NieR : Breath of the Automata   作:たまごの文字書き

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旅立ちます。ここから先は地名の確認が結構大変になる...人類に栄光あれ。


人形と人間の旅立ち

「それじゃ婆さん。行ってくる。」

「行ってまいります。おばあさま。」

「うむ。このハイラルの大地、その目にしかと焼き付けよ。」

翌朝になって私たちは日の出と共に出発した。

日が暮れる、夜が明けるという概念は未だに慣れないものである。冷たい空気を纏った薄暗い世界は、美しさと同時にどこか不信感を抱かせるものだった。

よろず屋の脇を通り、山と山の間を通り抜ける。

「...広いな。」

そこには広大な草原が広がっていた。夜明けの光が静かに緑を照らし、風がさらさらと優しい音色を奏でる。そしてその奥に見えるのは──

「はい。そしてあれが今の、ハイラル城です。」

禍々しいの一言に尽きる。黒と赤紫の怨念が城を囲い込み、この美しい息吹の大地に異形を成す。そこに一本の赤い光線が東の方角から差し込み、その光は本丸を捉えて動かない。そこにいる「なにか」に備えて、じっと期を伺っている。紅の道筋の先にある巨大なカラクリこそ、今回の旅の目的。

「...ヴァ・ルッタ。」

「...やはり、かなり遠いですね。」

「私一人なら二日もかからん。」

「...目的はルッタですが、ハイラルを知るという意味もあることを忘れないでくださいね?」

「...分かってる。」

「分かればよろしいのです。それと──」

「それと?」

パーヤが不敵な笑みを浮かべる。

「二号さん、ちょっと私のこと、舐めすぎですよ?」

「...ふん。」

舐めすぎ、か。アンドロイドと人類どちらが性能で優れているかなんて──

「二号さん。」

パーヤの雰囲気がキッと変わる。

「ああ。分かっている。」

馬の足音。かなりの速さで近づいてくる。

私とパーヤは得物を抜き、構える。

赤い見た目の魔物が数匹と、青いのが一匹。

「あれが『ボコブリン』ってやつか。」

「はい。馬に乗っているタイプは少し珍しいですけどね。」

「さっそくお手並み拝見だな、人間サマ。」

「...参ります!」

──────

「これで最後...っと。」

「...」

「二号さーん。こっちの素材も回収お願いしまーす。」

戦闘はあっという間だった。

ボコブリンの動きは機械生命体と同じように緩慢で、馬から引きずり下ろしてしまえば恐るるに足らなかった。だが、問題はそこではない。

「...なあパーヤ。」

ぼんと煙をあげて素材だけになった魔物たちを回収しながら、私は彼女に訊ねる。

「なんでしょう?」

「私の知ってる限りデータにあった人類ってそんなに早く動けたりしないんだが...」

素材を袋に入れながら、パーヤは私に答える。

「ハイラルに住む人全員ができるわけではないですよ。我々シーカー族は幼少期から特殊な修行を積んでいるからこそ、軽い戦闘程度ならこのようにこなすことができるのです。」

...なるほど。道理でシーカー族は強いわけだ。

彼女の動きは風のように素早く、そして流れるように洗練されていた。

私がこいつらを串刺しにしている頃には、パーヤも戦闘を終わらせて角やら何やらを拾っていた。

「にしても、馬が手に入ったのはラッキーですね。」

「ああ。だが、私は重すぎて乗れないな。」

前の世界で鹿やイノシシには乗ったことはあるが、アイツらはこんなに小さくなかった。この世界の生き物は比較的小さめな傾向があるように感じる。

「あ、そうでした...二号さんは金属でできてますもんね...」

「まあ私は疲れたりしないから別に馬に乗る必要もない。他の事をさせよう。」

結局、馬には荷物持ちをさせることにした。野生馬を少し懐かせた程度なので少々危なっかしいが、定期的にエサをやれば問題ないだろう。

そうこうしながら草原を下り、軽食を挟んで街道に合流する。

しばらく道なりに歩いていると、見慣れない形の建物が見えてきた。

「少し早いのですが...あそこの馬宿に今日は宿泊しましょう。明日の日の出前に出発すれば、私たちの移動速度ならルッタへはその日中に到着できるはずです。」

湿原の馬宿という名の宿舎は、少なくない人で賑わっていた。宿屋に着いてパーヤが馬を登録すると、私たちは各々休憩に入った。パーヤは武器の手入れと、何やら手記のようなものを書いている。私はテリーとかいうハイリア人に素材を売って少しの小遣いを稼ぐと──なかなか陽気な奴だった。カブトムシって生物を集めてるらしい。今度捕まえたら渡してやろう──人類同士が会話したり、交渉したり、飯を作る様子をまじまじと見つめていた。

「...人間の声って、こんなにも暖かいんだな。」

月面の人類会議の音声とは違う、確かに思いのこもった声。人間達からしたらノイズでしかないその声の一つ一つを、私は記憶領域にしっかりと刻み込んだ。

「二号さん、夕食にしましょう。」

その中から安心感のある、聞きなれた声が私に届く。

「ああ、わかった。」

私は立ち上がって、パーヤが用意した軽食を取りに行った。

 

日の光はいつの間にか赤みを帯びながら地平へと近づき、世界は再び夜へと移りゆくのだった。

 




旅の途中の描写はイベント以外は少なくしようかと。今回はやや細かく書きましたがもう少し大雑把になるかもしれません。
ゲーム内では割と直ぐにたどり着けますが(WBやらBLSSやらもあるし)、現実時間に戻したらこれくらいの距離でも半日かかるんじゃないかと考えています。
誤字脱字、解釈不足等がありましたら、コメントにてお伝えいただけると幸いです。
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