NieR : Breath of the Automata   作:たまごの文字書き

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15000UAを超えました。本当にありがとうございます。そして前話から少し間が空いてしまいましたがなんとか私は元気です。今丁度忙しい時期なので少し間隔があくとは思いますが、悪しからず。それでは。
人類に栄光あれ。


人形達は備える

カカリコ村まで帰るのに一ヶ月半、ハテノ村までたどり着くのに更に半月の時間がかかった。ブラックボックスが露出するほどの損傷を負った私にワープ機能など当然使えるはずもなく、馬車でごとごと揺られ続けて何とかプルアの元へ。ぽっかり穴の空いた胸元を見せた時にはさすがの彼女もぎょっとしていたが、悪態つきながらも直ぐに修理に取り掛かってくれた。

 

「なんでこんなことになったか、今のキミなら分かるよネ。」

動かす手は休めず、彼女は私に問いかける。

「...ああ。もう、私は一人じゃないんだって、やっとわかったよ。」

「ほんっと。キミのことを気にかけている人は別にあのコだけじゃないんだからネ?分かったならこんな大ケガ...二度としないようにっ!」

「イッ?!...ッテェ!お前、絶対わざとだろ...」

「なんのコトかさっぱりだワ。あ、そうそう。今回の修理なんだケド、大体半年くらいはかかるから覚悟しておいてネ。」

「ああ分かった分かった──...て、は、半年?!?!」

「これでもかなり早い方なのヨ!...ったく、半年間キミの修理をやらされるアタシの身にもなってよネ。」

先は長い...どころではなさそうだ。

 

──────

 

〈違う違う...もっと風の中心に入るんだ!上昇気流の流れを上手く読んで、常に重心の位置を一定にしないと吹き飛ばされるよ?〉

「はあっ、はあっ...も、もう一度お願いします!」

 

風を操る練習。リーバルと魂が混ざり合ったことで、彼が使用する技「リーバルの猛り」をパーヤは習得できるようになった。リンクに渡したことでもう使えない力のはずだが、彼曰く、

〈リンクなんかに僕の力の全てを渡すわけがないだろう?確かにアイツが英傑を統べるに相応しい勇者だってのは認めているけれど、僕が劣っているだなんて考えた覚えは一度もないね。...ってことでなんか癪だからアイツの「リーバルトルネード」は回数制限付きさ。キミのとは違ってね。〉

だそうだ。優しいそぶりだったり他人を思いやるような言動は節々に見られるが、どうやら性格がねじ曲がっていることに変わりは無いらしい。

 

「うぐっ...!いったた...」

また失敗。そこまで高く飛び上がれないため骨を折ったりするほどのものでは無いが、受身なしで臀部からどしんと落ちるのは結構痛い。

──大丈夫?ちょっとだけ休憩しよっか。──

「み、ミファー様...いえ、まだやります!もう一度だけ...!」

──ダメだよパーヤ。私がここにいるのは貴方が頑張りすぎないよう、A2から見張りを言いつけられたって言うのもあるんだからね。──

「ぐぅ...分かりました。少し休憩します...」

〈ハッ。シーカー族のくせに軟弱者だねぇ。〉

──リーバルも煽らない!貴方は貴方で力の使い方の特訓を私とするんだからね!──

〈ゲェ...僕ちょっと用事を思い出したからまた後で──〉

──ダーメ!──

腕を引かれてずりずりと去っていくリーバルを見送りながら、パーヤはミファーが来ていることに小さな喜びを感じていた。不思議なことに、どうしてかリーバルに会えると直感で察知したらしく、ハテノ村に着く頃にはいつの間にか隣にいた。彼ら霊体には、媒介となっている私や二号さんの元へ瞬時に移動できる便利な能力がある。連絡さえ取れればすぐに駆けつけてくれるし、神獣に何か異変が起きた場合、とんぼがえりして対処することも可能なのだ。

 

ふぅと一息ついて林檎の木の下で竹筒の水をとくとくと喉に流し込み、彼女は考える。

 

