北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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運命を切り開く者がいる! 天の道を外れ、欲望に生きる外道がいる!
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!

見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!



(南斗最後の将編) 第伍拾壱話『外道の赤き牙!』

 フドウの村。今ここでは、この村の子供たちを助けるために散っていったジャギの葬式が行われている。

 かつてあれだけ悪逆の限りを尽くしたジャギが、葬式を出してもらえる人物になったなんて、当のジャギも苦笑いしているのではないだろうか。

 

 そのかがり火の中に、オレはジャギとアンナ、カホが仲良く立っている幻が見えたような気がした。

 オレの隣のココもフラニーも、さらにはあとから駆けつけてきたリハクも、フドウや村の子供たちも、みんな涙を流しながら、その炎を見つめている。

 

* * * * *

 

 そのころ、拳王軍の前線基地から脱出しようとする一団がいた。ルブラとその悪友、そして舎弟や子分たちである。

 そのうちの一人が言う。

 

「ルブラの兄貴、本当にいいんですかい? せっかく拳王様が褒美をくれるっていうのに。もったいないですぜ……」

「いいんだよ。命が惜しければ、黙って俺様についてこい」

「へ、へい……それにしてももったいねぇ……」

 

 そして彼らが廃ビルを応急処置して作った建物を出たところで……。

 

―――ぎゃあ~!!

―――うげあぁぁ!!

―――な、なぜえぇぇぇ、ぶげらっ!!

―――や、やめめびゃあっ!!

 

 激しい悲鳴と戦いの音が建物から聞こえてくる。それを聞きながら、ルブラはほくそ笑む。

 

(へっ、危ねぇ、危ねぇ。『ケンシロウとの闘いの前に、悪人の幹部を粛正する』ってことを、前世の記憶で知ってなければ、俺様もあの中に入っていたかもしれねぇからな。記憶があって助かったぜ)

 

 一方、彼に同行した者たちは、おびえたような表情を浮かべると、みなルブラに恩人に対するような視線を向けた。

 

「ひぇっ……」

「も、もしルブラの兄貴についていかなかったら……」

「あ、ありがとうルブラの兄貴! あんたは俺の命の恩人だぜ!」

 

 そう言ってくる同行者たちに、ルブラはまんざらでもなさそうな顔をして、そしてそのうちの一団のリーダーに言う。

 

「な、俺様の言ったとおりだっただろ? それじゃ、お前たちは例の場所を抑えてこい。残りの奴らは、俺様と行くぞ」

「へい!」

「任せてくだせぇ! ルブラの兄貴の言うことだったら間違いはねぇ! 必ずやり遂げるっす!」

 

 それを聞きながら、ルブラは天に向かって笑い声をあげた。

 

「さぁ! これからは俺様の天下だぜぇ!! ヒャーハハハァ!!」

 

* * * * *

 

 さて、葬式の炎が消えたころ、青い戦闘服に身を包んだ兵士が、バイクに乗ってやってきた。リハクの部下だろうか?

 彼のほうを向き、リハクが口を開いた。

 

「どうした?」 

「はっ。都のヒューイ様からの伝言です。風の旅団の偵察からの報告で、拳王軍に乱れが生じている、と」

「なんだと!?」

 

 それを聞き、リハクだけでなく、オレやほかのみんなも驚き、兵士のほうを向く。兵士は続けた。

 

「拳王敗れ、乱心すの報は、拳王領内を駆け巡り、支配下にある町で謀反や人々による反乱が起こっています。支配している将校が独立する町もあれば、立ち上がった人々によって解放された町もある、とのこと」

「ラオウが敗れたことにより、その恐怖と忠誠心で縛られていた領内が乱れ始めたのであろう。……よし、ヒューイに伝えよ。予備兵力を動かし、拳王領内に侵攻、支配下の町や村を解放せよと!」

「はっ!」

 

 リハクの命を受けた兵士は再びバイクに飛び乗り、走り去っていった。それを見送るケンが発した

 

「ラオウ、お前の野望も足元から崩れるか……」

 

の一言が、強烈に耳に残ったのだった。

 

* * * * *

 

 そして、南斗の都から出発した慈母星の将の軍は、たちまち乱れた拳王軍を打ち倒し、町や村を解放していった。

 もちろん、その軍の中には、レイやマミヤさんも入っているのは言うまでもない。

 

 怒涛の勢いで、東海、甲信越地方にある拳王軍支配下の町を解放していった。

 

 そして、そんな風に状況が大きく動いた中、フドウと共に村の復興に励んでいると、思わぬ来客があった。

 それは……。

 

「あ、あれは……」

「黒王!?」

 

 フラニーとココが声をあげる。そう、ラオウの愛馬、黒王号が、背に誰も載せずにやってきたのだ。それを見て、オレとココは顔を見合わせる。ついにその時がきたのだ。ケンとラオウとの決着の時が。

