NieR : Breath of the Automata 作:たまごの文字書き
お気に入り件数が110件を突破しました。多くの方々に本作をご愛読頂き、本当に嬉しく思っております。引き続きよろしくお願いします。それでは。
人類に栄光あれ。
ウオトリー村に来てから、それなりの日にちが経っていた。
〈...チッ。これだけ処理してやっと3本ねぇ...〉
リーバルが悪態をつくのも無理はない。海姫しずかはその特異性によって手に入る確率がかなり低く、このウオトリー村の近くの水オクタを全て狩り尽くしてようやくこの本数になった所であった。
──まあ村の人からは大量発生している水オクタをキレイに掃除してくれて助かるって話は受けているから、人助けも兼ねてるってことで...──
「...それでもこのままでは、移動時間も含めると一ヶ月あっても集まるか怪しいところです。どうしたものか...」
「皆すまないな。自分のための素材なのに自分で探せなくて...」
海辺でやることなく、ヤシの実ジュース作りに励んでいたA2が顔を上げる。
A2が狩りに参加出来ない理由は単純で、重すぎるのだ。アンドロイドの重量では水の中を泳ぐことはできず、水面に浮かぶ水オクタの元までたどり着くことさえ叶わない。持ち前の馬鹿力で何とかできるかもしれないが、生憎義体は故障中。つまり、今回のA2は何もできないお荷物さんなのである。
〈おっと、珍しく消極的じゃないかA2。いつもの気難しい顔が崩れちゃっているよ?勿体ない。〉
──リーバルも煽らない!まったく、皆で協力して探すのが大切だっていうのに...──
疲れと暑さからか、皆の雰囲気は明らかに暗いものになってきていた。
このままではまずい。何か、何か別の方法があれば──
「ウン、水オクタ狩り中止!」
険悪な雰囲気になりかけたところを打開したのはプルアの一声だった。
「このまま闇雲に探しても見つからないシ、皆のやる気も削がれてきたところだし...ってことで!」
プルアは腰に着けた袋をごそごそと漁ると小さな飴玉のよなものを取り出した。
〈なんだい?それ。〉
「食いモンじゃ無さそうだな。」
「それってもしかして...」
──なになに?それも爆発するの?──
各々言いたい放題言い終えた後、プルアはふっと笑って指を鳴らす。
ぼんと言う音と共に、飴玉のような球体は一気にヒンヤリメロン程の大きさまで膨れ上がった。
「ビーチバレー、だヨ!」
──────
〈まったく、なんで僕がキミなんかと同じチームに...〉
「仕方ないだろう。くじ引きに文句は言えない。」
〈そんなことは分かってるよ。というかそれより、キミその身体で動けるのかい?また壊れて集め物増えたら溜まったもんじゃないんだけど。〉
「ハイラルに来るまではボロボロの義体で戦ってたんだ。故障してるくらいが平常運転ってもんさ。」
〈あっそ。まあせいぜい足は引っ張らないでくれよ?〉
「あんまり大きく出ない方がいいぞ。引っ張る側になって辛くなるのはお前自身だからな。」
〈キミってほんとにムカつくね。〉
──ネット(審判のプルアが設置)を隔てて向かい側──
「なんか既に揉めてるけどあっち側大丈夫ですかね...」
──あはは...なんかごめんね、A2と一緒にしてあげられなくて。──
「いえいえとんでもないです!むしろあの二人とは別チームが良かったので...」
──あら、どうして?──
「...リーバル様に頼らずに風の力を操れるようになりたいんです。オクタ狩りで実践を経て少し掴めてきた気がするので、試してみたくて。それに──」
──それに?──
きらきらと明るい表情をしていたパーヤの横顔に影がさす。
「──それに、二号さんが弱者側に立つ数少ない機会ですから...ふふ...弱っている姿もまた素敵です...完膚なきまでにボコボコにしてわからせてあげますからね...ふふふ...」
──なんか見てはいけない特殊な性癖を垣間見ちゃった気がするんだけど...本当に大丈夫なのかな...──
「ホラ!さっさと始めるわヨー!」
プルアの声掛けと共に今、夏の浜辺の仁義なき戦いの火蓋が切り落とされる。
──────
「あらマ...これはなんというか...」
それはもう、一方的な試合展開であった。
「18-0...あと3点取れば勝ちか。」
〈本気でやってるのかい?せめて1点くらいは取ってくれないと相手にならないんだよねぇ。〉
予想とは真逆の展開で、A2リーバル組がパーヤミファー組を蹂躙していた。
本調子では無いとしても、A2の人外の力と正確無慈悲なサーブ性能は本物であった。相手の視線と筋肉の動きをギリギリまで観察し、最も動きにくいコースに剛速球を打ち込む。リーバルのサーブは空高くから日光による死角を利用して不可視の一撃を叩き込んで来る為、どちらのサーブも苦しい。辛うじてレシーブできたとしても、今度は圧倒的防御力を前に得点をもぎ取らなければならない。A2もリーバルもその戦闘スタイルから動体視力の高さが異常である為、全て「視てから」対応することができるのだ。加えてプレーメイクには一切の抜かりがなく、何故か連携も完璧。一切の死角がない。
「はぁ、はぁ...なんなんですか...不仲だったのは演技ですか...?」
──二人とも負けず嫌いだからね...それにリーバルも霊体の使い方がかなり上手くなってる...数日前まで小道具も持ち上げられなかったのに...──
そう、ミファーにとってリーバルのこの身こなしは想定外のものであった。勿論人目につかない所で膨大な量の努力をし続けているからこのスピードで上達している訳だが、ミファーにはそんなこと知る由もない。凛とした表情で二人を見下ろすリーバルとA2には、実力差を感じすぎてもはや美しくさえ見えてくる。
メンタルで屈したら最早万策も能わないと奮い立ち、パーヤはミファーと緊急会議をする。
「彼らは自身の特性をしっかりと活かしてゲームメイクをしています。私のは現状二号さんの下位互換ですし、ボール相手では風の扱いも繊細で上手く行きません...それに...」
──それに?──
パーヤは神妙な顔つきで、口を開いた。
「それに...二号さんの水着姿がその...美しすぎて...直視できないのです...というか破廉恥ではありませんか?!泳がないのにビキニなんて着て!...は、もしかして私を魅了して戦意を削ぐ作戦──」
──そ、そんなことはないんじゃないかな!まあA2の水着が綺麗なのは本当にそうなんだけどそれはそれとして...──
「す、すいません。とにかく、私の力では現状を打開することは叶わなそうです...ミファー様の力を引き出せれば或いは...」
──うーん...ごめんね、普通の陸上球技になっちゃうと、私の利点はあまり活かせないかも。せめて水の中で動ければ...──
ゾーラ族は水と共に生きる種族。水さえあれば他種族を凌駕する運動性能を誇るが、それ以外での能力は一般的なハイリア人より少し高いくらいである。
「水...でも、ミファー様がこのコート内を動けるくらいの量なんて──」
聞こえてくるさざ波を背に、私はひとつの策を閃いた。
──あるじゃないか。目の前に。
「プルア様!」
閃きのままに、私は審判に意見する。
「あら、降参かい?」
「いえ!『たいむあうと』をお願いします!」
上手く行けば、戦況を打開できるかもしれない。
アニメNieR、2期が決定しましたね!内容もゲーム本編とかなり変化していて目が離せないです。今後の情報に期待ですね。