北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

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199X年世界は核の炎に包まれた!

海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。

だが、転生者は死滅していなかった!

* * * * *

ナラの町を恐怖で支配するジャギの一味!
彼らを成敗したナノルたちの前に、あの女拳士カレンが再び立ちはだかった!

その技の前にナノルは絶体絶命に陥る! しかし、ココの勇気を振り絞って放った一撃が、カレンを秘孔による洗脳が解き放つという奇跡を呼ぶ!

ジャギから解放されたカレンは、ナノルを恩人と呼び、彼の強敵(とも)として、共に歩むことにするのだった!

ナノルたちの、ジャギを倒すための旅はまだ続く……!


(ジャギ編)第九話『罪深き者ども、その名はジャギ一党!!』

 先代の北斗神拳伝承者リュウケンには実子がなかった。

 そこで彼は、北斗神拳を継がせるために、四人の子供たちを集めた。長男ラオウ、次男トキ、三男ジャギ、そして四男ケンシロウ。

 

 しかしジャギには他の三人に比べ才能がなかった。それでも彼はないなりに必死に努力し、なんとか継承者選定に残るまでにこぎつけた。

 

 だが現実は非情。次期継承者に選ばれたのはケンシロウだった。

 

 自分が弟より劣っていると認めたくないジャギは、ケンシロウに詰め寄った。『伝承者を辞退しろ』と。

 

 それを断られたジャギはケンシロウに暴力をふるうも、彼に反撃を受ける。秘孔まで突かれるも、まだわずかながら情が残っていたため、とどめは刺されずに終わった。

 

 だが、秘孔の効果で醜い姿と永遠に続く痛みを与えられ……。

 

* * * * *

 

「……ケンシロウへの憎しみを抱いた彼は、秘孔による頭の膨張を止めるためヘルメットをかぶり、復讐のためにケンの名を騙って悪事を行っていたってわけだ」

 

 荒野の一角。そこにオレたちはキャンプを張っていた。

 

 そしてそこでオレは、ココとフラニー、そして新たに旅の仲間に加わったカレンに、ケンとジャギの間の因縁について語って聞かせていた。

 

 それを聞いたカレンが腕を組んで唸っていった。

 

「まぁ、それは逆恨みというものね。元は自分の力不足によるものでしょうに」

 

 そのカレンの意見にココもうなずく。

 

「そうだよね。ましてや兄弟なのに。私なんか、ナノル兄にお菓子取られても怒ったりしないよ?」

「本当に、ココ様とナノル様は仲がいいのですね。うらやましいです」

「いや、お菓子の取り合いとはレベルが違うんじゃないか……?」

 

 そこでカレンがオレに視線を向けた。な、なんだ?

 

「それにしてもお前、北斗のことに非常に詳しいわね。もしかして、北斗の関係者じゃないのかい?」

 

 ぎくぅっ!!

 

「そそそ、そんなことはないぞ。噂で聞いただけだって。なぁ、ココ?」

「うんうん、そうだよっ。あっちこっちで話を聞いただけだよっ」

「ふぅん……まぁいいけど」

 

 そこで二人してため息。ふぅ、ごまかせてよかった。前世がどうのこうのと言ってもわかってもらえないだろうしな。ジャギとかの手下に間違えられたら大変だ。

 

「でも、ケンも気持ちはわかるけど、秘孔を突くのはやりすぎだったんじゃないかな?」

 

 そこで、ココがそう言ってきた。まぁ、言いたいことはわかる。

 

「そうだな。記憶を奪うだけにしとけば、ジャギも憎しみを抱くことはなかったかもしれないよな。そこだけはケンに反省してほしいところではあったが。ジャギを擁護するわけじゃないけどさ」

 

* * * * *

 

 一方そのころ、ジャギが拠点としているオオサカの町にて。

 

「その耳の形が弟に似ている。死ねよやぁ!!」

「そ、そんなぁ! うぎゃあ!」

 

 老人の額に、ライフルで銃弾を撃ち込んで殺すジャギ。彼のケンシロウへの憎しみは、そこまで増大していたのだった。

 

 だが人を殺しても、ジャギの心は晴れることはなかった。ジャギは一度目を閉じ、そこから目を開き、吐き捨てる。

 

「ちっ……なんだよ、なんで俺の瞼の裏のアイツは微笑んでくれねぇんだ。くそっ……!」

 

