ダンジョンにモニカがいるのは間違っているだろうか   作:刺身の盛り合わせ

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ダンメモで【シアン】ナァーザと【湯煙狐娘】春姫が当たりました。
どうも、ケモ耳っ娘の、そしてダウナー系お姉さんの素晴らしさを再確認した刺身の盛り合わせです。

ということで最新話。
今回は魔法の理解とゴライアスとの戦いが含まれているため、ちょっと長めになっています。
また、後半はかなり地の文大目にもなっています。

それと、今話を書くにあたって色々見直していると、基礎アビリティの限界値や魔法の効果について色々と間違っていたので、内容の一部に修正を行いました。
(引き上げるアビリティの上限をSSSからSへなど•••)

感想と評価、お気に入りを登録してくださった方々、そしてこの作品を読んでくださっている方々。
本当にありがとうございます。

それでは、どうぞ。


第56話 『漆黒のゴライアス~窮地~』

「ベル、モニカ。二人共無事か!?」

 

「ヴェルフ!」

 

激戦地に辿り着いたベルとモニカ。

多くの詠唱とかけ声が飛び交う目の前の光景に圧倒されるベル、その隣ではモニカが真剣な眼差しで戦場を見渡していた。

そんな二人の側に、ヴェルフが走り寄ってきた。

 

「【タケミカヅチ・ファミリア】の面々は無事か?」

 

「安心しろ、あいつ等は他のモンスターの相手をしてるところだ。それで、お前達はどうする?俺達と一緒に周りのモンスターを叩くか?」

 

「僕は……「おいっ、兎ぃ!突っ立てるならこっちに来い、それとも怖えかぁ!?」

 

ヴェルフからの問いに一瞬悩んだ素振りを見せたベルだったが、前衛攻役(アタッカー)のとある小隊から、冒険者流の挑発を行われた。

 

「……行ってこいよ。階層主を張り倒した相棒(アイツ)は俺が契約した冒険者だって、威張らせてくれ」

 

「……今呼ばれているのは私ではなくベルだ。活躍して、ヘスティア・ファミリアのベル・クラネルここにあり、と知らしめてこい」

 

「―――うん!」

 

笑みを浮かべ背中を押してくるヴェルフとモニカに頷き返し、二人の健闘を祈り、小隊の居る方向へ走り出すベル。

そんなベルを見送ったヴェルフは、側に立っているモニカの方を向き、問いを投げかけた。

 

「……それで、モニカは行かなくて良かったのか?」

 

「先ほども言ったが、呼ばれたのは私ではなくベルだ。…それに、ベル達前衛が戦いやすいよう、周囲のモンスターを減らすのも大事だろう?」

 

「…違いねぇ。それじゃあ、早速行くか」

 

「まぁ待て。先に魔法で強化してからの方が動きやすくなるはずだ。【共に戦いし同胞よ。我が呼び声に応え、起立せよ―――】」

 

周囲にいるモンスターの下に向かおうとするヴェルフを呼び止め、自身の魔法である【ウェスタ・エール】の詠唱を始めるモニカ。

詠唱を始めると、モニカの足元に小さな火が現れた。

その火は、詠唱を進めていくと次第に大きくなり、詠唱を言い終えると火は温かな熱を発する竈火にも似た炎へと姿を変え、モニカを優しく包み込んだ。

 

「【ウェスタ・エール】!………ッ!?」

 

右手を前方に振り払い魔法を発動させると、モニカを包んでいた炎が周囲に広がってゆき、それと同時にモニカも顔から地面に倒れた。

 

「なっ!?おい無事か、モニカ!?」

 

周囲に広がった炎は、倒れたモニカに駆け寄るヴェルフに当たるとすぐに体を包み込み、背中にある【ステイタス】、その中でも基礎アビリティの項目付近に集まり【S999】へと形を変えると、【ステイタス】の上に上書きするように重なり、強制的に神聖文字(ヒエログリフ)を書き換えた。

【ステイタス】の神聖文字(ヒエログリフ)を強制的に書き換えられたことで、【ステイタス】更新を行われた時のように、体に力が迸っていた。

 

