転生者と陸男の話とはまた別のもの。
同じネタ元から派生した同じような設定の話。
俺つええええみたいなことをしている。
転生者がフェンサーやってる
転生者フェンサー1
ここはどこだ?
青空が見える。
なぜ俺は外に転がっているんだ?おぼろげながら俺は自宅で寝ていたはずだ。
全身が痛い。落ち着くために息を吸うと、死臭や硝煙の臭いが嗅覚を刺激した。
横を見るとどこかで見たことある装備を着けた軍人の死体が転がっていた。
戦場か?
頭は混乱でまったく動かなかったが、隠れなければならないと無意識に身体が行動をとる。
死体に重なるように隠れる。
近くで大きな機械が通り過ぎるのをやり過ごす。
そして離れたところで戦闘が始まり、終わった。
そして数人の戦闘員が話ながら近づいてきた。
「ここにいるのが生存した民間人が言っていた助けてくれた軍人さん達か」
「あのテロリストども民間人を助けにきた部隊を狙ったのか」
「この部隊は全滅か」
味方の軍か!?
生きてる!俺生きてる!
力を振り絞り体を動かす。
「生存者がいる!」
「救護を急げ!」
体に何かを吹きかけられる。少し体の痛みが和らいでいく。
もう大丈夫だ。という声を聞き、意識が薄れていった。
%%%
目が覚めると知らない場所にいた。
医者らしき人物がいる。病院とか救護室とかか。
医者が今の俺の体の状態を説明してくれている。
だが俺は体の状態よりも気になっていたことがあった。
医者の"ここはEDFの基地だ"という発言だ。
EDF?ゲームのEDFか?いやまさか。EDFなんてたくさん略があるからな。
「EDFってヨーロッパの電力会社ですか?」
「は?」
困惑した顔をされたが、すぐに医者は慌てた様子で何かを取り出した。
人の写真と名前がのっている証明書だ。見覚えがあるが頭に霞みがかかったかのように思い出せない。
「この人が誰だか分かりますか?」
「………分からない」
医者は俺を落ち着かせるように言葉を紡ぐ。
「この身分証の人物は貴方です。貴方は記憶障害を起こしています。ショッキングな出来事があったのでその影響でしょう」
もう一度身分証を見ると全地球防衛機構軍とEarth Defense Forceの文字。そして逆三角形を思わせるEDFのマーク。地球防衛軍5でよく見たロゴだ。
気がついたら地球防衛軍5のEDF兵士に憑依していた件について。なんだこれ!?
……ということはプライマーがきて総人口1割を切る未来を迎えないといけないのか!?
絶望!!
%%%
記憶障害持ちと診断された俺。
記憶はないがどのような行動·言葉使いをすればいいかがなんとなく分かる。
本来の体の持ち主の記憶が残っているのだろう。武器もスケルトンの使い方も分かる
ある程度軍人生活に慣れてきた頃に、上官であろう人物から仲間の話を聞いた。
この体の仲間はテロリストに殺されたという。憑依した時に目に入ったあの転がっていた死体が……
憑依してしまった身だ。
仇討ちはしないとこの体の主に悪い。
記憶障害持ちでも働けると医者は判断したのか、テロリストどもの制圧作戦に参加することになった。
作戦前の訓練でフェンサーでスラスターとジャンプブースターを併用し高機動をやってみた。
意外と空中体制制御が大変だったがスムーズに行えた。俺が憑依する前にこの体の持ち主はこの高機動をしていたのだろうか?
いや、ないな。
一緒に訓練していた同僚からは狂人を見るような目で見られていた。
EDFをプレイ中に紛争という単語を何度か耳にしたことがある。この対テロリスト作戦はそのくくりに入るだろう。
紛争地の夜空は赤かった。民間施設も何も関係なしに燃えている。都会のネオンとはまったく異なる絶望の赤。
前世で培われていた何かが壊れていく。前世じゃ人と戦ったことがないのに、今回の戦闘では何も感じなかったのはそれが関係しているのだろうか?
対テロリスト作戦ではこの高機動を使い仇討ちに成功した。
作戦で使った盾を捨てた高機動を見た隊員によって狂戦士……バーサーカーと呼ばれるようになり、俺の精神状態を心配した上官によって前線から後方に移動になった。
俺は狂人ではないし精神状態もおかしなところはないと思うんだが。
でも後方勤務は嬉しいのでそのまま受け入れた。
高機動の話を耳にした科学者の希望で聞いたことのない武器開発部門のテスターにされた。聞いたところによるとフェンサー関連の武器開発が主だそう。
科学者曰く、
フェンサーは重装歩兵として運用されているが重すぎる装備のため鈍足。
そのため身を守るための盾や移動を補助する補助装備が必須。
だが、俺は盾を捨て補助装備の異常運用で高機動を実現した。
「あれを初めて見た時は衝撃だったよ。空中体制制御の点からあの運用方法は危険すぎる。
とんでもない狂人だよ。死ぬのが怖く無いのかい?バーサーカー君」
心配そうに言いつつ、科学者からはブラツイやアドブースターやダッシュセルの使用を熱くおすすめされた。
言葉と行動があってない。
この科学者は武器開発をしたいのではなく、高機動フェンサーを完成させたかっただけか?
