北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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199X年世界は核の炎に包まれた!

海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。

だが、転生者は死滅していなかった!

* * * * *

牙一族により壊滅させられた村で、奴らへの怒りを燃え滾らせるナノルとケンは、ついに牙大王のもとへたどり着いた!

苦戦の末、差し向けられた刺客を倒すものの、ココを人質にされ、絶体絶命に陥ってしまう。

万事休すかと思われたその時! 死の谷に南斗水鳥拳の声が響き渡った!!



(牙一族編)第陸話『けだものども! 死ぬ前に祈りを済ませろ!!』

「ヒュー……」

 

 どこかで聞いたような呼吸の音が、谷一帯に響き渡る。

 その突然の音に、牙一族たちはうろたえたようにあたりを見回していた。それは、牙大王も例外ではない。

 

 そして。

 

「シャオッ!!」

 

 掛け声とともに、ココ……妹の由紀を捕らえていた牙一族が輪切りにされ、ただの肉塊と化した! 来たか!

 

 果たして、その牙一族の後ろに立っていたのは……。

 

「レイ!」

「待たせたな、みんな。今駆け付けたぞ」

 

 そう言ってレイは、ココに自分の着ていた上着をかけてくれた。

 

 そしてさらに。

 

「シュウッ! シャオッ!」

「あじゃぱー!!」

「うびゃあ!!」

 

 レイはその鮮やかな南斗水鳥拳で、周囲の牙一族をかたっぱしから切断していく。

 そして、レイとココの周囲の牙一族は一人もいなくなった。

 

「ど、どういうことだこれは!?」

 

 驚いた様子の大王に言ってやる。

 

「見ての通りだ」

 

 とケン。

 

「お前たちがココを人質に出すことを考えて、レイには別動隊として、彼女の救出を頼んでいたんだよ。お前たちはまんまとオレたちの術中にはまった……いや、お前たちはオレたちに気を取られて、こちらの切り札を見逃してたんだよ」

 

 オレもそう言ってやった。そしてとどめに、ケンが牙大王を指さして一言。

 

「お前たちは最初からジョーカーを引いていた」

「さぁ、今までの借り、まとめて返させてもらうぜ!」

 

 ケンとオレの宣告を聞き、牙大王の顔が怒りで赤くなっていく。

 

「お、おのれーーーー!! だが、これで終わったと思うなよ!」

 

 そして牙大王は、崖の上に飛び上がると、足元の岩を踏みつぶした!

 

* * * * *

 

 牙大王が足元の岩を踏みつぶすと、突然あたりを大きな揺れが襲った!

 

 その出来事に、他の牙一族はもちろん、ココも動揺してあたりを見回している。

 

 そして、次の瞬間! 突然地面が砕けた! オレたちや他の牙一族たちが、溶岩にあふれる底へと落ちていく。

 

「由紀!」

 

 オレは落ちていく岩を蹴りながら、ココの元へと駆け付けようとする。一方のココも、その身軽さを武器に、岩から岩へと飛び移っていく。そして。

 

「ナオ兄!」

 

 ココがオレのもとへと飛んできた。オレはそれをしっかりと受け止める。

 

「由紀、無事でよかった……」

「うん、ありがとう……ナオ兄や、レイたちのおかげだよ」

 

 そしてふと見ると……。

 

「お前……転生しても胸小さいな」

「な、ナオ兄のえっち! そして、デリカシーなさすぎ!」

 

 そして由紀にはたかれた。まぁ、これも、由紀が生きていればこそだ。

 

 見ると、ケンは岩を蹴りながら、地上の牙大王の元へ向かっていく。一方、レイは同じく岩を蹴りながら華麗な動きで、生贄にされかかっていた人々が捕らわれている、檻のほうへと向かっていった。

 

 そしてなんとか無事に着地。でも、安心するのはまだ早いようだ。

 

 オレたち、ケン、レイと分断されたうえに、オレたちの周囲には牙一族が展開していたからだ。レイの周りも数人の牙一族が囲んでいる。これは、彼かケンが駆け付けてくるまで、持ちこたえなきゃならないってことか。

 

 オレは覚悟を決めて、ダガーナイフを握った。ココも、オレが渡したダーツを構えた。

 

* * * * *

 

 一方のレイは、生贄の人たちが捕らわれた檻とともに、ナノルたちが落ちた地点から離れたところに着地していた。中の人たちは、落下の衝撃でけが人も出たようだが、死人は出てはいないようだ。

 

 そのレイと檻の周りを、数人もの牙一族たちが取り囲んでいた。彼らは今にも飛び掛かって来そうだが、レイの放つ殺気の前にうかつに動けない状態だった。

 だがそれも長くは続かない。一人の牙一族が飛び掛かったのを合図に、全員が飛び掛かっていった!

