「四楓院隊長、本当によいのか?」
「あぁ、無論じゃ総隊長。」
一隊隊舎・隊首室の席に座っていながら、山本は少し思案したような表情で、机の上に置いてある書状に目を通していた。
「
「一真にはもう話してあるのじゃ。無論、少々めんどくさそうにしておったが、とりあえずは納得したのじゃ。」
「そうか..............................うむ、ならもうこれ以上話す事はないの。」
そう答えた山本は、机の引き出しからハンコと蓋付きの朱肉を取り出す。朱肉を付け、ハンコを下向きにしてから書状の上を押す。
山本が押したその書状の内容は、彼の隣に立つ雀部にとっても、衝撃的な内容だった.........
そこに書かれていたのは、ごく短い文章.....
なぜ夜一は、このような内容の書状を総隊長である山本に届けたのか。
時は戻り、昨夜の事.........
〜昨夜・屋敷〜
「...........................は?」
一真の口からそんな間の抜けた声が聞こえてきたのは、夜一から聞かされた内容についてだった。
「じゃから、お主はこれから護廷十三隊に入隊しなければならんのじゃ。もちろん、入隊先は、砕蜂と同じ二番隊じゃから安心せい。」
「………あ〜ぁ...................え?」
「あの〜夜一サン……先ほども言いましたけど、やっぱりきちんと一から説明してあげないと分からないっすよ。今、一真サンの頭の中は混乱していると思いますし。」
いつも通りの日常の中、夜一の屋敷で一真に勉学を教える浦原。しかしそこへ夜一が入ってきた途端、いきなりこのような内容を話したのである。
「うむ........そうじゃな。すまん一真、まずは一から話そう。」
とりあえず彼に理解させようと分かりやすく説明し始める。
「まずなんでお主が護廷に入隊せねばならぬか、その理由は、お主が斬魄刀を持っているからじゃ。」
「………はぁ、それだけで?」
「隊員でも無い素人が斬魄刀を持っているだけで違反じゃ。ま〜簡単にいえばなんじゃが.........そのお偉い方が決めていたクソ面倒くさい規則なんじゃ。」
「夜一サン、クソって流石に言い過ぎだと思いますけど。」
「お偉い方?誰だよそれ?」
「中央四十六室じゃ。」
ー中央四十六室ー
尸魂界全土から集められた四十人の賢者と六人の裁判官で構成される尸魂界の最高司法機関。死神の犯した罪咎は全てここで裁かれ、その裁定の執行に武力が必要と判断されれば、隠密機動・鬼道衆・護廷十三隊等の各実行部隊に指令が下される。絶対的な決定権を持ち、その裁定にはたとえ隊長格といえど異を唱えることは絶対に許されない。
「へぇ〜〜、要するにあれか。超メンドクセーお偉いさんって事なんだよな?」
「お主がそう思ってもいいが、口には出すなよ。それとさっきお主の斬魄刀について話を戻すが……死神ではないお主が斬魄刀を持ちながら街をウロウロし、運悪く四十六室の関係者に見つかってしまったら、当然斬魄刀は没収されるし、最悪の場合お主を逮捕する可能性もあるからな。」
「はぁ!?逮捕されんの俺!?」
「じゃからこそ、そうならぬようお主には入隊せねばならん。無論、入隊の手続きは儂と喜助がなんとかするからそこは安心せい。」
「ーーーーマジかよ………」
なんでそうなるねんっと大きくため息を吐く一真。そんな中、浦原は夜一の耳元で彼に聞こえないよう、コソコソと話しかける。
「(あの、夜一サン。今更なんですけど、どうして彼は霊術院に入学ではなく、いきなり隊士として入隊するのですか?)」
「(ん?どう言う意味じゃ喜助?)」
「(入隊するより、まずは霊術院という死神になるための学校へと入学した方が効率がいいと思いますけど……)」
ー中央霊術院ー
今から二千年以上前に山本元柳斎重國により設立された、死神になるための学校。また。死神統学院としても 呼ばれていたが、現在は死神だけではなく、鬼道衆・隠密機動も育成しているため今の呼び名になっているのだ。
「(あ〜、儂もそれについても考えたのじゃが……色々問題点があってのう。)」
「(問題点……ですか?)」
「(一真の霊力じゃ。正直あれは隊長格を超えておる。霊術院に入れられるのに、少々無理があるじゃろう。)」
「(な、なるほど…確かに.......)」
「(それに勉学にもついてじゃが、心配ないじゃろ。実際一真はそこまで馬鹿ではないからな。)」
そう彼......一真は馬鹿ではない。浦原が彼に日々勉学を教えたおかげで、彼は漢字も読める様になったし、他の学問も問題もない.........性格以外は.........
