NieR : Breath of the Automata   作:たまごの文字書き

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ついに、10000UAを突破しました!正直ここまで続くと思っていなくて、皆様がこうして読んでくださるおかげでわたくしのモチベーションが爆上がり本当にありがとうございます。引き続き本作をご贔屓にしていただけると幸いです。それでは。
人類に栄光あれ。


人間は人形のために

「ここが...リトの村...」

雲一つない晴天。ぽっかりと空いた窪地にすらりとそびえ立つ巨大な岩々。その岩に吸い付くように取り付けられた木製の家々が、巨木の枝のように伸びている。この世界には、こんなにも美しい光景があるのかと、私──パーヤ──は心うたれていた。

そして、その頂上にあるのは──片翼を貫かれた神獣ヴァ・メドー。

「...二号さん。待っていてください。」

額に滲む汗を袖で拭って、私は橋の上を駆ける。

──────

あの人がいなくなってから半年。きっかけはリトの斥候がカカリコ村まで届けた密書である。

その頃の私は、糸の切れた人形のように無気力に生きていた。リハビリも終わり普段通りに動けるようにはなっていた。が、どこか肩が重く身体に力が入らない。何をするにも手につかず、無意味な時間を過ごす毎日。

ただ、鍛錬だけは欠かさなかった。むしろ、昔の比じゃない量をこなしていた。その時間だけは、なんだか自分を取り戻せている気がしていて。村の皆から心配されることもあったが、何もしていない時の方がむしろ疲れが溜まるくらいだった。失ってしまったにも関わらず、私の心はまだ、あの人を追いかけていたのかもしれない。

そんな中舞い込んできた、一通の手紙。

密書はリトの族長からだった。なんでも二号さんからの伝言らしい。

中身は、私に対する謝罪の文だった。すっきりと纏まった短いもので、言葉にするのが苦手な二号さんらしいものだった。

謝らなきゃいけないのは私の方なのに...そんなことを思いながら読み進めていく。

──もし、季節が変わっても私が帰って来なかったら...この手紙が、私の最後の言葉だと思ってくれ。──

文はそこで終わりだった。...手が震えた。嫌な汗が頬をつたう。...もう、半年が過ぎている。

のんびりしている暇なんてなかった。直ぐに身支度を整え、村を飛び出す。おばあさまは何も言わなかった。全部、分かっているのだろう。

二号さんが、危ない。私のせいだ。私が不甲斐ないから...二号さん一人に全部押し付けて、それで──

唇を強く噛む。頭を振る。違う。そんな自責の感情は、今は必要ない。

私が助けるんだ。あの人を、必ず。

無謀かもしれない。自分では手も足も出ない強力な敵が待ち構えているかもしれない。でも、そんなことはどうでもいい。

できるかどうかじゃない。やるんだ。その為の鍛錬だろう。

 

想いは、人を強くするんだ。

──────

橋を渡って入り口に辿り着くと、白い羽に身を包んだつり目の男が柵に寄りかかっているのが見えた。

男の人だ。そして情報によれば、あの人が二号さんと一緒にメドーを撃ち落とした──

「て、テバ、さん。」

何度も深呼吸をして、勇気を振り絞って音にする。やはり男性との会話は苦手だ。どうしても声が震えてしまう。

「アンタがA2の。」

こちらの声に気づいたテバが、ふわりと飛んで私の前に着地する。

「は、はい。えっと、その...ぱ、パーヤと申します!」

「おいおい人見知りか?そんな畏まらなくていい。って...随分酷い顔だな。休める場所があるからついてきな。」

大きな翼で手招きをされ、私は言われた通りにする。

な、何とか話せた...男性と二人きりで会話したのは、村の人を除けばリンク様以来かもしれない。でも今、酷い顔って言われたような...そういえば、ここまで無我夢中で走ってきたから、ろくな休憩を取っていなかった。これも鍛錬の成果だろうか。そうなら嬉しいな。二号さんも、きっと喜んでくれるよね。えへへ。...おかしいな...私、こんなに阿呆っぽかったっけ。...そんなことな──

 

ばたり。

 

膝から崩れ落ちる。

「お、おい!大丈夫か?!」

テバさんの声が聞こえる。力が入らない。ごめんなさい。私は大丈夫ですから...

「ったく、どいつもこいつも...うちは宿屋じゃないんだぞ...」

テバさんの純白の羽毛に抱き上げられる。あ、凄く気持ちいい...

この上ない安心感を最後に、私の意識はぷつりと途切れた。

──────

システム、オールグリーン。

再起動。

ゆっくりと、視界が広がる。

ここは...メドーの艦内か。

義体を動かしてみると、四肢に拘束具が取り付けられていた。

...一旦状況を整理しよう。

メドーを撃墜した後、伝言を一言二言頼んで私単身中に乗り込んだ。

中は不気味なまでに静かで、敵の気配も全く感じられない。

故に、メイン制御端末まで辿り着くのは容易なことだった。だが...

私は──ヘマをしたのだ。背後から一方的なハッキングを受けて、為す術なくシャットダウン。気を弛めていた訳ではないが...殺気を全く感じなかった。この世界において、ハッキングができる奴はかなり限られている。だが、ターミナルの仕業ではないことは明白だった。奴の攻撃なら今頃私はとっくに殺されている。それに、あれはどちらかと言うとアンドロイドによる攻撃に近かった。一体誰が──

「ようやくお目覚めかい、寝坊助さん。」

「死んでしまったんじゃないかって心配してたのよ?」

聞き覚えのある、二つの女性の声。

...そういう事か。今まで随分と勘違いをしていたようだ。

この世界にいるアンドロイドが「私だけ」なはずがない。

 

「...なんの真似だ、デボル、ポポル。」

 

久しぶりの再会は、決して感動的とは言えないものだった。




物語、動くわね。
最近は水星の魔女にハマってきております。
シーズン2重いですが何とか耐えてます。
ちなみにシャディク推しです。
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