北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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運命を切り開く者がいる! 天の道を外れ、欲望に生きる外道がいる!
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!

見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!

* * * * *

フドウをかばい、ラオウに戦いを挑むジャギ!
だが、ラオウの実力はすさまじく、ジャギは無残にも敗れ去ってしまう!

しかし! ラオウがフドウをその毒牙に賭けようとしたとき、ジャギは再び立ち上がった!!



(南斗最後の将編) 第伍拾話『最後に拳を振り上げる者!』

「ふん、フドウと子供を守らねばという一念だけで立ち上がったか。だがそれだけでもはや何もできまい! 待っていろ、今すぐ完全に地獄に送ってやるわ!!」

 

 そう叫び、ジャギに突進し、剛拳を放つラオウ! しかし、また彼は衝撃に襲われることになる。

 その拳は、まるで蜃気楼を殴ったかのようにその身体をすり抜けたのだ。かわりに、その脇腹に切り傷が刻まれた。

 

「貴様、まさか今のは……!」

 

 ラオウの声で意識を取り戻したのか、その目が弱々しく開かれた。

 

「へへへ……こんなど腐れにも奇跡を与えてくれるなんて、神様は心が広いんだな。まさか俺にもあの秘奥義が使えたとはよ……」

「まさか、お前までが無想転生を使えるようになるとは……!」

 

 だが、次の瞬間!

 

「っ!!」

「ジャギさんっ!!」

 

 悲鳴を飲み込むジャギ。声をあげるフドウ。突如、ジャギの左肩が爆ぜたのだ。

 それを見て、ラオウが再び笑い声をあげる。

 

「ふはははは! 肝を冷やしたが、杞憂であったな。お前には無想転生を完全に使いこなすために必要な、伝承者としての資質が抜けておる! そんな中途半端な無想転生では、俺に勝てたとしても、最終的に身体が砕け散り、命を失うは必定よ!」

「それがどうしたよ? 俺がどうなろうとどうでもいい。俺の身体が完全に砕け散るのが先か、お前が退くのが先かのチキンレースよ。単純だろ?」

「おのれぃ!!」

 

 そう言ってラオウがジャギに剛拳を放つ! だがその拳はまたしてもジャギの体をすり抜けてしまう。

 そして再び交錯するラオウとジャギ。

 

「ぬぅっ!!」

 

 スパパパパッ!!

 ラオウの体に無数の斬撃の傷が走る!!

 

「今のは、南斗翡翠拳……!」

「ぐっ!!」

 

 今度はジャギの左足が爆ぜた! その足が血の色に染まる。だが、もし無想転生をまとえていなければ、今の一撃でその身体が跡形もなく砕け散っていたのは間違いないだろう。

 

「ぬおおぉぉ!!」

「おおぉぉぉ!!」

 

 そして再び激突する二人。激しく拳を、蹴りを交えあう!

 

「よもや貴様に、奥義を放つことになろうとはな! だがこうなった以上、出し惜しみはしていられぬ! 受けよ、北斗剛掌波!!」

「北斗羅漢撃!!」

 

 二つの技がぶつかりあう!! 無想転生でその拳を受け流していくジャギ、一方、耐久力を武器にひたすら攻撃を浴びせていくラオウ。

 そして二人がはじけあい、のけぞりあった!!

 

「っ!!」

 

 ラオウのこめかみがはじけた!

 

「ぐうぅ!!」

 

 ジャギの左拳が砕けた!!

 

「ぬおりゃあ!!」

「ぐあああああ!!」

 

 ジャギの隙をついて突進してきたラオウのアッパーが炸裂!! ジャギは再び天高く吹き飛ばされた!

 そして強烈に地面に叩きつけられる。

 

 だが、それでもジャギは立ち上がってきた。血まみれになりながらも立ち上がったその姿は、どこか雄々しさのようなものまで感じさせた。

 

 そのジャギを見て、ラオウは思う。

 

(なぜだ、なぜ立ち上がり、立ち向かってこれる? そんな体を砕け散らせてまで……!)

 

* * * * *

 

 一方、オレ……ナノル……やココとともにフドウの村へと急いでいたケンシロウは窮地にあった。

 

 濃霧に包まれた渓谷で、目と耳を封じられ、虚無僧たちの攻撃を受けていたのだ。

 

 周囲を探ろうとするも……。

 

「ふふふ……無駄なことよ」

「目の光を失い、そしてこの錫杖の音で耳をも封じられたお前に、我らの攻撃を見切ることはできぬ」

「ぐっ!!」

 

 そして再びケンが、虚無僧たちの攻撃を受けて、身体を切り刻まれてしまう!