***
後方での生活は惰性そのものだった。
仲間の仇討ちは終わり、目下の目標はない。
この世界がゲームの通りにプライマーに侵略される未来が訪れるかもしれない。だが、一兵士の俺にできることなど無いに等しい。
ゲーム知識によって未来を変える行動を俺がとってしまったらとんでもない変化が起こってしまうかもしれない。それこそ人類の滅亡とか。
俺は未来でたくさんの命が散ることを知りながら何もしなかった。
%%%
俺が所属している武器開発部門が先進技術研に統合されることになり、俺は武器開発部門の所属を外されて2××基地の所属になった。228基地とは違う田舎の小規模基地だ。
平和だった。戦闘はせず訓練ばかりの素敵な職場だった。
月日は流れ、あの日が訪れた。
俺の所属する基地は小規模ながらもイベントを主催する。来月に迫ったイベントのために打ち合わせだかなんかで民間人をちらほら見かける日だった。
俺は訓練中で武器を振り回していた。
そんな中、怪物……プライマーが基地を襲撃した。
あまりにも急な襲撃に民間人や非戦闘員はもちろん武器を扱える兵士も死んでいく。
助けられる者は助けたが全員は助けることができなかった。
こうなることを知りながら何もしなかったくせに、命が目の前で消えていくのを黙って見ていくことはできなかった。
無意味で無力だ。いや、知っていて放置した。
自分の知識と外れるのが恐ろしいから放置した。仕方がない。
……本当にそうなのか?
本当は自分の安定した生活を犠牲にしたくなかっただけなのでは?
救うための努力が面倒なだけだったのでは?
そんな考えを振り払うように、敷地内を高機動で進みながら怪物を殺し、生存者を探す。
フライトユニットを着けた民間人が襲われていた。
高機動を駆使し怪物をブラツイで殺す。
安全を確保し、フライトユニットを着けた女性に手を伸ばす。
「大丈夫か!?」
女性は俺の伸ばした手にすがりながら、よかった、よかったと言葉を漏らしていた。
相当恐ろしかったのだろう、彼女は泣いていた。
誰かが近づいてくる。
「バーサーカーさん!ご無事ですか!?」
同僚だ。彼女を保護してもらおう。
ただ気になる点が1つ。コードネームでもないのにバーサーカー呼びはやめてほしい。さん付けするぐらいなら名前で呼んでくれ
「他の隊員は大丈夫か?民間人の保護を頼みたい」
「それが敷地内に怪物を出現させる塔が落ちてきて対処中です!」
テレポーションアンカーか!
こんな小さい基地にも落とすのか!
今装備している武器はデクスター自動散弾銃とブラツイだ。地上から撃つと距離減衰や射程不足でまともなダメージが稼げない。かくなる上は……
「お前は民間人を守ってくれ!俺は塔を壊す!」
「ご武運を!」
高機動でテレポーションアンカーの場所へ向かう。
見ると1本だけではなく複数本刺さっていた。量は228基地程ではないため何とか処理はできそうだ。
ジャンプブースターを駆使し高さを稼ぎ、そのまま高機動で塔上部の弱点部分に近づく。攻撃はブラツイだ。スラスターのバックダッシュを駆使して何度も攻撃を叩き込む。
そしてアンカーは爆発音をたてて崩れる。そのまま他のアンカーへ向かい同じように壊してまわる。
「すげえ!フェンサーが空を飛んでる!」
「訓練の時からすごい事をしているとは思っていたが、まさかここまでとは」
「あの人に塔を任せて俺たちは怪物を攻撃する!」
無線を使って俺の話をしないでくれ。恥ずかしい。
基地の指令官が呼びかける。
「バーサーカーはそのまま塔の破壊を!他隊員は出てきた怪物の駆除と民間人の避難誘導をしろ!」
指令の指示で隊員の統制が取れた。
これで安心してあの民人をまかせて怪物を駆除できる。
そして2××基地はどうにか怪物の攻撃をしのぎ、防衛に成功したのであった。
%%%
5ヶ月後
テレポーション・シップを歩兵が撃墜したという明るい話題が上がった。
立役者はストーム1……今はルーキーと軍曹とゆかいな仲間たちだな。
そんな出来事があり、
俺の前にはウイングダイバーとして入隊したあの民間人の姿があった。
「貴方に会いたくて入隊しました。これからよろしくお願いしますバーサーカー隊長!」
どうしてこうなった?
助けた民間女性が部下になってる。
しかもただのあだ名であった"バーサーカー"がコードネームになってしまった。
あと俺たちはツーマンセルの扱いになるそう。なのに彼女は小隊にすらならないのに隊長呼びをしてくる。
元民間人だからそのあたりは仕方がないか。
俺の部下になった元民間人。ウイングダイバーなのでダバ子と雑なあだ名で呼んでいる。
呼んだとき彼女はなんだか嬉しそうな顔をしていた。
それでいいのか?
ダバ子はどうしても俺の下で働きたかったらしい。
同じ基地の同僚からは命を救ってくれたヒーローのそばに居たいんだろうなんて揶揄してくるが、
「グリムリーパーですら盾を持ってサイドスラスターだけで移動しているのに、隊長は命知らずです!」
ダバ子の発言が否定している。
ストッパーだこれ。
さて、ダバ子はどうしようか。
俺のフェンサー戦闘スタイルは高機動。敵の大群を引き付ける囮役としてゲームでは期待されていた。
この世界では俺の戦闘スタイルを理解している隊員は生き残った数少ない基地の同僚のみだ。その同僚と作戦を共にすれば、俺が囮になり同僚が遠距離から敵を狙うというやり方ができる。
なら、ダバ子には空飛ぶ銃座・固定砲台として働いてもらうか。ウイングダイバーだから何かあってもすぐに逃げられるし。
これで飛行する敵への心配が大きく減った。
あいつら高機動でも普通に追いついてくるからな。
大空を舞うファンタジスタとは何ぞやという運用だがまあ仕方がない。民間人上がりにランスやレイピアをもって近接戦闘をさせるのは俺の良心が痛む。
というわけで、俺が高機動で囮になり、ダバ子が高いところから誘導武器·遠距離武器などで攻撃をするというEDF世界の隊員から疑問に思われるスタイルのバディが生まれたのだった。