『ちさたき』を特等席で見るために 作:セーフハウスの窓
本編入る前にリコリコ見なおそーとか思って見てたら、それを書きたいがゆえに書き始めたはずのシーンを挟む時間的猶予が存在しないことに今更気づいてしまいました。
まぁ……未来の私がきっとなんとかしてくれるよね。
あのテロリスト制圧任務から2年の月日が経って私は8歳になり赤い制服に袖を通すことになりました。
そうすなわち私もファーストリコリスへと昇格です!
やっぱり7歳で赤服着てた千束って化物なんじゃない?
実際何歳で赤服になったのかは知らんけど、一歳差とは言え私も大概化物だし現在の最年少赤服記録保持者なんだけどさ、それにしたって7歳で赤服で電波塔事件に抜擢されてしかも一人で制圧って頭おかしい。
それともうひとつ重大イベント、ついに念願叶って私の本部異動が決定しました!やったぜー!
というわけで今日は北海道支部の皆さんに最後の挨拶に来ています。
「ゆかりちゃ〜ん、やっぱり異動やめない?私の後を継いで北海道支部のトップに立つ気ない?私もうそろそろ女子高生で押し通すのキツくなってきたんだけど……」
「私としても、このまま北海道支部にいて欲しかったのだけれどね、流石に総司令からの辞令じゃ止められないわ」
「はい!本部に行ってもがんばりますね!」
先輩や支部司令からの激励の言葉が北海道の冬のように暖かいですね。
正直今年で
というか18超えても普通にリコリスって続けられるんだね、それは朗報だったよ。
「しかしそんなに本部勤務がいい?随分張り切って任務もこなしてたし……おかけで私は楽できてたけど」
「いやー、やっぱり向こうの方が任務多そうですから」
ちさたきが見たいですからね!
なんて言う事が出来るわけもなく、忠実なリコリスのような返答を返しておく。
実際この二年かなり任務に出かけてたからねぇ、傍から見たら組織に忠実なリコリスなのだ。
本部へ行くために成果を出すという目的と、私の衝動を抑える……というか適度にガス抜きをする為に兎に角任務を請け負いまくった。
流石にあの時ほど命の危機に陥ることはないけれど、本気で殺しに来る殺気を潜り抜けて相手を殺すだけでも割と満足感は得られるので今の所問題なく過ごせている。
しかし日々蓄積していっているのもまた事実、かの手首フェチの殺人鬼も言っていたが誰も自分の爪が伸びるのを抑えられないように、私の生まれ持った
いつか爆発するまでにまたどっかで一気に発散したいなぁ……
まあこの世界の日本で仕事してればいつか発散できるでしょ、それよりはやく本部に行って千束とかミカ先生に合ってみたいな!
「それにしても司令、ゆかりちゃんの昇格ずいぶん遅かったんじゃないですか?」
「んー、任務への意欲はともかくとして作戦での行動がちょっとね」
苧環ゆかり。
任務への積極性が非常に高く、特に危険度の高い任務に優先して立候補するなどリコリスとしてあるべき姿とも言える。
普段の様子はやや大人びてこそいるが年相応、現に今も念願叶った本部への出向にスキップしながら爆走している。
特記事項として成人男性顔負けの異常な身体能力を誇り、反射神経も人類の限界と言われた0.1秒を切っている。
問題点は今口にしたように作戦中の行動にあった。
武装した集団に対して真正面から戦闘を仕掛け力技による制圧を好む、また遮蔽によるカバーリングをあまり行なわず、射撃は専ら回避を好み指定が無ければ対象は全て殺害。
他にも戦闘中に高揚感を感じているような様子が見られており、健康診断に際して精神鑑定も行われたが問題は発見されなかった。
総合して言うならやや過激でこそあるが、優秀なリコリスだ。
だが訓練の際に見せるつまらなそうな顔や、任務の襲撃中に見せる表情を私は知っている。
あれは闘いに魅せられた人間がする顔だ、幾度もそういった危険人物を見てきた私だからこそ分かる。
故に本当に苧環ゆかりを昇格させても良いものか迷っていたが、彼女の任務成功率100%という数値と戦闘能力が総司令の目に止まってしまったらしく、ファーストリコリスへの昇格と本部への移動が決まった。
幸いと言うべきか、一般的な倫理観はしっかりと育っているし、任務への積極参加も本人のフラストレーションを発散する為に行っている節があったので、余程のことが無ければ平気だとは思うが……
「あー……確かに任務中のゆかりちゃんまるで別人みたいに暴れますもんねぇ」
「本当に、何も無ければいいけれどね……」
ついにやってきたぜリコリス関東本部!
ここホントに秘密組織の建物なの?
まずロビーが綺麗すぎてビビったよ、めっちゃ明るくてガラス張りになってる部分も多くて閉塞感を感じるようなことも無い。
そういえばリコリスは基本的に任務外の外出は出来ないし、その分多く過ごす施設内は綺麗にしてくれてるのかな?