 気持ちが晴れないまま、アジトに戻ろうとするジャギ。そこに、部下の怒声が聞こえた。

 

「オラ! 俺のズボンに泥をつけやがって! どう償ってくれるんだガキ!」

「ご、ごめんなさい……」

 

 どうやら、街の子供が部下にぶつかって汚してしまったらしい。その子供に、また別の子供が寄り添って言ってきた。

 

「お、お兄ちゃんをゆ、許してあげて。お願いします……」

「そうか。ならお前の右脚よこせや! そうしたら許してやらぁ!」

 

 どうやら、後から来てかばった子供は、ぶつかった子供の妹らしい。その彼女は、モヒカンの要求にしり込みしたが、決意を固めた表情をして進み出た。

 

「わ、わかりました……。許してくれるんなら……」

「あ、アキ!」

「へへへ、良く言ったぜぇ!」

 

 そう言って斧を構えた部下を、ジャギが怒鳴りつける。

 

「おい、そんなガキにいつまでもかまってるんじゃねぇ。アジトに帰るぞ!」

「し、しかしジャ……ケンシロウ様……」

 

 部下が文句を言う中、ジャギは自分に何か違和感を感じていた。

 

(あのガキの目、あれはケンシロウに似ていた。だがなぜ、俺はあのガキを殺す気にならねぇんだ……?)

 

 恐怖に耐えながら震えるアキとジャギの部下が対峙する中、老人がやってきて間に入った。

 

「許してやって、許してやってくだされ。この子はいい子なのです。脚が不自由なマコを支えて一緒に過ごしてきました。本当に兄想いの良くできた妹なのです!」

 

 それを聞いたアキの顔が「このジジイ、余計なことを言いやがって」みたいな顔に歪んだのは気のせいだろうか?

 

 何はともあれ、それを聞き、ジャギの心が悪に傾いてしまった!

 

 ジャギはアキのところまでやってくると、老人を力の限り殴り倒した。

 

「ぶがぇ!!」

 

 そしてアキの髪をつかんで、吊り上げ、そしてその彼女に言い放った。

 

「いいかぁ~? 兄より優れた妹なんて存在しねぇ!!」

 

 そして地面に叩きつける。

 

「あ、アキ!」

 

 そしてジャギは、アキに駆け寄るマコを無視してライフルを取り出し、兄妹に向けようとする。だがそれでもなぜか二人を撃つ気にはなれなかった。

 

「おい、このガキを砂漠にでも捨ててこい。そうすりゃ一日も経たずにくたばるだろう」

 

 そのジャギの命令に、部下たちは目を丸くする。

 

「え、ジ……ケンシロウ様、それでいいんですかい? どうせなら五体バラバラにしたり、痛めつけたほうが……」

「いいんだよ。とっとと捨ててこい! ぶっ飛ばすぞ!」

「へ、へい!」

 

 そして部下たちは、アキの襟首をつかみ、その場を去っていった。妹の名を呼ぶマコの声が響く中、ジャギは戸惑い、苛ついていた。

 

(ちっ、なぜだ。なぜ俺はあのガキを殺さねぇんだ……。あのガキは、目がケンシロウに似た、『良くできた妹』だってのによ……くそ、わかんねぇ……)

 

 そして目を閉じる。だが、瞼の裏に映った少女は、相変わらず笑ってはくれなかった。

 

 ジャギのジャケットの胸に刺さった一輪の枯れかけた花が、哀しそうに揺れていた。

 

* * * * *

 

 相変わらずオレたちは、砂漠でバギーを走らせていた。

 

 そこでココが声を出した。

 

「あっ、ちょっと止めて、ナノル兄。脳内掲示板に気になる書き込みがあったよ」

「脳内掲示板に?」

 

 脳内掲示板。それは、北斗の拳の世界に転生した者たちだけが使える交流用掲示板だ。転生者であれば、目を閉じるだけで閲覧することができる。

 

 オレは、掲示板を見るため、車を止めた。いぶかし気に思ったカレンが聞いてくる。

 

「おや、どうしたんだいナノル? 用でも足すのかい?」

「いや、ちょっと野暮用がな」

「野暮用?」

 

 フラニーがそう聞く中、オレは目を閉じた。

 

* * * * *

 

403:名もなき転生者

誰か……誰か俺と同じ世界がいる人がいたら助けてくれ……。

 

404:名もなき転生者

どうした?

