ダンジョンにモニカがいるのは間違っているだろうか 作:刺身の盛り合わせ
一番印象に残ってるのはガリバー四兄弟です。
どうも、原作じゃ見られないガリバー四兄弟の姿に死ぬほど笑った刺身の盛り合わせです。
ということで最新話。
そして、今話で第四章終了です。
今話で一気にゴライアスとの決着まで持っていきました。
なので、5000文字と中々のビックボリュームになってます。
感想と評価、お気に入りを登録してくださった方々、そしてこの作品を読んでくださっている方々。
本当にありがとうございます。
それでは、どうぞ。
「ベルーーー」
ベルと
呆然とした表情でベルの名前を呼んだモニカだったが、即座に覚悟を決めた表情を浮かべると、側で同じ光景を見ていたヴェルフの方を向いた。
「ヴェルフ。私はゴライアスがベル達の下へ向かわないように足止めへ行く。…だから、ベルのことを頼む」
「は?……っておい、ちょっと待て!?」
簡潔に用件を伝え終えて、ゴライアスの下に向かおうとしたモニカに、ヴェルフは声をかけた。
「お前、あんなモンスター相手に足止めって…どうするつもりだよ!?それに、ベルが心配じゃないのかよ!?」
「…確かに、足止めがちゃんとできるかどうかも分からない……が、ベルは必ず立ち上がり、あのゴライアスを倒す。ほんの少ししか稼げないとしても、私はベルが立ち上がるまでの時間を絶対に稼ぐ。それが、今の自分に出来ることだからな」
そう言うと、モニカはゴライアスの下へ向かっていった。
「今の自分に、出来ること………くそっっ!!」
泣きそうな表情でモニカの言葉、そして主神(かみ)からの忠告を噛みしめるヴェルフを残して。
猛り狂う漆黒のゴライアスのいる中央地帯の主戦場に辿り着いたモニカ。
モンスターと戦う冒険者達の間をすり抜けながらゴライアスの下へ向かっていると、ゴライアスがモニカへ向けて『
「テメェら、死にたくなかったら射線上から離れろ……って何やってんだテメェ!?死んじまうぞ!?」
放たれた
ふとゴライアスのいる方向を見ると、
声をかけられたものの、無視してゴライアスの下へ突き進むモニカ。
誰もが、先程のベルのように魔力塊に吹き飛ばされる未来を想定した。
「……貴様の放つ
勢いよく跳び上がると、サーベルを引き抜いて魔力塊を縦に一刀両断するモニカ。
縦に一刀両断された魔力塊は、二つに分かれるとその場ですぐに霧散したのであった。
「【共に戦いし同胞よ。我が呼び声に応え、起立せよ―――】」
魔法の詠唱と並行しながら、即座に
「【ウェスタ・エール】!……んぐっ!」
魔法を発動させるのと同時に
【ステイタス】を限界まで引き上げると、飲み干した試験管を投げ捨てながら一気に距離を詰めるべく加速するモニカ。
放った
『ゴォン、ゴォォン、ゴォォォンーーー』
振り下ろそうとしたその瞬間、戦場に
「立ち上がると信じていたぞ、ベル!」
18階層に響く
「―――そして、お前がベルに狙いを定めることもな!」
平突きの体勢から【紫電一閃】を放ち、ゴライアスの左足のアキレス腱を切断するモニカ。
アキレス腱を切断されたことで立ち上がることが出来ず、膝をついたゴライアスだったが、赤い粒子を発生させてすぐに傷を治すと、ベルの居る南の草原に向けて走り出し始めた。
「私程度の力では、数秒の足止めが手一杯か……!」
「―――そうでもありませんよ、モニカさん」
ゴライアスを数秒しか足止め出来なかったことに悔し気な表情を浮かべたモニカに、声がかけられた。
声が聞こえたのと同時に、ベルの居る方向へ地響きを起こしながら大草原を駆けようとしたゴライアスが、突然大草原に倒れ、両手両足を地についたのであった。
ゴライアスの足の近くを見てみると、そこには木刀を手に持ったリューがいつの間にか立っていた。
「貴女が命がけで作った数秒のおかげで、私も足止めに間に合うことが出来ました。それに、ここに足止めに来たのは私だけではありませんよ」
「――今ですよ、ツムギ!」
「―――ぅおんどりゃぁ!!」
モニカに近づきながら会話を続けるリューは、先ほど四つん這いにしたゴライアスの方を指差した。
そこには、アスフィの出す指示に従って、ゴライアスを地面に縛り付けているツムギがいた。
「リュー殿…ツムギ殿…」
「新人冒険者のモニカさんが、命がけで足止めしようとしてるんです。それなら、先輩冒険者である私達がお手本を見せないとですからッ!」
「――ということです。もしも足止めに参加するというのならば、命の保証はありませんが。【―――今は遠き空の星。
「【掛けまくも
モニカにそう言ったリューは、地面に縛られている一気に近づき攻撃を加えながら、魔法の詠唱を始めた。
離れた場所では、ツムギが全力でゴライアスを地面に縛り付け続け、アスフィがゴライアスのあらゆる部位を出たらめに斬り刻み始めた。
そして、瀕死の
「うわわわっ!?アスフィ様、もう限界ですぅ!?」
「ツムギ、急いで避難しなさい!」
少し遅れてゴライアスに攻撃を加えていると、ツムギの限界という声とともに、ブチブチッ、という糸が千切れる音が周囲に響いた。
自身を縛っていた糸を全て引きちぎったゴライアスは、立ち上がるとベルの下へ進撃を開始しようとした。
「衆目の前で使いたくなかったのですが……!【タラリア】!」
リューの魔法が完成していないのを見たアスフィは、【
「【―――
仰け反りながら片目を手で押さえるゴライアスに、間髪入れず詠唱を終わらせたリューは、動きを止める相手に己の魔法を行使した。
「【ルミノス・ウィンド】!」
緑風を纏った無数の大光玉がリューの周囲から生まれると、ゴライアスに向けて一斉放火された。