受付で北海道支部から着任したことを告げると、その職員の人に案内に付いてくれて射撃場や訓練用のキルハウス、トレーニングルームなどを見て回り最後は基地司令室に通された。
「よく来たな苧環ゆかり」
「はい、苧環ゆかり着任しました」
原作の10年以上前な筈なのに楠木司令顔そのままだ……一体何歳なんだこの人。
まあそんなことは置いといて、基地司令としての挨拶や施設利用に関する説明を受けていく。
射撃訓練場並びにトレーニングルームの使用に関しては自由にできるらしい。
あとは弾薬の補充や銃の新調なんかの説明もされたけどそこら辺は北海道支部にいた頃と何ら変わらなかった。
「来てもらって早速だが模擬戦をしてもらう」
「模擬戦ですか?」
来て早速模擬戦ってすごいな……新入り歓迎会的なノリでやり合うの?
まあデータ上のものより実際の動き見る方が司令としても作戦立てやすいし大事よねそういうの。
して相手は?
「お前に相手をしてもらうのは錦木千束、今は訓練生だが近々お前と同じファーストリコリスになる予定だ」
これマジ?
キルハウスの中央からスタートするのは初めてだ。
いつも私は攻撃側で、突入訓練ばっかりだった。
しかも相手はいつもみたいに同じ訓練生達じゃなくてもう現場に出てるファーストリコリスの人が一人らしい。
ひとまず私は廊下から移動して入口がひとつしかない部屋を選び、簡易バリケードの影に隠れてその人が来るのを待った。
一つ隣の部屋の扉が蹴り開けられる音、少しして私がいる部屋の扉が同じように蹴り開けられた。
バリケードから半身を出して射撃する。
突入してきたリコリスの人は間違いなく私を目視していた。
彼我の距離は30mも無くて私の銃からはもう弾丸が射出されている、回避は不可能──
な、はずだった。
「おっと危ない危ない」
「うっそぉ!?」
その人はすでに発射された弾丸をとんでもない勢いで横に飛び退いて避けてみせた。
この距離で撃たれて″から″避けるなんて、そんなの私だって出来ない。
私が驚いてる間に相手の人が撃とうとしている、狙いは肩。
私は慌ててバリケードの裏に体を隠すとその後すぐに私がいたはずの場所を模擬弾が通り抜ける、あの人横飛びの姿勢から命中弾なんて射撃も上手い。
私をバリケードから出さない為かそのまま射撃を繰り返す。
さっき視えた銃は
そして私の考えた通り一発の銃声の後一瞬射撃が途切れる、勝つにはここしかない!
さっきの距離で避けられたなら更に距離を詰める、避けられない距離で撃つ、接射なら避けるなんて無理なはず。
でも流石はファーストリコリスで既にリロードは終わっていてすぐにまた私に向かって撃ち始めた。
でも正面から視えているなら避けられる、一発ずつ確実に避けて距離を詰めて行けば良いんだけど思うように前に進めない、動きを制御されてる、多分この人避けられる前提で撃ってるよ、なんで?
それでも6発撃てばまた弾切れになる、そこで一気に飛び込もうとした私に向かって相手の人はリロードせずにそのままガバメントを投げつけてきた。
それは視て分かっていたので避けるけれど、そのせいで少しだけ体がブレてこっちの射撃が外れた隙にゴムナイフを抜いて前進してくる……もう目の前、一歩で!?
ナイフはどう振ろうとしてるのかは分かるので首を捻り紙一重で回避する、その間も相手から目を離さない、離せない。
切返しの一撃が来る、避ける、また来る、避ける、また来る……反撃を挟む余地がない、押し切られる!
《そこまでだ》
ついに足を取られて床に押し倒され目の前にゴムナイフの切っ先とアメジストのような瞳があった。
あっぶねぇ……司令の静止が無かったらそのままナイフ突き立ててたかもしれない……ゴムナイフだから死ぬことはないかもしれないけど
それくらい千束は強くて……正直すごく興奮した。
だって本当に射撃を全部避けてくるんだもの!
これがおそらくこの世界において最強の『人殺しの才能』を持った人。
射撃を避けてくるってのを知らなかったら私もやられてたかもね。
それに千束の瞳がすごく綺麗だった。
勝つための活路を見出そうと真っ赤な瞳が何一つ見逃してなるものかと私を観察していて、アニメで見たようなキラキラした感じと言うよりももっと機械的な感じでそれもゾクゾクした。
あぁ、吉さんが千束に執着したのもわかるよ。
こんな才能目の当たりにしたらさ──
ちょっと本気で殺し合いしてみたいなって思っちゃったよ。
苧環ゆかり
拳銃弾の弾速がおおよそ300m/sくらいなので最高に集中できてれば30m程距離があれば撃たれてから避けられる本物の化物の一人。
視認範囲内ならトリガーを引く動きを見て擬似的に射撃前回避もできる。
錦木千束(ロリ)
射撃の前兆を視て回避してくるニュータイプ、視界に入ってさえいれば接射すら避けられる本物の化物の一人。
まだ身体能力や判断力が未成熟なので今のところゆかりの方が強い。