「なぁ、二人して何こそこそ話してんだよ?」
「おう、すまんすまん。それで、決まったか一真?」
「……………正直超メンドクセーけど、レッカを没収されるのは嫌だし、逮捕されるのももっと嫌だから……入るよ。その護廷って奴をなぁ。」
「フム。理解が早くて何よりじゃな………よし!なら早速手続きをせねばな!」
こうして彼は、後に二番隊の隊士として入隊する事になった。五大貴族である四楓院家なら簡単だが........本人はそう思わず、ただの四楓院夜一として、一真を正式に入隊させようと山本の申し出たのである。
そして.........
冒頭に戻り、山本が日龍一真を正式に護廷の二番隊の『死神』として入隊が決まってから翌日.........
「違う!そっちではない!」
「はぁ!?じゃこれとこれを結べばいいのか!?」
「だから違う!ーーあ〜もう!貸せ!!」
これまで着ていた服装とは違い、上下黒一色の着物に袖を通す.........が、あまりにも格好が適当すぎる為、砕蜂が仕方がなく手伝っている。
「……......はぁ〜、まさかお前が今日から入隊するなんてな.........夜一様は一体何を考えて、このバカを....」
「あ?なんだよ.......お前は俺が死神になるのがイヤなのか?」
「イヤっというか.........バカなお前が入隊したのがもっと驚いたわ。」
「おい、さっきからバカバカ言い過ぎだろこのポンコツ。」
「ぽ、ポンコツだど!?貴様もう一回言ってみろ!」
「あぁそうだもう一回言ってやるよ!このポンコツ!」
「な、なんだとこのバカ!アホ!ボケ!」
今日も朝から口喧嘩する二人......と思ったところで、夜一に止められた。
「お主ら……さっきから何をしておったかと思えば……騒がしいにもほどがあるぞ」
「「だってこいつが!」」
「やかまし!!」
ガンッ!ガンッ!
.........と二発のゲンコツが一真と砕蜂の頭に直撃した。涙目で一真も砕蜂も自分の頭を押さえる。
「っつぅ〜……」
「な、何するんですか夜一様!?」
「さっきから朝から喧嘩なと言っとるんじゃろうが!!何をしてたんじゃ一体!」
「………そ、それは.........」
いうわけで二人は事情説明。すると、頭痛を堪えるように人差し指をこめかみに当てがう夜一。
「主らは……子供かまったく……」
「俺、全然悪くねぇよ!?」
「何を言う!貴様の方が……」
「もう一撃行くか?」
「「すみませんでした」」
ため息をつきながら、夜一は言った。
「はぁ〜全く.....準備ができているなら来いよ一真。今日、お主に瀞霊廷内を案内をしてくれる人を見つけたんだからな。」
「案内?なんでそんなの必要なんだよ?」
「これからお主は素人では無く、本格的に護廷の隊員としての仕事もあるからな。」
そう、一真が護廷の隊員として入ったからには、仕事もしなければならない。当然、他の隊舎の場所なども覚えなければならない。その為に夜一は、彼に案内してくれる人も探していたのである。
「ホレ、着替えを済ましたら来い。」
「へいへ〜い。じゃ〜行くか.........」
服装を整え、斬魄刀を腰に巻き付け、気合いを入れ直す彼。
今日、日龍一真の正式な『死神』としての始まりの日.........
「げぇ.......お前かよ.........」
「ーーーーーーー最悪だ.........」
..................と思ったが、いきなり案内人を見て嫌な目をする一真。
彼を瀞霊廷内を案内してくれる人は、あの『朽木白哉』なのである。
「おい夜一!どう言う事だ!?案内する人がコイツだなんて聞いてないぞ!?」
「そうだそうだ!大体、この野郎なんざに案内されたくねーんだよ!」
「それはこっちのセリフだ!この馬鹿!」
「んだとコラ!!!」
「ーーーーー会って十秒も立たず、いきなり喧嘩腰になるなお主ら……」
なぜ案内人が、彼なのか。実は昨日、夜一が案内人を探すのになかなか見つからなかったから白哉を選んだのだ。当然、白哉は反対だったが、祖父と父からの頼みも聞いてしまい、仕方がなく来たのである。
