北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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※ナノルやココの相手の呼び方が現世の名前と前世の名前とで揺れているところがありますが、これはミスではなく演出です。
周りに知っている人がいない場合は、前世での名前で呼ぶことがある、ということで一つ。それと、ナノルの場合は、ココのことで心が乱れているときは、彼女のことを由紀と呼ぶことがあります。

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199X年世界は核の炎に包まれた!

海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。

だが、転生者は死滅していなかった!

* * * * *

いよいよ牙一族のために旅立ったナノル、ケンシロウ、レイの三人!
マミヤを加えた彼らの前に、牙一族の先鋒、ギバラ率いる部隊が立ちはだかる!

彼らを一蹴したナノルたちは、ギバラの眼に哀しき光と人の情が宿っていることを見抜き、あえて彼の命を奪うことをしなかった。

そのギバラから語られたことにナノルは衝撃を受ける!
なんと、牙大王の魔の手が、彼の妹ココに迫っていたのだ!!

ナノルは乱れる心を抑えつつ、ケンシロウたちと谷の奥へ進むのであった!



(牙一族編)第伍話『死の谷にダガーが燃えた! 対決蝙蝠拳!!』

 ある村にて。

 その村は、牙一族の襲撃にあっていた。男たちは果敢に立ち向かったが、その狂暴さの前に一人、また一人と散っていた。

 

 そして今。

 

「おのれ……、だが女子供たちは、お前たちには渡さん! とあーっ!!」

「キシャー!!」

 

 牙一族の中でも、狂暴そうな男に飛び掛かる村の男。だが、振り下ろした剣は……。

 

「なにぃ!?」

 

 なんと、牙一族の男、マダラに刃をアギトで白刃取りされ、そしてかみ砕かれた! さらにうろたえた男にマダラが飛び掛かり、その頭にかみつき……その息の根を止めた。

 

「ウオオオオォォォォ!!」

 

 遠吠えを放つマダラ。その彼に、兄弟の一人、ゴジバが声をかける。

 

「よし、よくやったぞ、マダラ。よし、兄弟ども! 生贄を車に乗せろ!」

 

 ゴジバの指示の元、牙一族たちが女子供たちを囚人護送車に乗せていく。大人の男たちを全て殺された女子供たちに、抵抗する気力は残されていなかった。

 

 その時!

 

「ウガアアァァァ!!」

 

 突然、マダラが何かに酔ったように暴れだした! そして兄弟たちが運んでいる女子供たちを殴り殺し、噛み殺し、止めに入った兄弟たちをもその牙の餌食としていった。

 

 その様子を見て、ゴジバが苦々しい表情を浮かべて舌打ちする。

 

「ちっ、マダラの野郎、また血の匂いに酔いやがったか! おい、あれを撃て!」

「お、おう!」

 

 そして牙一族は護送車から吹き矢を取り出していった。それで睡眠薬入りの吹き矢を何本も浴び、それでやっとマダラは昏睡した。

 

「手間かけさせやがって……。よし、マダラに足枷をはめて、車に放り込め。集落に凱旋するぞ!」

「おーー!!」

 

 そして生贄を大量に得た牙一族たちは、意気揚々と彼らの集落へと帰っていった。残されたのは、ガレキだらけとなった、血の匂いに満ちた廃墟だけであった。

 

 ナノルたちがやってきたのはその十数分後である。

 

* * * * *

 

 オレ……ナノルたちはココ……由紀を助け出し、牙一族をつぶすため、奴らの集落に続く谷を進んでいた。

 この場に、レイとマミヤさんはここにはいない。レイには別行動をとってもらって、マミヤさんにはフラニーたちを村に連れ帰ってもらっている。

 

 そして、集落を目指すオレたちが奴らのアジトに続く谷の途中にあるその村に立ち寄った時、そこは凄惨なありさまだった。

 

 村は完全に廃墟となっており、あちらこちらに奴らに立ち向かったらしき男たちの死体が転がっている。周囲は彼らの血の匂いでむせ返りそうなほどだ。女や子供たちの死体もある。

 

「むごいな……」

「あぁ……」

 

 おそらく牙一族の襲撃にあったのだろう。あまりの有様に、奴らへの怒りがわきあがってくる。

 

「くそ、奴らめ……!」

「む……」

 

 とそこで、ケンが何かに気づいたようだ。彼が視線を向けた方向を見ると、そこには血まみれの子供が倒れていた。まだ息はあるもよう。オレたちは急いで彼の元へ駆けつけた。

 

「おい、しっかりしろ、ガキ!」

「ぼ、ボクはもうダメ……。お願い、牙一族の奴らを倒して……こ、これで……」

 

