ダンジョンにモニカがいるのは間違っているだろうか   作:刺身の盛り合わせ

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どうも、刺身の盛り合わせです。

待っていてくださったみなさん、お待たせしました!
最新話です!

今回はレフィーヤの回です!
あとこれまでの話より少し長めの内容になってます。

感想と評価、お気に入りを登録してくださった方々、本当にありがとうございます!

それでは、どうぞ。


第18話 『怪物祭~閉幕~』

モニカ達を囲むように地中から現れた食人花達四匹。

閉じていた蕾を一斉に開花させ、見下ろす格好でその巨大な口を四人に向けたかと思うと、蠢きながら一斉にレフィーヤへ襲い掛かった。

 

「避けなさい、レフィーヤッ!」

 

「は、はいっ!」

 

「あーもうっ、しつこいってのっ!」

 

食尽花の攻撃に対して、レフィーヤは攻撃を躱し、ティオナとティオネはそれぞれ打撃で軌道を逸らし、モニカは先ほどのように剣身を用いて軌道を逸らそうとした。

しかし。

 

「攻撃などさせn…なっ!?」

 

食人花との戦闘で『剣身で受けて流す』などの無茶な使い方をしたことのツケが回ってきたのであろう。

右から左へ振り抜くような触手の攻撃を上空へ受け流そうとサーベルの剣身で受け止めた瞬間、受け止めた場所からサーベルに罅が入っていき、砕け散ってしまった。

剣が砕け散ったことにより、触手の攻撃を受け流せなくなったモニカ。

瞬間的に両手をクロスさせ守りの構えをとったため直撃は免れたものの、身長の低さなどにより顔近辺に触手の攻撃を受けてしまった。

防具も何も纏っていない両腕からは、グシャグシャと不細工な音が鳴り響くのが聞こえ、気づけば顔に強い衝撃を受けながら宙を舞っていた。

 

「モニカさん!?」

 

攻撃の反動で近くにある家屋へ吹き飛ばされたモニカ。

四人の中で唯一LV.1であったモニカは、致命傷もしくはそれ以上のダメージによって、立ち上がるどころか気を失いかけていた。

 

「レフィーヤ、後ろぉーっ!!」

 

吹き飛ばされたモニカを心配し足を止めてしまったレフィーヤに対して、醜い大口を開きながら一気に近づく食人花。

ティオナに声を掛けられ振り向いて、大口が迫っていることに気付いたレフィーヤは、体を動かしどうにか避けるため脳を最大限まで働かせていた。

 

『動いて腕動いて足動いて体!どこでもいいから動いてあの口から逃げて!!』

 

しかしながら、どんなに自身の体に命令しても全く動くことなく、食人花はレフィーヤに近づいていた。

 

『嫌だ、嫌だ、もう嫌だ。同じ。また同じだ。きっと。きっとまた、自分はーーーー』

 

「――――ァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

視界に走り抜ける金と銀の光。

敵の首を切り飛ばした壮烈な剣の閃きと、美しい金の髪の輝きが、悔し涙を流すレフィーヤの瞳を焼いた。

 

『――――あの憧憬の彼女に守られる』

 

絶叫を轟かせながら、レフィーヤに襲い掛かろうとしたモンスターの首をギリギリのところで切断するアイズ。

首を切断されたモンスターの体は勢いよく仰け反り、ぐにゃりと折れ曲がりながらその場に崩れ落ちた。

 

「アイズ!モニカって子が大怪我負ってる!こいつら急いで倒して怪我治さないとヤバいかも!」

 

「!……分かった」

 

以前助けたモニカが重傷の怪我を負っているという話をティオナから聞き、目の前のモンスター達をすぐに倒そうとするとーーー前触れもなく。

ビキッ、という亀裂音の後にアイズがゴブニュ・ファミリアから借りた代剣が見事に破砕した。

 

「―――」

 

「なっーーー」

 

「ちょっーーー」

 