ただ……その案内する人が一真である事は、聞かされていなかった……
「(ハアァァ〜〜、正直分かってはいたが……いきなりじゃのう.......…)」
「おい夜一!こんな奴を案内するのは御免だ!私は帰らせてもr……」
「おやおや?爺様と父上の期待を裏切るつもりか白哉坊〜?」
「..................」
「ほれほれ、そう文句を言わず、今日は、案内させておけばいいだけじゃ。そのくらいできる歳なんじゃろ〜?」
「…………この化け猫め………いいだろう.........こい日龍一真!」
ついに観念したのか、白哉はやけくそ気味にようやく一真の案内人になる事になった。
「えぇ〜〜、俺はぜって〜にイヤd「いいから行くぞ!」……グエ!?」
白哉と一緒の行動と言われめちゃめちゃぐずる一真。しかし白哉に首根っこを掴まれた一真は無理矢理外に連れて行かれてしまった。そんな彼らを見た夜一は、「気をつけるのじゃよ〜」っと手を振った……
〜数分後〜
「向こうに行けば、五番隊隊舎だ。」
「ーーーおう…」
「それでこっちに行って、右左に曲がれば、九番隊隊舎だ。」
「ーーーおう…」
「よし……それで何か質問は?」
「ーーーおう…」
「………………おい、聞いているのか?」
「ーーーおう…」
あれから数分、ただ彼を案内させる白哉。場所や建物を説明する白哉に対して適当に返事をする一真。
「お前……絶対に聞いてないだろ?」
「あぁ、聞いてるよ.........今日の昼飯についてだろ?」
「違う!やっぱり全然聞いてないだろ!」
「あぁ〜〜〜腹減ったな〜〜」
流石にキレたのか、その態度に白哉は怒りを露わにした。いくら白哉が声を掛けても一真は振り返る事がなく、完全に食べる事を考えている。
「ハァァァァ〜〜〜〜、マジ暇だし〜〜腹減ったし〜〜どっか食える店ねーかな〜」
「ーーーーーーーーー貴様.........」
一真のイラつく態度は徐々に高まり、白哉はとうとう我慢の限界を超えた.........
「なぁ、どっかにさ.......菓子屋あるn....」
ードン!!!ー
「ーーーいい加減にしろーーー」
そう言った直後、一真の視界が揺れて背中に衝撃が伝わる。一瞬遅れて一真は自分が白哉に胸ぐらを掴まれて壁に叩きつけられたのだと理解した。
「.........」
「私だってお前の案内人になりたくなかった.........仕方がなくこうしてやっているだけだ。少しは感謝くらいしたらどうだ?」
「.........」
「それに.........どうやって護廷に入隊したかは知らんが、そんな軽い気持ちでやっていくと、虚に簡単に殺されるぞ。」
「.........」
「..................そうになりたくないなら、今は私の言う事を聞け.....」
そうして白哉は言いたいことを言い終えたからか、一真を離した。解放された一真は床に落ちるものの、尻餅をつくことはどうにか避けて壁にもたれつつ少し乱れた呼吸を整える。白哉はそんな彼を気にせずに、冷ややかな視線と共に移動を促した。
「(はぁ.........やっと少しはまt.....)」
「ごっは!?」
........っとその時、
「何が言う事を聞けだ!バ〜〜〜カ!」
股間を蹴ったのは、一真である。彼は、後ろから男の急所である股間だけを狙って足で思いっきり攻撃を仕掛けてきた。
「な.....き.....貴様.....」
「散々テメーの言いたい事を聞いたけどよ〜!そんで今度は説教かよ!いい加減に聞き飽きたんだよこのバ〜カ!」
「この.........クソ野郎!!!」
「あ?...........グフ!?」
股間を蹴られた白哉は、一真にすぐさま応戦する。頬を殴られた一真はその場で尻餅したが、すぐに立ち直り反撃を開始する。
「上等だ!もう一回テメーの股間でもなんでも蹴ってやるよ!!」
「グハ!?.........な、舐めるな!!」
「ブッハ!?.........はっ!!ぜっんぜん痛くねーよこのバ〜カ!!!!」
殴ったり、蹴ったり、避けたりの繰り返し.......とうとう彼らは、本格的な喧嘩が始まってしまった。そして.........