 そう言って子供が差し出したのは、木片を組み合わせて作られたおもちゃだった。これが頼み料だというのだろう。

 それを受け取って、ケンがうなずいていう。

 

「わかった、引き受けよう」

「任せといてくれよ……。とりあえずこれは預かっておくから、返しにくるまで頑張って生きてるんだぜ」

「あ、あり、が……」

 

 そう言い残し、子供は息絶えた。

 

「奴らめ……許さねぇ……!」

「うむ……む? 気をつけろナノル、敵だ」

 

 そのケンの声にあたりを見回すと、そこにはオレたちを取り囲むように、三人の牙一族が立っていた。

 そいつらが三人とも、殺気に満ちているのは言うまでもない。

 

「ぐへへ、こいつらを倒せば大手柄だぜ!」

「あぁ、きっと親父ぃも喜んでくれるだろうぜ」

「へへへへ……」

 

 なめられたもんだな。だが。

 

「それじゃケン、こいつらじゃ手向けにもならんかもしれんが、ガキの頼み事を始めるとするか」

「あぁ。悪党だけが笑っていられるという思い込みを打ち砕かねばなるまい」

「ほざけ~!!」

 

 その三人の牙一族の末路は言うまでもないだろう。

 

* * * * *

 

 そして、その三人の牙一族を倒したオレたちは先に進み、ついに牙一族の集落にたどり着いた!

 

 そこには大きな焚火があり、その上に紐でつるされた檻があった。その中にはあの村から連れ去られたらしき女子供たちの姿がある。これから彼女たちを生贄にしようというのだろう。

 

 間に合ってよかった。たどり着くのが遅かったら、今頃彼女たちはまる焼けにされていただろう。

 

 やってきたオレたちを見て、牙大王がうなりをあげる。

 

「うぬううぅぅぅ、きたな、用心棒ども!」

「悪党ども、祈りの時間は済ませてきたか?」

「ココは、ココはどこだ!」

「ここはどこかだと? ここはわしらの集落に決まっているではないか、ぐふふふ」

 

 ココ……由紀を人質にしているアドバンテージがあるからなのか、牙大王は余裕でジョークで返してきた。こいつにこんなジョークのセンスがあるとは驚きである。そしてさらに続ける。

 

「人質の居場所など、お前たちに教えてやる必要はない。お前たちはここで死ぬのだからな!」

 

 牙大王の宣告とともに、オレたちの前に二人の牙一族が現れた。鋭い牙が特徴の奴と、二本角のついたバンドを頭にはめた、ひげ面の男だ。

 

 そして彼らの後方に、十数人の牙一族たちが集結する。いずれも殺気に満ち満ちている。やる気でいるのは間違いない。もちろんオレたちもやる気だが。

 

 ボキッボキッ。

 

 ケンが鳴らした指の音が戦闘開始の合図となった。

 

 牙一族たちはオレたちを取り囲むように展開し、そして襲い掛かってきた!

 

「はぁっ、とりゃっ!」

「どるらべばっ!」

「べどどばっ!」

 

 まず飛び掛かってきた一人をダガーナイフで切り裂き、別の一人にダガーを投げつけて額を貫いた。

 

「うおぉ~!!」

「やられるかよっ!」

「らへばっ!!」

 

 さらにもう一人が飛び掛かってきたが、そいつには紐を引き寄せて回収したダガーを持ち替え、二刀流で切り裂いてやった。

 

 ケンのほうも奴ら相手に、互角以上に立ちまわっている。

 

「あーたたたたっ!!」

「ぐわばっ!」

「ばへぶっ!」

「ぐわらっ!」

 

 拳の連打で、かたっぱしから牙一族たちをひでぶさせていく。

 

* * * * *

 

 そうしているうちに、ケンには鋭いの牙の奴、オレにはひげ面の奴が飛び掛かってきた!

 

 ひげ面の奴は、周辺の枯れ木や岩、柱などを蹴り、巧みに宙を飛び交いながら襲ってくる!

 

「ひゃはぁ!」

「ぐっ!」

 

 後ろから飛んできたひげ面のかぎ爪が、オレの腕をかすめた! 血がばっと飛び散る。

 

「!」

「ひゃははぁ!」

「うあっ!」

 

 今度は上から急降下してきたやつに、背中を切り裂かれた! 肉までは切らせなかったが、こいつはきつい……!

 奴は、地面を蹴って、再び宙へと身を投げた!