 オレの考えを証明するかのように、黒王号はケンの元までやってくると、しゃがみこんだ。どうやら、乗れということらしい。なお、オレとココ、フラニーたちが近づこうとすると、とたんに鼻息を荒くして威嚇してくる。オレたちは呼ばれていないらしい。バットとリンはセーフらしいが。

 

 ケンは黒王号がひざまづいたのを見ると、無言で黒王号に乗った。その彼をリンとバットが心配そうに見つめている。

 そして、リンが口を開いた。

 

「ケン、私も連れて行って!」

「俺も行くよ、ケン!」

 

 その二人に、ケンはかすかに表情を緩め……。

 

「わかった、ともにくるがいい」

 

 その言葉に二人は安堵の表情を浮かべ、ともに黒王に乗り込む。そして、黒王が立ち上がり、三人を乗せて決戦の地……北斗練気闘座へと向かっていった。

 本当はここで、ユリアが生きていることを伝えたほうがよかったかもしれないが、なんか無粋のような気がしてやめておいた。

 

「ケン、必ず勝つよね、ナノル兄……?」

「あぁ。原作でもアニメでも新劇場版でも勝ったんだ。必ず勝つさ」

 

 傍らに立ってそう聞いてくるココにそう答えるが、なぜだろう。オレはその胸に妙な不安が浮かぶのを否定できなかった。

 

* * * * *

 

 そして黒王に乗ったケンシロウ、バット、リンは、ついに北斗練気闘座までやってきた!

 黒王から降りたケンシロウを、ラオウが待ち構える。

 

「来たか、ケンシロウ。うぬと北斗神拳を葬るに、ここより他に場所はない!!」

「ラオウ、お前が天を握ることはない!!」

「もはや天などどうでもよいわ!! いや、俺が欲した天とは貴様……いや、貴様との闘いだったのかもしれぬ」

 

 そして互いに闘気をあふれさせて対峙しあう。だがその対峙を見定めている一団がいた。

 そのうちの一人が、傍らの下卑た男に対して報告する。

 

「ルブラの旦那、仕掛けの準備は終わりましたぜ。へへへ」

「よし、よくやった。だがまだ動かすなよ。すべては決着がついてからだ。決着が着いて、あの二人が精魂尽き果てたところを一網打尽にしてやるんだ。ぐへへへ……」

「へい!」

 

 そして報告された下卑た男……ルブラは下卑の極みにあるような笑みを浮かべた。

 

(もう少し、もう少しで世界は俺様のものになるぜぇ。ヒャーハハハァ!!)

 

* * * * *

 

 ケンたちを見送った後も、オレたちは村の復興を行っていた。

 大変だったが、リハクが手配してくれた重機のおかげもあり、なんとかそれを終わらせることができた。

 

 そして。

 

「それじゃ、またなフドウのおっさん。ジャギの分も、子供たちと仲良く幸せに暮らしてくれよ」

「ありがとう、ナノル殿。お二人も幸せな未来をつかんでくれることを」

 

 そして、フドウや子供たちに見送られて村を旅立つ。この後は、一度南斗の都に戻り、そこでケンたちの決着を待ってから再び旅立つ……つもりだった。

 

 しかし!

 

 南斗の都に戻ってから数日後。衝撃がオレたちを襲った! 黒王号が、リンやバット、ユリア……そして満身創痍となり、意識を失ったケンシロウを乗せて戻ってきたんだ。

 

 一体何が起こったんだ!?

 

* * * * *

 

 バットの話はこうだ。原作通りに、戦いはケンシロウの勝利で幕を閉じた。

 

「ふ……見事だ、弟よ」

「兄者……」

 

 敗北を認め、ケンシロウの勝利を祝福するラオウ。

 そこに届くリンの驚愕の声。

 

「ケン! ユリアさんが、ユリアさんが生きているわ!!」

「何!?」

「ふ……」

 

 しかし、そこにその場の空気をぶち壊しにするような、下卑た声が響いた。

 

「ヒャーハハハァ! 待っていた、待っていたぜ、この時をォ!!」

「!?」

「ルブラ!」

 

 決闘の場を見下ろす崖の上には、ルブラの一党が陣取っていた! 彼らの前には岩やら大木やらが鎮座している。

 これで、その場にいるラオウやケンたちを抹殺しようという気まんまんだ。

 

「ルブラ、貴様……!」

「へへへ、そんなボロボロな状態なら、これらを防ぐことはできないだろぉ? お前たちもこれでイチコロだぜぇ、ヒャーハハハァ! やってしまえぇ!!」

「へい!!」

 

 そして、手下たちが次々と、岩や大木をラオウたちへ転がしていく。ルブラの言う通り、満身創痍で、精魂尽き果てたラオウやケンシロウなら、これを防ぐことはできないだろう。そのまま餌食になるかと思われた。だが。

 

「馬鹿め、このラオウを甘くみるなぁ!!」

「なに!?」

 

 そう叫ぶと、ラオウは自らの両胸の秘孔を突いた。その身体が闘気で白く光り輝く!

