でもここはチラ裏だから何かいても許される!
早朝、怪物の大規模な繁殖地を駆除するために準備をしていた時だった。コードNが発令されるかもしれないという噂を聞いた。
地上で広がりをみせる怪物の繁殖を食い止めるべく、大量破壊ミサイル兵器『N6』を繁殖地に発射する。逃げ遅れた市民、前線で戦う友軍諸共全てを消し炭にする倫理を完全に捨て去った作戦がコードNだ。
コードNが発令される噂話を聞いた時、オレは前世で知っていたのもあったためそこまで驚かなかった。だが同じように命がけで戦う仲間を見殺しにするのは心に来る。それでもオレはEDF上層部を責めることはできなかった。
実際にこの作戦でプライマーは大打撃を受けたからEDF5の時間軸につながり最終的に人類は勝利したのだ。必要なことだった。
同じとき陸男は顔を真っ青にしてコードNの詳細を聞いていた。話を聞いてからの彼の様子はあまりよろしくない。
噂話を聞いてしばらくたったあと陸男が話しかけてきた。
「幻滅したか?」
『何に?』
「EDFに」
その発言で分かった。陸男はオレがコードNによってEDFに幻滅することを不安視していたようだ。
『人類を守るための発令だから幻滅する理由はない』
そう伝えると陸男はわかりやすく安堵した。
オレは言葉を続ける。
『犠牲が多くてもそれ以上の人間を生かすためだろう?EDFはどんな手を使おうと人類を本気で守ろうとしている。俺はコードNを責めることはできない、だって…………』
俺は続きを口に出そうとしたがやめた。前世ゲームといえど守るべき市民を囮として扱ったり、仲間を意図的に間引いたりしたしたことを。
陸男が主人公として戦ったEDF1と2は仲間がいなかった。
自分の汚い部分を陸男に知られたくなかった。
オレがEDFに幻滅することを陸男が恐れたように、オレも陸男に幻滅されたくなかったのだ。
+++
太陽が傾き黄昏時。早朝に基地を出てから半日たった。怪物の巣の駆除のためとあるビル街で怪物の巣を駆除していた。
多数のコクーン型の巣がビルに作られており、かなりひどい状況だった。それでも少しずつ巣を壊していた。
何個かの巣を壊し、反応して出てくる厄介な青蜘蛛や増援のコスモノーツを倒してひと段落ついていた時だった。
部隊長が無線を受け取った後に怒鳴り声を上げた。仲間の士気を上げるために大きな声を上げて鼓舞することはあっても怒鳴るような人ではない。
一緒にいる陸男や他の仲間も部隊長の普段と違う様子に気が付き何事かを隊長に目を向けた。
隊長が言葉をこぼした。
「ベース228からミサイルが発射された。着弾地点はここだ」
「コードNか!」
「ベース228からなんてもう逃げる時間もないぞ!」
仲間が怨嗟の声や怒号を上げる。
ふと上を見上げると空から何かが飛んできているのが見えた。アレがN6か。N6を視認して腕の力が抜けて銃を地面に落としてしまった。銃が地面に落ちた音は耳に届かず、遠く空から聞こえるミサイルの鈍い飛来音だけが耳に入る。
こうしてミサイルを見るまでコードNのことを他人事のように考えていたがアレは心理的なバイアスがかかっていたのだろう。自分は巻き込まれることはないというそういったバイアスが。
バイアスが粉々に粉砕されてから頭に様々なことが思い浮かぶ。
『これがまさしく本部の罠』『味方を犠牲に勝利をつかむなんてゲームでよくやった』『nuclear』『N6なのに228基地のミサイルは7本だった』『これの後に希望も消し飛ぶ』『本日の予定』
前世のゲーム知識からの感想やらその後の展開やらが頭をグルグルと回る中、一つ気になる用語があった。
“希望”
主人公たるストーム1の事だ。そういえば敵も時空も異なるがストーム1と同じ希望そのものであった陸男はどうなる?このまま捨て駒にされたオレたちや敵と一緒に消えるのか?
ストーム1の時はプレイヤーとして画面の向こう側から操作して何もできなかったが、今は生身の肉体を持って陸男の隣に立っている。無意味かもしれないが万の一の可能性で陸男を生かせるのではないか?
オレは呆然とミサイルを眺める陸男にタックルをして陸男を突き飛ばした。
陸男はオレからの予期しない衝撃に対応できずに倒れた。
倒れた陸男が状況を理解するよりも先に、オレは陸男をミサイルの衝撃から守るため覆いかぶさった。
そして閃光で何も見えなくなった。
DLC1ネタ。
コードN。考察やらなんやらでN6は核ミサイルとされていました。なので陸男含め転生者達はもれなく殉職です。転生者の行動は無意味でした。
実は最初のプロットでは覆い被さるのは陸男でした。
でも色々考えるうちに、コードNに対して何も知らなかった陸男よりも、ゲーム知識としてコードNを知りその発令を肯定していた転生者のほうが早く動けると思い陸男の盾になってもらいました。無意味だったけど。
生存IFパターン
↓
目が覚めた。体のあちこちが痛い。くずれた瓦礫の隙間から弱い光が見える。光を頼りにどうにか隙間から外に這出ることができた。
外はほの暗いがおぼろげな太陽光が少しずつ広がりを見せ世界を青くする。夜明けだ。
薄明は瓦礫と半壊した状態で辛うじて残るビルを鈍く照らし、吹き始めた風が様々なモノが焼けた匂いを運ぶ。
コードNで全てが消し飛んだ。戦闘していたころの面影は全くない。
そういえば仲間は、相棒のコマンダーはどこにいった?そういえばこうなる前に突き飛ばされた後に何かが俺に覆いかぶさってきた。アレはコマンダーだったような……
現状を悟り血の気が引いた。
共に行動していた仲間とコマンダーを大声で呼ぶ。
返事はない。
もういない仲間を哀れに探し続けるたった一人の生存者を太陽は照らす。
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DLC1の
M16 汚染地帯 前編
M17 汚染地帯 後編
M18 コードN
は同じ日に起こったものと考えています。
ストーム1、かなりハードなスケジュールだったんだね。
M16前編で少佐がコードNを決定事項と伝え、M17後編で228基地に部隊を集めるように言った時は昼間。M18で夕暮れ時。
実行早すぎ。判断と準備が早い。