『次のニュースです、』
テレビでは、先日発生した傷害事件について報道されている。軽傷者多数、重傷者2名という大きな事件は現時点で犯人不明として捜査が進められていた。
現場の周りでは監視カメラの機材や通信網は破壊、または遮断されており映像の証拠は存在せず、複数の証言のみで捜査が行われている。
被害を受けた者は軽症者を除き、身柄はヴァルキューレ警察学校が収監を行っている。中にはそれなりの権力を持つものもいたがこの事件を切っ掛けに情報が漏洩して失脚。
今は治療の為に入院している。現場から発見された重火器から足取りの調査も行われたが、発砲数が多く難航している。
被害を受けた者は全員が誰にやられたのかは口にしない。口にすればまた犯人が襲ってくる可能性があると恐怖で塗りつぶされてしまっていて、ろくに話もできない。
(……どう考えても”あの人”がやったことじゃ?)
偶然、そのニュースを目にした鬼方カヨコ。
彼女は犯人に心当たりがある。それどころか断言できるといっても過言じゃない。
社長である陸八魔アルが慌てながら担ぎ込んでた”あの人”。治療したのに怪我してまた現れた”あの人”だと確信する。
(これで怪我したんだ)
あの騒動から数日後、ボロボロなった事務所の修繕費と匿ってくれたお礼として札束を持って現れた。その姿は爆発に巻き込まれた時よりも生傷が多かった。
擦り傷、切り傷。それに火傷の痕。首元には残る程の傷跡が。その有様を見た時は言葉が出なかったが、”あの人”は笑いながらこう言った。
『ごめんごめん、これつまらないものですけど』
『ちがうでしょー!!』
流石の陸八魔アルも怒る。メンバーもこれに同意する状況なので説教を喰らう”あの人”は正座して冷や汗をかいていた。
怒られることに慣れておらず、上手くごまかすこともできずに慌てていた。
『スミマセン、スミマセン……』
最後の方はうわごとのように謝っていた姿を思い出してカヨコは思わず小さく笑ってしまう。
ニュースの続報を聞かずに歩き出し、メンバーが待つ事務所へと向かっていく。
『――続いては、最近活発となっている違法性のある――』
騒動の渦中にいる犯人は息を潜めつつ今日も大きく口を開いてあくびをする。騒動が連日放送されているために大きな行動をすることもできず、残っているお金を切り崩して息を潜めている。犯行現場を見られているわけではないので日常生活を送る上で不便は無い。
懸念点があるとすればたまに届くモモトークの返信が億劫になっている事。
心配をかけた代償として少女は便利屋68の有事の際には手を貸す事、そして連絡は怠らない事を社長のアルから言いつけられた。
反抗する理由も無く、なにしろ怒られた事が未だに尾を引いているので面倒だが連絡は続けている。
『社長、ごはんたべますけど、どうです?』
『おごりますよ(`・ω・´)』
修繕費は払い、修繕はされたが便利屋68の資金繰りは毎日が自転車操業。たまにこっそりと覗きに行くときには社長が白目をむいている姿をたびたび見かけている。
暇な時には食事に誘うことにしていて、もちろんこちらのおごりになる。
直ぐに返信。了承の意を込めたコメントが即座に返ってきた。
”やあ”
待ち合わせ場所には便利屋68のメンバー。そしてシャーレの先生がいた。
人目をはばからず露骨に、とてもとても嫌そうな表情を少女は見せる。見たことも無い表情を見た先生は思わずその表情をカメラに収める。
何故、なんで先生がここにいるのだろうかと浅黄ムツキに少女は問いかける。便利屋68のメンバーが来ることは想定内、しかし先生は想定外。
楽しそうに笑うムツキは悪びれた様子も無く。
「だって、先生からもお誘いがあったんだし~。先生に聞いたら先生も会いたいっていうからさぁ。いやぁ、罪作りだね♡」
それは罪作りではなくて貴女が楽しみたいからでしょう。少女は反論しようとするが、何を言っても糠に釘、暖簾に腕押し。
人生は諦める事も肝心だと、現状を受け入れるしかなかった。
「あきらめも肝心」
カヨコは肩を軽く叩き、伊草ハルカはおどおどしながらその様子を見ているのであった。
こうして、便利屋68のメンバーと先生との食事会が急遽執り行わることになった。
最近は色々と試行錯誤しています。
取り敢えず、今回は主人公のセリフは少し少な目です。
そしてアルちゃん社長は少しだけ頼りになっています。
本当に少しだけですけど。
おいらは何時も、アルちゃん社長には白目向いていてほしいからさ!
ねっ!!!!!!!!
いいか!爆発させるなよ!絶対だかんな!!!!