家族の仇は前世の推しでした   作:来海杏

16 / 25
今日はこれまで


メインストーリー【マヨイガの魔女10】

 

ユーリは退屈していた、余りにも簡単すぎる。

 

「クソゴミ害虫がァッ!!良くもやりやがったなァ!!」

 

目の前のアレが何か喚いて居るが無視する、殺すなと言われたがそれは殺せると言う前提の上での指示だ、つまりアレはユーリにとって殺せる程度の存在でしかなく、ならばもう死人である。今は自身の支配下に無いだけの存在が何を喚いた所で、そんなモノの言葉を聞いてやる道理がどこにある。

 

「貴女、つまらないんですけどもう少し面白い芸は出来ませんの?」

 

ほーら、お手。

 

言葉に合わせて水中に呼び出した6番から巨大な藁の腕が生まれ、こちらに火焔弾を撃ちだそうとした不死鳥を掴んで海面に叩きつける。数回海面をバウンドして体勢を立て直しこちらを向くアレにユーリは念じて17番と3番が弓と銃弾を撃ち込む。ゆらゆらと不格好に飛翔しそれを避けてのけた事にユーリはただ無感動に拍手を送った。

 

「わー、良く出来ましたー」

 

返事は無い、煽りすぎたかしら?思った所でだから何ともないのだが。ユーリに与えられた指示はあくまで撃退であり、そもそもの話をするなら適当に先生が話をまとめる迄の時間を稼ぐだけであり。つまりはまぁ、片手間でやっちゃって問題の無い仕事なのだ。

 

「強いて言うのなら嫉妬を堪えるのが辛い位かしら?」

 

しかしまぁ、堂々と新たな女を受け入れるのも本妻の甲斐性というものだろう、ネムリ姉さんの持って居る漫画にそんな感じの事が書いてあった。

 

あぁしかしつまらない。

 

火焔弾を撃ちだしながらこちらに飛翔してくる不死鳥に17番が面で矢を撃ち出し、矢に紛れ込ませる様に3番が銃弾数発を撃ち込み1番を迎撃に向かわせる。別段ユーリ自身の守りなど気にする必要はあるまい、残りの雑魚は先生のお気に入りである2番が趣味の悪い火焔で閉じ込めているし海中に逃げようとも海中に6番を配置している。

 

あぁそうだ、少し遊んで見ようかな?

 

先生は怒るだろうか?殺してはいけない相手なのだから力を悪戯に見せ付けるのは良くないのだろうか?でもまぁ、殺すなとしか言われて居ない。喋れない位痛めつけても良いだろう。

 

ユーリにはその力がある。

 

ーーーーーー

 

辛うじて、本当に辛うじてヒサギは生き残っている。普段なら大技の何発かで全て消し炭にしてやれるのに。とことんまで現状はクソだ。海上と言う自身の魔法と相性の悪い周囲の環境に背後に守ったクソゴミ新人達、現状ゼロ点だが見所はちゃんとある、長く生き残る事が出来ればちゃんとした魔法少女と騎士になるだろう。

 

「アアァァァクソッッ垂れぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

「気持ちは分かるよヒナ、だけど真下で叫ぶのは勘弁して欲しいぞ」

 

「ウルセエェ!!やってられるかこんなもん!!!!とっとと帰りてェェェェェ!!!!」

 

纏った火焔の煌めきが増す、舐めやがってボケがそんなに見たけりゃ見せてやる。全身に火焔を纏いどんどんと加速しながらクソったれ魔女とゴミカス宿をぶち抜くべく突撃を行う。再生力任せのぶちかまし。陽佐木ヒナ、ホントにホントの奥の手である。

 

行えば恐らく無事では済まないが、それでもきっと敵を消し炭に変える事が出来るだろう。やってやる、クソったれ。

 