 苦し紛れに拳を放つが、それはただ空を裂くのみだ。

 

「無駄だと言ったはずだ」

「視力を失い、耳を惑わされたお前に勝ち目はない」

 

 だがそこでケンが何かに気づいたようだ。

 

「そうか……ならば、この耳をも封じよう」

 

 そして秘孔を突いた。おそらくは、耳を封じる秘孔。ケンは、耳を封じることによって、心の眼で敵を見切ることに集中するようにしたのだ。

 彼の中には、あの盲目の拳士・シュウの一部が生きている。それなら……。

 

「ヒョーウッ!!」

「なっ!?」

 

 そしてケンが空中に飛びあがった! そして、まるでそこに敵がいるのがわかってるかのごとく、拳や蹴りを繰り出す!

 そして彼が着地すると同時に、二人の虚無僧が地に叩きつけられた。

 

「おのれーい!」

「死ねーい!」

 

 さらにケンに襲い掛かる気配。だが、ケンは揺るがず、その気配に対して技をふるう。それでまた、二人の僧が倒れこんだ。

 

「さすがは北斗神拳伝承者ということか。だが、退くわけにはいかぬ!」

「ヒョーオゥ!!」

 

 そして再び飛び上がる! そして見えざる敵と激突!

 そしてケンと、虚無僧たちのリーダーと思われる男が同時に着地した。そして一瞬の間。

 

 虚無僧が崩れ落ちた。

 

「見事だ……さぁ、とどめを刺すがいい。同胞たちが散った中で、私だけが生きながらえることはできぬ……」

 

 そう覚悟を決めて言う男に、オレは言ってやった。

 

「それはちょっと早いんじゃないか?」

「なに?」

「見てみろよ」

 

 ケンが倒したと思われた虚無僧たちが、次々と起き上がる。ケンは彼らの命までは奪わず、その仮面のみを砕いていたのだ。

 

「言ったはずだ。お前たちと戦う意思はない、と」

「……」

「お前たちは、ナノルやココには手を出さなかった。それだけで、お前たちを殺さない理由としては十分だ。心配はいらん。ラオウは必ず俺が倒す。これ以上、ラオウに縛られる必要はない」

「……あなたたちの健闘をお祈りする」

 

 ケンは言われた虚無僧たちは、一列に並び、そして一斉に頭を下げる。それは彼らがケンを認めた証だった。

 そして、彼らに見送られながら、オレたちは先へと進む。

 

* * * * *

 

 フドウの村では、ラオウとジャギの戦いが続いていた。

 

 まだ余裕を残すラオウに対し、全身血まみれのジャギが、まるで今まで死にかけだったことが嘘のように果敢に挑んでいく。

 

「うおりゃあ!!」

「やあぁぁぁ!!」

 

 ラオウが無数の拳を放つ。ジャギは、拳の一つを無想転生でかわし、別の拳を叩きつけられながら、なおラオウに向かっていく。

 

「てやぁっ!!」

「ぬっ!」

 

 ジャギの手刀がラオウをかすめる! ラオウのほほが切り裂かれ、血が飛び散る!

 

「おのれぇい!!」

 

 激昂したラオウの拳がジャギを襲う! だが、拳が炸裂する寸前、ジャギの姿は陽炎のように揺らめいて消えた。

 

「ぬぅっ!!」

 

 ラオウが地を砕く勢いで踏みつけ、高く跳躍する! ジャギの姿は、ラオウの頭上にあったのだ。

 そして空中でジャギと蹴りと拳をかわしあう!

 

 そして着地! ラオウの体にまた無数の傷が刻まれた! だが、どれも致命傷どころか戦いに影響を与えるほどではない。

 

「ぐあぁ~!!」

 

 一方、ジャギは全身の各所が爆ぜ、血をまき散らした。

 

「うおおおおおお!!」

「ぬああああああ!!」

 

 突進してくるラオウ! それを血まみれの満身創痍の状態ながらも待ち構えるジャギ!

 

 そして両者は互いに取っ組み合う。その瞬間、二人の闘気がぶつかりあい、激しい衝撃波が炸裂した!

