わたしのヒーローアカデミア 作:Plot Must Die
わたしは現在反省中です。感情的になってナナサを殺しかけてしまったことを、空よりも深く反省しています。……ん? いや海よりも高く反省してるよ? ほんとだよ? ナナサの無事が分かるまでは本当に気が気じゃなかった。
でもねぇ……、あれはちょっとナナサが悪いと思うの。あんな酷いこと言うんだもん。だからカッとなるのも仕方ない。仕方ないけど、やっぱり暴力は良くない。その点については反省中。次会ったら謝りたいけど、あんな感じだと話し聞いてくれないだろうなぁ……。
まぁ、記憶が無いみたいだったから、これも仕方ない。仕方な、しか、し……し……。うーん仕方なくない。今、滅茶苦茶に暴れたい。目につくヒーローを片っ端から殺したい。
……うん、良くない。殺意はちゃんと抑え込まなきゃ。違った。じわじわと蓄えておかなきゃ。あーーもーー、暴れたい。くたくたになるまで戦って、ストレス発散したい。何でまだ外出禁止なの? 児童虐待? 虐待なの? 出るとこ出るよのっぺらぼう! あと丸顔!!
あの二人に従わなきゃ行けないのはそれはもうムカつくから、いつか殺さないとなあ。あの二人が自由にしてたら、ナナサとわたしの幸せが邪魔される。これは絶対。あの二人は生きてちゃいけない。でもまぁヒーローよりはずっとマシだから、まだ殺さないけどね。まだ。うん、まだ殺さない。殺せない事情もあるんだけど。思い出したくないからこの話はやめやめ!
さて。現在わたしは神奈川県神野のどっかにある雑居ビルの中に居ます。ここが敵連合の拠点だからね。お酒ばっかり並んだ棚はそろそろドーナツで埋め尽くしたいけど、クロクロもトムトムも何でか反対するの。何で? ドーナツ美味しいし可愛いよ? 開店しようよ、クロクロトムトムドーナツ本店。
あー今日もドーナツ美味しい。たまにはチョコ味も良いね! もぐもぐ。もぐも……ぐ?
「……あの、聞いてます、か……?」
そう言えば、お客さんが来てるんだった。えーっと何だっけこの人。トムトムは奥で寝てるし、クロクロはどっか行っちゃうし。お陰で敵連合に用があるお客さんは、お留守番してるわたしが対応することになっちゃった。
うーん。ドーナツ食べてたら美味しさのあまり色んな事を忘れちゃった。
えーーっっとぉ……。
んーーー? 誰だっけ、この赤いドレス着てて髪の毛が編み編みされた人。カウンター席で縮こまって、ツイストドーナツみたいな髪型しておどおどしてるこの人は……あー、そうだ。思い出した。
「ちゃんと聞いてるよ? ごめん、名前なんだっけ??」
「あの……
「あー、ヒルヒルね。そうだったそうだった」
「その、それは……やめていただけると……」
「じゃあキバキバね。でー……何だっけ?」
このヒルヒル……もしくはキバキバ。朝早くに敵連合に入れてくだしゃい! なんて突撃して来て、寝起きのトムトムがキレてわたしに対応押し付けたんだった。クロクロは昨晩からどっか行ってる。ステインってヴィランを探してるんだよね。外出禁止のわたしの前で出掛けないで欲しいなぁ……。
「だから、その、あの、私を敵連合に……」
「まぁまぁ、ドーナツ食べる? ああ食べないか。血しか受け付けない体なんだっけ?」
「そこは憶えてる、……んですね……?」
「うーん……。て言うか、あなたを迎え入れるメリットがわたし達にあるの? ここ最近の失血死事件の犯人でしょ? 随分派手にやってるみたいだけど」
「ええっと、だからその、あのぉ……私は……」
うん。無視しよ。どうせ話が長くて憶えてられないし!
■
「―――と言うわけで……。あの、分かって貰えましたか……?」
「もぐ?」
うん。話が長くてドーナツ八個も食べちゃった。クロクロが帰ってくるまであと四個で我慢しなきゃいけないのは困ったなぁ。
で。えーっと……キバキバの言ってたことは、お金を沢山持ってて? 公安だか警察だかにパイプがあって? 情報も資金もいっぱいだから? 敵連合に入れて欲しい……だっけ? わぁ、すこぶるどうでも良い! いや、トムトム的には喉から手が出るくらい欲しがるんだろうけど、ちょっと信用出来ないなぁ。嘘ならもっと上手く吐きなよ。今言ってたことが事実なら、敵連合に入る意味が無い。何で九人も殺してるかは知らないけど、まぁ……血の臭いが凄いからヒミコと同じ趣味なのかな。
「えーっと、キバキバ。嘘は良くない」
「嘘じゃない、です。あの、私の個性は……」
「……うーん。でも嘘吐きの匂いがするよ?」
「ほ、本当です……。嘘、吐いてませんから……」
この子、殺しておいた方が良いなぁ。理由は単純。この場所を知ってるから。警察とかヒーローに捕まったら絶対この場所のこと、話しちゃうから。こう、コミュ障だし。気弱な感じだし、人に詰め寄られたら何でも話しちゃいそうな感じが凄い。で、それは良くない。ボロっちいけど、ここはわたしの家だもん。トムトムとクロクロも居るし、仕方ないからわたしが守ってあげるの。お姉ちゃんやるのも大変だなぁ。
「聞いて、ください。あの、私……個性が吸血鬼、で。その、吸血鬼っぽいことが出来るんです……」
ふんふん。それで?
「鏡に写らなかったり……蝙蝠に変身出来たり……あと、血を吸うと力が強くなって、その……催眠……なんかも出来ます。
催眠はちょっと大変……なんですけど……」
で? つまり?
