転生者達の地球防衛   作:蓬莱鈍足

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「ゲ一マーと陸男」
食事の話

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戦闘してないのう


五徳のグルメ

人類生存区間たる地下街。そこに住まう民間人を守るために住居に通じる通路を見回りをすることがEDF隊員たる転生者と陸男の日課であった。

 

今現在、二人は住居区画と異なる戦闘員用の待機場所で配給食料である豆の缶詰を握りしめていた。光源確保のために置いてある焚火の炎はうんざりした転生者の顔と無表情な陸男の顔を照らす。

 

『豆の缶詰め飽きた』

「食料が無いからな。仕方がない」

 

陸男が転生者の言葉に答えるも、その声はうんざりとした声音が隠しきれていない。陸男の目線は缶詰に向いていた。言葉には出さないものの陸男も転生者と同じ気持ちなようだ。

二人は流し込むように缶の中身を腹に収めた。

 

食べ終わりひと段落した後、住居区画に通じる通路から足音が聞こえてきた

時間か。そう言って転生者は焚火から少し離れた場所においてあった小銃二丁を掴む。

陸男も立ち上がり転生者から差し出された小銃を受け取った。

休憩は終わり、見回りが始まる。

 

+++

 

見回りの帰り、転生者と陸男は飲食店が並んでいたであろう地下区画を歩いていた時だった。

少し待っててくれ、転生者は言って陸男はいいぞと答えた。転生者が放棄された飲食店の一画に入っていった。

陸男は首をかしげた。食料も使える物資も根こそぎ持っていたことは明確であろうこの場所に転生者が入る理由が分からなかったからだ。

 

ごそごそと飲食店を物色する転生者のライトが店の外へチラチラと漏れる。

その様子に気になった陸男は警戒のために周囲に向けていたライトを飲食店に向けた。

明るく照らされた飲食店の看板が目に入った。

 

「タピオカ屋?」

 

転生者が入っていった飲食店はチェーン展開していた人気のタピオカドリンク店の廃墟だった。

店舗は異なるものの陸男にはこのタピオカドリンク店に思い入れがあった。

いつかのループ時。プライマー襲来から日が浅く、まだ経済に影響のなかったころ。二人は戦争初期に休暇を取った。

どうせこれからプライマーのせいで生活が滅茶苦茶になるから今のうちに遊んでおこうぜ!というスタンスだった。

陸男はその時に流行していたものの、恥ずかしさから中々手が出せないでいた。

転生者はそれを知っての行動だったのか、陸男を連れてそのタピオカドリンク店に行った。

二人で列に並びやっとの思いで飲んだタピオカはなんと美味しかったものか。

 

思い出にふけっていた陸男に転生者が駆け寄る。

その手には何に使うつもりなのか全くわからないものが二本握られていた。

 

+++

 

今日の食事も豆の缶詰。

だが普段と違い転生者はケーキを買ってもらったような子供のようにウキウキとした様子であった。

 

陸男は仲間の隊員が囲んでいた焚火の火を火種として二人だけの新しい焚火を作り、転生者は近くで二人分の缶詰を手慣れた様子でアーミーナイフで開けていた。

缶詰を開けた後、転生者が箱から私物である足が長めのコの字型の細い鉄棒を二つとり出した。五徳だった。

組み合わせた後に上から力を軽く加えるなどをして使用に問題が無いか念入りに調べていた。

 

気にしすぎじゃないか?と陸男は言うが、料理がまた台無しになったら嫌だ、と転生者は答えた。

前のループ時、今と同じ生息圏が地下に移った後の事だ。

その場にあった廃材で五徳を作り貴重な食品を料理しようとしたのだが、料理途中で五徳が壊れて食料が台無しになっていたのだ。

転生者はそれがトラウマになったようでそれ以来既製品を愛用している。

 

五徳の安全性に満足した転生者は焚火の火を調節した後、その上に五徳を置いた。安定した五徳の上に使い込まれた金属の網、そして豆の缶詰二つを置いた。

 

「今回の見回りでの戦利品は何に使うんだ?」

『用途のまんまの使い方さ。一本あげる』

 

転生者はそう言い、廃墟あさりでの戦利品について訊ねた陸男にそのうちの一本を与える。

それはタピオカドリンク専用のストローだった。

 

「用途のまま?飲み水用に使うのか?それにしては吸い口が大きい。……まさか」

『豆の缶詰の豆をストローで食べる!タピオカみたいに!』

「…………」

『しょーもないって思っている顔だな』

 

図星だったのか陸男は黙ったままであった。無表情だったが転生者にはバレていたようだ。

転生者は話を続ける。

 

『オレこの世界での唯一の楽しみは食事だ。でも最近はそう思えなくなってきている自分がいる。

唯一の楽しみがなくなってしまったらオレは人として何かが終わってしまうような気がして怖いんだ』

「なるほど。でもどうしてストローなんだ?」

『食事内容はもちろん味変もできない。なら食べ方を変えてどうにかしようかなって』

 

同じ食事でも食べる場所や食器が違うだけで気分は変わってくる。転生者はストローでそれをしたかったのだ。

陸男は納得した。

 

話をしていると豆が煮えた。

転生者は煮えた缶詰を取る。軍用グローブのおかげでやけどの心配はなかった。

いただきますと楽しそうに言ってストローで缶詰の豆を吸い、

 

『熱っ!!!!!!!!』

 

そう言い、舌をやけどした。

それ以降ストローの出番はなくなった。




オマケ

『陸男の生きていく上での楽しみはあるのか?食事ではなさそうだけど』
「俺の生きがいはコマンダーだな。共にいれて嬉しいし楽しい」
『お、おう』
「そういう反応はやめてくれ。こっちもどう反応すればいいかわからなくなる」
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