 

「どうだぁ! 南斗の流れを汲む、我が蝙蝠拳に敵などいなぁい!!」

「ガタイと使ってくる拳法に、大きな違和感があるじゃねぇかよ……!」

 

 そう軽口を叩くが、ちょっときつい。奴の動きを見切らなければ、切り刻まれる一方だ……!

 

 と、その時! どこからか、鋭い牙の奴が飛ばされてきた! とはいっても、その牙はボロボロに折れてしまっているが。

 

 奴との戦いを制したケンが、援護射撃にと、鋭い牙の奴の身体をこちらに蹴り飛ばしてくれたのだ。

 

 そしてその奴の身体は見事に、こっちに迫ってきていたひげ面野郎にぶち当たった!!

 

「ごはっ……!」

「そこかよっ!」

 

 借りは返させてもらう! オレはダガーを奴の額に投げ放ち、見事に貫いた!

 

「シャギャー!!」

「ほあたぁっ!」

 

 断末魔の叫びをあげるコウモリ野郎。そこに、ケンの追撃の蹴りが入った!

 

 蹴り飛ばされた二人の身体は、そのまま焚火のほうへと吹き飛ばされ、まだ火のつけられていない篝火台に叩きつけられ、それを崩壊させた。

 そしてそれと同時に……。

 

「か……か~に~え~……!!」

「や……や……やすろ~!!」

 

 二人の身体は秘孔を突かれ、醜く砕け果てたのだった。

 

* * * * *

 

二人の牙一族の敗北を受け、ついに牙大王が立ち上がった!

 

「やはり、力技ではお前たちを止められんか。ならばこちらも切り札を出せさてもらうぞ! 人質を出せぇ!!」

「へい!」

 

 牙大王の号令を受け、牙一族の一人が、小屋の一つから誰かを引き立ててきた。それは……。

 

「ココ!」

 

 そう、ココ……オレの妹、由紀だった。

 一歩踏み出そうとするオレを、牙一族の一人が彼女にナイフを突きつけて制した。まるで、一歩でも踏み出せばこの娘を殺す、と言っているかのように。

 

 

 そして、得意げな笑みを浮かべて、牙大王が言い放った。

 

「変な気は起こすなよ? この娘の命が惜しくばな」

「ちくしょう……!」

 

 このままではオレたちはともかく、由紀の命が……!

 くそ、レイは何をやってるんだよ!?

 

 でも、由紀は気丈にも、ナイフを突きつけながらも訴えてくる。

 

「ナノル兄! 私のことはいいから、こいつらをやっつけて!」

「黙りやがれっ!」

「きゃあっ!!」

 

 それに逆上したのか、捕まえていた牙一族が、由紀の服の胸元に手をかけ、一気に力任せに引き裂いた。

 下着に包まれた、彼女の身体があらわになる。

 

 その非道に、オレは頭に血が上りそうになったが、そこをケンに肩を掴まれた。

 

「ナノル……」

「わかってる……くそっ……」

 

 愉悦そうな笑みを浮かべる牙大王。その彼の目の前に、残りの牙一族たちが集結した。

 

「いいか? 一歩も動くなよ? 変なことをすればこの娘がどうなるか、わかってるな? やっちまえ!」

「おー!!」

 

 そして残りの牙一族が、反撃できないオレたちに襲い掛かった。そして殴る蹴るの暴力を加えてくる!

 

「ぐはっ……!」

「どうしたどうした! さっきの威勢のいいのが嘘みたいだなぁ、おい!」

「くっ……!」

「ナノル兄……!」

 

 罵声を受けながら暴行を受けるオレたち。それでもオレたちは耐え続けた。逆転の時が来るのを信じて。

 しばし、息子たちにオレたちをなぶらせたあと、牙大王が一歩を踏み出した。

 

「よし、お前たち、もういい。とどめはわしがやる。息子たちが流した血をあがなうには、こいつらの血では足りそうにないがな!」

 

 一歩、また一歩と牙大王が近づいてくる。このままでは……!

 

 その時!

 

「ヒュー……シャオッ!!」

 

 どこかで聞いた声。それとともに、由紀を捕らえていた牙一族が細切れ肉に変貌した!!

 

 




感想、お待ちしています!

* 次回予告 *<テーレッテー!!

風雲急を告げる死の谷!
レイの救援で、戦いの流れはナノルたちに傾いた! だが牙大王は奥の手を発動させ、ナノルたちを奈落の底に落とそうとする!

果たして、牙一族との決戦の行方はどうなるのか!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第陸話『けだものども! 死ぬ前に祈りを済ませろ!!』

「さぁ、今までの借り、まとめて返させてもらうぜ!」

※次の更新は、11/17 19:00の予定です。お楽しみに!

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