...リーバル様の風を操る力...確かに特殊な能力だが、そこにはその仕組みを説明できる確立された「理論」があった。勿論リト族固有の力の使い方であり、私一人では再現不可能な能力ではあるのだが...ミファー様の癒しの力やダルケル様の護りの力のような、血筋や生まれつきの「才能」的な能力ではない。研究と実践、そしてその天才的な発想力によって完成した唯一無二の能力...実践してみて、私は確かにそう感じた。決して先天的では無い、推し量ることすら烏滸がましいほどの努力の結晶。...もしかして、ああ見えてリーバル様は──

ふと、パーヤはリーバルの方に顔を向けた。

ミファーに振り回され、ぎゃーぎゃーと喚き散らしている英傑様を見て、彼女は苦笑いを浮かべる。

「まっ、そんなはずないか。」

 

パーヤは少し、休憩をした。

 

──────

 

ハテノ古代研究所二階。リーバルとミファーは念でモノを動かす練習中。

──で、どうなの?──

木製のスプーンをふわふわと浮かべながら、ミファーがリーバルに尋ねる。

〈どうって...何がだい?〉

同じ形のスプーンをぎこちなく、ゆっくりと浮かべながら、リーバルは余裕のない表情で返事をする。

──何ってパーヤのことだよ!すっごくいい子でしょ!実はあの子ね、インパのお孫さんなんだって!──

〈インパの孫?!かァー...時間の流れってほんとに残酷だよねぇ。〉

彼の驚愕によって途切れた集中力は、辛うじて浮いていたそのスプーンを再び重力の元へ返した。

──そうだね。...百年の間に、いろいろ変わったもんね...──

彼女の言う「変わったもの」が何を、誰を指しているのかは、分からない。

リーバルは再び眼前のスプーンに集中し、さりげなく話題を変える。

〈ところで、ダルケルとウルボザはどうしているんだい?あっちにも厄災ガノンの呪いが取り憑いていたことは間違いないだろうけど...〉

──あ、ダルケルなら大丈夫!怨念はリンクがやっつけたし、機械の人は色々あったけどA2が追い払ってくれたよ!今はデスマウンテンの頂上からルーダニアと一緒にハイラルを見守ってくれてる。前に会った時に外に出ないのかって聞いてみたんだけど...“俺はこのデスマウンテンの頂上から見るハイラルの大地が好きだからよ、外に出ようとはこれっぽっちも思わねぇな。だからお前さん達の活躍はココから見てることにするぜ!”だってさ。──

暇を持て余すようにスプーンをくるくる回しながら、ミファーはダルケルの真似をしてみせる。

それが存外ツボにハマったのか、リーバルはぷるぷると震えながら再びスプーンを床に落とした。

──それでウルボザは...A2から聞いた話だけど、まだ解放されていないみたい。あのリンクが苦戦してるって考えると──

〈「ヤツら」が一枚噛んでいる可能性は高いね。〉

──...うん。ターミナルって人だけじゃなくて、デボルさんとポポルさんもいるんだ...話を聞く限り、多分私とパーヤはその二人に助けて貰ったことがあるよ。どういうことなんだろう...──

〈ヤツらにとって、一番大事なのは「人類の製作」みたいだった。どうやらそのために必要な情報をA2から抜き出したかったらしい。でもそれならあんなに面倒くさいことせずに初めからA2を壊しておけば──〉

 

ばん。

 

リーバルの言葉の最後を聞くことなく、部屋の扉がプルアによって無造作に開け放たれた。

そしてプルアはいつもに増して、深刻な表情をしていた。

──プルア...さん?──

〈...何があったんだい?〉

二人のスプーンがかたりと床に転がる。

 

静寂。

 

少し間をあけて、プルアはニヤリと笑うとずれたメガネをくいと掛け直して、言った。

 

 

「海、行くヨ。」

 

 

ウオトリー編の、始まりである。




海!水着!浪漫!
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