NieR : Breath of the Automata 作:たまごの文字書き
読んでくださる方が多くなることは私のモチベーションにめちゃくちゃ繋がっております。
引き続き本作をよろしくお願いします。
人類に栄光あれ。
「二号さん!待ってくださいってば!」
前にも見たような光景である。
「...なんだ。」
私の肩を掴んだパーヤの息は絶え絶えで、それを見た私は仕方なく私は足を止めた。
「なんで急いでいるのか分かりませんが、とにかくこれを!」
パーヤは背中の荷物をごそごそと漁ると、何やら赤色の液体の入った小瓶を取りだした。
「燃えず薬です。デスマウンテンの山腹から頂上にかけては人体が発火するレベルの温度になります、だからこれを使わないと...」
「私はアンドロイドだぞ?耐熱性くらい持ち合わせている。」
「あの、二号さんが燃えなくても二号さんの衣服は普通に燃えるので...」
一瞬の沈黙。
「...それはそうか。分かった、使うよ。」
私はパーヤから小瓶を受け取るとぽんと蓋を開け、一気に喉に流し込む。
薬は見かけ以上どろりとしていて、私の口内にその生臭い味を残す。私は舌の上に残った薬液をできる限り喉の奥へと押し込むと、後味を消すために何度も唾を飲み込んだ。
「変な味だが...効果は馬鹿にできなさそうだな。」
身体の奥側から滲み出る耐熱性に満足の表情を浮かべていると、パーヤは逆にドン引きといった顔つきで私の方を凝視していた。
「...?私の顔になんか付いているか?」
「いえ、そうじゃなくて...あの...それ、塗り薬です。」
塗り薬...?ヌリ、グスリ...?
「嘘だろう?」
「本当です。」
沈黙。
「あの二号さんって意外と──」
「うるさい。それ以上喋ったら殴る。」
沈黙。
「.....これ、新しい燃えず薬です。」
恥ずかしさに顔を真っ赤にしている私と笑いを堪えるので必死の彼女は、夜明け前の暗がりに互いに感謝するのであった。
──────
オルディンの塔で周辺情報を取得出来たので、ゴロンシティには迷うことなくたどり着くことができた。ルーダニアへの警戒態勢からオルディン橋が閉鎖されていることをすれ違ったゴロン族から耳にしたため、急遽ゴロンシティへと目的地を変更したのである。
ゴロン族は初めて見たが、夢でみたダルケルと似たような体格をしていた。彼らの主食はどうやら岩石らしく、その作用からか彼らの身体はこの山で生き抜けるだけの頑丈さと剛腕っぷりを手にしていた。
そういう訳で私とパーヤは今、英傑ダルケルの末裔であるユン坊とやらに話をつけていた。道中ミファーも目を覚ましたので、彼女も興味津々にゴロンシティを散策している。
「...状況は理解したゴロ。ボクたちゴロン族としてもルーダニアの動きは気になるし、何よりダルケル様の魂何かあったんだったら...」
「協力してくれるな?」
「もちろんだゴロ!オルディン橋はボクがかけ直すから、一緒に付いていくゴロ。」
彼の快い了承を得ることができたので、私達は追加の燃えず薬をいくつか購入して、デスマウンテンの中腹、オルディン橋へ向かった。
「ふっ、ふっ、ふっ...待ってぇ~!」
「...なあお前、それ本当に真面目に走ってるのか?」
彼のあまりの足の遅さに、私はため息を付いて彼に問う。
「もちろんだゴロ!そもそもゴロン族は力は強くても素早くは動けないゴロ...」
ユン坊は息を整えながら、私からの疑惑の目に反論する。
「そうか。それなら仕方ない。文句は言うなよ。」
「え、もしかしてボク、置いていかれ──」
私はユン坊の背後に回り込むと、彼の背中に手を当てひょいと持ち上げる。
「え?」
「足が遅いなら私が運ぶ。落石が起きたらそのデカい身体で守ってくれ。」
「そんなボクを傘みたいに...ちょ、待っ──うああああ!」
ぐだぐだ言うユン坊を無視して、私達はオルディン橋までの道のりを一気に駆け抜けた。
──────
「これで...橋は...渡れるゴロ...あとは...任せたゴロ...」
自ら砲弾となってオルディン橋を開通させたユン坊は、ふらふらしながら私達に後を託した。
「それと...ダルケル様を、頼むゴロ。」
ユン坊の表情が真面目なものになる。
「ああ。礼を言う。ゴロンの英傑のことは任せろ。」
そう言うとユン坊は満足気な表情を浮かべ、橋を渡る私達に大きく手を振った。
ゴロンシティで聞いた話だが、彼は勇者リンクと共にルーダニアの解放の手助けをする前までは内気で弱々しい性格だったそうだ。
だが今の彼は、ゴロン族の一人として、英傑の末裔として誇り高く生きている。まだ幼い点も残るが...後に逞しいゴロンの猛者となることは間違いないだろう。
私たちの姿が点となりやがて見えなくなるまで、彼はこちらに手を振り続けていた。
ルーダニアまでのデスマウンテン登山イベントでユン坊の鈍足っぷりにイライラした方は多いはず...
リンクなら担いで行けたのでは...?とも思いますね。
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