NieR : Breath of the Automata 作:たまごの文字書き
3000UA達成しました感謝しかないです。
なんかちょっとだけ長くなってしまいました。
人類に栄光あれ。
「どう?」
「...ああ。悪くない。違和感も一切ないし...修理完了ってことで良さそうだな。」
背中を触り、軽く身体を動かして、私は傷の修復具合を確認する。
「よかったー!なんとか終わらせられたわネ。」
両腕を上げてチェキチェキ喜ぶプルアの目尻には、深いクマが刻まれている。それもそのはずだ。彼女はぼぼ不眠不休で私のデータ解析と修理に勤しんでいた。こうして元気に見える彼女だが、足元が覚束ないためシモンに支えられている。
「まさか本当に三日で終わらせるとはな...」
「ワタシにかかればこれくらい当然よ。シーカー族の技術を甘く見ないで欲しいワ。」
ふんすと胸を張り、彼女は私の前にふらふらと仁王立ちしてみせる。
「ああ。本当に感謝している。お前も早いとこ休息した方が...」
「いんや!まだ機能説明も何にもしてないでショ!これからが本番なんだから!」
メガネをくいと持ち上げて、彼女は不敵な笑みを浮かべる。
機能説明?修理だけじゃなかったのか?
「おいお前まさか私の身体弄って──」
「だいじょーぶ、ダイジョーブ!部品の交換する際にちょーっとだけテコ入れしておいただけだから!とりあえず自分の武器を持ってみて!」
「嫌な予感しかしないが...」
爆発でもするんじゃないかと思いながら、私は恐る恐る白の約定を手に取る。
『武器の従属化が完了しました。』
目の前に青白い文字でアナウンスが入る。
「...どういうことだ。」
「キミの戦闘ログを見させて貰った時に存在を知ってサ。前いた世界みたいに武器をしまってみ?」
言われた通りに背中にしまうと、白の約定は青白い光のリングで私の背面に固定される。
「これは...」
「壊れてたみたいだから直しておいたヨ。こっちの技術で修理してるから、ちょっと仕様違うカモだけど。」
「充分だ。感謝する。」
再び使えるようになった武器の収納リングを見て、私は感謝の意を述べる。
「それじゃ次は...」
「次?」
「一つなわけないでショ?どんどんいくよー!」
──────
半日かけてプルアの商品説明が終わった。細かい点を含めばかなりの量のアップデートを施されていたのだが、その中でも特に重要なものは三つ。
一つ目は初めに紹介のあった「武器従属化」。二つ目は「反重力下降」。そして三つ目が「誘導石起動」だ。
まあ簡単に説明すると一つ目は武器の持ち運びが以前と同じようになり、二つ目は落下の際に擬似的にポッドみたいなのに掴まって緩やかに下降することができるようになったってとこだ。それで三つ目が──
『アクセスを認証しました。』
「...本当に使えるんだな。」
青い瞳の形をした研究所の誘導石に手を当てると、装置が起動したことを表すログが表示される。
「まあこの機能に関しては元からあったんだけどネ。」
「...元から?」
「そ。なんでか知らないけどオフになってたから付けておいた。」
私の義体にこの世界のシステムが...?