「はぁ、はぁ、はぁ.......」
「ぜぇ............ぜぇ............」
喧嘩しているうちに、お互いに息切れをしながらもボロボロになってしまう。顔の所々に殴られた跡が付いていた。
「ど、どうだ………この野郎……」
「な……舐めるな……まだこっちは本気ではないぞ……」
「ぜぇ……ゼェ……上等だ……」
再び喧嘩腰になる二人が、同時に攻撃を仕掛けようとする……
「おいおい、ガキ同士でな〜に喧嘩してんだこんな所で?」
「「!?」」
……っと思ったら、突然彼らの前に一人の青年が立っていた。一見すると、一真は初対面なので、誰かが分からないが。白哉はその青年に見覚えがある。
まさか、こんな所で、会えるとは思わなかった。
「し、志波海燕!?」
「――え? あ……お前は確か……朽木家のところの坊主じゃねーか?」
「おーい海燕!どうしt……って!どうしたんだい彼ら!?ボロボロじゃないか!?」
「いや浮竹隊長。実はなんすけどね……」
ー
現在は十三番隊副隊長を務めている青年。しかも、彼は副隊長に任命したのは、つい先日である。
「ふむふむ……なるほどな〜って!また君たち喧嘩したのか?」
「わ、私ではない!喧嘩を仕掛けてきたのはコイツだ!」
「はぁ!?テメーが先に仕掛けきただろ、このボケ!」
「こらこら……また喧嘩しない…」
「…………あの隊長……この“ガキ“は知ってますけど……もう一人のガキって誰っすか?」
当然ながら、海燕は一真の事を知らない。
「あぁ〜、彼は日龍一真だよ。ほら、この前話したろ……夜一に弟子ができたって。」
「ーーーーーーーあ〜〜そういえばそうだったな。」
思い出した海燕は、視線を一真に向ける。彼の視線が自分の事を見ている事に気づいた一真は、思わず引いてしまう。
「な、なんだよ……」
「いや……なんつーか、俺が想像してた印象と全然違うな〜って。ほら、夜一の弟子ってもっと大人しいガキかと思ったんだが……」
「いや、コイツに大人しい印象なんてないぞ。」
.....っと白哉は呆れた声で答えた。
「あははは………ところで、どうして君たちは喧嘩したのだい?」
「ハッ!そうだ聞いてください!コイツはとんでもないクソ野郎です!」
「あぁん!?だったら、テメーはボケカス野郎だろが!」
「な、なんだと!もう一回言ってみろ!今度こそ決着をつけてやる!」
「上等だおら!さっきの続きをやろうz……」
「はい!そこまだガキ共!!!!」
「「うぉ!?」」
突然、後ろ襟首を掴まれた一真と白哉。今、自分達より背が高い海燕に両手で軽々と二人をぶら下げている。
「はぁ〜全くガキがいい歳して喧嘩するな。あんまり喧嘩しすぎると、ストレスが溜まるぞ。それに、一生仲良くもできねーぞ。」
とりあえず二人を軽く説教する海燕。その場にいる浮竹も割り入ってくる。
「海燕の言う通りだ。まずは一旦落ち着こう。ほら、そこら辺の茶屋にでも行こうか。なに、今日は俺の奢りだ。」
「そうそう.......ほら見ろ。浮竹隊長もあぁ言ってんだから、少しはおt....」
「ゴッハ!?」
今度は、一真と白哉に股間を蹴られる海燕。さっき激痛が数倍で走っているだろう。
「うぐ.........が〜〜〜」
「か、海燕!?」
二人を離し、股間を押さる海燕は痛みのあまり脂汗が止まらず倒れ込んでしまう。
「か、海燕!大丈夫か!?」
「あ〜〜〜〜〜〜ま....マジで〜やりやがった〜〜.......」
涙目になった海燕が必死に立ちあがろうとする。しかしそんな彼を全く気にしないで、二人はさっきの喧嘩の続きをやろうとする。
「さっき邪魔が入ったけどよ.........さっきの続きでもしようぜ〜」
「望む所だ.........ここで決着をつけてやる!」
「ちょ、ちょっと君達!これ以上喧嘩はもうやめn....」
「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」
「オラいい加減にしろクソガキどもが〜〜!!!!」
「か、海燕!?なぜ君まで!?」
なぜか少年達の喧嘩に乱入してくる海燕。それを見た浮竹もこれ以上やばいなっと必死に三人を止めに入る.........
それから数時間後.........
「ハァァァァ.........全く。一体あなた達は四番隊をなんだと思っているのですか?」
「す、すまない......卯ノ花隊長....」
大きくため息を吐き、頭を抱える卯ノ花。そんな不機嫌そうな彼女を見た浮竹も苦笑いするしかできない。
あの後、ようやく彼らの喧嘩を止め、四番大へやってきた。理由は、喧嘩で怪我した所を治療してもらう為である。だが、どうしてそんなに怪我をしたのかを卯ノ花に説明知ると、彼女は呆れてた。
「喧嘩をしただけで、こんなにも怪我をするなんて....長年治療してきた患者の中で初めてでしたよ。」
「.........ケッ.......」
「.........フン.......」
一真と白哉.....二人はそれほど大した怪我ではないが、身体全体に絆創膏など貼られている。
「それはそうと.....どうして海燕さんまでも喧嘩する事になるのですか?」
「い、いや.........」
「貴方は二人よりも歳上ですから、しっかししてください。もう貴方は子供ではありませんので。」
「す.........すんません.........」
気まずそうに顔を逸らす海燕。彼も二人の喧嘩に乱入した為、所々に殴られた跡もある。彼も同じく、絆創膏を貼られている。
「それに浮竹隊長もです。止めるには良いですけど......貴方は病を持っていますから、少しは気を付けてください。」
「あ、あははは........す、すまん.....」
「ーーーーはぁ.........とりあえず、四楓院隊長と朽木隊長には、事前に伝えましたから。今日はもう帰っていいですよ。」
「........おい........私はまだお前の事を許していないからな。」
「ハッ!それはこっちの方だよバ〜カ。」
「まだ私の事をバカ呼ばわりするのか!?この大馬鹿者が!」
「テメーもじゃねーか!」
「ーーーお二人さんーーー」
「「ーーーー!?」」
卯ノ花の声を聞いた瞬間、二人の背中から寒気を感じた。ゆっくりと視線を卯ノ花に振り向くと、
「ちゃんと仲直りしてください。
ーーーお願いしますよーーーー」ニコ
「「は.........はい」」ガクガク
一真と白哉は、卯ノ花の笑みを恐れていた。逆らう事ができず、ただ彼女の言う通りに従うしかなかった.........
