北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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運命を切り開く者がいる! 天の道を外れ、欲望に生きる外道がいる!
それは、現れてから今まで続く、転生者の宿命!

見よ! 今、その長き転生者伝説に終止符が打たれる!!


(最終章) 第伍拾参話『対決、ナノル対ルブラ! 今奴の外道に終止符を!!』

 核施設の中をひた走るオレ……ナノル。

 

 ルブラの奴が、手下をほとんど、周囲の制圧に出していたせいか、さしたる抵抗もなく進むことができた。

 

 そして。

 

「それっ!」

「びぞげばっ!」

 

 最後の警備兵を倒したオレの目の前には、制御施設へのものと思われる扉がある。

 かなり強固そうだが、闘気で強化されたダガーならいけるかもしれない。そう思ってダガーを構える……が、その前に扉が開いた。

 

 ダガーを握ったまま扉の先に進む。果たして、そこに奴はいた。

 

「へっへっへっ、よく来たな。待っていたぜぇ~?」

「潔いじゃないか。そちらから扉を開けてくれるなんてな」

「ひゃっひゃっひゃっ。潔いんじゃねぇ。見せてやるためにあえて開けてやったのよ。この俺様の核で、南斗の都が燃え堕ちる様を、無様にくたばる貴様の眼になぁ!!」

 

 なんて野郎だ……! 南斗の都に核を落とすだと!? そんなことをさせてなるものか!

 オレは怒りと決意を胸にダガーを構える。チャキッと鳴ったダガーの音が、開戦のゴングとなった。

 

「せりゃっ!」

 

 一気に踏み込んで、ルブラの奴に怒涛のごとき斬撃を浴びせる。こんな奴に、情けは無用だし……!

 

「へっ、いきなり踏み込んでくるとはなぁ。正義の味方っぽくねぇじゃんか。おい!」

「お前のような外道に、正々堂々とした手なんてもったいないからな!」

「言ってくれるじゃねぇか……調子に乗るんじゃねぇ!!」

「ぐっ!!」

 

 そこでルブラの蹴りが炸裂! オレが吹き飛ばされると同時に、ルブラ自身も飛びずさって距離を取る。

 

「さぁ、ここからは俺様のターンだぜぇ!!」

「くっ!」

 

 奴のオールレンジ鎖鎌が来る!

 オレはなんとか着地すると、急いでその場を飛びずさった。案の定、その空間を奴の鎖鎌が凪いだ!!

 

 それからもオレは走り続けて奴の鎖鎌をかわしつつ、再びルブラに迫る!

 

「くら……!」

「へっへっへっ、甘いぜぇ!!」

「!!」

 

 なんと、ルブラの脇腹から槍が飛び出した! なんてギミックを仕込んでやがる!

 なんとかそれをかわすが、そのせいで態勢を崩してしまう! そこに奴の鎖鎌が襲い掛かってくる!

 

「ぐっ!!」

 

 鎖鎌がオレの肩を切り裂く! なんとか致命傷は避けられたが、それでも軽い傷ではない。だが、ここでくたばるわけにはいかない!

 

 さらに襲いかかる鎖鎌を、ある時はかわし、ある時ははじいていく。そして必死にさばいていくオレだったが!!

 

 ズバッ!!

 

「ぐああっ!!」

 

 右足の太ももを鎖鎌の一つが切り裂いた! 途端に右足に力が入らなくなり、倒れこんでしまう。これは……!

 勝ち誇ったかのようなルブラの声があたりに響く。

 

「へっへっへっ、てめぇの右足の太ももの腱を断ち切ってやった。これでお前もおしまいだぜぇ……!」

「くっ……!」

 

 なんとか立ち上がる。だが、先ほどまでのような激しい動きはできそうになさそうだ。このままでは……!

 そのオレを見て、ルブラは勝ち誇ったような下卑な笑みを浮かべて鎖鎌を構える。

 

「さぁ、これでゲームオーバーだぜぇ! ヒャッハハハァ!!」

 

 奴が放った鎖鎌がオレに迫る! そして……!

 

* * * * *

 

 一方そのころ。ココも兄の後を追って、核施設の通路を走っていた。

 

 カレンに飲ませてもらった抗生物質のおかげでいくらか回復し、目を覚ました彼女は、嫌な予感を感じ、施設に戻ってきたルブラの手下たちと戦いを始めたカレン『たち』の眼を盗み、施設に侵入したのだ。

 

 カレンたちを突破して追いかけてくる手下たちを、あるいはかわし、あるいは倒し、またある時は立ちはだかる衛兵を倒して先に進む。

 

 だが、もう少しで中枢施設というところで、ココは背後からすさまじい殺気が迫ってくるのを感じた。

 