 

「ら、ラオウ……まさか!?」

「ケンシロウ……お前はこのラオウに勝ったのだ。生き延び、必ずこの世紀末の世界に光を取り戻すのだ……」

 

 岩や大木がラオウたちに迫る!

 

「さらばだ……俺は天に……トキの元に還り、奴とともにお前と、光を取り戻した世界を見守ろう……ぬおおおおお!!」

 

 そして拳を高く天に突きあげる!!

 

「我が生涯に、一片の悔いなし!!」

 

 その瞬間、ラオウの身体から周囲に激しい闘気が放たれ、迫りくる岩や大木を砕き、消滅させていく!! いや、それだけではない。

 その激しすぎる闘気の衝撃波は、崖の地盤を崩し、ルブラの手下たちをも奈落へ叩き落していった。

 

 その中、かろうじて崩落に巻き込まれなかったルブラが吠える。

 

「ひ、ひぃ! まだ俺様は終わらねぇぞ! まだ俺様には、手駒や切り札があるんだ! 必ず、この世界を手に入れてやらぁ! ひ、ひぃ~~!!」

 

 そしてそのまま逃げ去っていったのだった。

 

 後には……。

 

「ラオウ……!」

 

 そうケンシロウがつぶやく。そう、後には天に拳を突き上げたまま、満足な表情を浮かべて逝ったラオウの姿があった……。

 

* * * * *

 

「そんなことが……」

 

 バットの報告を聞いて、オレはそうつぶやいた。あまりに偉大な……あまりに偉大な巨星の壮絶なる最後だった。

 その最後に、リハクやヒューイ、回復したジュウザも、ただ言葉を失っている。

 

 そして、ケンシロウの容態を見ているココに視線を向ける。

 

「どうだ、ココ? ケンの具合は?」

 

 そのオレの質問に、ココはほっとした表情を浮かべて言った。

 

「うん、命に別状はないみたい。でも、当分は意識が戻らないと思う……」

 

 そこに、南斗ニキが補足してくれた。

 

「どうやら、昏睡状態になることで、気を生命力に変える術を使っているのでしょう」

「まぁ、ケンシロウが無事だっただけでも、僥倖だったな。だが……」

 

 そのジュウザの言葉を受けて、リハクがうなずく。

 

「うむ。そのルブラなる男の遺した、切り札というのが気になる……む?」

 

 どうやら、風雲急を告げているらしい。都にまた何者かがやってきたようだ。

 

「シュウ!!」

 

 そう、新たにやってきたのは、松葉づえをつき、シバに支えられながら歩いてくるシュウ、レジスタンスの面々、そして村人たちだった。

 

「どうしたんだ、シュウ? 一体何が?」

「うむ。私の村が大変なことにあってしまった。それでこうして、村人たちを指導し、都まで避難してきたのだ」

「大変なこと?」

「うむ。私の村は……核の炎で焼かれてしまった」

「核の炎だって!?」

 

 そのシュウの言葉に、オレたちは皆絶句した。まさか、また核が使われたなんて……!

 

「数日前、ルブラの手下と名乗る男が、私の村に服従せよと迫ってきた。当然私はそれを拒否したのだが……その翌日、星が乱れるのを見て、村に大きな災厄が訪れることを察した私は、村人を指揮して村を出た。その数日後に……」

「核がシュウの村に落ちたってことか……」

「うむ、おそらくは服従を拒否した報復としてな」

「なんてこった……」

 

 そこに! さらに凶報が訪れた!

 

「リハク様! 大変です、あれを!!」

「何? あ、あれは!?」

 

 オレたちは再び驚愕に目を見開いた。

 オオサカの町のあるであろう方角にキノコ雲が立ち上っていたのだ!!

 

 




感想、ファンアート、そして『テテテUC』を書いてくださる方、募集中です! テテテUCを書いてみたい方は、ひいちゃまでメッセをくださいませ(平伏

それでは、次回予告をどうぞ!

*次回予告*<チャーチャーチャチャー

ルブラの暴走を止めるため、最後の戦いに向かうナノルとココ!
その彼らの前に立ちはだかる大軍に対し、ついにあの男たちが立ち上がった!

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第伍拾二話『終局の序幕! 天狼が遺せし男の叫びが天にこだます!!』

「貴様もともに来い、地獄へ……!!」

※次の更新は、10/5 13:00の予定です。お楽しみに!

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