「(こ、こ、こえぇぇぇ......)」ガクガク
……その場で座っている海燕ですら尻込みしてしまうほどの恐怖と相変わらず卯ノ花の笑顔は怖いなっと感じた浮竹だった.....
〜翌日〜
「あぁ〜〜昨日はマジで酷い目にあった〜」
あの恐怖の笑みから翌日、今日から本格的に隊員としての仕事を始める一真。最初の仕事は、夜一が作った書類を九番隊に届ける事である。新人にとって、最初の仕事である。
「えぇ〜っと....九番隊は確かこっちに....」
「ん?なんだ?」
聞き覚えのある怒鳴りが聞こえてきた。そう思い一真は、声が聞こえた方へ向かう。
「ここだな............って、オカッパじゃねーか?」
一応見つからないよう、物陰に隠れた一真は声の正体が砕蜂だと分かった。だが、なぜあんなに怒鳴っているのか。そしてよく見ると、砕蜂が誰かと喋っている...しかも話し相手は男と女三人である....
「やぁ!砕蜂さん!こんな所で会うなんて奇遇だね.........もしよかったら一緒にお茶なんてどうだい?」
四人の中、一人のリーダーぽい男が砕蜂に声をかけている。見た目は顔も性格も優秀といったいわゆる完璧な感じの青年。そしてその後ろに付いてきている三人の女達も青年の近くに寄りたがっていた。
「いいから答えろ!どうせ今日も私を揶揄いに来たんだろ!」
「ちょっとアンタ!
「そうよそうよ!」
「黙ってないでなんとか言いなさいよ!」
「(.........光輝?.......誰だアイツ?)」
▼△▼
あぁ最悪だ............本当に最悪だ.........
「それはそうと!どうして君がここにいるんだい?まさかあの蜂家の次期九代目である砕蜂さんがこんな所で出会うとはね!」
私は嫌だ.....
真央霊術院を1年で卒業し、入隊と同時に席官の座が用意されていた。勉学、鬼道、そして剣の腕前も優秀だと聞いている。現在は七番隊三席であり、天川家の次期当主にもなる男だ。
ーーーそんな天川家は
元々私達蜂家と変わらない下級貴族だった。そしてお互いに憎み合うライバル関係もあった。
しかし、いつ.....どうやってかは知らぬが。天川家はいつに間にか一気に上級貴族に登る事ができ、権力も持つ事もできた。そのおかげで私達蜂家との上下差ができてしまった。
今にでも思い出す.........私がまだ幼かった頃.....天川はいつもこう言う.......
『君みたいな子があんな家にいる人達と一緒に住まない方がいい!そうだ!よかったら家に来ないか!歓迎するよ!』
『なんて訓練をしているんだ君は!やっぱりこの家から出よう!君にような少女はここにいてはならないんだ!』
『はいこれ。君に似合う着物を買ってきたよ!それにもしも君があの家から出たいんだったら、力になろう!』
以来、持ち前の自分の正義感から「砕蜂さんはもっと自分を大切にするべきだ!」と忠告をしているのだが、私からすれば余計なお世話も良いところだった。それから毎日、私の前に寄ってくる。まるで……天川家に招くよう誘って来る感じだった……
……正直、うざかった。
だが......私が夜一様と出会ってから、天川が私の前に現れなくなった。相手はあの四楓院家だからだと思って、手も出せなかったのだろう。
その時に思った。やっとこれで解放される.........そう思ったが、現実は違っていた。私がいつも一人になった時に、なんの躊躇もなく寄ってくる....
暴力もなく....ただ私に対して誘惑を降らせてくるだけ。本当は今すぐにでも殴りたいが.......相手は上級貴族。下手すれば、なんらかの方法で蜂家を落とすかもしれない....そして何よりも.....
