NieR : Breath of the Automata   作:たまごの文字書き

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1000UAありがとうこざいます。モチベになります。
人類に栄光あれ。


人形と水の神獣

互いの顔に疲労の影が見える。それもそのはずだ。この大雨の中、休みなしで崖を登り続ければ誰だってそうなる。

濡れて滑りやすくなった壁面に何とかしがみつき、ようやくルッタの影が見えてくる。だが。

「...ここから先が、本番ってか。...クソ。」

「ぜぇ、ぜぇ...これは...」

先が見えない程の豪雨が目の前に降り注いでいる。滝のように打ちつける巨大な水流の壁は、まるで水のヴェールのようにルッタを取り囲んで離さない。更に聞こえるがらがらという雷の音は、生物が入れるような場所ではないことを示すのには充分だった。

「...どうやら、この異常な気象が地震の原因みたいだな。」

「ええ。どういう原理か分かりませんが、ルッタが無理やり水脈から水を引き上げることで誘発されたものの可能性が高いです。」

「...なるほど。にしてもなんでこんなことに───」

─────────

~英傑 ミファー~

 

ルッタの上に影が二つ。ハイリア人の青年とゾーラ族の少女である。

「.....こうしてると、出会った頃の事を思い出すね。」

ゾーラの少女は青年の傷に手を当て、癒しの力を注ぐ。

「貴方はまだ子供で.....無茶して直ぐに怪我をして.....」

少女が青年に顔を向ける。

「その度、私はこうして貴方を治してた。」

その表情は穏やかで、そしてどこか寂しそうだった。

「ハイリア人の貴方は、気が付いたら私よりも大人になっちゃってたけど.....」

それでも少女は、その美しい顔をを青年に向ける。

「私.....貴方の傷を治してあげられるの、嬉しかった.....」

少女の癒しの力で、青年の腕の傷が跡形もなく消滅する。

「復活するかもっていう厄災ガノンは、どんな相手なのか、どういう戦いになるのか...詳しいことはまだ分からない.....」

少しばかりの不安を宿しながらも、少女の瞳に意志が灯る。

「でも、どんなに過酷な戦いになったとしても.....皆が....貴方が傷ついてしまった時は.....私が治す.....」

少女の言葉に力がこもる。

「何度でも、どんな怪我でも.....私は、貴方を護りたいから。」

そう決意を告げてから、言いよどんだように少女は両手を膝の上にのせる。

「厄災ガノンとの戦いが終わったら.....そうしたら、子供の頃みたいに.....また.....」

優しい瞳。

「ここへ遊びに来てくれる?」

儚い願い。

 

これは、在りし日の彼の記憶...

─────────

「...さん。二号さん!」

「...っ!」

はぁ、はぁ。また、夢?

「大丈夫ですか?」

パーヤが不安げにこちらを見つめてくる。

「あ、ああ...問題ない。」

前の夢にも出ていた青年と少女。しかし今回の夢は前のと全く違う。「夢」と言うより「通信」によって送られたデータのように感じる。

...ルッタから、私に?

分からない。とにかく今は、先に進むしかない。

「ここから先は私だけで行く。お前はそこにいろ。」

もやもやとした思いを抱えたまま、私はエレキ薬をパーヤに渡して豪雨の滝に飛び込む。

「あっ!待ってください!」

パーヤも薬を飲み、慌てて私の後についてくる。かなり疲労が溜まっているのに...

「...っ!...動きにくいな!」

「息も...しにくい...!本当に、滝の中みたいです...!」

打ちつける水が私たちの動きを鈍らせる。薬のおかげで落雷は致命的な問題にはなっていないが、それでも着実にダメージは蓄積していった。

それでも、ゆっくりとではあるもののルッタに近づいていることは確かだった。

ルッタの影が濃くなっていく。パーヤもあとひと踏ん張りなら行けるはずだ。

「...パーヤ!もう少しだ───」

いない。

「パーヤ?パーヤ!」

いない。どこにも。さっきまで、私の後ろにいたのに。

「クソ!どうなってやがる!」

───貴方は...だれ?───

声。先刻の夢で聞いた、穏やかな声。打ちつける水の中でも鮮明に聞こえる。

「お前こそ誰なんだ!」

吐き捨てるように私は問いで返す。

───私...?私は...ミファー...───

ミファー。そうか、お前がミファーか。100年前神獣の中で死んだ一人。

「なあミファー!私はA2だ!お前と話がしたい!」

私は雨音に負けない大声でルッタに提案する。

───お話...?いいよ...───

ミファーが承諾すると、義体を覆っていた豪雨が嘘のように晴れる。周りを見渡すも、やはりパーヤはいない。

───入って。中の大部屋で...待ってる...───

話そうと提案してのは私だが、イヤな予感しかしない。

「はあ...これは長くなりそうだな。」

面倒事の気配を感じながら、私はルッタに乗り込んだ。




頑張れ苦労人A2。面倒事を押し付けれる運命はハイラルに来ても変わらないのです。
誤字脱字、解釈不足等ありましたらコメントにてお伝えいただけると幸いです。
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