 

「シャウ!!」

 

 掛け声とともに、南斗水鳥拳の手刀がきらめき、たちまち数人の牙一族が肉塊へとなり果てた。

 だがそれでも奴らは退くことを知らなかった。次から次へとレイに襲い掛かっていく。

 

 四方から襲い掛かる牙一族たち。だがレイはそれを高く跳躍して交わすと……。

 

「ヒュ~……」

 

 水鳥のように華麗に舞い降りてくる。そして、牙一族たちがそれに見とれている隙に……。

 

「シャウッ!!」

 

 手刀一閃! またもや数人の牙一族たちが真っ二つにされた。

 

 それからもレイが大勢の牙一族たちに対し、有利に戦っている中、牙一族の一人が、人々の入った檻に迫りつつあった。

 

「ぐへへ、こいつらを人質にすれば、あいつも……」

 

 だが、それはかなわなかった。突然背後から、ヨーヨーの一撃が放たれたのだ。

 それによって不意を突かれたところに、娥媚刺が脳天に突き立てられた。

 

 その断末魔に気が付いたレイが、その声のしたほうを見ると……。

 

「マミヤ!」

「お待たせ。バットたちを村に送ってから、急いで戻ってきたわ」

 

 そして二人とも微笑みあい、アイコンタクトをかわす。

 

「そうか。俺はナノルたちを援護に向かう。マミヤはこの人々を、村まで護衛してやってくれ」

「わかったわ! 気を付けて……って、あなたには無用な言葉だったわね」

「ふ……頼んだぞ」

 

 そう言って、レイは手刀で鉄格子を切断すると、そのままナノルたちのほうに向かっていった。

 そして出てきた人たちにマミヤが声をかける。

 

「もう大丈夫よ! 気を付けて、私についてきて!」

 

* * * * *

 

 そのころ、オレとココは、襲い掛かってくる牙一族たちを倒しながら、レイの元へ向かっていた。

 

 だが、そのオレたちに危機が訪れた! 一本道の橋のようになっているところで、四人の牙一族に囲まれたのだ。こいつらをどうにかしないと、後続の奴らに追いつかれてやばいことになってしまう!

 オレは再び、ココを抱きかかえた。

 

「え、ナオ兄?」

「飛ぶぞ。しっかり捕まってろよ」

 

 そして高く飛び上がる。そして空中で一回転して、反対側の島に着地。追い詰められた形になっているが、挟み撃ちになるよりはずっといい。

 

「いいか、オレのそばを離れるなよ? あと、無理はするな」

「うん」

 

 そして構える。それと同時に、二人の牙一族が襲い掛かってきた!

 

 一人の眉間にダガーナイフを突き刺し、仕留める。もう一人が爪が振り下ろしてきた。それを、ダガーナイフで受け止める。

 ココは囲まれないように、その身軽さでうまく移動ながら、ダーツで応戦していく。

 そのダーツが、一人の目に突き刺さった。犠牲者はふらふらしながら暴れ、しまいには足を滑らせて溶岩の中へと落ちてしまった。

 

 しかし、やはり不利なのは否めない。

 

「きゃあ!」

「ココ!」

 

 牙一族の剣が閃き、ココに振り下ろされた! ココはなんとか身をかわしたが、かわしきれずに、胸に傷を作ってしまう。ばっと血が飛び散った。

 

「このぉ!!」

 

 目の前の牙一族を蹴り倒し、ココを襲っている牙一族に向かっていく。ダガーの二刀流でそいつを切り裂き、そして溶岩の中に蹴り倒してやった。

 

「大丈夫か、ココ?」

「うん。かすり傷……」

 

 だが、この四人にてこずっている間に、増援が残ってる一人と合流してしまった。くっ、万事休すか……。

 

 その時!

 

「シャオッ!!」

 

 ついにレイが駆け付けてきてくれた! その技で数人の牙一族が倒れた。

 

「待たせたな」

「あぁ、助かったぜ」

「ありがとうございます!」

 

 さぁ、ここから逆襲だぜ!

 オレたちは、カタをつけるべく、牙一族どもに向けて駆けだした。

 

* * * * *

 

 オレたちがピンチを切り抜けて、地上に上がってくると、そこではケンと牙大王の戦いがクライマックスに向かっていた。

 

「ぐふふふ~。鋼の鎧と化したこの身体、決して砕くことはできぬぞ」

「そうか」

 

 牙大王の自信満々の言葉に、そう返すと、ケンは近寄って……。

 

「ほあたぁ!!」

 

 その顔面……秘孔・大胸筋に一撃を食らわせた!

