守りまいらせろと言ったものを……」

「シュレンさん……」

 

 無念さをにじませたヒューイと、涙をこらえながら拳を握りしめるショウザ。

 その時、オレは見た。ショウザの拳に、かすかながら炎が浮かんでいたのを。シュレンの魂は、ショウザの中に引き継がれたのかもしれない。

 

 そこで、ヒューイがオレたちに気づいた。

 

「ナノル殿、ケンシロウ。ラオウのところへ行くのか?」

「うむ。今のラオウは狂える暴狂星。それを止めるのが、北斗の男の宿命」

「そうか……できれば俺も行きたいところだが、リハクから止められているんだ。ラオウには歯が立たないし、ユリア様が救出された時、彼女が戻る場所を守らなければならん、と言われてな」

 

 ヒューイはそう無念さをにじませて言う。そのことを本人はわかってるのだけど、やはり行きたい気持ちはあるのだろう。

 それを汲み取ったのか、ケンがうなずいて言う。

 

「そうか、心配はいらん。お前の想いもこの拳に秘め、必ずラオウを倒し、ユリアを救い出してみせる。都の守りを頼む」

「わかった。任せたぞ」

 

 そしてそこに、ショウザもやってくる。

 

「お願いします、ケンシロウさん、ナノルさん。シュレンさんの仇をとってください」

「うむ」

「あぁ、任せといてくれって」

 

 そしてオレは拳を突き出した。それにショウザも拳を突き合わせる。

 そしてニヤッと笑い、オレとケンシロウは城を出た。

 

* * * * *

 

 そして、オレとケンは、ひたすらラオウが向かうであろう場所を目指してバギーを飛ばしていた。

 それはどこかは、とうに見当がついている。

 

「フドウの村だと……!?」

「あぁ。ラオウは、先ほどのお前との闘いで恐怖を覚えている。きっと、その恐怖を払拭するためにフドウのところに行くはずだ」

 

 そしてオレは、ラオウとフドウとの関係について語った。かつて道場破りに現れたフドウと対峙したラオウが、彼に対して恐怖を抱いたことを。

 

「きっとラオウは、フドウを倒すことで、お前に抱いた恐怖を振り払おうと思ってるんだろうぜ」

「……そうか。ならば急がなければ。あの村の子供たちには、まだフドウが必要なはずだ」

「あぁ!」

 

 そう返して、オレはアクセルを踏み込む。

 原作では、子供たちはフドウの死に立会い、強くなり、ともに力を合わせて生きていけるようになったが、それでもやはり長い間、父親代わりであるフドウといたほうがいいに決まってる。子供には親が必要だからな。

 フドウを助けられるものなら助けたい。

 

 と、そこへ。

 

「へっへっへっ、ここから先は通さねぇぜ」

「拳王様の命だ。拳王様の邪魔はさせねぇ」

 

 オレたちの前に、拳王軍の部隊が立ちはだかった! かなりの数のうえに、こちらにはココがいる。彼女を守りながら突破するのは困難なように見えた。

 

「どうする、ケン?」

「むむぅ……」

 

 そう言葉を交わしている間にも、拳王軍はこちらにじりじりと近寄ってくる。

 その時だ。

 

「ヒューーー……」

 

 どこかで聞いたような声が聞こえてきた。そして。

 

「シャオッ!!」

 

 という声とともに、兵士たちが一列に両断され、何者かがオレたちの目の前に駆け抜けてきた。

 それは……。

 

「レイ!」

「久しぶりだな、ケン。ナノルも」

 

 そう、南斗水鳥拳の使い手、レイだった。あの時から、さらに水鳥拳の切れが冴えているような気がする。

 

「先を急いでいるようだな。話はあとにしよう。まずはこいつらを片付けなければな」

「うむ、奴らはお前の登場で浮足立っているようだ。ここを逃す手はあるまい」

「そうだな。行こうぜ!」

 

 そしてオレたちは、混乱している拳王軍に対して突撃していった。

 

「てやっ!」

「ええいっ!」

 

 オレとココが見事な連携で、兵士を倒し。

 

「あーたたたたたっ!!」

 

 ケンが疾風怒濤の北斗神拳で兵士たちを吹き飛ばしていく。

 

「ヒュー……シャオッ!!」

 

 レイも負けてはいない。鮮やかな水鳥拳で、宙を舞い、敵を切り裂いていった。

 

 そして戦いはこちらに有利に傾いていき、とうとう拳王軍は散り散りになって逃げて行った。

 

「ふぅ、こんなところか」

「あぁ、おかげで助かったぜ。でも、なんでこんなところへ?」

 

 その答えは、レイとともに来ていたマミヤさんが話してくれた。

 

 なんでも、あの村はまた拳王軍に制圧されたが、やはりシュレンの軍によって解放されたそうだ。それで村人たちは隠れ里に身を潜めていたが、そこにもまた拳王軍や野盗たちの魔の手が忍び寄ってきたので、思い切って南斗の都に移住することに決めたんだそう。

 

「なるほどな」

「あぁ。済まないが、俺たちは村人たちを護衛して、都まで行かなきゃならん。手助けできるのはここまでだ」

「いや、それで十分だ。おかげで助かった。どうか無事に都までたどり着いてくれ」

「ありがとう、それじゃ行くわね」

 

 そしてオレたちは、村人たちと自警団を率いるレイとマミヤさんと別れ、再びフドウの村への道を急ぐのだった。

 

* * * * *

 

 一方、フドウの村。

 

 村の主であるフドウ。彼の手助けをしているジャギの元へは、一人の兵士がひざまずき、ことの次第を報告していた。

 

「なんだと!? ユリア様が連れ去られ、ケンシロウさんが負傷しただと!?」

「はい。ユリア様を連れ去ったラオウの行方はいまだ知れず……」

「むぅ……」

 

 その報告を聞いたフドウは悩んだ。本当は、ラオウを追い、ユリアを救出しに行きたい。それが五車星の宿命、使命だから。だが、彼らには自分を慕う子供たちがいる。彼らを置いていくわけにもいかなかった。

 

 その苦悩を察したのだろう、子供たちが、倉庫から甲冑を出してきたのだ。

 

「父さん、行ってあげて!」

「僕らなら大丈夫だよ、みんなで力を合わせて頑張って、父さんを待ってるから!」

「お前たち……」

 

 その子供たちの決意を察したジャギも、肩をすくめて言葉をかける。

 

「ま、そんなわけだ。心配しないで行ってきな。このガキどものお守りは、責任もって俺がやってやるからよ」

「ジャギさん……」

 

 と、その時!

 

「その必要はない!」

 

 あたりを震わせるような声が村に響いた。その声のほうを、フドウたちが見ると、そこには……。

 

「フドウ! 俺の恐怖を払拭するために、お前の血が必要だ!!」

 

 ラオウと拳王軍軍団が崖の上に現れていたのだ!!

 

 




感想、ファンアート、そして『テテテUC』を書いてくださる方、募集中です! テテテUCを書いてみたい方は、ひいちゃまでメッセをくださいませ(平伏

それでは、次回予告をどうぞ!

*次回予告*<チャーチャーチャチャー

フドウに戦いを迫るラオウ! その時、あの男が彼の代わりに戦うために前に進み出る!
一方、道を急ぐナノルたちの前には、恐るべき刺客が立ちはだかった!

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第四拾九話『愚かなる英雄!』

「おっさん、あんたはそのガキどものためにも万が一にも死んじゃならねぇ。命を懸けるのは、ど腐れの俺だけで十分だ」

※次の更新は、9/14 13:00の予定です!

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