剣が折れたことに動揺する三人を、食人花達は見逃さなかった。

体に風の魔法を纏ったアイズを一斉に襲いかかるものの、アイズは跳躍して回避。

右手に持つ刃を失いつつも風を纏った細剣の柄頭をモンスターの体に振り下ろすものの、へこむだけで傷の付かない敵の体皮を見て、攻撃を諦めレフィーヤから遠ざけるように後退していった。

 

 

○○○○〇

 

 

自身から遠ざかっていく彼女達とモンスターを、その場で見ることしかできなかったレフィーヤ。

咄嗟の事態に動くこともできず、以前のキャンプでの戦闘と同様に、また彼女によって遠ざけられてしまった。

また、あの憧憬の彼女に、守られてしまった。

 

『―――わかってる、わかってるよ!』

 

レフィーヤだって、とっくの昔に理解していた。

 

『私じゃあ、あの人達の足手纏いにしかなれない!どんなに強がっても、私はあの人達に相応しくない!』

 

彼女達を助けようと死力を尽くしても、最後にはきっと優しく胸を押され遠ざけられる。

大丈夫と言われ、側にいることさえ許されない。

追いかけても、追いつかず、追い縋っても、差はなお開き続ける。

劣等感に苛まれるほど、卑屈に陥ってしまうほど、あの憧憬はとても遠く、心が折れてしまうほど、彼女達はーーー金色の彼女は強く、自分は弱い。

 

『それでも……、追いつきたい。助けたい。力になりたい。できることならば、一緒にいたい!自分を受け入れてくれた彼女たちの、自分を何度も救い出してくれた彼女たちの隣にいることを、許される存在になりたいっ!!』

 

レフィーヤは彼女達の元へ走り出す。

窮地に陥る三人の力になるため、妖精は今一度戦場へと舞い戻る。

 

 

○○○○〇

 

 

「アイズ、魔法を解きなさい!追いかけまわされるわよ!」

 

「でも…」

 

「一人一匹くらい何とかするって!」

 

殺到するモンスター達に防戦を強いられる中、アイズは何度も交錯するティオナ達から呼びかけられ、止むを得ず魔法を解除しようとした、その時。

 

「アイズさん、ティオネさん、ティオナさん!モンスターの動きは私が必ず止めます!なので、時間稼ぎをお願いします!」

 

届くレフィーヤの声。

三人は考え込むこともなく。

 

「そこまで言うなら任せるわよ、レフィーヤ!」

 

「お願い、レフィーヤ…」

 

「じゃあお願いね、レフィーヤ!」

 

それぞれレフィーヤに一言残し、食人花の足止めに向かっていった。

 

「―――私はっ、私はレフィーヤ・ウィリディス!ウィーシェの森のエルフ!神ロキと契りを交わした、このオラリオで最も強く、誇り高い、偉大な眷属の一員!逃げ出すわけにはいかない!」

 

自信の固めた決意を声に上げ、改めて自身を奮い立たせることで力の本流を取り戻したレフィーヤ。

十分な距離まで近づき、自身の射程圏内に目標を捉える。

三人に群がるモンスター達を見据え、詠唱を始める。

 

「【ウィーシェの名のもとに願う】!」

 

憧憬に追いつくためには、結局のところ、追い縋るしかないのだ。

 

「【森の先人よ、誇り高き同胞よ。我が声に応じ草原へと来れ】」

 

血反吐をいくら吐いたとしても、何度地に足をついたとしても、溢れ出る涙で頬が枯れることはなかったとしても、追い縋る者には、追いかけることしか許されないのだ。

 

「【繫ぐ絆、楽園の契り。円環を回し舞い踊れ】」

 

意思は折れる、何度でも折れる。

折れない誓いなど決してありはしない。

ただ、その折れた意思を何度でも直す者が、諦めの悪い者がいるだけ。

いくら無様に転ぼうとも、何度でも立ち上がる、不屈を叫ぶ者がいるだけだ。

 