「とにかく、これで各地にあるタワーからマップと位置情報を入手できるはずだヨ。転送システムについてはもう使えるんだっけ?」
「ああ。ハテノ塔では使えた。」
「うむ。それとこれらの機能は各地の神獣にも使えるから色々試してみてネ。」
「おいおい。この世界のどこにでもひとっ飛びってことか?」
「正確には『行ったことのある遺物』だネ。ココの研究所も転送先に使える。キミの場合何故か同伴者も同時に転送可能みたいだからカノジョちゃんを連れていく時はオテテしっかり握ってあげてネ。」
「...わかってる。」
私の恋愛関係にいちいち首を突っ込んで来るのは面倒だが、気にかけてくれていることは確かだ。実はこの三日間あまり会えなかったパーヤの相談に乗ってくれていたらしい。まあプルアの性格故行き過ぎた面もあった気がするが、それはそれでいいのだろう。
「いろいろ、ありがとうな。」
私は素直に感謝する。
「な、なんだよ急に...」
「私だって感謝くらいするさ。それで──」
感覚が途切れる。これは、夢の時の──
──────
~ゼルダの苛立ち~
遺物を調査する姫君。誘導石に石版を置いてみるも、遺物はまるでただの石のようになんの反応も示さない。
「やはり反応しない...」
立ち上がって、姫は祠を見上げる。
「この型の遺物は退魔の剣に選ばれた者の為の施設...それは間違いないけれど」
彼女は俯く。
「肝心の起動方法が分からない...」
祠は黙ったままである。
「どうすれば、この中に入る事が...」
思案に耽る姫君の耳に馬の鳴き声が響く。
振り向いてみると、青い英傑の服を着たハイラルの勇者...退魔の剣に選ばれし青年が馬を降りて、こちらに駆け寄って来るところである。
「今日は付き添わなくて良いと伝えたはずです。」
怒りを顕にしながら、姫君は青年に抗議する。
「いくら国王の命令であっても、当の私が護衛など必要ないと言っているのです。」
腰に手を当て、姫君は憤慨する。
「城に戻り、父にそう伝えてください。」
去り際にそう言い残して、姫君はその場を後にする。
あんなにも強く言い放ったのに、それでも青年は姫君の後に付き添ってくる。
「付いて来ないでください!」
彼女はそう、青年に怒鳴りつけるのだった。
これは在りし日の彼の記憶──
──────
「...っ!」
「...どした?」
プルアが心配そうにこちらの顔を覗き込む。
「あ、ああ。問題ない。例の『夢』だ。」
「ふむ...『夢』ネ...」
この現象については、プルアにも既に話してある。先日も義体のデータを分析している最中に『夢』が起こり、その時は姫君が青年の持つ「退魔の剣」とやらに嫉妬する様子が描かれていた。
「夢の内容は明らかに姫様とリンクのモノなんだけど...寝てる時ダケって感じじゃないから見るタイミングもバラバラだし、何よりその記憶をなんでキミが見ているのか...」
謎は深まるばかりである。
「ま、何か分かったら追って連絡するワ。」
それは助かる。助かるが...
「...ん?連絡?」
「あ、言い忘れてたケド、キミの内部データに通信についての機能があったから流用させて貰ったよン。なんかあったら何時でも呼んで。こっちもそうするからさ。」
そんなことまでしてたのか。
「...お前もしかして傷の修理だけなら初日には終わってたんじゃ...」
「ソ、ソンナワケナイジャンネー...」
チェキチェキしながら誤魔化そうとする。
...食えんやつめ。
「...まあいい。直してもらったのはこっちだ、文句は言わない。それで...報酬についてなんだが、何が欲しい?できる範囲で頼む。」
私のその提案に、プルアはきょとんとした目つきで首を傾げる。
「報酬?そんなの要らないよ。キミのデータが報酬みたいなモノだ。アタシも面白いモノがいっぱい見られて満足だシ。」
これは厚意なのか研究バカなのか...
「まあ強いて言うなら、遺物の部品やパーツが手に入ったらアタシの所に持ってきてくれると嬉しいかナ。」
こちらの気まずさを汲み取ったのだろう。プルアは代案として部品提供を要求した。
「それならお易い御用だ。ある程度集まったら持っていく。じゃあ、私はもうそろそろ出るぞ。」
プルアの要求を承諾し、私は研究所を後にする。
「うむ!また怪我したらココに来なよー!」
「ああ。そうならないことを望むよ。」
「あ、A2!」
戸を閉めようとした時、プルアが私を呼び止める。
「チェッキー☆」
瞳の前に寝かせたピースサインを置いて、彼女は別れの挨拶とした。
「ああ。チェッキー。」
私もそれに応え、少し恥ずかしいが同じようにチェッキーで返す。
扉を閉めて満足気に前を向くと、私の恥じらいチェッキーをしっかりとその目に焼き付けたパーヤがニマニマしながらこちらを眺めていたのであった。
ハテノ村編一旦おしまいです。次はどこに行かせようか...
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