北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました 作:ひいちゃ
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!
見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!
* * * * *
かろうじて命を取り留めたナノルたちは、途中で再会したレイの援護を受けて、ラオウが向かったというフドウの村へと急ぐ!
だが時すでに遅し! ラオウは既に、フドウの村に現れていたのだ!
果たして、フドウの、そして子供たちの運命は!?
「フドウ! 俺の恐怖を払拭するために、お前の血が必要だ!!」
周囲を揺るがすような大声がフドウの村に響き渡る。
一同がそこを見ると……。
「ラオウ!!」
そう、ラオウと、彼の率いる軍団が、村を見下ろす崖の上にあらわれていたのだ! その様は、まるで地獄の軍団のよう。
兵士たちの構える弓の狙いは、子供たちに向けられている。
「かつて暴虐を働き、このラオウに恐怖を与えた男、フドウ! 今一度鬼神となりて、俺と戦え! 断ればその子供たちの命はない!」
「……」
「ラオウの兄者、てめぇ……!」
自分たちに向けられている弓におびえる子供たち、ラオウに怒りの視線を送るジャギ。その中、フドウはただ瞑目して沈黙する。
そして。
「わかった、来るがいい」
「ふん……」
「フドウのおっさん……」
ジャギが見送り、軍団が崖を降りる足音が聞こえる中、フドウはただ子供たちが差し出していた防具を身に着けるのだった。
* * * * *
そして。
村の広場。そこでラオウとフドウが対峙していた。
対峙しているラオウが、背後に対して手刀を振る。すると、地獄から聞こえてくるような地割れの音とともに、彼の背後に一本の地割れが生まれた。
「よいか、我が一歩でもその線より退いたら構わん。我が背にその矢を撃ち込み、我が命を絶つがよい!!」
「は……ははっ!!」
一方、ジャギが決意を秘めた表情で、緊張した面持ちのフドウに声をかけていた。
「フドウのおっさん……」
「大丈夫、心配はいりません、ジャギさん」
フドウがそうジャギに微笑んで答えると、ジャギは少しの戸惑いの後、表情を引き締めて言った。
「……すまねぇ、おっさん」
「え? ……!」
ジャギはフドウの隙をつき、その右胸を突いた! 動きを封じる秘孔、新胆中だった。
とたんに、フドウは膝をつき、その身体をこわばらせてしまう。
「じ、ジャギさん、なぜ……?」
「おっさん、あんたはそのガキどものためにも万が一にも死んじゃならねぇ。命を懸けるのは、ど腐れの俺だけで十分だ」
そして改めて、ラオウへと向き直り、二刀流のガンブレードを構えた。
「そういうわけだ。俺と戦ってもらうぜ、ラオウの兄者」
「お前など、このラオウの足元にも及ばん。去るがよい。俺が用があるのはフドウのみ」
「へへ、そういうなよ。それなりには楽しませてやるからよ」
「何度も言わせるな。お前など俺の強さに比べれば、蟻同然。お前の相手はこいつのみで十分だ」
そう言うと同時に、屈強そうな兵士が二人、ラオウの前に進み出た。そしてジャギに対して武器を構える。
「言ってくれるじゃねぇか。あとで目玉をひんむくなよ?」
「うおおお!!」
「でやああああ!!」
ジャギに向かって突進する兵士たち。ジャギは微動だにしない。
そして交差!!
「む……!」
ラオウはかすかに驚きの表情を浮かべた。彼はジャギと兵士たちがすれ違ったその瞬間に、何があったのかを見切ったのだ。
何が起きたか、その結果はすぐにわかった。
「な、な、な……なーつーいいぃぃぃぃ!!」
「ほ……ほ……ほせがらびいぃぃぃぃ!!」
兵士たちはもっていた武器ごと、肉片へとなり果てた。あのすれ違った瞬間に、兵士たちを、ジャギのガンブレードの斬撃が襲ったのだ。
ジャギは、ラオウを見据えたまま、背後のアキに向かって言う。
「何ぼやぼやしてやがる、アキ! 子供たちにこの光景を見せてるんじゃねぇ!」
「う、うん!」
そして、馬上へのラオウへと突進していく!