星屑の魔法を次々と叩き込まれるゴライアスは、あまりの高威力に次第と後退していたが、巻き上がる膨大な赤粒とともに損傷と治療を繰り返しながら、リューの魔法を強引に突破するゴライアス。
体を削りながら
「【天より
「【フツノミタマ】!!」
ゴライアスの直上に一振りの深紫の光剣が出現と同時に、足元に
光剣が直下し巨人の体を通り抜け、円中心に突き刺さった瞬間、
リューとアスフィ、モニカの鼻先に展開された、半径10
深紫に染まる重力の牢獄がゴライアスを上から押し潰していた。
一度は地面に縫い付けられたゴライアスだったが、上からの強力な重圧を押しのけながらゆっくりと持ち上げていく。
未だベルの
「破られますっ……!?」
咆哮を上げて結界から解放された巨人にリューとアスフィ、モニカが武器を構えると、右手で赤く輝く長剣を背後へ溜めながら、ヴェルフが側を通り抜けて先頭に進み出た。
たった一撃のためだけに名付けられた『魔剣』の真名(まな)を、長剣を振り下ろしながらヴェルフは叫んだ。
「
大上段から振り下ろされた細身から放たれた深紅の轟炎は一直線に進み、ゴライアスの巨躯をあまさず覆い、燃焼の猛り声とともに蹂躙した。
燃え盛るゴライアスの体からは自己再生のために夥しいほどの赤粒が立ち昇るものの、立ち昇る先から炎の
ここまでの長い戦闘の中で、初の致命傷がゴライアスに
「あれが、『クロッゾの魔剣』……!」
「何てすさまじい威力なんだ……」
「超える!?
「―――みんな、道を開けろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
『海を焼き払った』とまで言われる伝説の魔剣の一撃を間近で見ていた三人は、恐ろしいまでの一撃に戦慄していると、ヘスティアの号令と共に
号令がかかった瞬間、冒険者達は一斉にベルの進路から離脱した直後、
多くの者の視線を一身に背負ったベルは、速度を上げてゴライアスへ突貫する。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!?』
接近するベルを見たゴライアスは、未だに燃え続ける右腕を背後に引き、あらゆるものを粉砕する渾身の薙ぎ払いをベルに向けた。
その攻撃に対し、疾走の速度を緩めず距離を詰めるベル。
押しつぶすように迫る巨人の一撃。
自身の両手に満ちる力の奔流
収束する光剣に己の全てを賭し、ベルはその一撃を放った。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
ベルによる一撃がゴライアスに炸裂した瞬間、純白の極光がモニカ達の視界を埋め尽くし、誰もが目を腕で覆った。
ゴライアスの雄叫びをかき消すほどのベルの方向と凄まじい轟音により、聴覚の機能が数瞬奪われた後、最後に残ったのは決着の静けさであった。
視界が回復した者からおそるおそる目を開けると、そこには右腕と上半身を失った巨人の体と、地面に落ちた巨人の左腕と下半身、消失した細身の断面から白煙を上げる黒大剣と、それを振り抜いた体勢で固まっているベルがいた。
「……消し飛ばし、やがった」
眼前の光景に、誰も何も言わずしばし立ち尽くしていたが、呆然とこぼれ落ちたヴェルフの呟きが契機だったかのように、全てが動き出した。
固まっていたベルは崩れ落ち、剣身のない体験を杖のように草原に突き刺しながら片膝を地につき、その目の前でゴライアスの下半身と左腕が灰になり、上半身ごと魔石を失った体は時間をかけてゆっくりと溶けるように姿を消した。
死骸が大量の灰に変わると同時に、その上にドロップアイテムである『ゴライアスの硬皮』が残された。
「―――うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
次の瞬間、18階層に大歓声が巻き起こった。
ある冒険者は諸手を突き上げ、ある冒険者は隣の者と肩を組み、涙さえ浮かべながら喉が張り裂けんばかりに声を上げた。
言葉になっていない音の津波が轟き渡り、大草原を震わせた。
「ベル君!」
涙ぐむヘスティアが最初に駆け出し、ヴェルフ、モニカ、リリ、リュー、
周囲から途切れることのない喜びの声々が、ベル達を、18階層全体を包み込んだのであった。
ここに、第18階層で起きた異変は完全解決したのである。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
ということで、第四章は今話で完結です。
書き始めた当初はモニカもベル達と一緒にダンジョンに行ってもらおうと思っていたんですが、そうすると原作と同じ流れになるので、モニカには後発組としてダンジョンに潜ってもらうことにした、という裏話があります。
そして、今回初の試みとして、魔法の部分に色を付けてみました。
もしも見にくい場合は、指摘をお願いします。
今章はエピローグとかは無しで、次話は一気に第五章『僕等のウォーゲーム』編がスタートです。
モニカがどのように活躍するのか、ぜひお楽しみください。
誤字脱字、また文章でおかしな部分があれば報告をぜひお願いします。
それでは、次回。
モニカは……
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仲間
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相棒
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