新人とか近くに観光地があるとか、それはそれとしてストレスはマジで限界ビチビチの所に来ているのだ、あぁ責任、クソ責任だ、生き残ってしまった、長く勝ち続けてしまった。面で押し寄せる矢を背後に移動したフェニキアが白熱した光線を吐き焼き尽くす、熱された矢じりの破片が目に入り血の涙が流れる。祭り上げられただけで実際は毎回ボロボロの辛勝なのだ。それなのにクソゴミ共がピヨピヨ懐いてきやがる、偉そうにスーツ着てふんぞり返ってる連中は知らねえ、勝手に死ね。だけどだ、魔法少女と騎士がちゃんと揃ってて、その癖クソ腐れゴミ義務感で戦場に出る様な奴らが居て、お前ら分かってんのか?愛し合ってるってどれだけスゲェ事なのかちゃんと分かってんのか?紛れ込んで居た銃弾は速度を落とさぬ様に羽ばたきに合わせて手で叩き落とす、液状化してじゅうと音を立てたそれに両腕にヒビが入るのを感じる。こんな仕事辞めちまえよ、クソ幸せに生きろよゴミ共が。あぁ帰りてぇ、こっちは生まれてこの方ずっとインドア派なんだ、観光地だからなんだってんだあのクソ事務官、簡単な調査だ?楽しんで来て下さいだ?クソ武者が上段に刀を構えて一刀の下に切り伏せようと構えている、切ってみろクソったれが。アタシが不死鳥だ!アタシは不死鳥だ!!!不死鳥だ!!!!加速し、更に温度を上昇させる。自分も無傷では居られ無いが知るか、早く帰って寝たいんだ。

 

「こんッッのぉぉぉぉクソアホボケェェェェ!!!!!!!」

 

 

クソ事務官、初仕事で一緒に出撃したペアが戦死してから仕事を楽しんだ事なんか一度もねぇよカス。髪の毛全部毛根ごと燃やして強制永遠スキンヘッドにしてやる。あぁ楽しみにしてたVtuberが歌ってみた出すって、推してた新人は収益化通ったって。あぁクソざまァみろアタシの勝ちだ。このまま突っ込ん

 

 

 

「おねぇちゃん!会いたかった!!ずっとずっと会いたかった!!」

 

 

あぁそんな、冗談だろ?

 

 

 

 

陽佐木ヒナが命と火焔の魔法を行使するに至ったのは、6歳の経験が基になっている。

 

酷く不仲であった彼女の両親、まだまだ幼い所の残る1歳年下の妹。彼女は不毛な環境下でも必死に妹の家族であろうと努力していた。妹が人参を残すなら代わりにそれを食べ(勿論好き嫌いはいけないと彼女を叱り、妹の為に細かくした人参を混ぜたホットケーキを作った)妹が夜にトイレが怖いと言ったならどんなに眠くても起きて妹と一緒にトイレに行き暗闇の中、妹がトイレを終わらせるまでトイレの外で待った(彼女達の父は中々家には帰って来なかったし、彼女達の母は日中も夜寝る時も何時も泣いていて、彼女達が話しかけると激怒した)ヒナにとって妹が全てだったのだ、それは彼女の母が一家心中を試み妹のみが焼死してからも変わらない。

 

ヒナにとって妹は訳の分からないクソ気色悪い黒い炭の塊ではなく火焔と同化した常に自分を守ってくれる存在で、そんな妹を纏って居る限り自分は決して死なず、今まで通り妹が居る限り自分は強く輝き続けるのだ。無敵なのだ。

 

「おねぇちゃん!!」

 

そんな妹が傷一つ無い姿で現れた以上、ヒナには妹ごと敵を焼き尽くす等と言う選択肢はあり得なかった。速度そのままに急激な軌道変更を行った結果全身、骨にヒビが入るか脱臼するかの怪我を負っている。海面を何度もバウンドして顔の右側の感覚が殆ど無い、それでも不死鳥の魔法少女、ヒサギヒナはゆらゆらと妹に近づかずには居られなかった。

 

「ミナ、ミナなのか?」

 

「そうだよ、おねぇちゃん、ずっと!ずっと話しかけてたんだよ!!なのに返事してくれなくて、最近はお墓にも会いに来てくれなくて、私に話しかけてくれなくなって!!」

 

傷を回復させる為全身に同化した相棒が何事かを脳内に話しかけて来るが無視する、このクソ現実主義者の鶏野郎に妹との再会を邪魔されたくない。

 

「あぁ、ごめん、ごめんなぁ、ミナぁ、寂しかったよなぁ、痛かったよなぁ、おねぇちゃん、ミナのこと守れなくてごめんなぁ」

 

二人は強く抱きしめ合った、強く、強く抱きしめ合って。

 

鬼哭の魔女、死者の生きた支配者である黒一色の魔女はそこで自身の呼び出した死霊に大量の魔力を流し込み起爆した。

 

 

意外とつまらなかったなと、それがユーリの感想であった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。