「(これ以上.......夜一様に負担を欠かせたくないのだ......)」
「大丈夫か?もしかして今も辛いのかい?それだったら安心しろ!俺がいればもう君が暗殺者にならずに済む事もできる!」
「.......黙れこの下郎が.....(大丈夫.......ただコイツらの言葉を聞かずに我慢すればいい....)」
そして今も私に対して優しく声が聞こえるが、私にはそうにも聞こえない。むしろいつも以上にうざい.....それにこの男は、完全に蜂家を愚弄している。
「(あぁ.....もうさっさとどっかへ消えてくれ.......お前の顔なんて見たくもn.......)」
「そういえば........君のお兄さん達って任務中に失敗して亡くなったんだっけ?」
「..................は?」
今コイツなんて言った......っとうか、なぜ私の兄達の事を知っているのだ?
「すまん!実は、色々と調べてね。あ〜それにしても可哀想に.....こんな小さな妹を一人残して逝ってしまうなんて...一体何を考えているんだあのお兄さん達は!?」
私が可哀想だと......やめろ.........お前は兄達の一体何を知っているんだ......
「蜂家の跡継ぎがいないから、今のお前に厳しい訓練をさせたんだよね。そんな事をして一体何を考えているんだ君の親は!?」
同情しているのか.....何も知らないくせに。私からすれば、お前は私の努力を侮辱しているようにも聞こえるんだぞ..........
「それに君のお兄さん達の方だよ!どうして君のような妹を残したんだろう.........これから一人寂しくなるに......」
コイツ.....まだ兄達に対して不謹慎極まりない言葉を.......
「あぁ……本当に.....彼らは
.........ムダナドリョクダト.........
コイツ......ホンキデ言ってんのか.........
あぁ........もうダメだ.........我慢したけど……
そう思って私は....とっさに
「よお、こんなところで何やってんだお前?」
聞き覚えの声を聞いた私は、振り向く。
「お、お前.......なぜここに!?」
そこには、忘れもしないあの
▲▽▲
「えっと.........君は?」
「あ。どうも〜昨日から入隊しました。日龍一真で〜す。」
初対面であり、いきなり適当な態度で挨拶する一真。そんな彼の態度に対して少し戸惑う光輝。
「え.....あ、あぁ.....」
「ちょっとアンタ!天川さんになんて態度を!」
「まぁ〜まぁ〜、彼はまだ新人だし。俺の事も知らないさ。ここは多めに許してあげるよ。」
「は、はい.........////」
「うん、分かってくれて嬉しい...それで.......一真君だっけ?初めまして、俺は天川春輝だ。分からないからさ事があったら聞いてくれる!」
そう言って、春輝は一真の前で右手を出す。仲良くなろうと思って、握手をするつもりだろう。
「初対面だが、お互いに護廷の一員として、尸魂界の未来を守ろう!」
「はぁ?なんでテメーみたいな奴と握手しなきゃならねーんだ?」
「..................え?」
「それによ……お前って結構ウゼェんだよな。」
「なっ!?アンタ光輝さんに向かってなんて口w「だまれバカ。」…ってはぁ!?」
「そしてそこの女バカ二人もだ。これから一言も喋んじゃねーぞ。」
「「な、なんですて!?」」
いきなり彼女達に暴言を吐いた一真。これを見た光輝も黙ってはいられなかった。
「き、君!彼女達になんて事を!いますぐあやまr……」
「おい。今俺が話してんだから少しは黙れよ雑魚。」
「ざ、雑魚だと!?」
いきなり自分の事を『雑魚』呼ばわりされた事に戸惑う光輝。だが、そんな戸惑っている彼を待たず、一真は話を進める。
「お前さ……まじでウザイんだよ。急にオカッパの事を喰いついたりさ。なんなんお前?不審者ですか?」
「ふ、不審者ではない!俺は彼女を助けn「そうか?全然そうに見えないけど?…んぁ!?」
「っつーかよ、さっきから見てたけどよ…どちらかと言ったらお前らが困らせてんだよ……むしろお前のほいがよっぽどワルなんじゃね?」
「(な、なんなんだコイツ……なんでそんなに俺の事を……)」
ー
「あとさ、さっきコイツの兄貴達が、無駄な努力って言ってたよな……」
「そ、そうだ!彼らのせいで今の彼女が困っているのだ!だから……」
「じゃー
「…………は?」
「コイツの兄達の努力、行動…そして死ぬ所を……その目で見たかっと聞いてだよ。」
「そ、それは……」