「さぁ、俺と遊んでもらうぜ……ラオオオォォォォォォ!!」
* * * * *
そのころ、オレ……ナノル、ケンシロウ、ココはバギーでフドウの村へと急いでいた。フドウを死なせるわけにはいかないからな!
だが、村を目前とした渓谷で……。
シャンシャンシャン……。
妖しい鈴の音が周囲に響きだした。これは……!
「ここから先に行かせるわけにはいかぬ」
「お前はこの渓谷で、我らの手にかかる定めなのだ」
アニメ版に出てきた、虚無僧の集団……!
その声に敵意はあっても、悪意はないことを悟ったケンが、バギーから降りて声をあげる。
「俺にはお前たちと戦う気はない。道を開けてくれないか」
しかし、返ってきたのは悲壮なる声。
「それはできぬ」
「我らの自由は拳王様に縛られている」
「我々が主の命に逆らえば、我らの民が皆殺しにあおう」
「我々が勝てればよし。負ければただ我々が果てるだけ。これも私たちの宿命」
その答えを聞いたケンが指を鳴らす。その音が、どこか哀しみを帯びているように感じたのは気のせいだろうか……?
「やむを得ぬ……かかってくるがいい」
その声を受け、周囲の錫杖の音がさらに高まっていく。ケンの耳を封じようという意図なのだろう。
しかし、ケンは目が見えないが、オレが助言すれば……と思ったが、甘かった!
さらに周囲に霧が立ち込め始めたのだ! たちまち渓谷は濃霧に満たされた。
「目が見える者がいることはわかっている。それに対する策も講じぬほど、我らは愚かではない」
「くそ……!」
僧たちの声が続く。
「安心するがいい。我らの相手はケンシロウのみ」
「いくぞ!」
そして殺気が四方からケンを襲う!
「ぐっ!!」
錫杖の仕込み刀によるものか。その身体に無数の傷が刻まれた! どれも深手でなかったのが幸いか。
ケンが左右を振り向き敵の位置を探ろうとするも、それを追うことはかなわず。ましてや、ケンほどの達人でもないオレにはまったくだ。
「ふふふ……無駄なこと」
「目を奪われ、耳をもかく乱されたお前に、我らをとらえることはできぬ」
そしてさらにケンの体に傷が刻まれた! このままでは……。
* * * * *
差し向けられた兵士二人を葬ったジャギが、馬上のラオウに飛び掛かった!
「いくらか腕をあげたようだな。だが、それもこのラオウの闘気の前では木の葉も同然!!」
「あぁ、わかってるよ。だからな、俺の流儀でいかせてもらうぜ!」
「ふん!」
ラオウが拳を放った! だが、ジャギはその拳を蹴ると、さらにもう一段ジャンプして飛び越えた!
「むぅ!?」
そのラオウの目の前に布が迫ってきた! それはジャギが着ていたジャケットだった。飛び越える刹那に脱ぎ捨てたのだ。
そのジャケットはラオウの顔にかかり、その視界を封じた!
「もらったぜ!!」
勝利を確信したかのようなジャギの声。しかし。
「甘いわ!!」
ジャギの声から位置を推測し、闘気を放つラオウ! しかし。
「なっ!?」
手ごたえが軽い。ジャケットを振り払ったラオウがそこを見ると、ラオウの闘気を食らって肉塊になり果てた兵士の姿が。
ジャギは、その兵士を蹴り飛ばして、身代わりとしたのだ。
「言ったろうが、俺の流儀で行かせてもらうとな! これがど腐れの戦い方よ!」
「ぬぅっ!!」
上空からジャギが襲い掛かってきた! ラオウは反撃の態勢が整わないまま、それを迎え撃つ!