「……視界が、グルグルしている。それに、気分が悪いし、体に力が入らん……」

 

精神疲弊(マインドダウン)の症状じゃねぇか…。ほら、二属性回復薬(デュアル・ポーション)だ、ついでに体力も回復しとけ」

 

「すまん、助かる…………だいぶ楽になった」

 

「…にしても、何回魔法を使ったんだ?「3回だった筈だ」…3回で精神疲弊(マインドダウン)になりかけ、か………モニカの精神力(マインド)の底が低いのか、魔法の消費精神力(マインド)が高いのか―――」

 

「うおぉぉぉ、何かいきなり動きが良くなったぞ!」

 

「どこのどいつかは知らねぇが、支援魔法をかけてくれたみてぇだな!テメェら、この機会にモンスター達をブッ殺せぇぇぇえ!」

 

「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」」」」」

 

体力回復の意味も含めて二属性回復薬(デュアル・ポーション)を飲ませつつ、モニカの魔法についてヴェルフが考えていると、前方で戦っている冒険者達から雄叫びが上がった。

声を聞くと、モニカの発動させた魔法はヴェルフだけでなく、前方で漆黒のゴライアスやモンスターと戦っていた冒険者達の全員に魔法が適用されているようだった。

 

「おいモニカ、あいつ等にも魔法を使ったのか?」

 

「いや、そんな筈は…いや待て?」

 

ヴェルフからの問いに否定を行おうとしたモニカだったが、自身の【ステイタス】の魔法の欄に書いてあった内容を思い出していた。

 

「そういえば魔法の欄に『仲間と認識している者達』と書いてあったが…モンスターと戦っている他の冒険者も対象になるのか!?」

 

「何十人もいる冒険者全員に魔法の効果が発動したっていうなら、精神疲弊(マインドダウン)の症状が出るのも納得だな」

 

「使い時を誤らないよう、使う際はしっかり状況把握をしておく必要があるか。…それよりも、今は魔法の効果がきれない間に私達も戦いに加わろうではないか」

 

「それもそうだな。…うっし!行くぞ、モニカ!」

 

「あぁ!」

 

自身の魔法について理解を深めたモニカは、魔法の効果が失われる前に、ヴェルフと共に周囲のモンスターを倒すため、戦場に向けて走り出すのであった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

モニカ達が戦闘に加わってからある程度たったところで、前線に退避の号令が出たのと同時に、魔導士達による一斉射撃が漆黒のゴライアスへ火蓋を切った。

連続で見舞われる他属性の攻撃魔法だけでなく魔剣の攻撃も加わっており、攻撃の勢いは階層主の巨軀が見えなくなるほどであった。

魔導士達の一斉射撃が止み、砲撃の中心地の立ち込めた煙が薄れると、そこには黒い体皮が傷つき、紅い血肉を晒すほどに顔が抉られたゴライアスが片膝をつくところだった。

(こうべ)を垂らすゴライアスの息の根を止めるべく、四方八方から冒険者達が殺到した。

しかし、紅い粒子を体から出すことで自己再生を行い、傷を完全になかったものにしたゴライアスは、迂闊に近づいてきた前衛攻役(アタッカー)だけでなく、呆然と立ち尽くしている魔導士達(こうえい)に攻撃するべく、両腕を頭上高く振り上げると、拳を握り締めて足元へ一気に振り下ろした。

その一撃は凄まじい爆発を起こし、生じた衝撃波は放射状に広がり前衛壁役(ウォール)を含めた全ての前衛攻役(アタッカー)だけでなく、魔法行使直後の魔導士達(こうえい)にまで及び、包囲網が一瞬で壊滅したのであった。

幸いなことに離れていた場所で戦っていたため、被害を受けなかったモニカとヴェルフだったが、ゴライアスが二度目の召喚の声を上げたことで、階層中のモンスター達が押し寄せてきたため、倒れ伏した冒険者達を庇うためにモンスター達と戦っていた。

しかし、倒しても倒しても増え続けるモンスターに、体力も精神力(マインド)も気力も限界を迎えつつあった。

 