 

405:名もなき転生者

何があったんだ?

 

406:>>403

限界が近いから短くまとめて言うぞ。

俺もみんなと同じくこの世界に転生したんだが、転生したらアキ(ただし女)だったんだ。

そこまで言えば……わかるだろ?

 

407:名もなき転生者

あぁ……。

 

408:名もなき転生者

ジジイが余計な事言って、ジャギの逆鱗に触れちまって、砂漠に捨てられたのか……。

 

409:>>403

もう暑くてのどが渇いて、限界が近いんだよ……。お願いだ、助けてくれ……。

なんでもする……。

 

410:名もなき転生者

そう言われてもなぁ……。

 

411:名もなき転生者

同じ世界に転生したかどうかもわからないからなぁ……。

見つけたら助けてやるが……あまり期待するなよ。

 

412:名もなき転生者

右に同じく。あと、木陰とか、暑さと日差しをしのげる場所を見つけてそこで休んでるんだ。

とにかく、助けが来るまで持ちこたえてろよ。

 

413:>>403

た、頼む……。

 

* * * * *

 

「これは大変だな……」

「うん。助けられるなら助けたいよね……」

 

 そう心配そうに言うココにうなずくと、オレは再びバギーを走り出させた。

 

「一体どうしたんだい?」

「この砂漠に、子供が捨てられたみたいなの。助けなきゃ」

「それは本当に心配ですね……私も助けてあげたいです。でも、どうやって見つければ……」

 

 そうなんだよなぁ……。こんな広大の砂漠の中、子供一人を見つけるのは簡単なことじゃない。ん、待てよ?

 確か、アキがジャギたちに因縁をつけられたのは、ジャギの拠点となった町のはずだよな。

 

「なぁ、カレン。ジャギが拠点としている町ってどこかわかるか?」

「ん? あぁ、知ってるよ。奴はオオサカの町を拠点としているはずだ」

「よし、それじゃオオサカに向かって車を走らせるか。手がかりもなく探すよりはマシだろう。フラニー、地図からオオサカの町がどこの方向か調べてくれ」

「わかりました……えぇと、あちらです」

 

 そしてオレは、フラニーが教えてくれた方向に向けて車を走らせた。

 

* * * * *

 

 どうやら、それがよかったらしい。しばらく車を走らせていると、砂漠の岩の横に倒れ伏してる子供らしい影を見つけた。

 オレはそこで目を閉じ、掲示板にアクセスした。

 

* * * * *

 

510:名もなき転生者

おい、403、まだ生きてるか?

 

511:>>403

>>510

……? 助けか……?

 

512:>>510

>>403

あぁ。そちらからバギーは見えるか?

 

513:>>403

>>510

あぁ……ちらっと……それらしいのが……見えるよ……。

 

514:>>510

間違いないみたいだな。今助けに行く。待ってろよ!

 

515:名もなき転生者

助けか! よかったな!

 

* * * * *

 

 そしてオレは、急いでバギーをアキのそばまで走らせて停車し、車から飛び降りた。ココたちも後に続く。

 ココがアキに駆け寄り、抱き上げる。

 

「うん。どうやら熱射病みたい。栄養不足も少しはあるかも」

 

 ココ……由紀は転生前は看護学生だったからな。間違いはないだろう。

 

「そしたらまずは、涼しいところで休ませないとな。水分もとらせないと。フラニー、大きい水筒から水を汲んで、それに塩を入れて持ってきてくれ」

「はい!」

「まったく、ジャギめ。非道なことをしやがって……。落とし前をつけてやらないとな……!」

 

 ココの膝枕の上のアキは、とても苦しそうな表情を浮かべている。

 




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* 次回予告 *<テレッテー!!

ジャギのもとへ向かうナノルたちを襲う一団! 彼らの決意の理由を聞いたナノルは、彼らに協力することにする。
しかし、彼らの目的地である町に向かった彼らを待っていたのは、ジャギの手下の卑劣なるワナであった!

ナノルのダガーは、その卑劣なる罠を切り裂くことができるのか!?

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第拾話『悪党ども! 堅く哀しき決意が奏でるバラードを聞け!』

「それはよかったね。それでどうしたんだい?」

※次の更新は、12/15 19:00の予定です。お楽しみに!

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