 

「わああぁぁぁぁ……」

「きゃっ……」

「ジャギさん!」

 

 その衝撃波により砂嵐が巻き起こり、フドウや子供たちを襲う!

 

「ぐぅぅぅぅ……!」

「うぉぉぉぉ……!」

 

 互いに力をぶつけあう二人。だが、やはり体格で勝るラオウのほうが有利なのか、ジャギのほうが次第に押されていく。

 

「でやあ!!」

「ふんっ!」

 

 ジャギが蹴りを放つ! しかし、ラオウは宙に逃げて軽々とそれをかわした。そして。

 

「これで終わりだ、ジャギ!」

「ぐっ!!」

 

 落下ざま、ジャギに肘打ちを放つ! そしてラオウが飛びずさると同時に、ジャギの肩どころか、左腕そのものが爆ぜた!!

 

「砕け散れい!!」

 

 そこにとどめとばかりに無数の拳を放つ!! なんとか無想転生でかわし続けるも、そのうちの一発の直撃を受けてしまい、そこに追い打ちとばかりに後続の拳も炸裂!! ジャギは全身を爆ぜさせ、血を吹き出しながら吹き飛んだ。それを見届けると、ラオウはジャギに背を向けた。

 

* * * * *

 

「このラオウをここまでてこずらせるとは……ほめてやるぞ、ジャギ。……なっ!?」

 

 そう安心したかのように言い放つラオウ。だがそこで気配を感じる。振り向いたラオウは目をむいた。そこには、全身血まみれになって身を赤く染め、左腕をも失ったジャギが立っていたのだ。

 

「まだだ……まだ遊んでくれるよな、ラオウよ……」

「勝てぬとわかっていながら立ち向かってくるとは。すさまじい執念。だが愚かな奴よ、ジャギ。よかろう、ならば見事、俺を退かせてみせよ!!」

 

 だがなぜかそこで、ジャギはため息をついた。

 

「やはり、わかってねぇみてぇだなぁ……」

「なに?」

「見てみな、俺の後ろを」

「後ろ……なっ!?」

 

 ラオウは再び、その表情を驚きに変えた。ジャギの後ろには、フドウだけでなく、子供たちがずっとジャギの後ろ姿と、ラオウを見つめ続けていたのだ。

 

「俺の死んだ身体に力を与えてくれるのは、この子供たちのいたいけな心さ。お前にはわかるか、ラオウ? このいたいけな子供たちの瞳に宿る力がよ……」

「瞳に宿る力だと……? この瞳の光、どこかで……」

 

 そこでラオウは気づいてしまった。子供たちの瞳に映る光。それは、前の戦いで、彼に恐怖を与えた……。

 

「け、ケンシロウ!!」

「くたばれ、ラオウ!!」

 

 動揺したラオウに、ジャギが追い打ちをかけようとする! ラオウも数瞬遅れながらも拳を放とうとしたその刹那!!

 

 ドカッ!!

 

 どこかから放たれた巨大な矢が、ジャギの身体を貫いた!

 そして背後を振り向いたラオウは愕然としてつぶやいた。

 

「ま、まさかこの俺が退いていた!?」

 

* * * * *

 

(ちっ、しくじってしまったか……。もう少しで、あのラオウを仕留めて天下を握れると思ったのによ……!)

 

 巨大なボウガンを操作していたルブラはそう悪態をついた。彼は確かにラオウを狙っていたのだ。ラオウ自らが、線を越えた暁には自らを射よと命じていたゆえ、ここでラオウを殺してしまっても、彼にとって問題はなかったはず。ラオウを射抜いてしまえば、無敵の拳王軍は瓦解し、ルブラが天下をとれる道筋が見えてくるはずだったのだ。

 だが、ラオウがわずかに体を揺らしたがゆえ、矢がそれてしまい、ジャギを貫く結果となった。

 

 このままでは自らが危ない。そこでルブラは横にいた兵士の肩をたたき、そして言った。

 

「あとは任せる。俺さまはちょいとふけるぜ」

 

 そして、兵士が呼び止める間もなく、ルブラはその場から姿を消した。

 戸惑う兵士、そこにザクの命令が飛ぶ。

 

「二の矢の準備をせい!」

「は、ははっ!」

 

 戸惑いながらも、命令通りに弓矢の準備をはじめる兵士。だがそこに。

 

「やめいっ!!」

 

 ラオウの怒声が飛んだ。

 

* * * * *

 