 そして再び、鉄骨を振り下ろす! 秘孔・大胸筋により、鋼の鎧だった身体はぶよぶよの脂肪の塊と化し、あっさりとその鉄骨の攻撃を許してしまった。

 

「ぐおおおお!!」

「あたたたた!!」

 

 そして、紙切れレベルの防御力になってしまった牙大王に、鉄骨の連撃を見舞う。それに耐えかねた牙大王は周囲の牙一族たちに命じた。

 

「おい、お前たちも戦え!」

「え、い、いやだ~! 親父、俺たちは親子だろ!? 一族だろ!?」

「うるさい、わしが生きていれば、お前たちの代わりなどいくらでも作れる!」

 

 そう言って、俺たちの目の前に放り出されるが、本能で勝てるわけがないと思ったのだろう。ケンシロウの眼光の前に、方向転換して逃げ出した。そして。

 

「お、おい!!」

 

 それがきっかけになり、他の一族たちも逃げ出していった!

 

「お、俺が先に逃げるんだ!」

「うるせぇ、俺が先だ! この野郎!!」

 

 しまいには、先に立ち去りたい一心で兄弟同士で同士討ちを始める始末。まぁ、仮初の絆なんてこんなものだろう。ギバラの爪の垢でも飲んでこい、と言いたい。

 そしてそこにレイが飛び込み、逃げ出そうとした牙一族たちを片端から肉片へと変えていった。

 

 そして牙大王も……。

 

「岩山両斬波!!」

「わ~た~べ~!!」

 

 自分が投げつけようとしていた爆弾に腕を吹き飛ばされ、とどめにケンの岩山両斬波を喰らって、溶岩の中に落ちていったのだった。

 

 ついに恐るべき牙一族は滅亡して果てたのだ。

 

* * * * *

 

 その日の夜、村では牙一族を討伐した祝いの宴が催されていた。

 

 オレたちもその宴の中にいる。負傷したココの胸元に、包帯がまかれているのは言うまでもない。医療物資は少ないだろうに、それを使わせてくれたこの村の人たちには感謝の言葉しかない。

 

 そのココが、やってきたマミヤさんを見て驚く。リンとバットも同じく。

 

「うわぁ……マミヤさん、きれい……」

「ふふ、今日ぐらいは女に戻りたいと思ってね」

 

 そう言ってほほ笑むマミヤさんには、今までとは違った美しさがあった。これが本来のマミヤさんと言ったところなんだろう。

 その彼女を見やるオレに、レイが話しかけてきた。

 

「世話になったな、ナノル。お前はこれからどうするんだ?」

「また旅に戻るさ。ココとも合流できたし、仕事も終わって報酬ももらえるだろうしな。お前こそどうするんだ?」

 

 そう聞くと、レイはマミヤさんのほうを一瞬見て、それから口を開いた。

 

「しばらくこの村に居を構えようと思っている。正直、アイリをさらった奴に復讐したくないと言えば嘘になるが、この村が気に入ったんでな。それに、彼女が旅を終えた時、戻ってやる場所を守ってやらなくちゃならない」

「そうか、それがいいかもな」

「あぁ。ナノル……アイリ、いやフラニーのことをよろしく頼む」

「あぁ」

 

 そう楽しく話し合っているところに、衝撃が走った!

 村に一人の男が駆けこんできて、こう訴えたのだ!

 

「た、助けてくれ……! 七つの……胸に七つの傷を持つ男に率いられた一団が、わしらの村を……!」

 

 その言葉に、その場にいる全員、特にケンシロウの表情がこわばった。

 

* * * * *

 

 そのころ、ある村にて。

 

 その村の最後の男が、ヘルメットの男の一撃を受けて倒れこんだ。

 その男は、胸元を開き、その胸の傷を見せつけて、こう言い放った!!

 

「ふふふ……俺の名を言ってみろ!!」

 

 




感想、お待ちしています!

* 次回予告 *<テーレッテー!!

ケンやレイたちと別れて再び旅に出たナノル一行。
彼らを待っていたのは、再び戦いだった!

暴虐を行う、ケンシロウと名乗る男の手下たちに、怒りのダガーを浴びせたナノルたちの前に現れた謎の女拳士! レイと同じく南斗聖拳を振るう彼女は一体何者なのか!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第七話『謎の女拳士カレン! お前たちの首は私が獲る!!』

「ケンシロウ様にあだなす者は全て肉塊にしてやる!!」

※次回の更新は、11/24 19:00の予定です。お楽しみに!

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