 軽業師のように床を蹴り、宙をふわりと舞う。次の瞬間、それまでココがいた空間を投げナイフが通り過ぎて行った。

 入り口側を向いて着地したココの前方から、複数の声が響く。

 

「ふふふ、よく私たちのナイフをかわしたわね」

「でもそうでないと面白くない……」

「必死になって逃げる子猫を狩ることほど、楽しいことはないさ」

 

 そして現れたのは、三人の女たち。三人とも同じボンデージ衣装に身を包み、下卑た笑みを浮かべている。

 

「さぁ、逃げていいわよ。逃げられるものならね」

 

 ロングヘアの妖艶な女がからかうように言う。

 

「もう少しでたどり着けるというところで、仕留めてあげる……」

 

 ショートヘアの無口な女が、冷徹に言う。

 

「その時のあなたの表情はどんなものだろうな? ぞくぞくするよ」

 

 そして、男装の麗人といった感じの女が、まるで狩りを楽しむかのように言う。

 

 その笑みと言葉に、ココは不快感と怒りを感じ、ダーツを構える。

 

「逃げないわ。ここであなたたちを倒す。私とナオ兄の絆を侮辱する奴らになんか、負けたりするもんですか!」

 

 その怒りを受けても、三人の女たちの余裕は消えることはない。

 

「ふふふ、素敵だわぁ……」

「そんなかわいい子ほど、狩りがいがあるというもの……」

「さぁ、せいぜいあがいて見せてくれよ」

 

 そして、ココと三人の女たちは同時に踏み出し、戦いを開始した!

 

* * * * *

 

「えぇい!!」

「うがはっ! そんな……」

 

 ココのダーツが、ショートヘアの眉間を貫いた。男装の麗人は既に、額にダーツを直撃されて倒れている。

 短くも長い戦いの果て、ココは二人の女たちを倒していた。しかし、ココも無傷ではない。その身のこなしで、なんとか致命傷は避けられているものの、それでも全身におびただしい傷を負って満身創痍。荒くつく息が、その疲弊を物語っていた。

 

「はぁ……はぁ……あとは……あなただけだよ……」

「そんな、まさか、私たちがここまで追い詰められるなんて……」

 

 そう茫然とココを見つめる妖艶な女。そのうち、その表情が、妖艶ながらも下卑た余裕の笑みから、醜悪な怒りの顔に変わっていく。

 

「いいわ、認めてやるわよ。あんたのその強さ……だから……」

 

 そう言って、妖艶な女が投げナイフを投げる。ココはそれをジャンプしてかわし……。

 

「たああああーーーー!!」

「死ねやああああああ!!」

 

 上空からとびかかるココにナイフを投げる! その狙いはまさに的確に、ココの心臓を狙っていた! もはや、ココが心臓を貫かれるのは避けえない運命かと思えた。

 

 しかし、そこで奇跡が起きた! 病み上がりだったせいか、突然ココを立ち眩みが襲ったのだ。そのせいでココの身体の態勢が崩れる。だがそのおかげで、ナイフは心臓をそれて、右肩に突き刺さったのだった。

 

 ココは、右肩にナイフを受けたまま、戦いの中で奪い取っていた男装の麗人のナイフを構え……飛び掛かりざまに、妖艶の美女の心臓にナイフを突き刺した!

 

「ば、バカな……」

 

 驚愕の表情を浮かべたまま、女が倒れこむ。 その死体を一瞥すらせずに、ココは右肩を抑えて、通路の奥……制御室の報に向き直った。

 

「ナオ兄……」

 

 そしてココはそのほうに向けて弱々しく歩き出した。そのあとに血の跡を残して。

 

* * * * *

 

「なっ!?」

 

 ルブラの奴の顔が驚愕にゆがむ。奴のそんな顔を見れるなんてこんな痛快なことはないな。

 

 オレは、飛んできた奴の鎖鎌に手を叩きつけると、その反動で身体を浮き上がらせると、そのまま飛び上がって空中で一回転! 奴に向かって舞い降り、ルブラに斬撃を食らわせてやった!

 

 その表情が驚愕だけのものから、怒りが混じったものに変わる。その表情には、あの下卑たものは一切なかった。

 

「い、今のは……」

「水影心で身に着けていた、カレンの超転背斬脚さ。お前に食らわせるにはもったいないがな」

「ふ、ふざけるんじゃねええええ!!」

 

 激昂したルブラが、オレに鎖鎌を振り下ろす! オレはそれを見切って……。

 

「せやっ!」

「ぐはっ!」

 

 オレはその鎖鎌の刃を真剣白刃取りで受けると、奴が動揺した隙をついて鎖鎌を奪い、奴にまた一撃を浴びせた。

 ザルカの首長盗刃術の応用だ。

 

 さらにオレはダガーを取り出し……。

 

「お前自身の技を受けてみやがれ!」

「ぎゃあ~!!」

 

 奴のオールレンジ鎖鎌をぱくって、ダガーを四方八方から奴に浴びせていく。そしてそれを握りなおすと、左足で地を蹴り……!