「【至れ、妖精の輪】」

 

守られるだけの自分から脱却するため、―――そして憧憬に追いつくため、レフィーヤは奏でる。

 

「【どうかーーー力を貸し与えて欲しい】」

 

歌を届けよう。

歩みの遅い自分が、遥か先にいる彼女にも聞こえるような、そんな歌を。

例え振り返ってもらえずとも、彼女の耳に届き、癒やし、守り、彼女を脅かす敵を打ち払ってみせよう。

森を踊る妖精や、愛するものを救ってきた精霊のように。

自分だけに許された歌を…いや、を、届けよう。

 

「【エルフ・リング】」

 

魔法名が紡がれるとともに、山吹色の魔法円が翡翠色に変化する。

それと同時に、アイズ達が抑えていたモンスター達も、レフィーヤの方向へ振り返り、一気に詰め寄ろうとする。

しかし。

 

「そうは、させないっ!」

 

「おとなしくしてろってのッ!!」

 

「邪魔は、させない……ッ!」

 

一瞬でモンスター達の前に立ちふさがり、殴り蹴り弾いて突撃を防ぐ。

彼女達に守られるレフィーヤは、体を守るように前屈するように身を丸める。

 

「【―――終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に風を巻け】」

 

アイズ達がモンスターの前に立ち壁となってくれている間にもう一つの魔法の詠唱を行う。

 

「【閉ざされる光、凍てつく大地】」

 

レフィーヤが最後に習得した、同胞(エルフ)の魔法のみであるが、詠唱と効果を完全把握したものを己の魔法として行使する前代未聞の反則技(レアマジック)、【召喚魔法(サモン・バースト)】。

それを用いて召喚するのは、エルフの女王であるリヴェリア・リヨス・アールヴの攻撃魔法。

極寒の吹雪を呼び起こし、敵の動きどころか解きさえも凍てつかせる無慈悲な雪波。

 

「【吹雪け、三度の厳冬―――我が名はアールヴ】」

 

地面から槍衾のごとくモンスターの触手が突き出し、足や肩、耳朶に衝撃が掠め、流血する。しかし、致命傷を避けながらも詠唱を終えたレフィーヤの足元には魔法円が拡大していく。

そして、唇がその魔法を紡いだ。

 

「【ウィン・フィンブルヴェドル】!!」

 

射線上からアイズ達が離脱する中、大気をも凍てつかせる純白の細氷がモンスター達に直撃し、余すことなく霜と氷に覆われた三輪の食人花は完全に動きを停止した。

 

「ナイス、レフィーヤ!」

 

「散々手を焼かせてくれたわね、この糞花っ」

 

「じゃ、頼むで、アイズ―」

 

「……」

 

歓呼するティオナに若干鶏冠(とさか)に来ているティオネ、いつの間にかこちらに来ていたロキから折れた剣の代わりを受け取ったアイズ。

三人とも一匹ずつモンスターの前に着地すると、ティオナ達は渾身の回し蹴りを、アイズは無数の斬線を個別で食人花で出来た氷塊に叩きこんだ結果、見事に砕け散った。

食人花との戦いが終了した瞬間であった。

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございました!

という訳で怪物祭編はここで終了です!
今回一番悩んだ部分は、モニカの立ち振る舞いでした。
シルバーバック戦でベルと一緒に戦う?→ベルの成長が阻害される!
なら食人花倒しちゃう?→LV.1が勝てるわけないだろ!
…じゃあレフィーヤのサポートさせるしかねぇ!
でもここも原作通りだとモニカいる意味ないな…せや!レフィーヤ庇わせてモニカに致命傷負わせたろ!
という感じで考えてました。

ベル君はこの戦いの裏でシルバーバック倒してますが、もちろんカットです。

という訳で、次回は今回の後始末と新たな武器、ステイタス更新まで行けたらいいなぁ…って考えてます。

評価や感想お待ちしてます。

それでは、次回。

モニカは……

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