そして激突!
「こやつ……!」
「へへ、どうだいラオウの兄者。ど腐れの流儀の味は?」
余裕の表情で言い放つジャギ。ラオウの肩口のマントがかすかに切り裂かれていたのだ。
「確かに少しはみとめざるを得ないようだな。だが! 俺のマントを切り裂いたぐらいで調子に乗るな!!」
「ぐはっ!?」
突然、ジャギがうずくまってしまう。血を吐く。その手から零れ落ちたガンブレードは刃が叩き折られていた。
先ほどの交差の時に放たれたラオウの剛拳は、万全の態勢で放たれたものではないながらも、ガンブレードを破壊し、ジャギに少なからぬダメージを与えていたのだ。
「その程度で済んだことを幸運に思うがいい。万全の状態で撃っていたら、お前の体はこの地上から消え失せていたのだ」
「へへ、そうかよ……」
* * * * *
ラオウの拳を受けて頽れたジャギがなんとか立ち上がる。だが、ダメージを受けながらも、その表情から闘志はまだ消えていない。
そのジャギに、ラオウが乗馬したまま近寄ってくる。
「貴様など、黒王から降りるまでもない。このまま葬ってくれるわ!!」
「へへ、面白れぇ。やってみな……!」
そのジャギに向けて、ラオウが黒王に乗ったまま突進する!
(すまねぇ、カホ、アンナ……。今回だけは誓い、破らせてくれよな……!)
「ジャギ兄ちゃん!!」
アキがそう声をあげる。ジャギは今にも、黒王に踏みつぶされようとしていたのだ。しかし。
「なっ!?」
ラオウは再び驚きの声をあげた。ジャギは、なんとその身体で黒王の突進を受け止めていたのだ!
「転龍呼吸法……貴様……!」
「へへ、忘れたかい? 兄者。俺も北斗の者だって……なぁ!!」
そしてその拳で黒王を殴りつける!! たまらず、黒王は立ち上がってわなないた。とっさにラオウが黒王から飛び降りる。
「さぁ、仕切り直しといこうぜ? 俺がこれまで身に着けた全てをもって、あんたをぶっ飛ばしてやるぜ」
「面白い。うぬが身に着けたものが全て、無駄だったということを思い知らせてくれるわ!!」
二人の周囲に激しい闘気の渦が渦巻いた! そして!
「いくぜ、ラオウ!!」
「その身の程知らず、後悔させてくれよう!!」
そしてラオウが拳を放つ! ジャギはそれをかろうじてかわすが、それでもその胸がえぐられ、血が噴出した!
ジャギは、その拳の威力に戦慄した。
(さすがは北斗の長兄、ラオウってことかよ……。こりゃ、直撃で受けたらタダじゃすまねぇな……!)
「シャオッ!」
「むっ!」
ジャギの手刀がラオウを襲う! だが、それはラオウに余裕でかわされるだけだった。
「ぬんっ!」
「ぐがっ!!」
そしてカウンターで、ラオウの剛拳がさく裂した! ジャギが血を吐いて吹き飛ばされる!! そして地にたたきつけられた。
「あぁっ、ジャギ兄ちゃん!!」
「ジャギさん!!」
悲痛なアキとフドウの声。それを背に、ラオウがジャギに歩み寄る。
「言ったはずだ。お前など俺に比べれば木の葉も同然とな! 終わりだ!!」
そして、地に伏したジャギに拳を振り上げようとする。しかし、ジャギはまだ戦いを捨てたわけではなかった!
「ふっ!」
「ぬぅっ!!」
血をつぶてにして、ラオウに吹きかける。それでラオウがかすかに目を細め、動きが一瞬たじろいだ隙を突き、とっさに身をかわしてその剛拳をかわす!
いや、それだけではない!
「そこだ!」
「!!」
かわし際に、その両脇の秘孔、アミバが発見した秘孔、戦癰を突く! さすがラオウというべきか。その動きを完全に封じることはできなかったが、それでもその動きは大きく鈍くすることができた!