 

「これはサウザーの技だ! お前にはもったいないぜ!!」

「うぐへぁ!!」

 

 ダガーでサウザーの極星十字拳を放つ! その一撃で、ルブラが構えていた鎖鎌の刃が砕け散った!

 オレはすさまじい怒りと殺気をもって、戦意をすっかり失った奴をにらみつけて、ダガーを構える。

 

「さぁ、これでとどめだぜ……。地獄に行く覚悟はできたか?」

「ひ、ひぃ……た、助けてくれぇ~……!」

 

 もちろん、こんな外道のそんな願いを聞き入れるオレではない!

 

「地獄で、お前が陥れた連中に言うんだなあああああ!!」

 

 そう言ってダガーを振り下ろす! 刃のワイヤーにつながれたダガーは縦横無尽にルブラを切り刻む! そう、これはソウジンと名乗ってた爺さんが使っていた風雷十極拳、その応用だ! ダガーだけでなく、そのワイヤーもルブラを切り刻んでいった!

 

「た、たず……げぼ……」

 

 そして断末魔を残して、ルブラの奴……いや、ルブラだった肉塊は、こま切れ肉になり果てて、その場に飛び散っていったのであった。

 

* * * * *

 

「発射まであと三分、あと三分……」

 

 ルブラとの激闘を制したオレの耳に、電子音声によるメッセージが届く。急がなきゃな……。

 オレは、ほとんど動かない右足をひきずりながら、なんとかコンソールまでたどり着く。あと二分。

 

 コンソールを探る。どこかに緊急停止のスイッチがあるはず。どこだ……?

 

 必死になってコンソールを探す。そして見つけた。タッチパネルに映る、『緊急自爆』と表記されたボタン。残り一分。

 おそらく、核ミサイルを自爆させる機能なんだろう。これを押した場合、オレはどうなるか正直わからない。最悪、いや確実に核の炎に焼かれることになるだろう。だが、背に腹は代えられない。オレは覚悟を押して、そのボタンに拳を叩きつけた。残り30秒。そして。

 

「緊急自爆モードが発動しました。あと五分で、施設を閉鎖します。スタッフの方はただちに施設から退去してください。繰り返します……」

 

 その電子音声を聞き、安堵したオレは、コンソールに背を預ける形で座り込んだ。もう右足は動かない。ここから脱出するのは無理だろう。

 ここでくたばるのは怖いが、それ以上に心が安らいでいた。ルブラの奴を倒し、この世界に光をもたらすことができたからだろうか。悪い気分ではないな。

 

 そういえば、外にいるカレンたちは大丈夫だろうか……? できれば、自爆する前に逃げてほしいところだけど……巻き込んでしまったら申し訳ないな……。

 そう思ってると……。

 

「ナオ兄……」

「由紀……!」

 

 ココ……いや、由紀が右肩を抑えながら、こちらにふらふらと近寄ってきた。そして糸が切れたかのように、オレに倒れこむ。

 全身には細かい傷や大きな傷が刻まれ、抑えていた右肩はべったりと血で染まっていた。

 

「由紀、なんでここに……」

「言ったでしょ? 生きて帰れるかわからないから、ナオ兄と一緒に行きたいって……。それに、もうナオ兄と生き別れるのも死に別れるのも嫌なの……! 死ぬなら一緒に……!」

 

 涙ながらにそう訴えてくる由紀に、オレは彼女の頭をなでてやる。そしてなでてやりながら言ってやる。

 

「わかったよ……。それじゃ、最期の瞬間まで一緒にいよう。次は、もう少しましなところに転生できるといいな」

「うん……」

 

 オレたちが、そう静かに言葉を交わす中、制御室と外とを仕切る隔壁がついに降りた。見ると、発射サイロの隔壁も次々に降りていく。

 いよいよ、か……。でも、こいつと一緒にいるからか、先ほどまでと違い、恐怖は全然感じない。

 

 そして……。

 

* * * * *

 

 その日、その時、北の方角にまばゆい光が放たれた。

 それは、二人の名もなき若者たちが、その命を賭して世界を一人の凶刃から救った証であった……。

 




感想、ファンアート、そして『テテテUC』を書いてくださる方、募集中です! テテテUCを書いてみたい方は、ひいちゃまでメッセをくださいませ(平伏

それでは、次回予告をどうぞ!

*次回予告*<チャーチャーチャチャー

ルブラの暴虐から世界を救い、光の中に消えていった二人の勇者!
彼らは本当に、核の光の中に消えてしまったのか!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

最終話『さらば転生者! さらば北斗転生!!』

※次の更新は、10/13 13:00の予定です。お楽しみに!

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