「お前.......見た事ねーんだろ?」
「た、確かに......だけど!彼らの無駄な努力のせいで、砕蜂さんは苦労しているのは確かなんだ!だから……そうもしなければ、こんな少女があんなきつい訓練をしなくて済めばよかったのだ!だから俺が………」
「だからさ…………
「!?」
「「「ヒッ!?」」」
突然一真から溢れ出てくる殺気に、意識を完全に取られた光輝。その彼に付き添っている三人の女達も思わず小さな悲鳴が出てしまうほど恐れていた。
「正直さ……俺はコイツの兄達なんて見たこともねーし、どんな奴らなのかも全くわからねーよ。だがな、俺にはどうしても無駄な努力だと思わねーんだよ。」
一真から僅かばかりに怒りが込められた視線に光輝は一瞬怯むも一真の言葉が理解出来ずに怪訝する。
「ーーーーお前……」
「それによ……コイツが可哀想だ。人生を帰るって言ってたな………
コイツの苦労を何も知らねーくせに勝手に同情するんじゃよバーカ。」
「!!!!」
「コイツはな。自分の足で動いて、自分の道を見つけたんだぜ。それを……勝手にコイツの人生を変えるって言うんじゃねーぞこのボンクラが!」
「ーーーーーお前………」
まさか
「ーーーーふざけるなーーー」
「あ?」
「ふざけるなぁーーー!!!」
そして光輝は、思わず斬魄刀を抜こうとする………
「!?」
………はずだったが。何者かによって、呼び止められる。光輝は声の主が誰なのかを振り返ると……
「ここで斬魄刀で新人隊員を斬ることは違法だ!これ以上変な真似は許さぬぞ!」
その男にひどく見覚えがある一真は、少し驚く……なぜここにいるんだっと…
「な、なんだ君は……」
「ね、ねぇ.....あれって...朽木白哉さんじゃないの……」
「ウソ!?なんでここに!?」
「(なっ!?朽木白哉……まさかあの朽木家なのか!?)」
どうやら光輝にとって朽木家は、
「お前……なんでここに?」
「たまたまお前の声が聞こえたからな……また喧嘩でもしたのかと思ったが……そうではないらしいな……」
「はぁ?別に喧嘩してねーし.....」
「(なんなんだアイツ……まさか!この新人は……朽木白哉と知り合いなのか!?だとしたらもっと厄介だ……)……オッホン!ど、どうして……朽木白哉様がここに?」
やばいっと感じた光輝は、すぐに白哉の前で敬語を使う。しかしそれが気に入らないのか、白哉は鋭い視線を光輝に向けた。
「別に大したことではないが……私の目では、お前は斬魄刀を使ってコイツを斬ろうとしたのではないのか?」
「さ、さぁ〜なんの事でしょうか……」
「…………ここで問題を起こしたくないなら……さっさと消えろ。それとも、この朽木白哉がお相手しようか?もちろん、真剣を使って……」
「うぅ………さ、さぁ!行こうかみんな!」
白哉からの挑発を受けた光輝は、慌てて女達を連れてこの場から離れようとする。三人の女達も同様、この場から早く逃げたいと思っている。
———その中に光輝は、一真へ暗い視線を向けた。
「(日龍一真………お前の事を一生忘れないからな………)」
その目線は先ほどの口論で負けた事を認めておらず、むしろ気に入らないものを見るかの様に険を含んでいた。そんな視線を向けている事を一真は知らないまま……
やがて……一真達の前から光輝達が消えた事が分かり、白哉は静かに息を吐く。
「ふうぅぅ………それにしても危なかったぞ。後一歩遅かったら、今ごろあの光輝に斬られたかもしれんぞ。」
「それだったら、返り討ちにしてやるよ。今度はアイツのタマを蹴ってな!」
「お前は…………ハァァ……もういいや……」
昨日の事で分かってはいたが、やっぱり日龍一真はこういう性格だなっと思った白哉。
「それにようオカッパ、アイツら何者だ……って、何やってんだお前?」
後ろを振り向くと、なぜか壁を向いている砕蜂。後ろ姿でわかるが、両手で何かを顔を擦っている様子。
「な、なんでもない………」
「いや、なんかあるだろ?」
「だから……なんでもない………」
「んな訳ねーだろ……なんで顔を隠してんだよ?」
「なんでもないっているんだこのバカ!」
ようやく一真の方を振り向いた砕蜂。だが、砕蜂の様子を見た一真は、少し驚いていた。当然その近くにいる白哉も。
「な、なんだそんなに驚いて……」
「いやだってお前………
一真のいう通り、砕蜂の両瞳に小さな雫が残っていた……
「目に水………ハッ!?」
理解ができた砕蜂は、すぐに拭き取ろうとする。
「お前……まさか泣いていたのか?」
「な、泣いていない!目にゴミが入っただけだ!」
「いやだってお前泣いt……」
ーバッシ!ー
