NieR : Breath of the Automata 作:たまごの文字書き
「ふぅ。何とか夜明けまでに渡りきれたな。」
「ええ。ラネール湿原の横断...思ったより魔物が多くて手間取りましたが...」
少し息を荒らげながらパーヤが応える。
夜更けに馬宿を出立した私たちだったが、ラネールの塔の麓に着く頃には太陽が地平から少しずつ顔を覗かせ始めていた。
月の出る時刻になると睡眠をとる魔物は多いらしいが、スタル系の魔物やキースなどがそれを埋め合わせるように次々と湧いてくる。中でも「ヒノックス」との遭遇には相当時間を取られた。おしゃべり箱がいなくなった今、遠距離攻撃の手段を持たない私ではヤツの弱点である目に有効打を与えることができず、純粋な殴り合いを取らざるを得なかった。どうやらハイラルに「銃」は存在しないらしく、適当な弓が欲しくなったところである。
遠くに見えるルッタを覗きながら、私たちは軽食を取りつつ道なりに進んだ。
「なあ、あのルッタとかいう神獣、全然動かないし変な様子もないんじゃないか?」
「一見するとそのようですが...」
その時、ぐらりと大地が揺れた。
「...っ!敵か?」
「いえ、地震のようです。それもかなり大きい...」
「アレの仕業ってことか?」
「考えられますね...とにかく先を急ぎましょう。」
それから先も何度か地震は起きた。パーヤの話ではこの辺りで地震が頻発することはあまりないらしい。
「やはりルッタが原因の様子ですね...」
「ああ。でもなんで───」
「───おーい!」
川辺の方から声がする。振り向くと、見たことの無い姿の───いや、夢で見たような───青年が川から手を振っていた。
「君たちはハイリア人だな!ちょっと話を聞いてくれないか!」
青年はぱしゃりと川から飛び出すと、曲芸師のように着地した。
身長は私よりも高く、人間とサメを足して二で割ったような外見をしている。
「ハッハッハ!よく来てくれた!俺はゾーラ族の王子、シドだゾ!よろしく頼む!」
この見た目のやつらはゾーラ族というのか。しかも王子ときた。随分と騒がしいやつだが、敵ではないらしい。
「...A2だ。それで、ゾーラの王子様が私たちに何の用だ?」
「うむ。冷たい反応だゾ!それはそれとして...実は少し困っていることがあるんだゾ...」
「地震か?」
「そうだゾ!元々地震の少ない地域だった分、ゾーラの里にもかなりの被害が出ているんだゾ...しかも、地震の起き始めとほぼ同時にルッタが咆哮を鳴らすようになったゾ。まるで怒っているような...悲しんでいるような...」
「よかったな。私たちも丁度その調査に来ていたところだ。原因がわかり次第解決してみるさ。」
「それはありがたい...だが、気をつけて欲しいことがあるんだゾ。」
「なんだ?」
「ルッタの周りを見てい欲しいゾ。よく見ると...雲がかかっていないか?」
確かにルッタの頭上に雲が立ち込めている。遠くからでは気がつかなかったが、近くは結構荒れているようだ。
「ああ。だがそれが何か問題でもあるのか?」
「問題大アリだゾ!俺たちゾーラ族は水と共に生きる種族。つまり雷にはとっても弱いんだゾ...」
「なるほどな。それでまだ耐性がありそうな私たちに声をかけたと。」
「そういうことだゾ...無理を言っていることは分かっている。だが、どうか里のために...ルッタの怒りを鎮めて欲しいゾ...」
「どの道調査はするんだ。何とかしてみせるさ。」
「ありがたいゾ!やはりハイリア人は優しいな!せめて手助けに...これをあげるゾ!」
シドは黄色い液体の入った小瓶を私に二つ渡す。私は人ですらないんだがな...
「なんだこれ。」
「エレキ薬だゾ!ビリビリを軽減する効果があるらしい!俺たちゾーラ族には効果が薄かったが、ハイリア人のキミたちにならきっと効くはずだゾ!」
...完全に私を人間と勘違いしているようだ。面倒だからそのまま話を合わせておこう。
「なるほどな。助かった。ありがとう、シド。」
「例を言うのはこちらだゾA2。ルッタを...姉さんを、頼む。」
シドはそう言うと、再び川へと潜り去っていった。
...姉さんってどういうことだ?まあそれより───
「...そろそろ出てきたらどうだ?パーヤ。」
私の背後からコソコソとパーヤが出てくる。
「申し訳ございません二号さん...私、どうしても殿方と話せなくて...」
確かによく考えたら馬宿を借りたのは私だった。引っ込み思案だとは思っていたがここまでとは...世話の焼けるやつだ。
「...人それぞれ苦手なことはある。無理はするな。」
まあ実力は本物だ。向き不向きくらいあるだろう。
「...!は、はい!」
ルッタの元にたどり着くまで、やけにパーヤの距離が近かった。
次辺りでミファーさん出てくるかな?個人的にはミファーは少女より幼女のイメージです。
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