「これで決まりだぜ!」
「うぬ!!」
その中で放たれたラオウの拳をかろうじてよけ、懐に飛び込む。そして右胸の秘孔……新胆中を突いた! それでラオウは拳を突き出したまま動けなくなってしまった。
「あぁっ、拳王様~!!」
「へへ、なんとか一発逆転ってところか。さぁ、この戦い、俺の勝ちで終わらせてもらうぜ!!」
そして、必殺の秘孔を突き、とどめを刺そうと突っ込むジャギ。だが彼は気づかなかった。ラオウの表情に不敵な笑みが浮かんでいたことを。
「ふん……たわけがっ!!」
「なっ!?」
なんとラオウはその秘孔縛を軽々と解き、ジャギに拳を放ってきたのだ!
そして!!
「うぬの秘孔縛など、今にも切れそうな糸で縛られたようなもの! 解くことなど造作もないわ!!」
「ぐはああぁぁっ!!」
「ジャギさん!!」
その拳を受け、叫び声をあげながら吹き飛ばされるジャギ。響き渡るフドウの声。ジャギは再び、地にたたきつけられた。
それを見届けたラオウが、ジャギに背を向け、フドウへと向き直る。
「いい余興であったわ。さて、お遊びはここまでだ。俺と戦うがいい、フドウよ」
「うぬ……!」
それを聞きながら、ジャギは消えゆく意識の中で無念を感じていた。
(俺はここまでの男だったのか……? ラオウに手傷を負わせることもできず、フドウやガキどもすら守れぬまま……すまねぇ、フドウのおっさん、すまねぇ、ガキども……、すまねぇ、カホ、アンナ……)
意識が消えゆく寸前。ジャギの眼から涙が零れ落ちる。その涙が奇跡を呼び起こした!
* * * * *
フドウと拳を交えようと、歩みを進めようとするラオウ。だが、その動きが一瞬止まった!
「な……!」
背後を振り向いたラオウが再び、驚きの声をあげた。そこには、血まみれになりながらジャギが立っていたのだ。
しかし、驚いたラオウだったが、そのジャギを見て考え直した。ジャギの表情には闘志どころか生気すらなかったのだ。もはや戦える状態にはなく、立つだけで精いっぱいだったのが明らかだった。
「ふん、フドウと子供を守らねばという一念だけで立ち上がったか。だがそれだけでもはや何もできまい! 待っていろ、今すぐ完全に地獄に送ってやるわ!!」
そう叫び、ジャギに突進し、剛拳を放つラオウ! しかし、また彼は衝撃に襲われることになる。
その拳は、まるで蜃気楼を殴ったかのようにその身体をすり抜けたのだ。かわりに、その脇腹に切り傷が刻まれた。
「貴様、まさか今のは……!」
ジャギの声で意識を取り戻したのか、その目が弱々しく開かれた。
「へへへ……神様がほんの少しだけ奇跡を与えてくれたようだぜ。まさか俺にもあの秘奥義が使えたとはな……」
北斗神拳究極奥義・無想転生―――。
感想、ファンアート、そして『テテテUC』を書いてくださる方、募集中です! テテテUCを書いてみたい方は、ひいちゃまでメッセをくださいませ(平伏
それでは、次回予告をどうぞ!
*次回予告*<チャーチャーチャチャー
ラオウよ! 我が死体に等しき身体を動かす、いたいけな心の力を知れ!
例えこの身体朽ち果てようと、真の勝利は我が手にあり!
次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』
第伍拾話『最後に拳を振り上げる者!』
「へへへ……こんなど腐れにも奇跡を与えてくれるなんて、神様は心が広いんだな。まさか俺にもあの秘奥義が使えたとはな……」
※次の更新は、9/21 13:00の予定です。お楽しみに!
北斗転生終了後、どの作品を連載開始してほしいですか?
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