NieR : Breath of the Automata 作:たまごの文字書き
大人になってめっちゃ背が高くなったミファー見てみたい...
「待って...くださいってば!」
「...なんだ。」
荒らげた息を整えながら、パーヤが切り出す。
「なんだって、まだ何も準備してないじゃないですか...」
「別に準備も何もいらないだろ...あ。」
そうか。人間の身体で長距離の移動はそれなりの用意が必要だ。
「じゃあ私ひとりで行くからお前は──」
「ダメ、です。」
ずいとパーヤが私に近づく。...近い近い。
「...おそらくおばあさまは二号さんの見張り用に私をつけたみたいです。素性の知れない貴女をいきなり野放しにする訳にも行かないということなのでしょう...。あと...そ、それに...二号さんとの二人きりの旅ですし──」
「わかったわかった。お前の準備が出来次第、出発な。」
「ん?私の準備ではないですよ?二号さんのです。」
「は?私は別にこのままでも──」
「ダメ、です。」
近いってば。
「なんで。」
「服装です。」
パーヤがぴしゃりと咎める。
「...別にいいだろ。アンドロイドなんだし。」
「よくありません。私の二号さんが他の人に変な目で見られてしまいます。」
...私はお前のものでもないが?
──────
「とっても似合ってます!二号さん素敵です...」
うっとりとした表情で、パーヤが私を舐めるように見つめてくる。
あの後私は「呉服屋」とかいう場所に連れていかれた。
パーヤに義体のあらゆる長さをくまなく計られた後(なんか息遣いが荒かったような気がするが)私の姿勢や歩き方、戦闘スタイルなどに合わせた服を何着か用意してもらった。ちなみに今まで着ていたものは、熱で溶着してしまった部分以外全部没収された。
当たり前だがアンドロイドなので、服選びなんてしたことがなかった。はじめは面倒くさかったのだが、自らの印象が服によってころころと変わることに存外興味がある自分がいた。
この世界じゃなければ、こんなこと知らなかっただろうな。
──────
そんなこんなで今に至る。
下半身はパーヤの服装をベースとしたものに落ち着いた。白茶色のストッキングは同じ生地のものだが今まで通り左足は短く仕立ててもらった。腰周りは動きやすい紺色のショートパンツ。履物は「足袋」ではなく白色と茶色ベースのハイヒールである。パーヤ曰く100年前「プルア」ってやつが履いてた型を私用にいじくったやつらしい。
上半身は密着性の高い深い紺色のインナーだけ。首元は開けてある。それとシーカー族?の奴らが着る朱色の衿の羽織ものは着ないことにした。上着は...いろいろ邪魔くさい。
「...なかなか悪くない。」
やりきった顔をしているパーヤがなんか腹立つが、とりあえず私の服装は定まった。
「次はもしものための武器選びなのですが…二号さんは既にお持ちでしたよね?」
「ああ。白の約定とあと...こいつも。」
「それは...」
それは初日の山頂で手にした「残心の小刀」だった。
「なるほど。ちょっと年期の入ったものなので手入れが必要ですね。ご自分でなさいますか?」
「ああ。こっちのデカいのには2Bのデータもあるしな。」
(また2B...二号さんにデータまで押し付けて支配しようと──)
「ん?なんかいったか?」
「い、いえ!なんでも。」
──────
服やら武器やらいじくっていたらすっかり日も暮れてしまったので、出発は明日の朝早くにすることにした。軽く義体を水で洗い、パーヤと共に飯を食い、客人用に用意された布団に入る。人類のいる世界にいるのだ。郷に入っては郷に従えとかいうやつだな。
人工瞼を閉じて、インパの話を思い出す。
...勇者リンク、姫君ゼルダ、厄災ガノン、「神獣」...
なぜだか分からないが、インパの言いかけていた「ミファー」という言葉は、私の中で妙に引っかかっていた。なんというか、使命感というか...
.......まあ、考え事は私の性には合わない。
あれこれ思考を巡らせながら、私はゆっくりとスリープモードに移行した。
──────
~仮初めの儀式~
大きな城が遠くに見える小さな広場に若い女が立ち、その前にはこれまた若い男が跪いている。
脇には見たことの無い姿の種族が4人。
女は男に手をかざしながら何やら文言を唱え、跪く男はそれを黙って聞いている。
男は眉ひとつ動かさないが、女の顔はどこか曇っているように思える。
「...やれやれ。前途多難みてえだな...」
褐色肌の大男が髪をワシワシと掻きながら呟く。
「何言ってんの。『お付の騎士任命の記念に、太古の伝説真似てみろ』ってはやし立てたの、あんただろ。」
鳥のような見た目をした男が反論する。
「...とはいえ、彼に対する態度としてはあの姫と気が合いそうだよ、僕。」
どうやら若い女は一国の姫のようだ。
「...しょうがないよ。御ひい様にとっちゃあいつの存在は...そう。コンプレックスの象徴みたいなもんだから。」
スラリとした身体に鍛え上げた筋肉が見え隠れする褐色の女性がそう諭す。
目を閉じて跪く青年の顔立ちは美しく...まるで彫像のようだった。
...姫君の視線は...やはり険しいままである。
これは、在りし日の彼の記憶...
──────
「...っ!!」
強制的に義体が再起動し、私はがばりと起き上がる。
自身の息が荒い。体表からは熱暴走を防ぐために多量の水が分泌されている。
夢?いや、違う。私はあんな世界、知らない。
「なんだったんだ...今のは...」
旅立ちは、明日である。
パーヤがどんどん変態になっていく...
コミュ障で内気な性格のはずですが、村の中や同性に対してはこれくらいで行こうかなと。(この方が話進めやすい...)
誤字脱字、解釈不足などがありましたらコメントにてお伝えいただけると幸いです。