「あの、だから……。警察、とか……公安、の人を何人か……催眠して、て。お金、は……親がお金持ち……だったので……。その遺産がたんまり……」
「うーん。でも嘘吐きの匂いしかしないけどなぁ。ああそっか、何か別の事隠してるでしょ? 何隠してるの?」
「そ、そんなことは……! あの、私……っ」
「そもそもお金あるなら人から血を買えば良いじゃん。なんで殺しちゃうの? 殺す理由がどこにも無いよね」
「……ぁ、の……。私、その……最近、お腹が減ると……見境無くなっちゃって……気が付いたら、殺しちゃってるん、です……」
あー……そういうタイプかぁ。個性に振り回されて、真っ当な生活が出来ないタイプ。そういう形でヴィランになっちゃう子は、まぁ結構居るらしいね。わたしだって個性と体の都合上、敵連合に居るわけだし。でもここ、慈善団体じゃないよ? 個性カウンセリングを受けたいなら、然るべき団体へどうぞ。敵連合は怖いよ〜〜? 人体実験も厭わない極悪非道だよ〜〜??
「だから、それで、そのぉ……、雄英体育祭で、あの……トガヒミコって、凄く……美味しそうな子が居て……。その子を……食べたくて……あの、何か情報があったら……う、売ってくだ、さい」
……ん? なんて? 今なんて言ったの?? ヒミコが美味しそうで? だからヒミコが食べたくて、情報が欲しい?? そんなの、雄英にでも張り込んだら良いじゃん。なんでわざわざ敵連合に……。
「雄英行けば良くない? なんでわたし達が知ってるって思うの?」
「……私、日の光に当たると……動けなくなっちゃう、ので……。吸血鬼……だから」
あ、そうなんだ。それは大変だなぁ。でもそれって、ますます敵連合に入ろうとしなくて良いよね? そこまで個性に縛り付けられてるなら、ちゃんとした団体に行けば手厚く保護して貰える筈だよ? だって聞いてる限り、日常生活がままならないもん。
て言うか。て言うかだよ? 日光で動けないなら雄英体育祭観に行けないじゃん。ほーら嘘吐いてる。うーん、殺しちゃおっかな? 嘘吐きは殺人の始まりだからね!
「それで、その、トガヒミコ……さんの住所とか、知りたくて……。頑張って、ここ突き止めて……だから、ぁの、あのお……っ」
「つまり、ヒミコの場所を教えてくれたら敵連合に入るってこと? ついでにお金も情報も出すって?」
「……はい、はい。そう、です……っ!」
その頑張りを直接ヒミコに向ければ良かったんじゃ? て言うか、頑張りどころ違うでしょ??
とは思うけど、まぁ……うん。わたしとしては、別に都合が悪い話でもないかな。ぶっちゃけヒミコにはわたしも会いたい。色々聞きたいんだよね。なんでナナサと結婚するのー? とか、いつナナサと付き合い始めたのー? とかね。
さーて、どうしようかな。この子を逃す手は、多分無い。トムトムは気に入らないかも知れないけど、クロクロはワンチャン賛成してくれるんじゃないかな?
……でもなー。わたし、ヒミコの家なんて知らないんだよね。ついでにナナサの家も。まぁあんなにお互いの匂いを付け合ってるんだから、多分同居してると思うけど。
は? 同居の挨拶されてませんけど?? そこはナナサのお姉ちゃんであるわたしに、妹さんと住まわせてくださいって言いに来るべきでしょ???
ヒミコ許すまじ。断じて許すまじ。何勝手にわたしのナナサと同居して……あー、でもナナサが望んだかもしれないのかぁ。じゃあ……ゆる、ゆ……許さ……な、……許すっ! お姉ちゃんは寛大だから、独占欲なんて見せないっっ!!
わたしに接客させて奥の部屋でゲームしてるトムトムも、外出禁止なわたしの前でどっかにワープしたクロクロもついでに許す!!!
「あの、それで……」
あ、一人で百面相してる場合じゃなかった。さてそれじゃあ……キバキバにはこっちの要求を聞いて貰おうかな。要求って言うか、脅しになるけど。
「ごめん。ヒミコの居場所は知らない。それで、ここまで来ちゃったキバキバを生かして帰すつもりもないの」
「ぇ、えっ、え……っ!?」
「だから、キバキバはここで死ぬしかないの。そもそもヒミコに手を出そうとしてる時点で、わたしとしては論外なんだよねぇ。
あの子、ナナサの大切な人なの。だからわたしも大切にしてあげるの。わたしのナナサに手を出した泥棒猫だけど、ナナサが結婚したがってるから特別に許してあげてるの。
で、そんなヒミコに手を出そうとしてる不躾なヴィランなんて今すぐ殺したい。でもわたしの言うこと聞いてくれるなら、殺さないであげても良いよ? キバキバだって死にたくはないよね? ね?」
「ぁ、え……えっ? 何言って……」
「だーーかーーらーー」
ガッとキバキバの首を右手で掴んで、力を込める。喉を握り潰して殺さないように、ちょっとずつちょっとずつ。うん、苦しそうにしてる。頑張ってわたしの手を引っ掻いてるけど、そんな程度じゃ逃げられないよ? 腕切り落とすぐらいしないと逃がしてあげない! まぁその場合は、直ぐに捕らえて殺すけど!
「殺されたくなかったら言うこと聞いて? わたしと一緒に、ヒミコを探そうよ!」
ごーまーだーれー! ナロクはキバキバを手に入れた!
渡我ちゃんがロックオンされました。逃げて。超逃げて。本当ヤバイから逃げて。ナロクに狙われるのはヤバイって!!(愉悦)
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