「イッテ!?何すんだよお前!?」
「お前なぁ……そう言う時はそっとするのが普通だろ。」
なぜか無意識に一真の頭を軽く叩く白哉。
「はぁ………砕蜂。」
「な、なんだ急に?」
ようやく目から雫を拭き取った砕蜂は、突然白哉から呼ばれた事に驚く。
「さっきのは、天川家の次期当主……天川光輝だろ?」
「あ、あぁ……」
「もうそろそろ夜一に話したらどうだ?そうすれば、すぐに解決できると思うが…」
「ダメだ!相手は上級貴族。私より圧倒的に弱いの判ってる。任務以外で手を出してしまい怪我させて文句でも来たら、夜一様に迷惑かかる。」
「四楓院家は五大貴族だ。余程のことがない限り後手に回ることなどない。」
「だが!それでもダメなのはダメだ!」
「……そなたは、なぜそこまで…」
「………後あと面倒なことになるだけだ……だから……私だけさえ耐えれば…」
「砕蜂……」
正直、もうこれは話した方がいいのではと思った白哉だが。砕蜂は夜一にこれ以上迷惑をかからせたくないっと否定する。そんな時……
「そっか......俺にいい考えがある!」
「「…………はぁ?」」
「その光輝って奴をドカーン!っとぶちまける方法だよ!そうすれば、アイツがこれ以上オカッパに近づかないだろ!」
「は、はぁ?」
「お前………急にどうした?」
「それによ。さっき俺がバンバン喋っていた時、アイツの顔を見たか?アイツめっちゃ悔しそうにしてたぜw!」
「いや、お前斬られそうになっただろ!?」
ツッコミを入れる白哉だが、話を続ける一真。
「そうだけどさ……もしも俺が怪我をしたら大問題なんじゃね?」
「………どう言うことだ?」
「お前さっき言ってたじゃねーか『新人隊員を斬ることは違法だ』って。だったらさ、俺がアイツに斬られたら、アイツの立場が一番困るんじゃねーか?」
「「!!!」」
二人は、一真が考えた方法を聞いて驚きを隠せなかった。リスクは高いが、確かのその方法なら、天川光輝に違反の罪で罰則を与えることもできるかもしれない。
「お前……まさかそれを考えて……わざと挑発を……」
「いや、ついさっき考えたばっかりだけど?」
「「さっき考えたばっかりかい!?」」
「ってか……そんな方法があったら最初っから気づくべきじゃね?」
「「お前が言うな!!!」」
っと全力でツッコミをあげる砕蜂と白哉。
「あ〜じゃ、こう言うのはどうだ。俺が夜さんにチクらねー代わりに、お前にいつもよってくる光輝って奴が二度とオカッパに近づかなくなる作戦を考えようぜ!」
「は、はぁ!?なぜお前が...「じゃー夜さんに喋ろっか?」……うぐ!」
「そう言うことだ……お前も手伝えよ…」
そう言って一真は目線を白哉に移す。
「手伝えって……まさか私もなのか!?」
「だってお前のせいでさっきの作戦が失敗したんだから、責任とれよ。」
「お前がついさっき考えた作戦だろ……………あぁ……もう!分かった分かった!天川光輝を完全に砕蜂を諦めさせるまで一時協力だ!」
どうせこれ以上一真に何を言っても同じ繰り返しだろうっと思い、諦めかけた白哉。
「………お前……なぜそこまで私の事を……」
砕蜂はいまだに理解ができていない。なぜ自分の為にここまでしてくれるのか...
「あぁ?そんなの簡単だよ……
お前が困っているんだから、助けるのは当たり前なんだろ?」
「!!」
その言葉を聞いた瞬間、砕蜂の心の奥底に安心感が溢れ出てくる。するとその時、砕蜂の胸が不意に、ズッキリっと痛みを感じる。
「って!浦さんから聞いたんだけど......」
「(な、なんだこれ/////、なぜこんなに胸が痛いのだ////)」
「お〜い!どうした、顔が赤いぞ?」
「なぁ////!?なんでもない!」
そう言って、慌ててこの場から立ち去ろうと一真の横を通り過ぎた時......
「ーありがとうー」
顔が赤くなった砕蜂はそう言い残して、今度こそ去って行った………
「ーーーーなんだアイツ?」
「........砕蜂はお前に“礼”を言ったんだ。」
「礼.........俺にか?」
「そうだが......もしかして気に入らなかったのか?」
「いや.......ただ.........
夜さん以外の人にありがとうって言われたのが初めてなんだよな....」
一真の心の底からなぜか、嬉しさと喜びが溢れ出てきた
龍が如くシリーズあるあるに登場するウザキャラがようやく登場です!オリキャラを出そうかなと色々と考えたんですが.......やっぱり出そうと考えました!
そして今回、砕蜂ちゃんをツンデレヒロイン度を上げました!
次回は、一真の設定について書こうと思いますので、よろしくお願いします!