NieR : Breath of the Automata 作:たまごの文字書き
人類に栄光あれ。
一週間ほどかけて、私達の馬車旅は終わりを迎えた。日が沈む頃にたどり着いたハテノ村は静かながらも人の活力で満ちていて、和やかな時間がゆったりと過ぎる場所であった。
「...心地いい場所だな。」
「はい。空気もとても美味しいです。」
さらさらと流れる風を肌に感じながら、私はパスカルの村を思い出す。出で立ちは違うが、どことなく似たような雰囲気を感じる。そこにいるだけで心が穏やかになるあの場所は...............あの場所と子供たちは、もういない。
「...二号さん?」
感傷に浸っていると、パーヤが心配そうな瞳で私を見つめる。
「いや、なんでもない。少し昔を思い出していただけだ...」
パスカル。元気だろうか?あの後...廃工場に奴を置いていった後から、私はパスカルを見ていない。
何も、できなかった。全てに絶望し、自らの死を望む機械生命体の姿を見て...私は、立ち去ることしかできなかった。
『貴方を恨みます...A2さん。』
その言葉が、私とパスカルの最後。
...今となってはもう、何も。
優しい風に身体を包まれながら、私は何も言わずに宿へ向かった。
翌日。
目を覚ますと、昨晩私の腕の中にいたパーヤは朝食の準備をしていた。
「おはようございます。二号さん。」
「ああ。おはよう。」
目覚めのキスを交わし、私も起き上がる。ミファーはまだ私の中で寝ている。もう少ししたら起きるだろう。
「今日はプルア様に会いに行きます。」
「やっと直して貰えるって訳だ。」
「ええ。あそこにある建物が見えますか?」
パーヤに言われて窓の外を見ると、巨大な望遠鏡のようなものが屋根についたヘンテコな見た目の建造物があった。
「...なんだあれ。」
「ハテノ古代研究所です。プルア様はそこの所長を務めていらっしゃいます。」
「...センスが伺えるな。」
アレの所長にメンテナンスを頼むのか。変なことされないといいが。
まあ相手は婆さんだし、何とかなるだろうとこの時まではそうタカをくくっていた。
そう、この時までは──
「チェッキー!」
──チェッキー!──
「ちぇ、ちえっきー...」
起きて早々ノリノリのミファーに催促され、私も仕方なくチェッキーする。何が悲しくてこんなことしなければならないのだろうか。
パーヤは私とミファーがチェッキーする様子を微笑ましいとでも言わんばかりの笑みで見ている。畜生め。
...こっちの世界に来てまでまた子守りをさせられるとは思わなかった。おそらくプルアってやつの孫がひ孫辺りだろう。私を保育用アンドロイドにしようとしてくるあたり、やはりこの村はパスカル村に似ている。
「おネーサン!声がちっちゃい!」
メガネの少女は私をびしっと指さし、再チェッキーを言い渡す。
「ああもうわかったよ!チェッキー!チェッキー!これでいいんだろ!」
「ふむ!その意気やよーし。」
...くっそムカつく。
生意気な少女は今度はパーヤの方を指さす。
「で?あそこのおネーサンとこのおネーサンはどういう関係なの?」
「うぇ?!あ、い、いやその、えっとその...」
なぜ分かった。子どもの勘ってのは恐ろしい。パーヤは顔を熟れた果実のように赤くし動揺する。
「あー、その、なんだ。俗に言う──」
──お付き合いしてるんだよ。──
私の言葉を遮ってミファーが爆弾を投下する。
「おい!」
──え?言っちゃダメなやつだった?──
「そういう訳でもないがなんというか...というかなんでお前が知ってるんだ?!」
──なんでってそれは...私は貴方の繰り手だから...いろいろ伝わって来ちゃうというか...──
なんてこった。神獣と繰り手の契約を甘く見ていた。
パーヤは穴があったら入りたいと言わんばかりに顔を覆っている。内気な性格にこれはさすがに応える。
深々とため息をついて、私は腹を括る。
「ああそうだよ。あいつと私は恋仲だ。プルアさんには内緒な。」
子どもに知られるくらいなら多少は──
「ん?なんか勘違いしてない?」
勘違い?
「私がプルアだよ?」
「は?」
「え?」
──え?──
終わった。穴があったら入りたい。
インパとプルアでパインアップルになるって言うの本当に最近知りました。
知れば知るほどBotWは面白いですね。
誤字脱字、解釈不足等ありましたらコメントにてお伝え頂けると幸いです。