 怒声で味方をとめたラオウは、再びジャギに向き直った。

 

「この俺が退くとは……!」

「てめぇは俺の姿にケンシロウを見、そして背後の子供たちの瞳の中にもケンシロウを見た。その身体に再び恐怖がよみがえったのさ。その身体は恐怖のままに退かねば、俺の一撃を受け、致命傷を負っていた。勝ったのは俺とケンシロウだぜ!!」

「むぅ……!」

「わかったかよ? 俺がこれで果てても、兄者の身に恐怖が刻み込まれている限り、二度とケンシロウには勝てねぇぜ……」

 

 そこでジャギは倒れこんだ。そして、なんとか顔を上げて言う。

 

「か、哀しみを……哀しみを知らない者に勝利などない……ぜ……」

 

 そこでジャギは意識を失った。それを見届けたラオウは、無言のまま、軍のほうに引き返していく。そして、わけのわからぬ怒りのまま、ボウガンを担当していた兵士を殴り倒した。

 

「け、拳王様、何を……!?」

「黙れ、退け! 退かぬと殺す! 退けぇ!!」

 

 その怒声の前に、拳王軍はたちまち恐慌状態に陥る。

 

「ひぃぃぃぃ……!」

「乱心だ~! 拳王様、ご乱心~!!」

 

 たちまち逃げ散る拳王軍たち。それを肩を怒らせて見送るラオウを見て、フドウが思う。

 

(ラオウは負けた。悪党であるジャギさんにではない。哀しみを宿したジャギさんに負けたのだ。それをよく知るのはラオウ自身……)

 

* * * * *

 

「ん……」

 

 ココに膝枕されていたジャギが弱々しく目を開けた。それを見守るオレのそばにはケンシロウや、フドウ、村の子供たちの姿もある。

 オレたちが僧たちを退けて、村に到達したころには全て終わっていた。ラオウは敗れ、その代償にジャギも瀕死の傷を負い、命尽き果てようとしていたのだ。

 

「済まねぇ、ガキども。無様な姿をさらしてしまったな……」

 

 だが子供たちは首を振ってこたえた。

 

「うぅん、そんなことないよ!」

「強かったよ、とっても!」

「そう……かよ……。いいか、ガキども……フドウのおっさんを大切にして、みんなで力を合わせて、強く生きていくんだぜ……」

 

 ジャギの遺言ともいえるその言葉に、子供たちは涙を浮かべ、真剣にうなずいた。それを見て、ジャギもうなずいた。目に涙がにじむ。

 そしてその目は、今度はケンシロウをとらえた。

 

「ケンシロウ……俺からの最期の願いだ。このガキどもを……いや、この時代の子供たち、そしてこの世界全てを抱き包んでやってくれよな……聞いてくれる……だろ……?」

「あぁ……」

 

 そして、最後にオレたちを見る。

 

「ナノル……ココ……お前たちにも世話になったな……」

「あぁ、こちらこそ世話になったな……」

「ジャギさん……」

「お前たちと知り合えて、とても幸せだったぜ……楽しかったしよ……またいつか……」

 

 アキが目に涙を浮かべ、ジャギの手を握る。それを見て、ジャギが目を細めた。

 

「アキ……今までありがとよ……妹分ができて、とても楽しかったぜ……。これからは俺の分も長生きするんだぜ……」

「うん……あんなことがあったけど、ボクも幸せだったよ……。長生きするよ、約束する……!」

 

 そしてついに、ジャギの瞳が閉じられた。フドウや子供たちが口々にジャギの名を呼ぶ。そして。

 

「あぁ……やっと……やっと……アンナとカホが笑ってくれたぜ……かすかに……だがよ……」

 

 それが、ジャギの最期の言葉となった。

 

 




感想、ファンアート、そして『テテテUC』を書いてくださる方、募集中です! テテテUCを書いてみたい方は、ひいちゃまでメッセをくださいませ(平伏

それでは、次回予告をどうぞ!

*次回予告*<チャーチャーチャチャー

ついに、ケンシロウとラオウの最後の戦いの幕が切って開かれた!
だがその戦いは、あまりにも衝撃的な結末で幕を下ろす!

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第伍拾壱話『外道の赤き牙!』

「馬鹿め、このラオウを甘くみるなぁ!!」
「我が生涯に、一片の悔いなし!!」

※次の更新は、9/28 13:00の予定です。お楽しみに!

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