「オラァ!…って、ヤベぇ!?」

 

「そうは、させんッ!」

 

大刀による横薙ぎでバグベアーの首を切り落とそうとしたヴェルフ。

しかし、刃が首の途中で止まり完全に斬り落とすことが出来ず、首に突き刺さったまま抜けなくなってしまった。

瀕死状態のバグベアーは、自分の首から大刀を抜こうとするヴェルフを爪で切り裂くべく腕を振り下ろそうとしたが、バグベアーの懐に一気に潜り込んだモニカに魔石をサーベルで打ち抜かれたことで、その姿を灰に変えたのであった

 

「悪ぃ、助かった!」

 

「気を抜くな、ヴェルフ!……とはいえ、この状況はマズいな」

 

壊れ果て散乱する数々の武器や倒れ伏している冒険者達、冒険者達を庇いながら襲い来るモンスターと応戦する自分達含めた冒険者達、そして各地から巻き起こる悲鳴。

戦っている冒険者達も、度重なる連戦で心身共にズタボロとなっており、動きに精細が欠けていた。

 

「何か…何か戦況をひっくり返すような一手があれば……ッ!?」

 

そのように考えながら戦いを続けていると、ゴライアスが強烈な『咆哮(ハウル)』を込めた魔力の塊を放ち、その反対側からは大炎雷が撃ち出されるのが見えた。

 

「まさか、今のはベルの【ファイアボルト】!?」

 

白い稲光とともに凄まじい轟音をまき散らしながら、大炎雷はぶつかり合った魔力塊を粉砕し、ゴライアスに向かっていく。

胸部を狙ったその一撃は、甚だしい出力に弾道が定まらず、狙いがそれて敵の頭部に命中し、右眼を含めた僅かな部分を残して巨人の顔面は八割方(ごっそり)消失した。

頭を失い活動を続けられる生物はいない。

勝った―――そう冒険者達が信じ込もうとした直後、()()()()()()()が巨人の首元から火山の噴火のごとく発生すると、おぞましい勢いで失われた巨人の顔が修復されていった。

尋常ではない生命力をもって、蓄力(チャージ)された【ファイアボルト】を耐え凌ぎ、驚異的な治癒能力で再生を遂げた漆黒のゴライアスは、愕然と立ち尽くすベルに明確な殺意を向けると、ベルに『咆哮(ハウル)』を放った。

英雄願望(アルゴノゥト)】の反動で回避行動が遅れたベルは、魔力塊にぶつかり吹き飛ばされた。

ズタボロになるベルが次に見たのは、殺意に溢れた咆哮を上げながら、大砲弾のように突き進みながら、勢いよく極腕を振り抜こうとしていた漆黒のゴライアスであった。

回避不可能かつ疑いようのない一撃必殺の拳にベルが動けないでいると、ベルとゴライアスの間に大盾を構えた桜花(オウカ)が飛び出し、ベルへの攻撃を防ごうとした。

しかし、本来のゴライアス以上の強力な一撃を、大盾を挟んで食らったベルと桜花(オウカ)は、互いに限界まで目を見開きながら二人は殴り飛ばされ、宙を舞ったのであった。

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございました。

今回はゴライアスにベルと桜花が吹き飛ばされるところまででした。
そして、今回ついに【ウェスタ・エール】が発動したときの状態を書けました。
モニカの魔法は本文で書いた通り、ヒエログリフの書き換えを行っています。
なので、魔法の効果中に【ステイタス】を更新すると基礎アビリティが全部S999になってます。
また、【ウェスタ・エール】の効果範囲について補足を入れると、『自身が視認し、認識した範囲内でモンスターと戦っている全ての冒険者』が対象になっています。
…完全な余談ですが、この魔法の効果が神々に知られた場合、『神しか変えられないヒエログリフを(上書きするとはいえ)書き換えることが出来る』モニカは、ベル以上に神達に興味を持たれ、オモチャにされます。
というかさせます(断言)

次回はモニカに大活躍してもらおうと思います。
誤字脱字、また文章でおかしな部分があれば報告をぜひお願いします。
それでは、次回。

モニカは……

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